「健診の結果票に”尿潜血(+)”と書いてあるけど、これって大丈夫なのかな……」「要精査って書いてあるけど、何科に行けばいいの?」
尿潜血は健診で比較的よく指摘される所見のひとつですが、放置してよいものから、早めの精査が必要なものまで幅があります。この記事では、結果票の見方から、考えられる原因、受診すべき診療科、精密検査の流れまでをわかりやすく解説します。
「自分の場合はどうなのか」を判断するヒントになれば幸いです。なお、最終的な診断は医師の診察が必要ですので、気になる症状がある方は早めに医療機関へご相談ください。
健診で「尿潜血陽性」と言われたら―結果票の見方
健診結果票には、尿潜血の欄に「−(陰性)」「±(擬陽性)」「+〜+++」などの記号が記載されています。日本人間ドック学会の判定区分(2022年改訂)では、尿潜血(+)以上は「要精査」または「要再検査」に該当することが多いですが、具体的な判定は施設や検査項目の組み合わせによって異なります。
結果票でチェックすべきポイント
まず確認したいのは、尿潜血の程度(+の数)と、尿蛋白の有無です。日本人間ドック学会の判定区分では、尿蛋白(+)かつ尿潜血(+)の場合は尿蛋白の判定がD(要精密検査)に引き上げられると明記されており、糸球体疾患(腎臓の病気)の可能性を考慮した早めの受診が勧められます。
また、eGFR(推算糸球体濾過量)やクレアチニン値など、腎機能の項目も併せて確認しましょう。eGFRはクレアチニン値から推算される腎機能の指標で、これらに異常があれば腎臓内科への紹介が検討されることがあります。
【重要】 女性の場合、月経中や直後の採尿では血液が混入し、「偽陽性」となることがあります。原因が解消した後に再検査を行い、それでも陽性であれば精査を進めるのが一般的な流れです。
尿潜血の主な原因

尿潜血が陽性となる原因は多岐にわたります。血尿診断ガイドライン2023(日本腎臓学会・日本泌尿器科学会ほか編)では、大きく「糸球体性血尿」と「非糸球体性血尿」に分けて考えることが推奨されています。
糸球体性血尿(腎臓内科領域)
腎臓の糸球体(血液を濾過する部分)に問題がある場合です。IgA腎症、慢性糸球体腎炎などが代表的で、尿蛋白を伴うことが多いとされています。尿沈渣検査で変形赤血球(dysmorphic RBC)や赤血球円柱が認められると、糸球体性血尿が示唆されます。
非糸球体性血尿(泌尿器科領域)
腎臓から尿道までの「尿路」に原因がある場合です。尿路結石、膀胱炎、腎盂腎炎、そして尿路上皮がん(膀胱がん・腎盂がんなど)が含まれます。
一般的なケース
健診で偶然見つかる尿潜血の多くは、良性の原因(軽度の炎症、一過性の出血など)ですが、年齢、喫煙歴、肉眼的血尿(目で見て赤い尿)の既往などは尿路悪性腫瘍のリスク要因とされています。医師がこれらの情報をもとにリスク評価を行い、必要な検査を判断します。
何科を受診すべき?内科・泌尿器科・腎臓内科の役割
「何科に行けばいいの?」という疑問は、尿潜血で要精査となった方の多くが感じることです。
まずは内科・かかりつけ医へ
血尿診断ガイドライン2023では、一般内科医(かかりつけ医)がまず尿沈渣検査や採血を行い、糸球体性か非糸球体性かを判断したうえで、適切な専門科へ紹介する流れが示されています。
腎臓内科への紹介が勧められるケース
- 尿蛋白が同時に陽性
- 尿沈渣で変形赤血球や赤血球円柱を認める
- 腎機能(eGFR)の低下がある
- コーラ色・紅茶色の尿(糸球体性を示唆する所見のひとつ)
泌尿器科への紹介が勧められるケース
- 尿沈渣で均一な赤血球(非糸球体性血尿)
- 年齢、喫煙歴、肉眼的血尿の既往などリスク要因がある
- 結石を疑う症状(側腹部痛、血尿と痛みの同時出現)
- 排尿時痛、頻尿などの膀胱刺激症状
【よくある相談パターン】
「健診で尿潜血(+)と言われたけど、痛みもないし様子を見ていいですか?」というご相談は多くあります。症状がなくても、年齢や喫煙歴などのリスク要因がある方は、医師によるリスク評価を受け、必要に応じて精査を検討することが勧められます。
精密検査の流れ―尿・採血・画像検査
精密検査は、段階的に行われるのが一般的です。
ステップ1:尿沈渣検査
健診の尿検査は「試験紙法(dipstick法)」で、血液成分の有無をスクリーニングするものです。試験紙はヘモグロビンやミオグロビンにも反応するため、実際に赤血球が存在するかどうかは顕微鏡検査(尿沈渣)で確認します。赤血球の形態(変形の有無)を評価することで、糸球体性か非糸球体性かを判断する手がかりになります。
