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大腸検査の時間はどのくらい? 内視鏡カメラの流れ

大腸検査の時間はどのくらい? 内視鏡カメラの流れ

大腸検査を受けたいけれど、どのくらいの時間を要するか分からず、通院や仕事などの予定調整で悩む方は多いです。

大腸内視鏡(カメラ)検査は腸の状態を詳しく観察できる反面、下剤の服用や準備などに時間がかかり、流れを把握しておかないと慌ただしい思いをする可能性があります。

ここでは、大腸検査当日や前日にかかる時間の目安、クリニックでの具体的な流れ、検査前後の過ごし方についてまとめています。

目次

大腸検査にかかる時間の全体像

初めて大腸内視鏡検査を受ける方や、過去に受けたものの時間配分に戸惑った経験をお持ちの方は多いでしょう。

ここでは、大腸検査にかかる時間を大まかに把握することを目指し、前日から当日までのスケジュールと所要時間の全体像を紹介します。

検査に必要な時間の要素

大腸検査では、腸をきれいにするための準備や下剤の服用、内視鏡カメラでの実際の観察、検査後の安静など、いくつかのステップに時間が必要です。

準備にかかる時間は自宅かクリニック内かによっても変化し、また検査の内容(鎮静剤の有無、ポリープ切除の可能性など)でも変わってきます。

大腸検査で想定される主な時間項目

項目所要時間の目安補足
前日の食事管理個人差あり消化にやさしいメニューで過ごす必要がある
下剤の服用と腸内洗浄2~5時間程度自宅orクリニックで行うかで時間が多少変動する
検査手技15~30分程度ポリープ切除や病変の有無で多少延びる可能性あり
検査後の休憩30~120分程度鎮静剤使用時は1~2時間ほど安静にすることが多い
会計・結果説明15~30分程度病理検査がある場合、結果は後日になることが多い

個人差のあるポイント

腸がきれいになるスピードは、便秘の有無や体質などに左右されるため、人によって腸管洗浄にかかる時間が大きく変わります。

また、検査中にポリープが見つかった場合は、その場で切除することがあり、検査時間や休憩時間が延長する可能性もあります。

検査後の予定調整

大腸内視鏡検査を受けた当日、体調によっては早めに日常生活に戻れるケースもあれば、1日ゆっくり休んだほうが安心なケースもあります。

特に鎮静剤を使う場合やポリープを切除した場合は、念のため余裕あるスケジュールを組んでおくとよいでしょう。

場合によっては再診や治療

検査結果で異常が見つかった場合、追加の治療や検査が必要になるかもしれません。病理検査に出した組織の結果が出るまで1~2週間ほどかかるケースがあるため、再度来院の時間が必要になります。

検査前日の準備と時間の目安

大腸検査の成功には、前日からの食事管理や下剤の使用が不可欠です。ここでは前日の食事と生活スタイルに関する時間の目安をまとめ、どのように余裕をもって行動するとよいかを紹介します。

消化にやさしい食事をとるタイミング

検査前日は、食物繊維の多い野菜や海藻、脂質の高い揚げ物などを控え、消化にやさしい食事にすることが推奨されていて、うどんやおかゆ、白身魚や豆腐を使った料理などが挙げられます。

夕食の時間は19~20時頃までに済ませると、翌朝までにある程度消化が進み、腸内がきれいになりやすいです。

前日の食事スケジュール例

食事タイミングおすすめメニュー例避けたい食材
朝食消化しやすいパン・具なしスープ生野菜、牛乳、脂質の多い食材
昼食うどん、そうめんなど肉類の脂身、キノコ類、海藻
夕食おかゆ、白身魚の煮物玄米、胚芽米、揚げ物、スパイシーな調味料

下剤の開始時間とコツ

下剤を飲む時間は、医師やクリニックの方針によって指定される場合があり、多くは、検査前日の夜に弱い下剤を飲み、検査当日の朝から本格的な腸管洗浄液を飲むケースが多いです。

