下痢が透明で水みたい、水のような下痢しか出ない、といった症状が続くと、ご不安に感じることでしょう。
このような透明な下痢は、体が発している何らかのサインかもしれません。
この記事では、透明な下痢が続く場合に考えられる原因や、診断に役立つ大腸内視鏡検査(大腸カメラ)による粘膜評価の重要性について解説します。
透明な下痢とは?水様便が続く原因
透明な下痢、あるいは水様便と呼ばれる症状は、多くの方が一度は経験しますが、長く続く場合には注意が必要です。
透明な下痢の定義と特徴
透明な下痢とは、便に固形成分がほとんど含まれず、文字通り水のような、あるいは透明に近い色調の液体状の便が排出される状態です。
通常の便は、食べ物の残りカスや腸内細菌、剥がれ落ちた腸粘膜細胞などが混ざり合って形成されますが、透明な下痢の場合はこれらの固形成分が著しく少なく、回数が増え、腹痛やお腹の不快感を伴うこともあります。
水様便とは何か
水様便は、透明な下痢とほぼ同義で用いられる医学的な用語で、便中の水分量が極めて多く、形をなさずに液体状になっていることです。健康な状態でも便の約70-80%は水分ですが、水様便の場合は90%以上が水分となることもあります。
この状態が続くと、脱水症状や電解質のバランス異常を起こす可能性があるため、注意が必要です。
水様便の主な性状
項目 | 説明 | 注意点 |
---|---|---|
色調 | 無色透明に近い、または淡黄色 | 血液が混じると赤や黒色になることも |
形状 | 完全に液体状、固形物なし | 粘液が混じる場合もある |
回数 | 1日に何度も排便がある | 脱水のリスクが高まる |
透明な下痢が続く主な原因疾患
透明な下痢が続く場合、様々な原因が考えられ、一過性の食あたりやウイルス感染から、慢性的な腸の病気まで多岐にわたります。
代表的なものとしては、感染性腸炎(ウイルス性、細菌性)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など)、薬剤の副作用、過敏性腸症候群(IBS)の下痢型などが挙げられ、原因によって対応が異なるため、正確な診断が重要です。
症状から考えられる緊急性
透明な下痢が続く場合、特に以下のような症状を伴う場合は、速やかに医療機関を受診することを推奨します。
- 高熱が続く
- 激しい腹痛がある
- 血便(便に血が混じる)が見られる
- 脱水症状(口の渇き、尿量の減少、めまいなど)がある
- 体重が急激に減少した
症状は、重篤な疾患のサインである可能性があり、早期の対応が必要です。自己判断せずに、専門医にご相談ください。
なぜ透明な下痢が続くのか?体からのサイン
私たちの腸は、食べ物から栄養と水分を吸収し、不要なものを便として排出する重要な役割を担っています。透明な下痢が続くということは、腸の働きに何らかの異常が生じているサインです。
腸の水分吸収と分泌のバランス
健康な状態では、腸管内で水分は吸収と分泌のバランスが保たれていて、小腸や大腸では、1日に約9リットルもの水分が通過しますが、そのほとんどが吸収され、便として排出される水分は約100-200ml程度です。
しかし、何らかの原因でこのバランスが崩れ、水分の分泌が過剰になったり、吸収が不十分になったりすると、便中の水分量が増加し、下痢(特に水様便)を起こします。
腸管における水分動態の概略
部位 | 1日の水分通過量(推定) | 主な役割 |
---|---|---|
小腸 | 約8-9リットル | 栄養素と共に大部分の水分を吸収 |
大腸 | 約1-1.5リットル | 残りの水分と電解質を吸収し便を形成 |
便中 | 約0.1-0.2リットル | 最終的な水分量 |
炎症による腸管機能の変化
腸に炎症が起こると、腸粘膜がダメージを受け、その機能が低下し、炎症部位からは、炎症性物質や粘液、血液成分などが腸管内に滲み出ることがあります。
これにより、腸管内の浸透圧が上昇したり、腸粘膜からの水分分泌が促進されたりして、水様便が生じやすくなります。また、炎症によって腸の蠕動運動が過剰になり、内容物が速やかに通過してしまうことも下痢の一因です。
浸透圧性下痢と分泌性下痢
下痢の発生機序には、主に「浸透圧性下痢」と「分泌性下痢」があり、透明な下痢や水様便は、二つの機序が単独または複合的に関与して起こります。
