多くの方が経験する“胃の不調”の背後には、実はさまざまな病気が潜んでいて、その中で特に注意を要するのが胃がんです。
日本では大腸がんや肺がんなど他のがんと比較しても罹患率が高い部位のひとつであり、胃の粘膜にできたがん細胞が深くまで進行すると治療や回復に大きく影響を及ぼします。
初期症状がはっきりしない場合もあり、日常的な不快感や食欲不振を見過ごしてしまう方も少なくありません。
この記事では、胃がんの原因や進行度、特徴的な症状や検査、そして治療や予防について詳しく解説し、早期発見・早期治療の重要性を理解していただくことを目指します。
胃がんとは何か
胃がんとは、食道と十二指腸の間にある臓器である胃の内側、すなわち粘膜からがん細胞が発生する病気です。
がんは異常な細胞増殖の結果として生じますが、胃がんの場合、多くがヘリコバクター・ピロリ菌感染や塩分の多い食べ物の摂取などの要因と関連があると考えられています。
胃がんは日本でも多くの方が罹患しており、消化器系のがんの中でも非常に重要な疾患です。
胃の役割と構造
胃は、食道を通ってきた食べ物を一時的に蓄え、胃液と混ぜ合わせて粘膜上で消化を行う器官です。胃の構造は大きく4つの層に分けられ、内側から、
- 粘膜
- 粘膜下層
- 筋層
- 漿膜
という順番で構成されていています。がん細胞は粘膜から発生し、進行とともに粘膜下層や筋層、漿膜へと広がっていきます。粘膜が炎症を起こした状態が長引くとがん細胞が発生するリスクが高くなり、結果的に胃がんにつながる場合があります。
胃が担う主な役割
役割 | 内容 |
---|---|
食物の一時保管 | 食道から送られる食べ物を蓄え、少しずつ十二指腸へ送る |
消化 | 胃酸・消化酵素を分泌してタンパク質を分解する |
殺菌 | 胃酸によって口から入る細菌などをある程度抑制 |
食べ物を滑らかにする | 胃液と混ぜて消化しやすい形状に整える |
胃がんの発生メカニズム
胃がんが発生する理由は単一ではありませんが、主な要因としては次のようなことが挙げられます。
- ピロリ菌による慢性的な胃の炎症
- 塩分過多や加工肉などの食べ物の影響
- 喫煙習慣
- 遺伝的要因
要因が複合的に絡み合うことで粘膜に異常細胞が生じ、がんへと進行しやすくなります。
他の消化器系がんとの比較
消化器系には、胃のほかにも食道や大腸、膵臓や肝臓などの臓器が含まれ、いずれもがんが発生することがあります。
日本では、胃がんは大腸がんと並んで発生数が多く、男女ともに罹患率が高い病気です。
近年では検診の普及によって死亡率はやや減少傾向にありますが、依然として注意すべきがんで、早期発見のためには内視鏡検査やがん検診の積極的な受診が大切になります。
自覚症状が出にくい理由
胃がんは、初期段階では自覚症状が現れにくい特徴があります。胃という臓器は、ある程度のダメージや軽い不調であれば、痛みなどを強く感じないまま機能を保つケースがあるからです。
そのため、多少の食欲不振やおなかの張り、みぞおち周辺の不快感では受診を先延ばしにしてしまうことも少なくありません。
特に症状があっても「ただの胃もたれ」「胃炎かもしれない」と考え様子を見てしまう方もいます。こうした状況を避けるためにも、定期的な検診を受けることが重要です。
胃がんの主な症状
この章では、胃がんの症状に焦点を当てます。早期に治療を開始するためには、どのような兆候に注意する必要があるかを理解しておくことが大切です。
胃がんに特徴的な初期症状
胃がんの初期症状は非常にわかりにくいです。
胃がんを疑うきっかけになる症状
- おなかの上部(みぞおち辺り)の軽い痛みや違和感
- 食欲不振や吐き気が続く
- すぐにお腹がいっぱいになり、食事量が減る
- 体重が急に落ちる
ただし、これらは胃がん以外の病気や単なる体調不良でも起こり得る症状で本人が判断しにくい部分があります。疑わしいと感じた場合には、できるだけ早く病院(内科や消化器科など)で検査を行ってください。
進行した胃がんで現れやすい症状