下剤を飲み始めてから腸がきれいになるまで2~5時間かかるため、その間はトイレに行く回数が増え、他の作業に集中しにくいことを考慮してスケジュールを組んでください。

下剤を飲む際のポイントリスト

  • 説明書に従い、決められた量を一定のペースで飲む
  • トイレの近くにいる時間を確保する
  • 吐き気を感じたらいったん休止し、クリニックに相談する
  • 不安や体調の変化があれば無理をせず問い合わせる

水分補給と就寝時間

下剤を飲む期間は排便が頻回になり、体内の水分が失われやすいため、水やお茶などの水分をしっかり摂ることが大切です。アルコールやコーヒーなど、刺激の強い飲み物は控えてください。

就寝時間についても、腸内洗浄がひと段落したら早めに就寝し、翌朝に備えると疲れがたまりにくくなります。

事前の書類や持ち物の確認

検査当日に必要な保険証や問診票、同意書、検査前の注意事項など、事前にチェックしておきましょう。以下のような持ち物や確認事項をリストにすることで、当日の時間を無駄にせずスムーズに対応できます。

前日に確認しておきたい持ち物

  • 保険証、マイナンバーカード、診察券、各種医療証
  • お薬手帳、服用中の薬
  • 同意書や問診票(事前に記入を求められている場合)
  • タオルや着替え(万一の下剤漏れなどに備える)
  • スマートフォンや読書物(待ち時間対策)

当日検査前の流れと所要時間

大腸検査当日は、予約時間に合わせて自宅で下剤を飲むか、クリニックで下剤を飲み始めるかなど、医療機関ごとに異なる方法があります。

朝の起床と軽い準備

もし前日の夜から下剤を飲み始めていて十分に排便できていない場合は、早めに起床して残りの下剤を飲むことがあります。

朝食は通常取らず、水分だけOKというケースが多いため、空腹による体調不良を避けるためにも、経口補水液などで塩分と水分を補給してください。

朝の過ごし方

時間帯内容
起床~出発前下剤の残量があれば飲む、または検査前に禁止されていない薬を服用する
出発直前トイレを済ませる、忘れ物チェック
交通手段鎮静剤を使う場合は車の運転を避け、公共交通機関や送迎を依頼

クリニック到着から検査開始まで

クリニックに到着したら、受付や問診で最終的な体調チェックを受け、下剤を家で飲んできた場合は腸の状態を確認し、不十分ならクリニックで追加の下剤を飲むケースもあります。

問診や血圧測定などを行う時間は5~30分程度が目安です。

クリニック到着後の主な流れ

  • 受付で保険証や書類を提出
  • 問診や血圧、体温などの測定
  • 下剤の追加や内視鏡検査の準備説明
  • 着替えや検査室への移動

鎮静剤の説明と準備

検査中の痛みや不安を和らげるために、鎮静剤を使用するかどうかは重要なポイントで、使う場合は、検査後に1~2時間の安静が必要になるため、スケジュールに影響が出ます。

医師やスタッフが使用する薬の種類や副作用、検査後の注意点を詳しく説明してくれるので、不安や疑問があればこの時点で確認しましょう。

場合によっては内視鏡検査前に点滴

鎮静剤や腸の動きを抑制する薬を点滴で投与するケースもあります。点滴の準備や開始に10~15分程度かかる場合があるため、受付や問診時に点滴が必要かどうかを聞いておくと、時間を予測しやすいです。

内視鏡検査中にかかる時間

実際の大腸内視鏡検査は、腸内がきれいでスムーズにカメラを挿入できる場合、15~30分程度で終了することが多いですが、個人差やポリープ切除の有無によっては時間が変動します。

検査台に横になってからの流れ

検査室に移動し、検査用のベッドに横たわったら、肛門から内視鏡カメラを挿入し、大腸内部を観察し、空気や炭酸ガスを注入して腸を膨らませることで、粘膜の状態をわかりやすくします。