- 浸透圧性下痢: 腸管内に吸収されにくい物質があるることで、腸管内の浸透圧が上昇し、水分が腸管内に引き込まれて起こる下痢です。特定の食品(人工甘味料など)の過剰摂取や、吸収不良症候群などで見られます。
- 分泌性下痢: 腸管粘膜からの水分や電解質の分泌が過剰になることで起こる下痢です。細菌の毒素(コレラ毒素など)やホルモン、炎症などが原因となります。
透明な下痢の場合、特に分泌性の要因が強く関わっていることが多いです。
食事や薬剤の影響
特定の食事内容や服用している薬剤が、透明な下痢の原因となることもあり、乳糖不耐症の方が乳製品を摂取した場合や、マグネシウムを多く含むサプリメントや下剤を服用した場合に浸透圧性の下痢が起こることがあります。
また、抗生物質の中には腸内細菌叢のバランスを崩し、下痢を起こすものもあり、原因と思われる食事や薬剤がある場合は、医師に相談することが大切です。
透明な下痢で見られる粘膜の変化
透明な下痢が続く場合、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)によって腸の粘膜を直接観察することが、原因究明に非常に役立ちます。粘膜の状態は、疾患の種類や活動性を反映しているためです。
正常な大腸粘膜の状態
健康な大腸粘膜は、ピンク色で滑らか、光沢があり、血管が規則正しく透けて見えます。粘膜表面には細かい模様(ハウストラと呼ばれるヒダ)が観察され、炎症や潰瘍、ポリープなどの異常所見は見られません。
大腸内視鏡検査では、正常な状態と比較することで、異常の有無を判断します。
炎症性腸疾患(IBD)で見られる粘膜所見
潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)では、特徴的な粘膜の変化が見られ、疾患は、免疫系の異常が関与し、腸に慢性的な炎症を起こします。透明な下痢や水様便は、これらの疾患の活動期によく見られる症状の一つです。
IBDにおける主な内視鏡所見
所見 | 潰瘍性大腸炎での特徴 | クローン病での特徴 |
---|---|---|
びまん性の発赤・浮腫 | 直腸から連続的に広がる | 区域的に見られる(非連続性) |
血管透見像の消失 | 炎症により血管が見えにくくなる | 炎症部位で見られる |
びらん・潰瘍 | 多発性の浅いびらんや潰瘍 | 縦走潰瘍、敷石像、アフタなど深掘れする潰瘍も |
易出血性 | 粘膜がもろく、接触で出血しやすい | 炎症部位で見られる |
所見は、疾患の診断だけでなく、重症度や治療効果の判定にも重要です。
感染性腸炎による粘膜の変化
ウイルスや細菌の感染によって引き起こされる感染性腸炎でも、大腸粘膜に炎症が生じ、原因となる病原体によって、粘膜所見は多少異なりますが、一般的には発赤、浮腫、びらんなどが見られます。
カンピロバクター腸炎やアメーバ赤痢など、特定の感染症では特徴的な潰瘍を形成することもあり、透明な下痢や水様便が主症状となることが多く、時に血便を伴うこともあります。
その他の疾患における粘膜所見
透明な下痢を起こす可能性のある疾患は他にもあり、それぞれ内視鏡で観察される粘膜の状態が異なります。
- 薬剤性腸炎: 特定の薬剤(非ステロイド性抗炎症薬NSAIDsなど)により、粘膜にびらんや潰瘍が生じることがあります。
- 虚血性大腸炎: 大腸への血流が悪くなることで粘膜障害が起こり、発赤、浮腫、潰瘍などが見られます。高齢者や動脈硬化のある方に見られやすいです。
- コラゲナス大腸炎・リンパ球性大腸炎(顕微鏡的大腸炎): 肉眼的には正常に見えるか、軽微な変化しか認めないことが多いですが、生検による組織検査で診断されます。慢性的な水様性下痢が特徴です。
粘膜の状態を詳細に観察することで、透明な下痢の原因を特定する手がかりが得られます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の重要性
透明な下痢や水様便が続く場合、その原因を正確に把握し、適切な対応を行うためには、大腸内視鏡検査が非常に重要な役割を果たします。
透明な下痢における内視鏡検査の役割
透明な下痢という症状は、様々な疾患で共通して見られるため、症状のみから原因を特定することは困難です。
