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オオバコによる腸閉塞の症状と治療 – 予防と注意点

オオバコによる腸閉塞の症状と治療 - 予防と注意点

オオバコ(サイリウム)は水分を吸収して膨らむ性質があり、便通改善に役立つ一方、摂取方法を誤るとオオバコ腸閉塞を起こす危険性があります。水分摂取の不足や一度に大量に摂取することが主な原因です。

症状としては、激しい腹痛、嘔吐、排便・排ガスの停止などが現れます。

この記事では、オオバコによる腸閉塞の具体的な症状、医療機関での診断と治療法、そして最も重要な予防と安全な摂取方法について、詳しく解説します。

目次

オオバコ(サイリウム)とは?

オオバコ(サイリウム)は、プランタゴ・オバタという植物の種子の殻(ハスク)を粉末にしたもので、食物繊維の豊富な健康食品として知られていて、最大の特徴は、水分を吸収して数十倍に膨らむ能力です。

この性質が健康に役立つ一方で、リスクの原因にもなります。

オオバコ(サイリウム)の正体

オオバコは一般的にサイリウムハスクパウダーとして販売されていて、粉末は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方をバランスよく含んでいます。

水溶性食物繊維は水に溶けてゲル状になり、便を柔らかくする働きがあり、不溶性食物繊維は水に溶けにくく、便のカサを増やして腸を刺激し、排便を促します。

日本の食生活では不足しがちな食物繊維を手軽に補給できるため、多くの方に利用されていおり、食品添加物として、また特定保健用食品(トクホ)の関与成分としても使用されることがあります。

水分を吸収して膨らむ性質

オオバコが持つ最大の特徴は、強力な吸水性と膨張性です。

水分を含むと粘り気の強いゲル状に変化し、体積は元の30倍から40倍にもなり、腸内で便のカサを増やし、適度な柔らかさを与え、腸の蠕動運動を穏やかに促す助けとなります。

しかし、この強力な膨張性が、十分な水分なしに摂取した場合に腸閉塞のリスクと表裏一体の関係にあることを、深く理解しておくことが必要です。

オオバコ製品の主な形態

形態特徴主な用途
パウダー(粉末)粒子が細かく、水に溶けやすい。膨張が速い。飲み物、料理に混ぜる(少量から)
ハスク(粗挽き)粒子が粗く、膨張性が高い。満腹感が得られやすい。満腹感を得たい時、パン・お菓子作り
顆粒・カプセル摂取量が調整しやすい。携帯に便利。手軽なサプリメントとして(水分補給は別途必須)

主な健康効果と利用目的

オオバコが利用される主な目的は、豊富な食物繊維による健康効果への期待です。便通の改善は最もよく知られていますが、それ以外にもいくつかの有益な作用が報告されています。

水溶性食物繊維のゲルが糖質の吸収を緩やかにし、食後の血糖値の急激な上昇を抑える効果が期待され、また、コレステロールから作られる胆汁酸の排出を促し、血中コレステロール値を低下させる可能性も指摘されています。

ただし、摂取方法には十分な注意が必要です。

期待される主な健康効果

  • 便通の改善(便秘・下痢の双方に)
  • 食後の血糖値上昇の抑制
  • 血中コレステロール値の低下

一般的な摂取方法

オオバコは、水やジュース、スムージーなどに混ぜて飲む方法が一般的です。ヨーグルトやスープにかける利用法もあります。重要なのは、混ぜたらすぐに飲むことで、放置するとゲル化が進み、飲みにくくなります。

また、近年では低糖質(ロカボ)のパンやお菓子作り(わらび餅風など)に、小麦粉の代わりや、つなぎ、保水性を高める目的で重宝されます。

料理に使う場合も、オオバコが生地中の水分を大量に吸収するため、レシピの水分量より多めの水分を加えたり、摂取時に別途水分を摂ったりするなど、工夫と注意が必要です。

オオバコによる腸閉塞のリスク

オオバコ(サイリウム)は、有益な効果の半面、摂取方法を誤ると腸閉塞という重篤な状態を起こす可能性があります。オオバコ腸閉塞は、摂取したオオバコが腸管内で消化されずに固まり、内容物の通過を物理的に妨げることで発生します。