胃がんが粘膜下層や筋層、さらには漿膜を越えて周囲へ広がる進行期には、以下のような症状が出る可能性が高くなります。
- 強いみぞおちの痛み
- 黒色便や血便のような出血症状
- 吐血
- ひどい吐き気や嘔吐
- 極端な食欲減退
こうした症状は、粘膜の出血や潰瘍化、腸への通過障害などによって起こり、また、胃の出口(幽門)付近にできたがんが大きくなると食べ物の通過が妨げられ、さらに強い症状を伴う場合があります。
胃がんの症状
症状の分類 | 具体例 | 痛みのレベル |
---|---|---|
初期症状 | 食欲不振、軽い胃痛、吐き気、早期満腹感、体重減少など | 弱い~中程度 |
進行時の症状 | 黒色便・血便、強い胃痛、吐血、嘔吐など | 中程度~強い |
末期症状(高度進行) | 腹膜への転移による強い痛み、嚥下困難、極度の体力低下、腹水の貯留など | 強い、全身状態の悪化が大 |
胃がん以外の病気との鑑別
みぞおちやおなかの痛みは、大腸がんや胃潰瘍、膵臓疾患などでも起こり得、外科的治療を要する病気もあれば、内科的な治療でコントロールできる病気もあるため、自己判断で決めつけるのは危険です。
早い段階で医療機関に相談して、適切な診断を受ける必要があります。
症状と検診の受け方
少しでも長引く症状があれば、できるだけ早く内視鏡検査を中心とした精密検査を受けることが推奨されています。
胃がん検診は地域の医療機関や病院、診療所などで受けられることが多く、受診の際は痛みや違和感の状況をしっかり伝えることが大切です。
自身の症状を客観的に把握するためにも、どのタイミングで痛みがあるのか、どのくらいの期間持続しているのかをメモしておくとよいでしょう。
胃がんの原因とリスク因子
胃がんを引き起こす原因は単一ではなく、複数のリスク因子が関係し、ここでは代表的なリスク因子や、最近の研究でわかってきたことを解説します。
ピロリ菌感染
胃がん発生に深く関わる要因の1つにピロリ菌の感染があり、ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜が持続的に刺激され、炎症や潰瘍を起こしやすくなります。
長期にわたる慢性胃炎が積み重なると、粘膜組織が正常な修復を繰り返せない状態になり、異常な細胞(がん細胞)が発生しやすくなるとされています。
食事と生活習慣
塩分の多い食べ物や加工食品、喫煙・過度の飲酒なども胃がんリスクを高くするといわれており、中でも塩分の過剰摂取は、粘膜への刺激を強める要因です。
近年は多くの方が外食や加工食品を利用する機会が増えていますが、塩分や添加物を取りすぎると胃の負担が大きくなり、がん発生率が上昇するとの指摘があります。
胃がん発生に関わる主なリスク要因
- ピロリ菌感染
- 塩分の多い食生活
- 喫煙
- 加工肉の過剰摂取
- 高齢(50代以上で増加傾向)
- 遺伝的素因
これらのリスクをいくつか同時に抱えていると胃がんの可能性が高くなるため、意識して改善できる点があれば少しずつ変えていくことが大切です。
遺伝の影響
家族に胃がんの患者が多い場合、ある種の遺伝的傾向があるかもしれません。
遺伝そのものが直接的にがんを引き起こすとは限りませんが、細胞の修復機能などに関わる遺伝子異常を持っているケースもあり、こうした背景を持つ場合、早い段階から検診を受け始めるとより安心です。
胃の内側の炎症・潰瘍との関係
慢性的な胃炎が続くと、粘膜の修復過程で細胞が異常増殖しやすくなると考えられています。人によっては自覚症状が少なく、痛みが少なくても粘膜が炎症を起こしているケースがあるため、予防的な検査を受ける意義は大きいです。
胃潰瘍が直接胃がんになるわけではないですが、共通のリスク因子(特にピロリ菌)が存在すること、胃潰瘍と胃がんが内視鏡所見、病理所見ともに区別しづらいことより、胃潰瘍があった方は胃カメラでのフォローを含めた十分な経過観察が必要です。
その他の因子
