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健診で脂肪肝・肝機能異常|次にすべき検査と受診目安

健診で脂肪肝・肝機能異常|次にすべき検査と受診目安

「健診で脂肪肝って言われたけど、どうすればいいの?」「追加で検査が必要?CTを受けるべき?」
そんな疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。

健診結果に「脂肪肝」や「肝機能異常」と書かれていると、何か大きな病気が隠れているのではと不安になるものです。しかし、脂肪肝は早期に気づき、適切に対応すれば改善が見込める状態でもあります。

この記事では、健診で脂肪肝を指摘された方が「次に何をすべきか」を中心に、追加検査の種類や受診の目安、CTが必要になるケースについて解説します。

目次

健診で「脂肪肝」と言われたら、まず結果票を確認

健診で「脂肪肝の疑い」と指摘されたら、まず手元の結果票を確認しましょう。特に注目したいのは以下の3つの数値です。

確認すべき肝機能の数値

AST(GOT)とALT(GPT)は、肝細胞が傷ついたときに血液中に漏れ出す酵素です(なお、ASTは筋肉などにも存在するため、ALTの方が肝臓への特異性が高いとされます)。日本肝臓学会の「奈良宣言」(2023年)では、男性はALTが30、女性はALTが20を超えた場合にかかりつけ医への相談が推奨されています。

γ-GTP(ガンマジーティーピー)は、特にアルコールや薬剤による肝障害で上昇しやすい項目です。お酒を飲む習慣がある方で高値の場合は、アルコール性の影響も考慮する必要があります。

【重要】 数値が「基準値内」でも安心とは限りません。脂肪肝は画像検査(エコー)で初めて分かることも多く、採血だけでは見逃されるケースもあります。

よくある相談パターン① 「AST・ALTは正常範囲だったのに、エコーで脂肪肝と言われました。数値が正常なら大丈夫ですか?」という相談は多くあります。実際、脂肪肝があっても採血が正常範囲内というケースは珍しくありません。だからこそ、画像検査と採血の両方で評価することが大切です。

脂肪肝の精密検査①:まず行うのは採血とエコー

Alt属性(日本語):腹部超音波検査(エコー)で脂肪肝を評価している様子

健診で脂肪肝を指摘された場合、医療機関で行う精密検査は大きく分けて「採血」と「腹部超音波検査(エコー)」の2つが中心になります。

追加の採血検査で調べること

健診の項目に加えて、以下のような検査を追加で行うことが一般的です。

肝炎ウイルス検査として、B型肝炎(HBs抗原)とC型肝炎(HCV抗体)の有無を確認します。ウイルス性肝炎が原因で肝機能異常が起きている可能性を除外するためです。

詳細な肝機能検査では、アルブミン(肝臓で作られるタンパク質)や血小板数、ビリルビンなども調べ、肝臓の「働き具合」を総合的に評価します。

糖・脂質代謝の検査も重要です。脂肪肝は糖尿病や脂質異常症と密接に関係しているため、空腹時血糖やHbA1c、中性脂肪、LDLコレステロールなどを確認することで、生活習慣病のリスクも把握できます。

腹部超音波検査(エコー)の役割

腹部エコーは、脂肪肝の診断において最も基本的かつ有用な画像検査です(NAFLD/NASH診療ガイドライン2020で推奨)。

エコーでは、肝臓が腎臓と比べて「白っぽく」見える(肝腎コントラストの増強)ことで脂肪沈着を評価します。放射線被ばくがなく、痛みもないため、繰り返し検査しやすいという利点があります。

また、エコーでは脂肪肝の評価だけでなく、肝臓に腫瘍やのう胞がないか、胆のうに石がないかなども同時に確認できます。

よくある相談パターン② 「エコー検査は初めてで不安です」という方もいらっしゃいます。お腹にゼリーを塗ってプローブ(探触子)を当てるだけで、検査時間は10〜15分程度。特別な準備も少なく、身体への負担が小さい検査です。

FIB-4 indexで「肝線維化リスク」をチェック

FIB-4 indexの計算式と線維化リスク判定基準を示す図

脂肪肝で特に注意が必要なのは、肝臓の「線維化」(肝臓が硬くなる変化)が進んでいないかどうかです。線維化が進行すると、将来的に肝硬変や肝がんのリスクが高まる可能性があります。