オオバコ腸閉塞とは何か

オオバコ腸閉塞は、食物繊維性腸閉塞(フィトベゾアール)の一種です。ベゾアールとは、胃や腸管内で消化されない物質が結石のように固まった塊を指します。

オオバコが腸管内で水分を吸収して膨張し、ゲル状の塊となるのですが、塊が大きくなりすぎたり、腸の狭い部分で詰まったりすると、腸の内容物が先へ進めなくなり、腸閉塞の状態を起こします。

これは、食品が原因で起こる腸閉塞の代表的な例の一つで、他にも干し柿やコンブ、キノコ類なども原因となり得ます。

なぜオオバコが腸閉塞を引き起こすのか

オオバコが腸閉塞の原因となる最大の理由は、強力な膨張性と不消化性にあり、スプーン1杯の粉末が、胃や腸の中で水分を吸って大きなゲル塊に変化します。

通常の食物であれば消化酵素によって分解され、小さくなりますが、オオバコは食物繊維であるため消化されません。

そのため、摂取量が多すぎたり、腸の動き(蠕動運動)が悪い人や、手術後などで腸に狭い部分(狭窄)がある人では、ゲル塊が腸管を物理的に塞いでしまうのです。

水分摂取不足が招く危険性

オオバコ腸閉塞の最も一般的かつ最大の原因は、水分摂取量の不足です。オオバコは周囲の水分をスポンジのように強力に吸収します。

オオバコを摂取する際に飲む水の量が少なかったり、体全体が水分不足(脱水傾向)の状態だったりすると、腸管内にある消化液や食物の水分まで奪いながら、硬い塊を形成しやすくなります。

粉末のまま摂取したり、少量の水で練って団子のようにして食べたりする行為は特に危険です。オオバコを摂取する際は、オオバコそのものを溶かす水分だけでなく、体全体の水分補給も意識して行う必要があります。

水分摂取の重要性

摂取方法リスク推奨される対策
粉末のまま摂取非常に高い絶対に行わない(窒息のリスクも有り)
少量の水で摂取高いコップ1杯(200mL)以上の十分な水に溶かす
摂取後の水分不足高い摂取後も1〜2時間かけて追加の水分を補給する

過剰摂取と腸閉塞の関係

一度に大量のオオバコを摂取することも、腸閉塞の直接的な原因となり、製品に記載されている摂取目安量(1回4〜8g程度)を超えて摂取すると、腸の処理能力を超えた量のゲル塊が形成されます。

早く便秘を解消したいという思いから、推奨量の2倍、3倍と一度に摂取してしまうケースは注意が必要です。食物繊維は、多ければ多いほど良いというものではありません。

自分の体質や体調、年齢(高齢者は腸の動きが遅い傾向にある)に合わせて、少量から試してください。

オオバコ腸閉塞の主な症状

オオバコ腸閉塞を発症すると、特有の消化器症状が現れ、腸管内で内容物の通過が物理的に妨げられることによって生じます。通常の便秘とは異なる、急激で激しい症状が特徴です。

注意すべき初期症状

オオバコを摂取した数時間後から数日後に、次のような症状が現れた場合は注意が必要です。

初期症状は、腸が詰まり始めている(不全閉塞)サインで、お腹の張り(腹部膨満感)がいつもより強く、パンパンに張って苦しい感じがし、ガス(おなら)や便が出にくくなりますが、まだ少しは出ることもあります。

また、お腹がグルグル鳴る音が強くなったり、断続的な腹痛(差し込むような痛み)が起こることもあります。

症状が進行した場合のサイン

腸閉塞が進行し、腸管が完全に閉塞すると、症状はより深刻になり、腹痛は持続的で激しい痛みに変わり、吐き気や嘔吐を伴うようになります。腸管が完全に閉塞すると、便もガスも全く出ない状態(排便・排ガスの停止)になります。