大腸内視鏡検査のステップと時間目安

ステップ時間目安ポイント
体位調整・準備5分程度鎮静剤を使用する場合は半覚半眠状態になることが多い
内視鏡挿入・観察10~20分程度腸の曲がり具合や個人差によって変わる
ポリープ切除・組織採取5~15分程度同時に切除可能だが、ポリープの大きさによっては時間延長
内視鏡抜去・後処理5分程度ガスを抜いたり、腸粘膜に問題がないか最終確認

ポリープ切除がある場合

検査中にポリープが見つかり、大きさや形状によってはその場で切除を行う場合があります。

切除に要する時間はポリープの数や大きさに左右され、小さいポリープなら数分で終了することもあれば、複数ある場合や大きいものを切除する際はさらに時間がかかることがあります。

切除後は止血や傷の状態をチェックするため、観察時間がやや長くなるケースもあるので注意が必要です。

痛みや違和感に対する対応

検査中に痛みや違和感を強く感じる場合は、医師やスタッフにすぐに伝えましょう。鎮静剤を追加したり、体位を変えたりするなどの対応が取られることがあります。

特に、炭酸ガスを注入している最中は腹部が張るような感覚がありますが、検査後にはガスを抜いていくので通常は軽減します。

モニタリングと安全管理

大腸検査中は、モニター画面を通じて医師が腸内の様子を観察しつつ、患者の血圧や心拍数、呼吸状態などをチェックすることが一般的です。

鎮静剤を使用している場合は呼吸抑制が起きる可能性があるため、酸素マスクや指先に着けるパルスオキシメーターで安全管理を行います。

検査後の安静と結果説明に要する時間

大腸検査が終了しても、すぐに帰宅できるとは限りません。鎮静剤を使用した場合やポリープを切除した場合など、安静が必要なケースがあります。

検査後のリカバリールームでの過ごし方

鎮静剤を使った方は、検査後にふらつきや眠気が残ることがあるため、リカバリールームやベッドで30~60分程度安静にします。

ポリープ切除を行った場合は、出血や腹痛の有無を確認するため、1~2時間ほど観察する場合もあるので、予定を入れすぎないことが大切です。

検査後の安静時間に注意したい事項

  • 自分で車やバイクを運転しての帰宅は避ける
  • 家族や知人に送迎を依頼するか、公共交通機関を利用する
  • 当日は激しい運動やアルコール摂取を控える
  • 切除を行った場合は医師の指示に従い、翌日以降の生活に気をつける

会計と結果説明

大腸検査が終わったら、会計や結果説明があります。検査中に採取した組織がある場合は、病理検査の結果が出るまで1~2週間ほどかかることが多く、後日に来院が必要となるケースもあります。

検査自体の結果説明は検査後に医師から直接行われ、腸粘膜に異常があった場合は画像を見ながら説明を受けることが一般的です。

結果説明で話し合う主な内容

項目説明の内容
見つかった異常の有無ポリープや炎症、潰瘍などの有無を確認
発見されたポリープ切除した場合はサイズ・形状、病理検査の必要性
今後の生活指導食事制限、運動、飲酒の有無など
再診のタイミング病理結果や追加検査が必要な場合の日程

ポリープ切除後の生活指導

ポリープを切除した際、出血防止のためにしばらくは激しい運動やアルコール、長時間の入浴などを制限するよう指示される場合があります。

止血のためにクリップを留置する場合がありますが、回収の必要はありません。切除後の傷が安定するまで1~2週間かかることもあるため、医師の注意事項を遵守してください。

検査当日の帰宅後の過ごし方

検査当日は、できれば無理をせず安静に過ごすほうが安心で、腹部に張りや残ったガスによる違和感が出ることもありますが、多くは数時間で落ち着きます。

水分補給を怠らず、様子を見ながら消化にやさしい食事を再開するとよいでしょう。

大腸検査の所要時間に影響する要因

同じ大腸検査でも、10分程度で終わる方もいれば1時間近くかかる方もいるなど、個人差が大きいです。

腸の形状や長さ

大腸は個人差があり、曲がりくねっている方や腸が長い方、おなかの手術や強い炎症の経験のある方は、カメラを挿入しにくい場合があります。腸がねじれ気味で挿入に苦戦すると、検査時間が延びることがあります。

