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大腸内視鏡検査でポリープが見つかる確率と対策

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けるにあたり、多くの方が最も強く抱く不安は「自分の腸内にポリープがある確率はどのくらいなのか」、そして「もしポリープが見つかった場合、それは癌(がん)なのか」という点に集約されます。

しかし、発見されるポリープのすべてが癌化するわけではなく、良性のまま生涯を終えるものや、癌化のリスクが極めて低いものも多く含まれています。

本記事では、年代別や性別による詳細な発見確率のデータ、ポリープの大きさや種類による癌化リスクの違い、そして検査の精度を高めるための工夫や日常生活で実践できる予防策について、詳細に解説します。

目次

大腸内視鏡検査における年代別および性別のポリープ発見確率

大腸ポリープの発生確率は、年齢と性別によって大きく変動します。一般的に、人間の体は加齢とともに細胞の遺伝子修復能力が低下していくため、年齢が上がれば上がるほどポリープが見つかる確率は確実に上昇する傾向にあります。

年代・性別によるポリープ発見率の目安

年代男性の発見率目安女性の発見率目安
30代以下約15パーセントから20パーセント約10パーセントから15パーセント
40代約35パーセントから45パーセント約25パーセントから30パーセント
50代約45パーセントから55パーセント約35パーセントから40パーセント
60代以上約60パーセント以上約45パーセントから50パーセント

加齢がポリープ発生率に与える影響と背景

年齢を重ねるごとにポリープができやすくなる背景には、細胞レベルでの老化現象が深く関与しています。

40代、50代と年齢を重ねるにつれて、修復機能が徐々に低下していき、修復されなかった遺伝子の傷が蓄積されると、細胞は死滅することなく異常な増殖を始め、やがて隆起した病変、すなわちポリープを形成します。

特に50代以降では、半世紀にわたる食事や生活習慣による外部からの刺激が蓄積されているため、2人に1人以上という高い確率でポリープが見つかります。

男性にポリープが多く見つかる生活習慣的要因

統計データを見ると、ほとんどの年代において男性の方が女性よりもポリープの発見率が高いことが分かり、性差を生み出す主な要因として、内臓脂肪の蓄積、アルコール摂取量、喫煙習慣、食生活の偏りが挙げられます。

特に男性に多い、内臓脂肪型肥満の脂肪細胞からは、アディポサイトカインと呼ばれる生理活性物質が分泌され、内臓脂肪が増えすぎると、炎症を起こす悪玉のアディポサイトカインが増加します。

慢性的な炎症状態が大腸粘膜の細胞に悪影響を及ぼし、ポリープの発生や成長を促進させるリスクとなります。

また、食生活においても、男性は女性に比べて赤肉(牛肉・豚肉)や加工肉(ハム・ソーセージ)、ラーメンなどの高脂肪・高カロリー食を好む傾向があり、野菜の摂取量が不足しがちです。

ポリープの種類とそれぞれの癌化リスクの確率

内視鏡検査で見つかるポリープは、大きく分けて「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」の2種類に分類されます。この分類は、将来的にそのポリープが癌になる可能性があるかどうかの分かれ道となります。

ポリープの分類と特徴および癌化リスク

ポリープの種類主な特徴癌化リスク
腺腫(アデノーマ)最も一般的なタイプ・細胞増殖が活発高い(サイズ増大と共に上昇)
過形成性ポリープ直腸やS状結腸に多い・白っぽく平坦低い(一部の種類を除く)
鋸歯状病変(SSL)過形成性に似ているが右側結腸に多い中程度(近年注目されている)
炎症性ポリープ腸炎などの炎症治癒後に形成される極めて低い

腺腫が癌へと進行するアデノーマ・カルチノ-マ・シークエンス

大腸癌の発生経路として、現在最も広く支持されている理論が「アデノーマ・カルチノ-マ・シークエンス(腺腫-癌連関)」です。

正常な大腸粘膜から直接癌が発生するのではなく、まずは良性の腺腫が発生し、その腺腫が数年から十数年という長い時間をかけて徐々に大きくなり、遺伝子変異を蓄積させることで、最終的に癌へと性質を変えていくという考え方です。