胃がんは女性よりも男性に多いといわれますが、食生活の変化などにより女性の罹患数も増える傾向があります。また、社会全体の高齢化に伴い、胃がんに限らずさまざまながんの罹患率が高まってきました。
胃がんの進行度と特徴
胃がんの治療方針や患者さんの予後は、がんの進行度(ステージ)によって大きく異なります。
ステージ分類の基準
胃がんの進行度は、がん細胞がどこまで胃壁を侵食しているか(深達度)、リンパ節への転移があるか、遠隔臓器(肝臓や腹膜など)への転移があるかによって分類されます。
胃がんの進行度
ステージ | 主な特徴 |
---|---|
ステージI(早期) | がん細胞が粘膜・粘膜下層にとどまり、リンパ節転移もごく限られている |
ステージII | 筋層や漿膜付近までがんが侵入し始め、リンパ節転移もある程度認められる |
ステージIII | がんが胃壁の漿膜を超える、または複数のリンパ節に転移が広がっている |
ステージIV(末期) | 他の臓器(肝臓や肺など)へ転移、腹膜播種などがみられ、手術が難しい場合が多い |
ステージIやIIの段階であれば、手術や内視鏡的切除などで根治を見込める可能性が高まり、ステージIII以降では、治療の選択肢が限られたり、長期的な化学療法との併用を検討したりすることも多いです。
転移の仕組み
胃がんが進行すると、以下の転移経路が考えられます。
- リンパ節転移:リンパ液の流れに乗ってリンパ節へ広がる
- 血行性転移:血液を介して肝臓など離れた臓器へ飛ぶ
- 腹膜播種:胃壁を突き破ったがん細胞が腹腔内に散らばる
とくに腹膜への転移は患者さんの予後に大きく影響し、強い痛みや腹水などの症状が出る原因になるので、遠隔転移を防ぐためにも、早期発見と早期治療が重要です。
早期と進行期の違い
早期胃がんの場合、粘膜か粘膜下層までしかがんが達していないため、内視鏡治療で切除が可能なケースも多く見られます。一方、筋層や漿膜までがんが到達していると、外科手術で胃の一部や全体を切除することが必要です。
再発リスクとフォローアップ
胃がんは手術後や化学療法後も再発の可能性がゼロではなく、特にリンパ節転移や血行性転移のリスクが高かったケースでは、定期的な内視鏡検査や血液検査が欠かせません。
再発を早期に発見できれば、追加の治療でがんの進行を抑えることが期待できます。
診断の流れと検査方法
胃がんを疑われた場合、具体的にどのような検査が行われるのでしょうか。ここでは代表的な診断手順と、検査方法について紹介します。
問診と視診
医療機関を受診するとまず問診を行い、症状の有無、出血や吐き気の頻度、どのくらいの期間続いているかなどを詳しくヒアリングし、必要に応じて外科や内科、消化器内科などと連携しながら診療方針を決めます。
また、触診や視診で腹部の状態や不快感がある部位を確認していきます。
内視鏡検査(胃カメラ)
胃がんの精密検査において最も重要といわれるのが内視鏡検査(胃カメラ)で細長い管状のカメラを口(または鼻)から挿入し、胃の内側を直接観察します。
がんが疑われる部位があれば、組織を一部採取して顕微鏡で調べる生検を行うことで、がん細胞の有無や分化型・未分化型などの特徴を確認することが可能です。
内視鏡検査で観察できる主な項目
- 粘膜の色調
- 表面の盛り上がりやくぼみ
- 出血や潰瘍の有無
- 病変部位の広がり
- 噴門や幽門など胃の入り口・出口付近の状態
内視鏡検査によって初期段階のわずかな病変を見つけられる可能性が高く、特に早期発見には欠かせない検査方法です。
画像診断(X線検査、CT検査など)
バリウムを使う胃のX線検査は、がん検診でも広く実施されていて、また、CT検査やMRI検査を行うことで、がんの進行度やリンパ節転移の有無、他の臓器への広がりをある程度把握できます。
これらの画像診断は、内視鏡では確認しづらい範囲のがんを推測する上で有用です。
代表的な画像診断
検査名 | 特徴 | 主な目的 |
---|---|---|
X線検査 | バリウムを飲んで胃の形状を映し出す | 大きな潰瘍や変形、輪郭の乱れを確認 |