ステップ2:採血(腎機能・炎症マーカー)
クレアチニン、eGFR、尿酸などを測定し、腎機能を評価します。症状に応じてCRPなどの炎症マーカーを確認することもあります。
ステップ3:画像検査(超音波・CT)
腹部超音波検査は、腎臓や膀胱の形態、結石の有無を確認する基本的な検査です。より詳細な評価が必要な場合は、CTが行われます。非造影CTは結石の検出に優れており、尿路結石症診療ガイドライン第3版(2023年)でも急性期の画像診断として推奨されています。
ステップ4:専門的検査(必要に応じて)

泌尿器科領域では、リスク評価に基づき、尿細胞診(尿中のがん細胞を調べる)や膀胱鏡検査が行われることがあります。これらは泌尿器科専門医が実施します。
まとめ
健診で尿潜血を指摘された場合、まずは結果票で尿蛋白の有無や腎機能の値を確認しましょう。多くは良性の原因ですが、年齢、喫煙歴、肉眼的血尿の既往などのリスク要因がある方は、症状がなくても医師によるリスク評価を受けることが勧められます。
「何科を受診すればいいかわからない」という場合は、まず内科(かかりつけ医)を受診し、尿沈渣や採血の結果をもとに、必要に応じて腎臓内科や泌尿器科へ紹介してもらう流れが一般的です。
症状が続く場合、悪化する場合、不安が強い場合は、早めに医療機関へご相談ください。
当院(金沢消化器内科・内視鏡クリニック)では、尿潜血の初期評価として以下の検査に対応しています。
両院で対応可能な検査
- 尿検査
- 採血検査(腎機能・炎症マーカー等)
- 腹部超音波検査
- CT検査
※尿沈渣(顕微鏡検査)など、より詳細な検査が必要な場合は、検査機関への外注や専門医療機関へのご紹介で対応いたします。
▶ [当院のCT検査の詳細はこちら]
参考文献
- 血尿診断ガイドライン改訂委員会(日本腎臓学会・日本泌尿器科学会ほか). 血尿診断ガイドライン2023. ライフサイエンス出版; 2023.
- 日本泌尿器科学会/日本尿路結石症学会/日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会(編). 尿路結石症診療ガイドライン 第3版. 医学図書出版; 2023.
- CKD診療ガイドライン改訂委員会(日本腎臓学会). エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023. 東京医学社; 2023.
- Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) CKD Work Group. KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease. Kidney Int. 2024 Apr;105(4S):S117-S314. doi:10.1016/j.kint.2023.10.018
- 日本人間ドック・予防医療学会. 判定区分表(2022年4月1日改訂/会告).
- Barocas DA, Lotan Y, Matulewicz RS, et al. Updates to Microhematuria: AUA/SUFU Guideline (2025). J Urol. 2025 May;213(5):547-557. doi:10.1097/JU.0000000000004490
PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40013563/ - Barocas DA, Boorjian SA, Alvarez RD, et al. Microhematuria: AUA/SUFU Guideline. J Urol. 2020 Oct;204(4):778-786. doi:10.1097/JU.0000000000001297
PubMed: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32698717/
AUA(PDF): https://www.auanet.org/documents/Guidelines/PDF/Microhematuria-JU.pdf