閉塞部より上部に消化液やガスが溜まるため、お腹はさらに張り、嘔吐も頻繁になります。

嘔吐物には、最初は胃液や胆汁(黄色い液体)が混じりますが、やがて腸内容物が逆流し、便のような臭いを伴う内容物(糞便様嘔吐)が混じることもあり、これは非常に危険な兆候です。発熱や脱水症状(口の渇き、尿量の減少)も現れます。

腸閉塞の進行と症状

進行度主な症状緊急度
初期(不全閉塞)腹部膨満感、断続的な腹痛、便秘・ガスの出にくさ注意(摂取中止)
進行期(完全閉塞)激しい腹痛、持続的な嘔吐、腹部の強い張り高い(医療機関へ)
重篤期排便・排ガスの完全停止、糞便様嘔吐、発熱、脱水非常に高い(即時受診)

通常の便秘との違い

オオバコは便秘改善のために摂取することが多いため、症状が出ても通常の便秘の悪化と誤解しやすい点に注意が必要です。通常の便秘では、お腹が張ることはあっても、我慢できないほどの激しい腹痛や、繰り返す嘔吐を伴うことはありません。

また、便秘では食事が摂れたり、ガスは出たりすることが多いでが、腸閉塞では、食事を摂ることが困難になり(食べるとすぐに吐いてしまう)、激しい腹痛や嘔吐を伴います。ガスの停止は、腸閉塞を強く疑う重要なサインです。

症状が現れた場合の緊急度

オオバコ腸閉塞の疑いがある症状、特に激しい腹痛、繰り返す嘔吐、排便・排ガスの停止がみられる場合は、緊急を要する状態です。

腸閉塞を放置すると、腸管が拡張しすぎて血流が悪くなり、腸がねじれたり(絞扼(こうやく)性腸閉塞)、腸に穴が開いたり(腸管穿孔)して、命に関わる腹膜炎を起こす可能性があります。

絞扼性腸閉塞は、腸管が短時間で壊死に陥るため、一刻を争い、自己判断で様子を見ることは非常に危険です。速やかに医療機関(消化器科や救急外来)を受診してください。

症状が現れた時の対処法

オオバコを摂取した後に腸閉塞を疑う症状が現れた場合、迅速な行動が重要です。自己判断による誤った対処は症状を悪化させる可能性があるため、冷静に対応する必要があります。

まず行うべきこと

激しい腹痛や嘔吐などの症状が現れたら、まずはオオバコを含むすべての食事や水分の摂取を直ちに中止します。腸が詰まっている状態でさらに食べ物や飲み物を入れると、閉塞部より上部に溜まる内容物が増え、症状が悪化し、嘔吐を助長します。

腹痛が強い場合は、膝を胸に近づけるようにして横になるなど、楽な姿勢で安静にし、速やかに医療機関を受診する準備をすることが重要です。

医療機関を受診するタイミング

以下のような症状が一つでも当てはまる場合は、夜間や休日であっても、すぐに医療機関を受診しましょう。我慢できないほどの痛みや、意識が朦朧とするような場合は、救急車の要請も考慮してください。

受診を急ぐべき症状

  • 我慢できないほどの激しい腹痛、持続する腹痛
  • 繰り返す嘔吐、便のような臭いのする嘔吐
  • 便もガスも全く出ない状態が半日以上続く
  • 冷や汗、顔面蒼白、意識が朦朧とする

このような症状は、腸閉塞が進行しているか、より危険な絞扼性腸閉塞に移行している可能性を示しているので、様子見は禁物です。

受診時に医師に伝えるべき情報

医療機関では、医師が迅速に診断を下すために正確な情報が必要です。慌てずに、以下の情報を整理して伝えるように努めてください。

医師に伝える情報リスト

情報カテゴリ伝える内容の例
オオバコの摂取いつ、どのくらいの量(スプーン何杯、何グラム)、どのような方法(水、ジュースなど)で摂取したか。製品名。
症状の経過いつから症状が始まったか(腹痛、嘔吐など)、症状はどう変化しているか(痛みが強くなっているなど)。
排泄の状況最後の排便・排ガスはいつか。便の性状は。
既往歴・手術歴過去に腸閉塞になったことがあるか。腹部の手術(帝王切開、盲腸、婦人科系、胃腸の手術など)を受けたことがあるか。