大腸内視鏡検査は、大腸全体の粘膜を直接観察し、炎症の有無、範囲、程度、潰瘍やポリープ、腫瘍などの病変の存在を視覚的に確認できます。
透明な下痢の原因となっている可能性のある疾患(炎症性腸疾患、感染性腸炎、薬剤性腸炎、虚血性大腸炎など)の診断に大きく貢献します。
粘膜を直接観察するメリット
大腸内視鏡検査の最大のメリットは、腸の粘膜状態をリアルタイムで詳細に観察できる点で、医師はモニターを通して、粘膜の色調、血管の走行、表面の凹凸、潰瘍やびらんの形状などを精密に評価します。
特殊な光(NBIなど)を用いた観察や、拡大観察を行うことで、より微細な変化も捉えることが可能です。レントゲン検査やCT検査では分からないような早期の病変や、粘膜の質的な変化を把握できます。
内視鏡検査で評価する主な粘膜所見
評価項目 | 観察ポイント | 異常所見の例 |
---|---|---|
色調 | ピンク色か、発赤・蒼白か | 炎症による発赤、虚血による蒼白 |
血管透見 | 血管が規則的に見えるか | 炎症による血管透見像の消失 |
表面構造 | 滑らかか、凹凸・顆粒状か | ポリープ、腫瘍、炎症による浮腫 |
潰瘍・びらん | 有無、形状、深さ、分布 | 炎症性腸疾患、感染症、薬剤性など |
生検による組織学的評価の意義
大腸内視鏡検査中には、必要に応じて粘膜の一部を採取する生検を行うことができ、採取した組織は、病理検査に提出され、顕微鏡で詳細に観察されます。
組織学的評価により、炎症の種類や程度、がん細胞の有無などを確定的に診断することが可能で、顕微鏡的大腸炎のように、肉眼的な内視鏡所見では診断が難しい疾患も、生検によって診断できます。
また、炎症性腸疾患の活動性評価や、ポリープが悪性かどうかを判断するためにも生検は重要です。
早期発見・早期対応への貢献
透明な下痢が、大腸がんや前がん病変であるポリープの初期症状であることは稀ですが、可能性はゼロではありません。大腸内視鏡検査は、これらの病変を早期に発見する上で最も有効な検査方法の一つです。
早期に発見できれば、内視鏡治療で根治できる可能性も高まります。また、炎症性腸疾患などの慢性疾患も、早期に診断し治療を開始することで、症状のコントロールや合併症の予防につながります。
透明な下痢が続く場合には、原因を特定し、適切な対応を早期に行うためにも、大腸内視鏡検査の実施を検討することが大切です。
大腸内視鏡検査を受ける前の準備と流れ
大腸内視鏡検査を安全かつ正確に行うためには、いくつかの準備が必要です。ここでは、検査前の食事制限から検査当日の流れ、鎮静剤の使用について説明します。
検査前の食事制限と注意事項
検査前日は、消化の良い食事を心がける必要があります。腸の中に食べ物の残りカスがあると、正確な観察が難しくなるためです。
通常、検査前日の夕食は、おかゆやうどん、白身魚、豆腐など、繊維質の少ないものを指定された時間までに済ませます。
きのこ類、海藻類、種実類、色の濃い野菜などは避けるように指示されることが多く、水分は、水やお茶、スポーツドリンクなど透明なものは摂取可能ですが、牛乳や色のついたジュースは避けてください。
検査前日に避けるべき食品
食品群 | 具体的な例 | 理由 |
---|---|---|
繊維の多い野菜・果物 | きのこ類、ごぼう、海藻類、とうもろこし、豆類、キウイなど | 消化が悪く腸内に残りやすい |
種のある果物 | いちご、トマト、すいかなど | 種が腸壁に残り観察の妨げになる |
色の濃い食品 | 色の濃いジュース、健康食品など | 腸内が着色し観察しにくくなる |
常用している薬がある場合は、事前に医師に相談し、休薬の必要があるかどうか指示を受けてください。
特に血液をサラサラにする薬(抗凝固薬や抗血小板薬)を服用している場合は、生検やポリープ切除の際に出血のリスクがあるため、事前の調整が重要です。
下剤(腸管洗浄剤)の服用方法
検査当日の朝、または前日の夜から、腸管内をきれいにするための下剤(腸管洗浄剤)を服用し、通常、約1~2リットルの液体状の下剤を数時間かけて飲みます。下剤を飲むと、徐々に便意をもよおし、数回から十数回の排便があります。
最終的に便が水様透明になれば、腸内がきれいになったサインで、下剤の服用は少し大変に感じるかもしれませんが、安全で正確な検査のためにはとても重要です。