CT検査 | X線の断層画像を合成して断面的にがんの広がりを把握 | リンパ節や他臓器への転移を推測 |
MRI検査 | 磁気を利用して体内の断面像を捉える | 組織の性質をより詳しく確認 |
PET検査 | がん細胞の糖代謝活性を利用し、病変部の有無を画像化 | 転移巣の検索や再発検出に使用 |
血液検査
腫瘍マーカー(CEAやCA19-9など)が高くなっていないかどうかを調べるため、血液検査を行うことがありますが、腫瘍マーカーだけで確定診断はできません。
あくまで補助的な情報として、画像診断や内視鏡検査の結果と合わせて総合的に判断します。
診断後の方針決定
検査結果を総合し、胃がんかどうかを診断したうえで進行度を判断し、その後、患者さんの年齢や全身状態を考慮しながら外科手術、内視鏡での切除、化学療法の開始などの治療方針を決めます。
治療の種類
胃がんの治療は、内視鏡治療から外科手術、化学療法、放射線治療までさまざまです。患者さんの病状やステージに応じて治療法を選択し、組み合わせることもあります。
内視鏡治療
ステージIやごく限られた範囲にとどまる早期胃がんでは、内視鏡を使ってがんを切除する方法があります。
- 内視鏡的粘膜切除法(EMR)
- 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
これらの方法は筋層よりも浅い部分にとどまるがんに対して行われ、胃の機能を温存できる利点があり、入院期間も比較的短く、高齢の患者や合併症を持つ患者にとって負担が少ない治療です。
内視鏡治療のメリット
メリット | 内容 |
---|---|
胃の温存 | 全摘出ではなく病変部のみを狙い切除するため、食事の質を保ちやすい |
身体的負担が少ない | 大がかりな外科的手術よりも侵襲が少なく、回復が早い |
入院期間の短縮 | 症例によっては入院日数が少なく、社会復帰もしやすい |
QOL(生活の質)の維持 | 術後の消化機能が比較的保たれ、体力の低下も最小限に抑えやすい |
外科手術
がんが筋層や漿膜まで進行した場合やリンパ節に転移がある場合には、外科手術が中心です。
胃の一部を切除する「部分切除」から、胃を大きく切除する「胃全摘出」まで、その範囲は病変の広がりによって異なり、外科手術では、同時にリンパ節を切除して転移のリスクを抑えます。
化学療法(抗がん剤治療)
進行胃がんで手術が難しい場合や、術後の再発リスクを下げるために化学療法を行うことがあり、抗がん剤を単独で用いることもあれば、放射線治療や免疫療法と組み合わせることもあります。
近年は分子標的薬などの新たな剤も用いられ、患者さんの状態に合わせた治療が模索されています。
放射線治療
胃がんに対しては、単独で放射線治療を行うことは多くありませんが、痛みの軽減や出血コントロールなどの緩和的な目的で用いられる場合があり、また、一部の進行がんで化学療法と併用するケースもあります。
治療選択の流れ
治療法の選択は、がんのステージや患者さんの全身状態、意思などを総合的に検討して決めます。
必ずしも手術がベストというわけではなく、内視鏡治療や化学療法、緩和ケアを組み合わせることでQOLを維持しながら長期生存を目指すことが可能な時代になっています。
治療選択時に検討される要素
- がんの深達度・転移の状況
- 患者さんの年齢や基礎疾患
- 化学療法への耐性
- 社会的背景(仕事や家族構成など)
- 患者さんの希望
医師や看護師だけでなく、時に栄養士やソーシャルワーカーなども参加する多職種チームで治療方針を検討することも多いです。いずれにせよ、患者さん自身が十分に納得した上で治療に進むことが望ましいです。
予防と定期検診の大切さ
胃がんは進行すると治療の選択肢が限られますが、早期の段階で発見できれば内視鏡治療も含めて治癒が見込める可能性が高まるので、重要なのが予防と定期的な検診です。
ピロリ菌除菌
ピロリ菌感染が確認された場合には、除菌治療を検討します。除菌によって胃の粘膜炎症を軽減し、発がんリスクを下げることが期待できます。