自己判断での下剤使用の危険性

便が出ないからといって、自己判断で市販の下剤(特に腸を動かす刺激性下剤)を使用することは絶対に避けてください。

腸が詰まっている状態で無理に腸を動かすと、閉塞部の圧力がさらに高まり、腸管穿孔(腸に穴が開く)などの重篤な合併症を起こす危険性があります。また、浣腸なども腸を刺激するため危険です。

オオバコ腸閉塞が疑われる場合の対処は、医療機関での診断と治療が原則です。

医療機関での診断と検査

オオバコ腸閉塞が疑われて医療機関を受診した場合、医師はまず問診を行い、腸閉塞の可能性や重症度を判断します。その後、検査を行い診断を確定し、治療方針を決定します。

医師による問診と身体診察の重要性

診断において問診は非常に重要です。オオバコの摂取状況や症状の経過、既往歴(特に腹部手術歴)などの情報は、医師がオオバコによる食物繊維性腸閉塞を疑うための重要な手がかりとなります。

続いて聴診器でお腹の音を聞き(腸閉塞の初期は腸の音が亢進し、やがて弱くなる)、お腹を触って張り具合や圧痛(押したときの痛み)、反跳痛(押した手を離したときの響く痛み、腹膜炎を疑うサイン)の有無を確認します。

腸閉塞を特定する検査法

問診と身体診察の後、画像検査や血液検査が行われます。検査は、腸閉塞の有無、閉塞している場所、原因(オオバコによるものか、他の原因か)、合併症(絞扼や穿孔)の有無を客観的に調べるのが目的です。

腸閉塞の主な検査

検査名目的検査で分かること
腹部レントゲン検査腸閉塞の基本的な確認腸管内のガスや液体貯留(鏡面像:ニボーと呼ばれる特徴的な画像)
腹部CT検査詳細な状況の把握(最も重要)閉塞部位、原因(オオバコの塊など)、血流障害(絞扼)の有無、腹水の有無
血液検査全身状態の評価脱水の程度(BUN/Cre比、Ht)、炎症反応(WBC、CRP)、電解質バランス

画像診断(レントゲン・CT)の役割

腹部レントゲン検査は、腸閉塞の診断において最初に行われることが多い基本的な検査です。立ったり横になったりして撮影し、腸管が拡張してガスや液体が溜まっている様子が特徴的な画像(鏡面像)として映し出されるかを確認します。

腹部CT検査は、腸閉塞の診断において現在最も有用な検査で、レントゲンよりもはるかに詳細な情報を3次元的に得られます。

腸管の拡張の程度や閉塞部位を正確に特定できるだけでなく、オオバコによって形成された可能性のある塊(ベゾアール)を直接確認できることもあります。

さらに、造影剤を注射して撮影することで、腸への血流が保たれているか(単純性腸閉塞)か、血流が途絶えているか(絞扼性腸閉塞)かを高い精度で判断できます。

絞扼(こうやく)を伴う場合は、緊急手術が必要となるため、CTでの評価は治療方針を決定する上で欠かせません。

オオバコ腸閉塞の治療法

オオバコによる腸閉塞の治療は、重症度によって異なります。

腸管の血流障害(絞扼)がない単純性腸閉塞であれば、多くは絶食や点滴などの保存的治療で改善しますが、絞扼が疑われる場合や、保存的治療で改善しない場合は、内視鏡治療や外科的手術が必要です。

保存的治療(絶食・点滴)

腸閉塞の治療の基本は、腸を休ませることです。絞扼の所見がない単純性腸閉塞の場合、まずは入院の上で保存的治療を開始します。

口から食べ物や飲み物を摂ることを一切やめ(絶食)、脱水状態や電解質異常を補正するために点滴(静脈内輸液)を行い、腸管への刺激を減らし、腸のむくみを取り、自然な蠕動運動の回復を待ちます。