検査当日の流れと所要時間
検査当日は、指定された時間に来院し、まず、更衣室で検査着に着替え、その後、検査室に入り、検査台に横になり、鎮静剤や鎮痛剤を使用する場合は、点滴ルートを確保し、薬剤を投与します。
検査は通常、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の一番奥(盲腸)まで進め、抜きながら粘膜を詳細に観察し、検査自体の所要時間は、個人差や腸の状態によりますが、通常15分から30分程度です。
ポリープ切除などの処置を行う場合は、もう少し時間がかかります。
鎮静剤・鎮痛剤の使用について
大腸内視鏡検査では、お腹の張りや不快感、痛みを軽減するために、鎮静剤や鎮痛剤を使用することがあり、薬剤を使用すると、うとうとしたり眠ったりしている間に検査が終わることが多く、苦痛を大幅に軽減できます。
使用する薬剤の種類や量は、患者さんの状態や希望に応じて調整します。
鎮静剤を使用した場合は、検査後しばらくリカバリールームで休んでから帰宅となります。当日は車やバイク、自転車の運転はできませんので、公共交通機関を利用するか、付き添いの方に送迎を依頼してください。
大腸内視鏡検査でわかること・わからないこと
大腸内視鏡検査は非常に有用な検査ですが、万能ではありません。この検査で何がわかり、何がわかりにくいのかを理解しておくことは、検査結果を正しく受け止める上で大切です。
内視鏡検査で診断可能な主な疾患
大腸内視鏡検査は、大腸の粘膜面を直接観察するため、様々な疾患の診断に役立ちます。透明な下痢や水様便の原因となる疾患も多く含まれます。
- 大腸ポリープ(腺腫など)
- 大腸がん
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
- 感染性腸炎
- 虚血性大腸炎
- 薬剤性腸炎
- 大腸憩室症、憩室炎
- 顕微鏡的大腸炎(膠原線維性大腸炎、リンパ球性大腸炎)
疾患の有無、範囲、程度などを評価し、必要に応じて生検を行い確定診断につなげます。
検査の限界と他の検査との組み合わせ
大腸内視鏡検査は粘膜表面の病変の観察には優れていますが、限界もあり、腸管壁の深い部分にある病変や、腸管の外側にある病変の評価は困難です。
また、小腸の大部分は通常の大腸内視鏡では観察できません(小腸の観察には小腸内視鏡やカプセル内視鏡など別の検査が必要)。
腸の動き(機能)に関する異常、例えば過敏性腸症候群(IBS)などは、内視鏡で特徴的な異常所見が見られないことが多く、症状や他の検査結果と合わせて総合的に診断します。
そのため、CT検査やMRI検査、注腸X線検査、便検査、血液検査など、他の検査と組み合わせて診断を進めることがあります。
大腸内視鏡検査と他の検査の比較
検査方法 | 主な利点 | 主な限界点 |
---|---|---|
大腸内視鏡検査 | 粘膜直接観察、生検可能、ポリープ切除可能 | 腸管外病変の評価困難、前処置が必要 |
CTコロノグラフィ | 腸管全体の3D画像、腸管外情報も得られる | 平坦な病変の検出限界、生検不可、放射線被曝 |
注腸X線検査 | 腸全体の形態把握 | 微小病変の検出困難、生検不可、放射線被曝 |
検査結果の説明と今後の対応
検査終了後、通常は医師から検査結果の説明があります。鎮静剤を使用した場合は、意識がはっきりしてから説明を受けます。
内視鏡画像を見ながら、観察された所見や診断、生検を行った場合はその結果が出るまでの期間などが伝えられます。
結果に応じて、今後の治療方針や生活上の注意点、次回の検査時期などについて話し合い、疑問や不安な点があれば、医師に質問しましょう。
透明な下痢が続く場合の生活上の注意点
透明な下痢や水様便が続くときは、体への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐために、日常生活でもいくつかの点に注意することが大切です。原因疾患の治療と並行して、セルフケアも行いましょう。
水分補給と電解質バランスの重要性
透明な下痢が続くと、体から大量の水分と電解質(ナトリウム、カリウムなど)が失われ、脱水症状や電解質異常を起こす可能性があり、こまめな水分補給が最も重要です。