この理論が示唆する最も重要な事実は、腺腫の段階で切除してしまえば、大腸癌にはならないということで、大腸内視鏡検査で見つかった腺腫を切除することは、単なる治療ではなく、将来の大腸癌発生を未然に防ぐ最強の予防策となります。

近年注目される鋸歯状病変(SSL)のリスク

かつては、ポリープと言えば腺腫だけを注意していれば良いと考えられていました。

しかし近年の研究で、従来は過形成性ポリープとして放置されていた良性のポリープの中に、癌化のリスクを持つ特殊なタイプが含まれていることが分かってきました。これを「鋸歯状病変(SSL:sessile serrated lesion)」と呼びます。

SSLは、通常の腺腫とは異なる遺伝子変異(BRAF変異など)を経て癌化することが知られており、一般的な腺腫よりも急速に癌へと進行するケースがあるため警戒が必要です。SSLの厄介な点は、見た目にあります。

平坦でべったりとしており、色も周囲の粘膜とほとんど変わらない淡い色をしていることが多いため、通常の内視鏡観察では非常に見つけにくいのです。

特に大腸の奥側(右側結腸)にできることが多いため、医師は盲腸や上行結腸を観察する際、粘膜表面に付着した粘液を丁寧に洗い流し、わずかな変化も見逃さないよう細心の注意を払っています。

非腫瘍性ポリープに対する考え方と対応

炎症性ポリープや若年性ポリープ、そして直腸などに多発する小さな過形成性ポリープなどの非腫瘍性ポリープは、腫瘍ではないため、基本的に癌化することは稀です。

これらのポリープが見つかった場合、サイズが小さく症状がなければ、無理に切除する必要はなく経過観察となることが一般的です。

しかし、絶対に安心かと言えば例外もあり、炎症性ポリープが多発している場合、背景に潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患が隠れている可能性があります。

また、過形成性ポリープであってもサイズが10ミリメートルを超えてくるような大きなものは、混合型ポリープといって腺腫の成分を含んでいる可能性があるため、切除の対象となることがあります。

ポリープの大きさと癌が含まれている確率の関係

ポリープのサイズは、その中に癌細胞が含まれている確率を予測する上で、最も分かりやすく、かつ信頼性の高い指標です。細胞分裂を繰り返してサイズが大きくなればなるほど、遺伝子の異常が積み重なり、悪性度が増していく傾向にあります。

ポリープサイズ別の癌含有確率

ポリープの直径癌が含まれる確率の目安推奨される対応
5mm以下1パーセント未満経過観察またはその場で切除
6mmから9mm約3パーセントから5パーセント原則として切除推奨
10mmから19mm約10パーセントから20パーセント必ず切除(日帰りまたは入院)
20mm以上20パーセントから30パーセント以上入院での内視鏡治療や手術の検討

5ミリメートル以下の微小ポリープの取り扱い

5ミリメートル以下のポリープは微小ポリープ(Diminutive polyp)と呼ばれ、現時点で癌が含まれている確率は1パーセント未満と極めて低いです。

欧米のガイドラインでは「切除せずに放置しても癌による死亡リスクは上がらない」として、経過観察や、切除しても病理検査に出さないという運用がなされることもあります。

しかし日本の医療現場では、クリーンコロン(ポリープが一つもない状態)を目指すことが、大腸癌予防に最も効果的であるという考え方が主流です。

たとえ今は良性であっても、数年後に大きくなって癌化するリスクをゼロにするために、発見時にその場で切除してしまう施設が多いです。

表面が平坦であったり、中央が凹んでいたりする形状のものは、小さくても悪性度が高い(陥凹型癌など)場合があるため、サイズだけで判断せず、医師の眼による詳細な観察を経て、切除するかどうかが決定されます。

10ミリメートルを超えるポリープのリスク管理

ポリープの直径が1センチメートル(10ミリメートル)を超えると、医学的な扱いは一気に慎重になります。

このサイズになると、ポリープの一部ですでに癌化が始まっている可能性(癌の併存率)が数パーセントから10パーセント以上に跳ね上がるからです。

また、1センチを超えるポリープは自然に消滅することはなく、放置すれば確実に増大していきます。

さらに、2センチ(20ミリメートル)を超えると、癌が含まれている確率はさらに高まり、場合によっては癌が粘膜の表面だけでなく、より深い層(粘膜下層)まで浸潤している可能性が出てきます。

