「血尿が出た」「背中が急に痛くなった」──こうした症状があるとき、病院ではCTやエコー(超音波検査)といった画像検査が行われることがあります。「どちらを受けるのだろう」「被ばくは大丈夫だろうか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、尿路結石や血尿の原因を調べる際に用いられるCT検査・エコー検査について、それぞれの得意分野、症状に応じた使い分け、検査時の注意点をわかりやすく解説します。検査を受ける前に知っておくと、少し安心して当日を迎えられるかもしれません。
CTとエコー、それぞれの特徴

尿路の画像検査として代表的なのがCT(コンピュータ断層撮影)とエコー(超音波検査)です。どちらも体の内部を画像化する点では同じですが、仕組みと得意分野が異なります。
CT検査は、X線を使って体を輪切り状に撮影し、コンピュータで画像を再構成します。尿路結石の診断においては感度約97%・特異度約95%と非常に高い精度を持ち、米国放射線学会(ACR)のガイドラインでも急性側腹部痛における標準的な画像検査として位置づけられています。結石の位置・大きさの把握に加え、虫垂炎など尿路以外の原因も同時に評価できる点が強みです。
エコー検査は、超音波を当ててその反射を画像化します。放射線を使わないため被ばくがなく、妊婦や小児にも安心して行えます。腎臓の腫れ(水腎症)の確認や、腎臓・膀胱近傍の評価に適しています。ただし、結石そのものの検出感度は24〜57%程度と報告されており、特に尿管の中間部分にある結石は見えにくいことがあります。
【ポイント】CTは結石の「位置・大きさ・全体像」を高精度で把握でき、エコーは「被ばくなく水腎症の有無を繰り返し確認」できるのが利点です。
症状別の検査選択の目安

症状によって、最初に行う検査は異なります。以下は一般的な目安です(実際の選択は医師が症状・年齢・リスクを総合的に判断します)。
激しい背部痛・側腹部痛(尿路結石が疑われる場合) 急性の激痛で尿路結石が強く疑われる成人では、低線量の単純CTが診断精度の高さから第一選択とされることが多いです(ACRガイドライン)。一方、小児や妊婦では被ばくを避けるため、まずエコーで水腎症の有無を確認し、必要に応じてCTやMRIを検討します(EAUガイドライン)。
血尿(肉眼的または顕微鏡的) 血尿の原因は結石だけでなく、腫瘍や感染症など多岐にわたります。リスク因子(年齢、喫煙歴など)に応じて検査を選択するのが一般的で、低リスクではエコーでスクリーニングを行い、高リスクや所見がある場合はCT尿路造影や膀胱鏡検査を追加することがあります。
発熱を伴う腰背部痛(腎盂腎炎が疑われる場合) 尿路感染症では、エコーで尿の通過障害(水腎症)の有無を確認します。抗菌薬治療で72時間以内に改善しない場合や膿瘍形成が疑われる場合は、造影CTで詳しく評価します(EAU感染症ガイドライン)。
被ばくなど検査の注意点