オオバコの塊が比較的小さく、柔らかければ、これだけで腸の閉塞が解除されることも少なくありません。入院期間は、数日から1週間程度が目安です。

保存的治療の構成要素

治療法目的と内容
絶食・絶飲腸管を安静に保ち、閉塞部への負担を減らす。
点滴(輸液)水分、電解質、栄養を静脈から補給し、脱水を改善する。

経鼻胃管による腸管の減圧

保存的治療と並行して、経鼻胃管(イレウス管)を挿入することがあり、これは、鼻から胃や小腸まで細いチューブを挿入し、閉塞部より上部に溜まった消化液やガスを体の外へ排出(ドレナージ)する治療です。

腸管内の圧力を下げる(減圧する)ことで、腸のむくみを改善し、吐き気を和らげ、腸の血流障害を防ぐ効果があり、また、腸が休まることで蠕動運動が回復しやすくなり、閉塞が解除されるのを助ける役割も担います。

患者さんにとっては苦痛を伴う処置ですが、腸閉塞の治療において非常に有効な手段です。

内視鏡による対応

オオバコの塊が胃や十二指腸、大腸など、内視鏡(胃カメラや大腸カメラ)が届く範囲で詰まっている場合、内視鏡を用いて塊を砕いたり、除去したりする治療が試みられることがあります。

小腸に比べて内径が太い大腸での閉塞では、内視鏡による破砕が有効な場合がありますが、腸閉塞の多くは小腸で発生し、小腸は6〜7mと非常に長く屈曲しているため、通常の胃カメラや大腸カメラでは奥深くまで到達できません。

小腸での閉塞に対する内視鏡治療は、困難なことが多いです。バルーン内視鏡など特殊な内視鏡を用いることもありますが、一般的ではありません。

外科的手術が必要なケース

以下の場合は、緊急または待機的に外科的手術が必要です。

手術が検討される状況

  • 絞扼性腸閉塞が疑われる場合(CTで血流障害が示唆される、痛みが非常に強いなど)
  • 腸管穿孔(穴が開く)を起こし、腹膜炎を併発している場合
  • 保存的治療(絶食、点滴、経鼻胃管)を数日間行っても症状や画像所見が改善しない場合

絞扼性腸閉塞は、腸がねじれて血流が途絶え、腸管が壊死してしまう危険な状態であり、一刻も早い手術が重要です。

手術では、閉塞の原因となっているオオバコの塊を取り除き、場合によっては、腸の癒着を剥がしたり(癒着剥離術)、すでに壊死してしまった腸管を切除してつなぎ合わせたり(腸切除・吻合術)することもあります。

手術は開腹手術または腹腔鏡手術で行われますが、緊急時や癒着が広範囲な場合は開腹手術が選択されることが多いです。

オオバコによる腸閉塞の予防と安全な摂取方法

オオバコによる腸閉塞は、ほとんどが摂取方法に注意することで予防可能です。オオバコの強力な膨張性をリスクではなくメリットとして活かすために、特性を正しく理解し、安全な摂取方法を実践しましょう。

最も重要な水分補給

オオバコ腸閉塞を予防するために最も重要なことは、十分な水分を摂取することです。オオバコを摂取する際は、必ずコップ1杯(約200mL)以上の水や白湯、お茶などの水分に完全に溶かしてから飲んでください。

溶かした後、すぐに飲むことも大切で、時間が経つとゲル状に固まって飲みにくくなり、喉や食道に詰まる原因(窒息)にもなります。

また、オオバコを摂取した直後だけでなく、その日1日を通して、いつもより多めに水分を補給することを心がけてください。空腹時に摂取すると、胃腸への刺激が強い場合があるため、食間や食前に摂る際は注意が必要です。

適切な摂取量の目安

製品に記載されている1日あたりの摂取目安量を必ず守ってください。早く効果が欲しいからと過剰に摂取することは、腸閉塞のリスクを高めます。

多くの場合、1回の摂取量は数グラム(小さじ1〜2杯、製品により異なるため要確認)からとされています。

体質や体調によっても適量は異なるため、最初は記載されている最小量か、それよりも少ない量から試し、便の様子を見ながら徐々に調整していくのが安全です。

オオバコ摂取のポイント

項目安全な方法危険な方法
摂取方法多めの水分(200mL以上)に完全に溶かしてすぐ飲む粉末のまま飲む、少量の水で練る、固まったゲルを食べる
摂取量記載の目安量を守る(最初はごく少量から試す)目安量を超える過剰摂取、1日分を一度に摂取
摂取後の水分摂取後も1〜2時間かけて追加の水分(コップ1杯程度)を摂る摂取時のみで、その後水分補給を怠る