こうなると、単に内視鏡で表面を切り取るだけでは治療として不十分になるリスクがあります。

大きなポリープが見つかった場合は、より精密な拡大内視鏡検査を行って癌の深さを診断し、入院設備のある病院で、粘膜下層剥離術(ESD)などの高度な内視鏡治療や、外科手術が必要です。

ポリープ発生確率を高める危険因子と生活習慣

ポリープができる確率は、親から受け継いだ遺伝的要因と、長年の生活の中で積み重ねてきた環境的要因(生活習慣)が複雑に絡み合って決定されます。

主な危険因子とその影響度

危険因子メカニズムと影響改善の方向性
赤肉・加工肉の過剰摂取ヘム鉄や添加物が粘膜を刺激し発癌を促進鶏肉や魚、大豆製品への置き換え
過度なアルコール摂取代謝産物アセトアルデヒドの発癌作用休肝日の設定と1日1合程度の適量
喫煙発癌物質が血液を通じて大腸粘膜に到達禁煙外来の利用と完全禁煙
肥満(BMI25以上)炎症性サイトカインの分泌増加体重管理と有酸素運動の習慣化

食生活と腸内環境の密接な関係

日本の食卓が欧米化し、肉類や乳製品の摂取量が増えたことと並行して、大腸ポリープや大腸癌の発生率は上昇の一途をたどっています。

特にリスクが高いとされるのが、牛・豚・羊などの赤肉と、ハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工肉です。

このような食品に含まれるヘム鉄や、加工肉に使用される亜硝酸ナトリウムなどの保存料は、消化の過程で発癌性物質(ニトロソ化合物など)の生成に関与すると考えられています。

また、脂肪分の多い食事を摂ると、消化吸収を助けるために肝臓から大量の胆汁酸が分泌され、胆汁酸が大腸に達し、腸内細菌によって分解されると二次胆汁酸という物質に変化します。

二次胆汁酸には強い細胞毒性があり、大腸の粘膜細胞を直接傷つけ、細胞分裂のエラーを起こしやすくします。

対して、食物繊維(野菜、海藻、きのこ類)は、便の量を増やしてこれらの有害物質の濃度を薄め、便通を良くして腸内に留まる時間を短くする働きがあります。

遺伝的要因と家族歴の重要性

生活習慣だけでなく、遺伝的な体質もポリープの発生確率に大きく関与します。もし、ご両親やご兄弟の中に大腸癌や大腸ポリープの治療を受けた方がいる場合、遺伝的にポリープができやすい体質を持っている可能性が高いです。

さらに、特定の遺伝子に生まれつき変異があることで、若くして大腸に無数のポリープができる家族性大腸腺腫症(FAP)や、大腸癌をはじめとする様々な癌ができやすいリンチ症候群といった遺伝性腫瘍もあります。

全大腸癌の数パーセント程度ですが、家族歴がある方は一般的な検診年齢(40歳)を待たずに、20代や30代といった早い段階から専門医に相談し、内視鏡検査を受けることが推奨されます。

糖尿病などの代謝性疾患との関連

糖尿病や脂質異常症(高コレステロール血症など)といった代謝性疾患をお持ちの方は、そうでない方と比較して大腸ポリープや大腸癌のリスクが高いことが、多くの疫学調査で明らかになっています。

糖尿病における高血糖状態や、それを補うためにインスリンが大量に分泌される高インスリン血症は、大腸の発癌リスクを高めます。

インスリンには血糖値を下げる働きのほかに、細胞の増殖を促す作用(インスリン様成長因子の活性化)があるため、大腸粘膜の細胞増殖を過剰に刺激してしまうのです。

また、内臓脂肪型肥満を伴うメタボリックシンドロームの状態では、脂肪組織から分泌される炎症性物質が全身に慢性的な炎症を起こし、発癌の土壌となります。

糖尿病や肥満の治療を行い、血糖値や体重を適正にコントロールすることは、心筋梗塞や脳卒中の予防だけでなく、大腸ポリープの発生確率を下げるという点でも極めて重要です。

