体のだるさや立ちくらみといった貧血症状と、頑固な便秘が同時に続く場合、それは単なる体調不良ではなく、消化管内で重大な病変が進行しているサインである可能性を否定できません。
特に大腸がんなどの悪性疾患は、出血による貧血と、腫瘍による通過障害としての便秘を同時に起こし、二つの症状が揃ったときに自己判断で放置することは非常に危険です。
この記事では、なぜその二つが同時に起こるのかという理由と、原因を特定し早期治療につなげるために医療機関で受けるべき検査について詳しく解説します。
貧血と便秘が同時に起こる原因とリスクの理解
貧血と便秘の併発は、消化管、特に大腸における通過障害と慢性的な出血が同時に発生している状態を強く示唆します。二つの症状が揃う場合、重大な疾患が潜んでいる可能性が高いため、早期の医療介入が必要です。
消化管出血と通過障害の関連性
貧血と便秘が同時に見られる場合、最も警戒しなければならないのは消化管のどこかで出血と通り道の狭窄(きょうさく)が同時に起きているという事実です。
大人の貧血の主な原因の一つに、消化管からの慢性的な出血が挙げられ、胃や腸に潰瘍や腫瘍ができると、そこから少しずつ出血し、本人が気づかないうちに貧血が進行します。
同時に便秘が起こるということは、腸管の中で便の流れを妨げる何かが発生していると考えられ、腫瘍が大きくなって腸の内腔を塞ぎ始めると、便がスムーズに通過できなくなり、便秘や便が細くなるという症状が現れます。
症状から考えられる主な疾患
| 疾患名 | 貧血の原因 | 便秘の原因 |
|---|---|---|
| 大腸がん | がん組織からの慢性的な出血 | 腫瘍による腸管の閉塞 |
| 大きな大腸ポリープ | ポリープ表面からの出血 | 大きなポリープによる通過障害 |
| 炎症性腸疾患 | 炎症部位からの出血 | 炎症による腸管の狭窄や機能低下 |
出血による貧血と、物理的な閉塞による便秘がセットで現れる状態は、病状がある程度進行しているサインとして捉えることが重要です。
大腸がんが引き起こす症状の特徴
大腸がんは、発生する場所によって症状の現れ方が異なり、特に、大腸の入り口に近い右側結腸にがんができた場合、初期には便秘になりにくいです。
しかし、がんからの出血が続くことで、ひどい貧血だけが先行して現れることがあります。この場合、便秘の症状が出る頃には腫瘍がかなり大きくなっていることが多いです。
反対に、肛門に近い左側結腸や直腸にがんができると、腸が狭いために早い段階で便秘や便通異常が起こり、硬い便が腫瘍の表面を擦ることで出血し、血便として目に見えることもあります。
貧血と便秘が同時にある場合、この左右どちらかの、あるいは両方の要素が絡み合っている危険性があります。単なる体質と片付けず、病気が隠れている前提で行動することが大切です。
見逃してはいけない身体からの警告
体は様々なサインを送っていて、貧血による酸素不足は、全身の倦怠感や動悸、息切れとして現れ、これは心臓が酸素不足を補おうと過剰に働くためです。
便秘は、腸内に老廃物が長く留まることで腹部の張りや不快感、食欲不振を起こし、同時に起こることで、体力は著しく低下してしまいます。
「最近疲れやすくなった」「便秘薬が効かなくなった」といった変化を、加齢やストレスのせいにするのは避けてください。これらは体が発している重要な警告信号です。
特に40歳以上の方や、これまでに大腸の検査を受けたことがない方は、リスクが高いので、警告を無視せず、検査を受ける選択をすることが、将来の健康を守るために重要です。
医療機関受診前のセルフチェックポイント
受診前に自身の便の状態や体調変化を詳細に確認することは、医師への正確な情報伝達を助け、検査の選択につながります。特に便の色や形状、体重の変化は重要な診断の手がかりです。
便の色と形状の観察