便秘や残便

下剤をしっかり飲んでも便が残りやすい方は、再度下剤を飲む必要があるなど、検査開始が遅れる場合があります。慢性的な便秘の方は、検査1週間前から便通を整えるなど、追加の対応が必要です。

ポリープの数と大きさ

ポリープがたくさん見つかったり、大きいポリープを切除する場合は、その分だけ時間がかかります。止血措置やクリッピング(止血具を使用する処置)を行うこともあり、所要時間が長引く要因です。

鎮静剤の使用有無

鎮静剤を使うことで検査時の痛みや不安は軽減されますが、検査後に目が覚めるまでのリカバリー時間が必要です。

鎮静剤を使わない場合は検査後すぐに帰宅できることが多いですが、その代わり検査中に痛みや不快感を感じるリスクが高まります。

時間を有効に使うための工夫

大腸検査を受けるうえで、できるだけスムーズに進行させたいと考える方も多いはずです。無駄な待ち時間やトラブルを減らし、快適に検査を終えるためのアイデアを紹介します。

ウェブ予約や事前説明を活用

クリニックによってはウェブ予約システムやオンライン問診票の利用が可能な場合があるので、事前に予約を入れておけば、待ち時間の短縮につながります。

また、電話やメールなどで検査の流れや下剤の種類について質問しておくと、当日のバタつきを減らせるでしょう。

時間を節約するための工夫

  • ウェブや電話で事前予約を行う
  • 可能な範囲で自宅での下剤服用を選択
  • オンライン上で問診や必要書類の記入ができるか確認
  • 検査開始までの手順を事前に把握

自宅での下剤服用と院内服用の違い

自宅で下剤を飲んでから来院する在宅前処置の場合、クリニックでの滞在時間を短縮できる一方、万が一体調不良を起こした場合の対応が遅れるリスクがあります。

院内前処置の場合は安心ですが、腸管洗浄の時間分だけクリニックにいる必要があります。

在宅前処置と院内前処置の比較

項目在宅前処置院内前処置
時間の自由度自分のペースで下剤を飲めるスタッフの指導を受けながら進める
体調不良時の対応自分で判断して医療機関に連絡する必要すぐに看護師や医師に相談できる
クリニックでの滞在時間検査直前に行けばよい腸がきれいになるまで院内で待機
精度と安心感個人の飲み方次第で不十分な洗浄の可能性看護師が排便状況を確認して追加対応できる

早めの来院を心がける

検査当日の交通状況や体調不良など、予期せぬトラブルを考慮して、予約時間よりやや早めに到着するようにするのがおすすめです。

遅刻してしまうと他の患者さんの検査スケジュールにも影響が及び、結局待ち時間が増える場合があります。

検査後の予定はゆとりをもつ

検査自体が予定より早く終わっても、体調によっては安静時間が延びたり、意外に疲れが出たりすることがあります。

帰宅後に大事な会議や体力を使う行事が入っていると落ち着かないため、できれば休養の時間を確保するか、負担の少ない予定にとどめると安心です。

まとめ

大腸検査(大腸内視鏡)は、腸の状態を詳しくチェックして大腸がんやポリープなどを早期に発見できる有用な検査ですが、事前準備や下剤の服用などに時間がかかるという特性があります。

前日の食事制限や当日の腸管洗浄に2~5時間、検査自体は15~30分、鎮静剤使用時の安静やポリープ切除の有無によって検査後に1~2時間と、トータルでは3~6時間程度が一般的な目安です。

腸の状態や個人差によって時間は変動するため、できるだけ余裕を持ってスケジュールを組みましょう。

ウェブ予約や自宅での下剤服用などを活用することで、待ち時間のストレスを軽減し、よりスムーズに検査を受けられます。

ポリープなどの異常が見つかっても、その場で対処できる場合も多く、定期的な検査による早期発見が大切です。

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この記事を書いた人

Dr.中村文保のアバター Dr.中村文保 医療法人社団心匡会 理事長

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医

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