検査の精度とポリープ見逃しの確率を減らす工夫

大腸内視鏡検査は、現時点で大腸の中を直接観察できる最も精度の高い検査法ですが、残念ながら100パーセント完璧な検査ではありません。

見逃しを防ぐための要素と対策

要素課題となる点具体的な対策
腸管洗浄度便が残っていると病変が見えない前処置薬の確実な服用と前日からの食事制限
観察時間短時間の観察では死角を見落とす抜去時間(観察時間)を6分以上確保する
観察技術平坦な病変は通常光では見えにくい特殊光(NBIなど)や色素散布、拡大観察の活用

腸管洗浄度が発見率に与える決定的影響

検査の精度を左右する最大の要因は、医師の腕よりも、腸がいかにきれいになっているか、にかかっています。

検査前に下剤(腸管洗浄液)を飲んで腸の中を空っぽにする処置を前処置と呼びますが、もし腸内に便が残っていると、便の下にポリープが隠れてしまい、発見することは物理的に不可能です。

特に5ミリメートル以下の平坦なポリープは、わずかな便のカスがついているだけで容易に見えなくなってしまいます。

質の高い検査を受けるためには、検査前日からの食事制限が不可欠です。

繊維質の多い野菜(ゴボウ、ニラなど)や種のある果物(キウイ、イチゴなど)、消化の悪い海藻類などは避け、素うどんやお粥、豆腐などの消化の良い食事を心がける必要があります。

そして当日は、指示された量の下剤をしっかりと飲み切り、排便が透明な水のような状態になるまで出し切ることが求められます。

辛いからと下剤を残したり、水分摂取を怠ったりすると、検査の精度が落ち、見逃しのリスクをご自身で高めてしまうことになります。

ヒダの裏側や屈曲部へのアプローチ

大腸には無数のヒダがあり、S状結腸や肝湾曲部、脾湾曲部といった急カーブがあります。

医師は内視鏡を一番奥の盲腸まで挿入した後、カメラを抜きながら観察を行い、ヒダをめくるように内視鏡の先端を細かく動かしたり、透明なフードを先端に装着して物理的にヒダを押し広げたりしながら観察します。

また、腸管内の空気を一度抜いて腸を縮めたり、逆に入れて広げたりすることで、隠れている病変を露出させるテクニックも駆使します。

さらに、直腸などの観察しにくい場所では、内視鏡をUターンさせて後ろを振り返るような操作(反転操作)を行うこともあります。

観察には一定の時間が必要であり、あまりにも短時間で終了する検査では、見逃しのリスクが高まる可能性があります。

特殊光観察技術による微小病変の発見

近年の内視鏡技術の進歩により、人間の目だけでは判別しにくい病変を見つけるための高度な技術が普及しています。

その代表が、NBI(Narrow Band Imaging)やBLI(Blue Laser Imaging)、LCI(Linked Color Imaging)といった特殊光観察技術です。

特定の波長の光を粘膜に当てることで、癌やポリープに特有の血管の集まりや、表面構造の微妙な変化を色調の違いとして強調表示します。

通常の白色光観察では周囲の粘膜と同じような色に見えてしまう平坦なポリープも、特殊光モードに切り替えることで、茶色や緑色に浮かび上がって見えるようになります。

医師は検査中、手元のボタンで頻繁に通常光と特殊光を切り替えながら観察を行い、わずかな異常も見逃さないように努めています。

また、発見したポリープに色素(インジゴカルミンなど)を撒いて凹凸を強調させ、その形状から良性か悪性かを瞬時に判断する技術も日常的に行われています。

ポリープが見つかった場合の具体的な対策と治療

万が一、検査中にポリープが見つかった場合、どのような処置が行われるのでしょうか。ここでは、代表的な切除方法と、切除後の注意点について詳しく解説します。

主な内視鏡的切除方法

術式名称方法と特徴適応となる病変
ポリペクトミースネア(金属の輪)をかけて高周波電流で焼き切る茎のあるポリープや大きめの病変
EMR(内視鏡的粘膜切除術)粘膜下に生理食塩水を注入し、浮かせてから焼き切る平坦なポリープや10mm以上の病変
コールドポリペクトミー通電せずにスネアで物理的に締め付けて切除する10mm未満の良性ポリープ(現在の主流)