トイレでの観察は、最も簡単で重要なセルフチェックです。便の色が黒っぽい場合、胃や十二指腸などの上部消化管、あるいは右側結腸からの出血を示唆している可能性があります。
血液が胃酸や腸内細菌の影響を受けて黒く変色するためで、タール便と呼ばれるこの状態は、緊急性が高いサインです。
鮮やかな赤い血が混じっている、あるいは便の表面に血が付着している場合は、S状結腸や直腸、肛門付近からの出血が疑われます。
また、便が以前よりも細くなっている場合、腸の内腔が腫瘍などで狭くなっている可能性があり、ウサギの糞のようなコロコロとした便が続くのも、腸の動きが悪くなっている証拠です。
変化を記録し、受診時に医師へ伝えることが診断の助けになります。
注意すべき自覚症状
- 階段を上るだけで息切れがする
- 以前より顔色が悪いと指摘される
- 腹部にしこりのような硬さを感じる
- 便秘と下痢を繰り返している
- 食欲がなく体重が減少している
全身症状と体重変化の確認
貧血が進行すると、爪が白くなったり、スプーン状に反り返ったりすることがあり、また、まぶたの裏側が白っぽくなるのも貧血の特徴的なサインです。鏡を見て、以前の自分の顔色と比較してみてください。
体重の変化も重要で、ダイエットをしていないにもかかわらず、数ヶ月で体重が数キロ減っている場合は、悪性腫瘍による消耗や、腸の吸収障害が疑われます。
便秘でお腹が張っているのに体重が減るというのは、矛盾した危険な状態です。全身症状は、局所的な腸の問題だけでなく、全身に影響が及んでいることを示しています。
既往歴と家族歴の整理
自身の過去の病気や、家族の病歴も重要な情報です。過去に胃潰瘍や大腸ポリープを指摘されたことがある方は、再発や新たな病変のリスクがあります。
また、血縁者に大腸がんや胃がんを患った方がいる場合、遺伝的な要因でがんになりやすい体質を持っている可能性があります。
女性の場合、婦人科系の疾患による過多月経が貧血の原因であることも多いですが、それと便秘が重なる場合は、複数の疾患が併存している可能性も考慮する必要があります。
自己判断で原因を一つに絞り込まず、全ての可能性を医師に伝える準備をすることが大切です。
問診と血液検査によるスクリーニング
血液検査は体内の鉄分量や腫瘍マーカーの数値を客観的に評価し、貧血の種類や重症度、さらにはがんの可能性を推測するための最初の重要なステップです。数値異常は、目に見えない体内での異変を捉えます。
詳細な問診の重要性
診察室に入ると、医師はまず詳細な問診を行い、「いつから便秘なのか」「貧血の症状はどのような時に感じるか」「便の色に変化はあるか」などを詳しく聞かれます。
これは単なる会話ではなく、どの検査を優先して行うべきかを決定するための診断行為の一部です。腹部の触診も行い、お腹を触ることで、しこりの有無、ガスの溜まり具合、肝臓の腫れなどを確認します。
また、直腸診といって、医師が肛門から指を入れて直腸内のしこりや出血の有無を確認することもあります。これは直腸がんを発見するために非常に有効な手段ですので、安心して検査を受けてください。
血液検査の主な項目と目的
| 検査項目 | 何がわかるか | 異常値の意味 |
|---|---|---|
| ヘモグロビン(Hb) | 貧血の有無と重症度 | 数値が低いと貧血。重度の場合は輸血が必要なことも。 |
| MCV / MCH | 赤血球の大きさや濃さ | 小球性低色素性貧血なら鉄欠乏性を強く疑う。 |
| フェリチン | 貯蔵鉄の量 | 低値は体内の鉄が枯渇しており、慢性出血を示唆。 |
| 腫瘍マーカー(CEA/CA19-9) | がんの可能性 | 高値の場合、大腸がんや消化器がんの可能性を考慮。 |
鉄欠乏性貧血の鑑別
血液検査で特に注目するのがフェリチンの値です。フェリチンは体内に貯蔵されている鉄の量を反映します。