FIB-4 indexとは

FIB-4 index(フィブフォー・インデックス)は、通常の採血検査の項目から肝臓の線維化のリスクを推定できる計算式です。日本肝臓学会でも活用が推奨されており、年齢・AST・ALT・血小板数の4項目から算出します。

なお、肝臓の「硬さ」を直接測定するにはエラストグラフィ(フィブロスキャンなど)が用いられます。FIB-4はあくまでスクリーニング(ふるい分け)目的のスコアである点にご注意ください。

判定の目安

  • 1.3未満:線維化のリスクは低いと考えられる
  • 1.3〜2.67:中間リスク(さらなる検査が望ましい)
  • 2.67以上:線維化が進行している可能性があり、専門医への相談が推奨

【重要】 FIB-4 indexはあくまでスクリーニングツールであり、この数値だけで診断が確定するわけではありません。中間値以上の場合は、エコーやエラストグラフィ(肝臓の硬さを測る検査)など、追加の評価を医師と相談することが大切です。

なお、高齢の方(65歳以上など)では年齢の影響で数値が高めに出る傾向があり、低リスクの閾値を2.0に引き上げて運用する場合もあります。結果の解釈は医師にご相談ください。

CT検査が検討されるのはどんなとき?

脂肪肝の精密検査でCT検査が必要になるケースを示すフローチャート

「脂肪肝と言われたらCTを受けるべき?」というご質問をいただくことがあります。結論から言えば、脂肪肝の評価そのものには、まずエコーが第一選択となることが一般的です。

CTが検討されるケース

CT検査は放射線を使用するため、必要性を慎重に判断します。脂肪肝の精密検査でCTが検討されるのは、主に以下のような場合です。

エコーで腫瘍や他の病変が疑われたとき、CTやMRIでより詳しく評価することがあります。肝臓にできものがあった場合、それが良性か悪性かを調べる目的で追加検査を行います。

肝硬変が疑われる場合も、肝臓の形態変化や脾臓の腫大、腹水の有無などを総合的に評価するためにCTが役立つことがあります。

エコーで十分な観察が難しいとき(体格や腸管ガスの影響など)にも、CTで補完的に評価することがあります。

CTの役割と限界

CTは脂肪肝の「程度」をある程度評価できますが(肝臓と脾臓のCT値比較など)、線維化の程度を評価する能力はエコーやエラストグラフィに劣ります。そのため、「脂肪肝だからCTが必須」というわけではなく、医師が状況に応じて判断します。

受診の目安:こんなときは早めに相談を

「様子を見ていいのか、すぐ受診すべきか」の判断に迷う方も多いでしょう。以下を目安にしてください。

早めの受診が推奨される場合

ALT(GPT)が基準を超えている方(男性30超、女性20超)は、肝臓に何らかの負担がかかっているサインです。特に持続的に高値の場合は、原因の精査が望まれます。

FIB-4 indexが1.3以上の方は、線維化のリスク評価のためにエラストグラフィなど追加検査を検討する価値があります。

糖尿病や肥満、脂質異常症を合併している方は、脂肪肝が進行しやすい背景があるため、定期的なフォローが特に重要です。

すぐに医療機関へ相談すべき症状

以下の症状がある場合は、脂肪肝の進行や他の肝疾患・胆道疾患の可能性を考え、早急に受診してください。

  • 皮膚や白目が黄色くなった(黄疸)
  • 強いだるさが続く
  • 右上腹部の痛みや違和感(胆道疾患との鑑別も必要)
  • むくみや腹部の張り(腹水の可能性)

【重要】 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり進行するまで症状が出にくいのが特徴です。症状がなくても、健診で異常を指摘されたら放置せず、一度は精密検査を受けることをおすすめします。

よくある相談パターン③ 「忙しくて受診を先延ばしにしています」という方は少なくありません。しかし、肝硬変まで進行してからでは改善が難しくなります。早期の段階であれば、生活習慣の見直しで改善が期待できるケースも多いです。

脂肪肝改善のための生活習慣ポイント

脂肪肝改善のための食事・運動・生活習慣のポイントを示すイラスト

脂肪肝の治療の基本は、生活習慣の改善です。多くのケースでは食事療法と運動療法が中心となります。

なお、線維化を伴うMASH(従来のNASH)に対しては、海外で薬剤が承認されるなど治療の選択肢が広がりつつあります。日本での適応・承認状況は今後変わる可能性があるため、薬物療法の必要性については医師にご相談ください。