コールドポリペクトミーの普及とメリット

現在、10ミリメートル未満の小さなポリープに対して主流となっている治療法がコールドポリペクトミー(Cold Snare Polypectomy:CSP)で、金属の輪(スネア)をポリープにかけて、電気を流さずに物理的な力で切除する方法です。

従来のホットポリペクトミーは電気で焼き切るため、切除と同時に止血ができるメリットがありましたが、熱が腸の深い部分まで伝わってしまい、術後に腸に穴が開いたり、数日後にカサブタが剥がれて出血するリスクがわずかながらありました。

コールドポリペクトミーは熱を使わないため、深部へのダメージが全くなく、穿孔のリスクはほぼゼロに近いとされています。

また、術後の出血リスクも非常に低いため、血液サラサラの薬(抗血栓薬)を服用している患者さんでも、休薬することなく安全に治療できるケースが増えています。

病理組織学的検査による最終診断

切除したポリープは、そのまま捨ててしまうのではなく、すべて回収して病理組織学的検査に回されます。

検査によって、切除したポリープが完全に良性の腺腫だったのか、一部に癌が含まれていたのか、あるいは過形成性ポリープだったのかが最終的に確定します。

また、非常に重要なのが断端(だんたん)の評価で、切り取った断面に病変が残っていないかを確認し、完全に取り切れているか(治癒切除)を判定します。通常、検査結果が出るまで2週間程度です。

病理結果は、今後のご自身の発癌リスクを知るためのもので、結果を聞きに行く際は、必ず次回の検査をいつ受けるべきかを確認してください。

切除後の生活制限と合併症対策

ポリープを切除した後は、見た目は普段通りでも、腸の中には小さな傷ができている状態のため、傷口が開いて出血するのを防ぐために、切除後1週間程度は生活上の制限が必要です。

腹圧のかかる激しい運動(ゴルフ、テニス、ジムでの筋トレなど)、長時間の入浴やサウナ、海外旅行などの遠出は避けましょう。

また、アルコールは血流を良くして出血を助長するため、傷が治るまでは禁酒が求められ、食事については、刺激の強い香辛料や、消化の悪い繊維質の強いものは避け、お腹に優しいメニューを選ぶことが推奨されます。

稀に、切除後数日から1週間以内に血便が出ることがあります(後出血)。多くの場合は自然に止まりますが、大量に出血する場合や腹痛を伴う場合は、直ちに内視鏡検査を受けた医療機関に連絡してください。

将来的なリスクを下げるための予防とフォローアップ

ポリープを一度切除しても、もう二度とできないというわけではなく、ポリープができやすい体質や生活環境が変わらない限り、別の場所に新たなポリープができる可能性(異時性再発)があります。

再発率を下げ、早期発見を維持するためには、定期的な検査と生活習慣の見直しを並行して行うことが不可欠です。

食事療法における推奨食材と習慣

  • 食物繊維の積極的な摂取: 玄米、オートミール、ごぼう、ブロッコリーなどの不溶性食物繊維と、海藻、果物などの水溶性食物繊維をバランスよく摂る。
  • 抗酸化作用のある食品: ビタミンC、E、ポリフェノールを含む緑黄色野菜や果物を意識して食べる。
  • 発酵食品の活用: ヨーグルト、納豆、味噌、キムチなどで腸内環境を整える。
  • オメガ3脂肪酸: 炎症を抑える効果のある青魚(サバ、イワシ、サンマ)やアマニ油を摂取する。

定期的なサーベイランス(定期検査)の重要性

ポリープを切除した後、次の検査をいつ受けるべきかは、非常に重要な問題です。日本や米国のガイドラインでは、見つかったポリープの数、大きさ、組織型(悪性度の高さ)に応じて、次回の推奨検査間隔が細かく定められています。