CT検査を受ける際に気になるのが放射線被ばくです。腹部CT1回あたりの被ばく量は約5〜10mSv程度とされています(検査条件により変動)。これは自然界から1年間に受ける放射線量(日本平均で約2.1mSv)の2〜5倍に相当しますが、健康被害が明確に実証されている100mSvには遠く及びません。
【重要】100mSv以下の被ばくでは、発がんリスクの増加を疫学的に検出することが難しく、不確実性が大きいとされています。検査で得られる診断情報のメリットは、通常、この不確実なリスクを大きく上回ると考えられています。
とはいえ、同じ情報がエコーで得られるなら、被ばくのないエコーを選ぶのは合理的です。特に妊婦や小児では、まずエコーで評価し、必要な場合のみ低線量CTを検討するのが一般的です。
また、CTで造影剤を使う場合は、腎機能(eGFR)の確認やアレルギー歴の確認が必要です。過去に造影剤で気分が悪くなったことがある方は、必ず事前にお伝えください。
検査当日の流れと準備
エコー検査
- 腎臓・膀胱のエコーでは、膀胱に尿がたまっている状態のほうが観察しやすいため、検査前に排尿を我慢していただくことがあります。
- お腹を出しやすい服装でお越しいただくとスムーズです。
- 所要時間は10〜15分程度です。
CT検査
- 造影CTを行う場合は、検査数時間前から絶食をお願いすることがあります(水分は透明なもののみ可)。尿路結石の非造影CTでは絶食不要の場合も多いです。
- 検査着に着替えていただき、ベッドに横になったまま撮影します。
- 撮影自体は数分で終わりますが、造影剤を使う場合は点滴の準備を含めて20〜30分程度かかることがあります。
よくある相談パターンとして、「健診で尿潜血を指摘されたが、痛みはない」というケースがあります。この場合、リスク因子に応じてエコーや尿検査でスクリーニングを行い、必要に応じてCTや膀胱鏡を追加するという流れが一般的です。
受診の目安
以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
すぐに受診を(緊急性が高い)
- 激しい背中・わき腹の痛みで動けない
- 高熱(38℃以上)と腰背部痛がある
- 尿がほとんど出ない
数日以内に受診を
- 血尿が続いている
- 排尿時の痛みや残尿感がある
まとめ
尿路の画像検査では、CTとエコーがそれぞれの強みを生かして使い分けられています。CTは結石の全体像を高精度で把握でき、エコーは被ばくなく繰り返し確認できるのが特徴です。症状や状況に応じて最適な検査を選ぶことで、より正確な診断につながります。
背中の痛みや血尿が続く場合、あるいは健診で異常を指摘された場合は、放置せず医療機関にご相談ください。
金沢・野々市・白山市エリアにお住まいの方で、尿路結石や血尿の検査をご希望の場合、当院(金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院・金沢駅前院)では超音波検査・CT検査に対応しております。症状や検査結果により、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や内視鏡治療などの専門的治療が必要と判断された場合は、泌尿器科専門医療機関への紹介についてご相談いただけます。
▶ [当院のCT検査の詳細はこちら]
- 尿路結石の検査はエコーだけで十分ですか?
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エコーは水腎症(腎臓の腫れ)の確認には有用ですが、結石そのものの検出感度は24〜57%程度と限界があります。激しい痛みがある場合や結石の正確な位置・大きさを知りたい場合は、CTが推奨されます。医師が症状に応じて判断します。
- CT検査の被ばくは体に悪影響がありますか?
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腹部CT1回の被ばく量は約5〜10mSv程度で、100mSv以下では発がんリスクの増加を疫学的に検出することが難しいとされています。検査で得られる診断情報のメリットのほうが通常は大きいと考えられています。ご不安な場合は担当医にご相談ください。
- 妊娠中でも検査は受けられますか?
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妊娠中は放射線を使わないエコー検査が基本です。CTは胎児への影響を考慮し、やむを得ない場合に限り低線量で行うことがあります。妊娠の可能性がある方は必ず事前にお申し出ください。
- 血尿があるのですが、どんな検査を受けますか?
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血尿の原因は結石、感染症、腫瘍など多岐にわたります。年齢や喫煙歴などのリスク因子に応じて、エコー・CT・膀胱鏡検査を組み合わせて総合的に診断します。
- 検査の前に食事制限は必要ですか?
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エコー検査では膀胱に尿をためておくようお願いすることがあります。造影CT検査では検査数時間前から絶食をお願いする場合があります。尿路結石の非造影CTでは絶食不要のことも多いです。事前に案内がありますのでご確認ください。
- 尿路結石の治療はクリニックでできますか?
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当院では画像検査による診断が可能です。結石の大きさや位置によっては自然排石が期待できることもありますが、体外衝撃波結石破砕術や内視鏡治療が必要な場合は、泌尿器科専門医療機関への紹介についてご相談いただけます。
参考文献
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