体重管理の重要性

体重の7〜10%を減らすことで、肝臓の脂肪や炎症が改善するという報告があります。急激なダイエットではなく、3〜6か月かけて徐々に減量することが推奨されます。

食事のポイント

糖質(特に果糖を含む清涼飲料水や菓子類)の過剰摂取を控えることが重要です。バランスの良い食事を心がけ、野菜・たんぱく質を意識して摂りましょう。アルコールについては、脂肪肝の原因によらず控えめにすることが望ましいです。

運動の目安

有酸素運動(ウォーキング、軽いジョギング、水泳など)を週150〜300分程度行うことが推奨されています。まとまった時間が取れない場合は、1日30分程度を目安に、無理なく続けられる範囲で取り組みましょう。

まとめ

健診で脂肪肝を指摘されたら、まずは結果票でAST・ALT・γ-GTPなどの肝機能数値を確認しましょう。精密検査では採血と腹部エコーが基本となり、FIB-4 indexで線維化のリスクもチェックできます。CT検査は、腫瘍の疑いやエコーで評価が難しい場合に検討されます。

脂肪肝は早期であれば生活習慣の改善で進行を防げる可能性があります。「症状がないから大丈夫」と放置せず、指摘を受けたら一度は専門医に相談することをおすすめします。

肝機能の異常や脂肪肝が気になる方、精密検査をご希望の方は、お気軽にご相談ください。

金沢・野々市・白山市エリアで肝臓の精密検査をご希望の方は、金沢消化器内科・内視鏡クリニックにご相談ください。超音波検査やCT検査に対応しております。野々市中央院では石川県でも少ないフィブロスキャンでの脂肪肝精査を行うことができます。

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健診で脂肪肝と言われましたが、すぐに病院に行くべきですか?

症状がなくても、一度は精密検査を受けることをおすすめします。特にALTが基準を超えている場合(男性30、女性20)や、糖尿病・肥満がある方は早めの受診が望ましいです。消化器内科や肝臓内科で、採血とエコー検査を受けると安心です。

脂肪肝の精密検査は何科を受診すればいいですか?

消化器内科または肝臓内科が適しています。詳しい採血検査や腹部エコー、必要に応じてCT・MRI検査などを行い、脂肪肝の原因や進行度を評価します。かかりつけ医からの紹介でも、直接受診でも構いません。

脂肪肝でCT検査は必ず必要ですか?

必ずしも必要ではありません。脂肪肝の評価には、まずエコー検査が第一選択です。CTは、エコーで腫瘍が疑われた場合や、肝硬変の評価が必要な場合など、医師が必要と判断したときに行います。

FIB-4 indexが1.5でした。危険な状態ですか?

1.3〜2.67は「中間リスク」に該当し、線維化がある可能性を示唆します。ただし診断確定ではないため、エラストグラフィなど追加検査で詳しく評価することが推奨されます。医師に相談してみてください。

脂肪肝は自然に治りますか?

生活習慣の改善によって脂肪肝が軽減・改善するケースは多くあります。体重の7〜10%減量、食事改善、運動習慣で肝臓の脂肪が減ったという報告もあります。ただし個人差があるため、定期的な検査で経過を確認することが大切です。

脂肪肝を放置するとどうなりますか?

一部の脂肪肝は肝炎(MASH)に進行し、さらに放置すると肝硬変や肝がんのリスクが高まる可能性があります。症状がないからと放置せず、定期的な検査と生活改善を続けることが将来の肝臓の健康を守る鍵です。

お酒を飲まないのに脂肪肝と言われました。なぜですか?

アルコールを飲まなくても、過食・肥満・糖尿病・脂質異常症などが原因で脂肪肝になることがあります。これを「代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)」と呼びます(従来は「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれていましたが、2024年に国際的に名称が変更されました)。生活習慣の見直しが改善の第一歩です。

参考文献

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  2. 一般社団法人 日本肝臓学会.奈良宣言(NASH/NAFLDの早期発見・受診勧奨に関する提言).2023.
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    doi:10.2214/AJR.20.24415
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この記事を書いた人

Dr.中村文保のアバター Dr.中村文保 医療法人社団心匡会 理事長

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医

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