食事や生活習慣の見直し
塩分を控えめにし、野菜や果物を多く摂取することで胃への負担を軽減できます。また、禁煙は胃がんをはじめとする多くのがんのリスク低減に役立ちます。
過度なアルコールは胃壁への刺激となって細胞にダメージを与える原因になるので、飲酒量も適量を守ることが大切です。
胃に優しい食生活のヒント
食生活のポイント | 意識したい工夫 |
---|---|
塩分控えめ | 漬物や加工肉の量を減らし、味付けは出汁や薬味を活用して薄味に |
新鮮な食品を選ぶ | 新鮮な野菜や果物を積極的に摂る |
加工食品を減らす | レトルトやインスタント食品などには塩分や添加物が多い場合があり、過剰摂取を避ける |
適度な飲酒 | 飲むペースや量をコントロールし、胃に強い負担をかけない |
定期検診・がん検診のメリット
胃がん検診にはX線検査や内視鏡検査があります。内視鏡検査(胃カメラ)は直接観察ができるため、小さながんも発見しやすいのが利点です。
40歳以上になると胃がんの発生率が高くなる傾向があるため、多くの自治体や病院でがん検診を受けるよう呼びかけています。会社や地域のがん検診を活用し、定期的に受けると安心感も高まります。
早い段階で受診する大切さ
自覚症状がなくても、年齢や家族歴などによるリスクを考慮して受診する姿勢が重要です。
人によっては「忙しい」「痛みがないから行かない」などの理由で検診を後回しにしがちですが、早期発見によって救われる可能性が大きいのが胃がんの特徴でもあります。
日常生活で意識したいこと
治療中や治療後に限らず、日常生活で意識できることはいくつもあります。再発予防や健康維持のために気をつけるべきポイントを見ていきましょう。
ストレス管理
ストレスは胃酸の分泌を乱し、胃粘膜に悪影響を与えることがあり、適度な運動や趣味の時間を設けるなど、ストレスをため込まない工夫を意識するとよいでしょう。
睡眠不足は免疫力低下につながり、感染症リスクも高くなるため、生活リズムを整えることが大切です。
規則正しい食事と十分な休養
食事の時間帯が不規則だったり、夜遅くに大量に食べたりすると胃への負担が増すので、できるだけ1日3回、決まった時間にバランスの取れた食事を摂るようにしてください。
食後すぐの激しい運動も避け、休憩をしっかりとることで消化を助けられます。
再発予防や健康維持に役立つ行動
- 規則正しい生活リズムを保つ
- 毎日の喫煙本数を減らす、もしくは禁煙を目指す
- アルコール量を見直す
- 野菜や果物の摂取を意識し、塩分を控える
- ストレスを上手に解消する方法を見つける
運動習慣の取り入れ方
適度な運動は消化器系の動きをスムーズにし、血流も改善するため、がんの予防や再発予防に良い影響を与えると考えられています。
ウォーキングや軽いジョギング、ヨガやストレッチなど、自分の体力に合わせた運動を継続して行うとよいでしょう。
定期的なフォローアップ
胃がんの治療が一段落しても、再発や転移を早期に見つけるために医療機関での定期検査が必要です。
外科手術後の方は、手術部位の状態だけでなく、リンパ節や他の臓器への転移がないかどうかを確認し、医師や看護師との相談を密に行い、不安なことがあればこまめに伝えます。
まとめ
胃がんは日本で多くの患者sさんが発生している消化器系がんの一種であり、粘膜や粘膜下層に生じたがん細胞が筋層、漿膜と深く広がっていくにつれて治療や予後にも大きな影響を与えます。
初期段階では症状がほとんどわからないこともあり、痛みや不快感、食欲不振といったサインを見逃して進行してしまうケースも珍しくありません。
その一方で、内視鏡検査を中心とした早期発見が可能な時代でもあります。
定期的な検診を受けることや、日々の生活習慣(塩分の摂りすぎや喫煙など)を見直すことで、胃がんのリスクを下げたり、早期に治療を受けたりするチャンスが得られます。
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