摂取を避けるべき人

すべての人にオオバコが適しているわけではありません。

以下のような方は、オオバコの摂取によって腸閉塞やその他の体調不良(窒息など)を起こすリスクが通常より高いため、摂取を避けるか、事前にかかりつけの医師に相談してください。

摂取に注意が必要な方

  • 過去に腸閉塞の既往がある方
  • 腹部の手術(開腹・腹腔鏡)を受けたことがある方(腸の癒着がある可能性)
  • クローン病や潰瘍性大腸炎など炎症性腸疾患のある方(腸管狭窄のリスク)
  • 腸管が狭くなっている(狭窄)と指摘されたことがある方
  • 高齢で腸の動き(蠕動運動)が弱っている方
  • 嚥下(飲み込み)機能が低下している方(窒息のリスク)
  • 普段から水分の摂取量が極端に少ない方

特に腹部手術の既往がある方は、腸管が癒着していることが多く、食物繊維の塊がその狭い部分に引っかかりやすいため、細心の注意が必要です。

摂取開始時の注意点

初めてオオバコを摂取する場合や、久しぶりに摂取を再開する場合は、一度に目安量を摂取するのではなく、目安量の半分以下の少量(小さじ半分など)から始めてください。

数日間試してみて、体調の変化を注意深く観察し、腹痛やお腹の張りがいつもより強くならないか、便が硬くなっていないかなどを確認します。問題がなければ、少しずつ量を増やしていくようにしましょう。

体調が優れない時や、胃腸の調子が悪い時(下痢、腹痛など)は、摂取を控える判断も大切です。

よくある質問

オオバコを摂取すると必ず腸閉塞になりますか?

そのようなことはありません。オオバコ腸閉塞は、オオバコの摂取方法が不適切であった場合(水分不足、過剰摂取)や、元々腸閉塞のリスクが高い方(腹部手術歴など)に起こる可能性のある合併症の一つです。

十分な水分と共に、適切な量を摂取していれば、リスクは大幅に低減できます。多くの方は安全に利用していますが、リスクがあること自体は知っておく必要があります。

症状が改善した後、オオバコの摂取を再開してもよいですか?

オオバコ腸閉塞の治療後は、腸がまだ敏感な状態であり、癒着などが生じている可能性もあります。自己判断で摂取を再開するのは非常に危険です。

必ず治療を受けた医師に相談し、腸の状態を評価してもらった上で、許可を得てからにしてください。再開が許可された場合でも、ごく少量から、通常以上に水分補給を徹底し、慎重に始める必要があります。

オオバコ以外にも同様のリスクがある食品はありますか?

オオバコと同様に水分を吸収して膨らむ性質を持つグルコマンナン(こんにゃくの主成分)のサプリメント、乾燥した海藻類(わかめ、昆布など)、乾燥した豆類、キノコ類、切り干し大根などはリスクがあります。

このような食品を水分で十分に戻さずに大量に摂取した場合にも、同様の食物繊維性腸閉塞(フィトベゾアール)を起こす可能性があります。

子供や高齢者が摂取しても安全ですか?

子供や高齢者の方は、特に注意が必要です。高齢者は、腸の蠕動運動が弱っていることが多く、オオバコの塊を送り出す力が弱まっている可能性があります。

また、嚥下(飲み込み)機能が低下している場合も多く、オオバコが喉や食道に詰まって窒息するリスクも高まります。子供も消化管が未熟です。

子供や高齢者の方が摂取する場合は、安全性が確立されているわけではないため、推奨されません。

以上

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この記事を書いた人

Dr.中村文保のアバター Dr.中村文保 医療法人社団心匡会 理事長

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医

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