水やお茶だけでなく、経口補水液(ORS)やスポーツドリンクなど、電解質も同時に補給できる飲み物が推奨されます。特に高齢者や小児は脱水になりやすいため、注意深く水分を摂取しましょう。
水分補給のポイント
- 少量ずつ頻回に飲む
- 冷たすぎる飲み物は避ける
- カフェインやアルコールは利尿作用があるため控える
消化の良い食事の選び方
下痢をしているときは、腸に負担をかけない消化の良い食事を心がけることが大切です。脂肪分の多い食事や、香辛料などの刺激物は、腸の動きを活発にし、下痢を悪化させる可能性があります。
おかゆ、うどん、白身魚、鶏のささみ、豆腐、じゃがいも、バナナなどが比較的消化しやすい食品で、食事の際はよく噛んでゆっくり食べることも、消化を助けます。
消化の良い食事
食品カテゴリ | 推奨される食品 | 避けた方が良い食品 |
---|---|---|
主食 | おかゆ、柔らかく煮たうどん、パン(白いもの) | 玄米、ライ麦パン、ラーメン |
タンパク質源 | 白身魚(たら、かれい)、鶏ささみ、卵(半熟)、豆腐 | 脂身の多い肉、青魚、揚げ物 |
野菜・果物 | じゃがいも、にんじん(柔らかく煮たもの)、バナナ、りんご(すりおろし) | 繊維の多い野菜、柑橘類、生の果物 |
刺激物を避ける食生活
香辛料(唐辛子、こしょうなど)、炭酸飲料、アルコール、カフェインを多く含む飲み物(コーヒー、紅茶、エナジードリンクなど)は、腸管を刺激し、下痢の症状を悪化させることがあります。
症状が落ち着くまでは、刺激物の摂取を控え、また、冷たい食べ物や飲み物も、腸を刺激することがあるため、常温に近いものを選ぶと良いでしょう。
ストレス管理と休息
ストレスは、腸の機能に影響を与えることが知られており、下痢の症状を誘発したり悪化させたりする一因となることがあります。特に過敏性腸症候群(IBS)の場合は、ストレスとの関連が深いとされています。
十分な睡眠を取り、リラックスできる時間を作るなど、ストレスを上手に管理することが大切です。趣味や軽い運動なども気分転換に役立ちます。
よくある質問(FAQ)
透明な下痢や大腸内視鏡検査に関して、患者さんからよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- 透明な下痢は自然に治りますか?
-
原因によります。一過性のウイルス感染や軽い食あたりなどであれば、数日で自然に軽快することが多いです。
しかし、症状が長期間続く場合や、発熱、激しい腹痛、血便などを伴う場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があるため、医療機関を受診してください。
- 大腸内視鏡検査は痛いですか?
-
検査中にお腹が張る感じや、内視鏡が腸の曲がり角を通過する際に多少の不快感や痛みを感じることがありますが、多くの医療機関では、患者さんの苦痛を軽減するために鎮静剤や鎮痛剤を使用しています。
薬剤を使用することで、うとうとしている間や眠っている間に検査を終えることができ、痛みを感じにくくなります。
- 検査後、すぐに普段の生活に戻れますか?
-
鎮静剤を使用しなかった場合は、検査後すぐに日常生活に戻れることが多く、鎮静剤を使用した場合は、検査後30分~1時間程度リカバリールームで安静にし、意識がはっきりしてから帰宅します。
当日は車の運転や危険な作業は避け、食事は、検査当日は消化の良いものから始め、徐々に普段の食事に戻していくのが一般的です。
ポリープ切除などの処置を行った場合は、数日間は食事や運動に制限が必要なことがありますので、医師の指示に従ってください。
- 透明な下痢と過敏性腸症候群(IBS)の関係は?
-
過敏性腸症候群(IBS)は、腸に明らかな炎症や潰瘍などの器質的な異常がないにもかかわらず、腹痛や腹部不快感、便通異常(下痢、便秘、またはその両方)が慢性的に続く疾患です。
IBSの下痢型では、ストレスや特定の食事などをきっかけに、透明な水様便が頻繁に出ることがあります。
診断には、他の疾患(炎症性腸疾患など)を除外することが重要であり、そのために大腸内視鏡検査が行われることがあります。
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