10ミリメートル以上の大きな腺腫や、高度異型腺腫が見つかった場合、あるいは3個以上の腺腫が見つかった場合は高リスク群とされ、切除後3年以内(多くは1年後)の再検査が推奨されます。

小さな腺腫が1、2個であれば低リスク群とされ、3年から5年後の検査でも良いとされています。自己判断で先延ばしにしたり、過剰に受けたりするのではなく、担当医が提示する個別のリスクに基づいたスケジュールを守ることが大切です。

運動習慣によるリスク低減効果

運動不足は大腸癌の確実なリスク因子の一つです。適度な運動習慣を持つことは、ポリープや大腸癌の予防に直結します。

体を動かすことで腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になり、便の通過時間が短縮され、便に含まれる発癌物質が腸の粘膜に接触している時間を物理的に減らすことができます。

さらに、運動によって内臓脂肪が燃焼されると、慢性的な炎症が治まり、インスリン抵抗性が改善され、細胞の異常増殖を促すインスリンやIGF-1といったホルモンの過剰分泌が抑えられ、ポリープができにくい体内環境が作られます。

激しいスポーツである必要はなく、1日30分程度のウォーキングや、エレベーターを使わずに階段を使うといった日常的な活動量の増加(METsの向上)でも十分な効果が期待でき、継続することが何より大切です。

腸内フローラの改善とプロバイオティクス

腸内には、約100兆個もの細菌が住み着いており、バランス(腸内フローラ)がポリープの発生に関与していることが近年の研究で明らかになってきました。

善玉菌の一種である酪酸産生菌(らくさんさんせいきん)などが作り出す短鎖脂肪酸には、腸の粘膜細胞のエネルギー源となり、炎症を抑え、癌細胞の増殖を抑制する働きがあります。

高脂肪食やストレスで悪玉菌が増えると、防御機能が弱まってしまいます。

予防のためには、プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌などの生きた菌)を含む食品と、プレバイオティクス(菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維)を組み合わせて摂取するシンバイオティクスの考え方を取り入れることが有効です。

腸内環境を整えることは、お通じを良くするだけでなく、大腸の細胞を守るバリア機能を高めることにつながります。

大腸内視鏡検査とポリープに関する質疑応答

検査中に痛みを感じることはありますか?

鎮静剤を使用することで、ほとんど眠っているような状態で、苦痛や不安を感じることなく検査を受けることが可能です。

腸の形状や過去の手術による癒着などで個人差はありますが、無理にカメラを押し込むのではなく、腸をたたみながら進める挿入法や、二酸化炭素ガスを用いたお腹の張らない送気システムなど、負担を軽減する技術があります。

ポリープ切除にはどのくらいの時間がかかりますか?

ポリープの大きさや個数によりますが、小さなものであれば発見から切除まで1個あたり数分程度で完了します。検査全体を含めても、ポリープ切除を含めて20分から30分程度で終了することが一般的です。

ただし、10個以上のポリープがある場合や、サイズが大きく慎重な操作が必要な場合は、より長い時間が必要になります。

生理中でも大腸内視鏡検査を受けることはできますか?

生理中であっても検査を受けることに医学的な問題は全くありません。検査自体は肛門から行われるため、経血が検査の妨げになることはありません。

検査着やベッドも汚れないよう配慮されており、生理用品を使用したまま検査着に着替えていただくことも可能です。

ポリープを切除した場合、当日の食事はどうすればよいですか?

切除当日は、腸に負担をかけない食事が鉄則です。朝・昼は絶食またはゼリー飲料などで済ませ、夕食は白粥、素うどん、具のない味噌汁、豆腐など、消化が良く脂質の少ないものを摂取してください。

揚げ物、脂っこい肉料理、繊維質の多い野菜(ごぼう、きのこ)、乳製品、刺激物(唐辛子など)、アルコールは厳禁で水分は水やお茶、スポーツドリンクなどで十分に補給することが大切です。

以上

参考文献

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この記事を書いた人

Dr.中村文保のアバター Dr.中村文保 医療法人社団心匡会 理事長

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医

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