ヘモグロビンがやや低いくらいでも、フェリチンが極端に低い場合は、長期間にわたってじわじわと出血が続き、貯蔵鉄を使い果たしている状態であることを意味します。
消化管からの出血による貧血は、典型的な「鉄欠乏性貧血」のパターンをとり、赤血球が小さくなり、色が薄くなるのが特徴です。
このパターンが確認されれば、栄養不足よりも出血源を探す検査へと速やかに移行する必要があります。便秘とこのタイプの貧血が揃えば、大腸検査の必要性は極めて高いです。
腫瘍マーカーの位置づけ
CEAやCA19-9といった腫瘍マーカーも測定することがありますが、がんがあっても正常値を示すことがあり、逆にがんがなくても喫煙や炎症で上昇することもあり、腫瘍マーカーが正常だからといって安心はできません。
あくまで補助的な診断材料として捉えますが、極端に高い数値が出た場合は、進行がんがある可能性が高まります。血液検査は侵襲が少なく多くの情報が得られるため、必ず実施する基本検査です。
便潜血検査の役割と限界
便潜血検査は簡便で負担の少ないスクリーニング手法ですが、進行がんを見逃す偽陰性のリスクがあることを理解し、症状がある場合は陰性でも安心せずに精密検査へ進む判断が重要です。
免疫学的便潜血検査の仕組み
便潜血検査は、便に混じった微量な血液を検出する検査で、現在は免疫法という、ヒトのヘモグロビンだけに反応する方法が主流です。
食事で食べた肉の血液などには反応しないため、食事制限の必要がなく、手軽に行え、通常、2日分の便を採取する2日法が行われます。
大腸がんやポリープがあると、便が通過する際に擦れて出血することがあり、血液を検出することで、大腸の病変を拾い上げようとするのがこの検査の目的です。
便潜血検査の注意点
| 判定結果 | 解釈 | 推奨される行動 |
|---|---|---|
| 陽性(+) | 大腸内に出血源がある可能性が高い | 必ず大腸内視鏡検査を受ける |
| 陰性(-) | 出血が検出されなかった | 症状があるなら安心せず内視鏡を検討 |
| 1回だけ陽性 | 出血は断続的である可能性 | 「たまたま」と放置せず精密検査へ |
「陰性だから大丈夫」の落とし穴
便潜血検査で最も注意が必要なのは、「陰性=がんではない」とは言い切れない点です。早期がんや、出血をしていないタイミングの進行がんでは、検査結果が陰性になることがあります。
これを偽陰性と呼び、特に、貧血と便秘という明らかな自覚症状がある場合、便潜血検査の結果に頼りすぎるのは危険です。
便秘がある人は、硬い便が出る際に肛門が切れて出血し、それが陽性反応として出ることもありますが、「どうせ痔だろう」と自己判断して精密検査を受けないのは、がんを見逃す最大の原因になります。
陽性が出たら、それが痔によるものなのか、がんによるものなのかを確かめるために、必ず次のステップに進むことが必要です。
症状がある場合の選択基準
すでに貧血と便秘という症状が揃っている方に対しては、医師は便潜血検査を省略して、最初から大腸内視鏡検査を勧めることが多いです。
便潜血検査はあくまで、症状がない人の中から病気の可能性が高い人を拾い上げるための検査だからです。
症状がある時点ですでに体は異常を訴えているので、この段階で便潜血検査を行い、仮に陰性が出たとしても、症状の原因が解決したわけではありません。
遠回りをせず、確実な診断ができる検査を選ぶことが、早期発見・早期治療への近道です。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の確実性
大腸内視鏡検査は、腸内を直接観察することで病変の発見と同時に組織採取や治療まで行える唯一の検査法であり、貧血と便秘の原因を特定するための最も確実で信頼性の高い手段です。
直接観察による確定診断
大腸内視鏡検査は、肛門からカメラを挿入し、盲腸から直腸までの大腸全体を内側から直接観察する検査です。
この検査の最大の強みは、粘膜の色調変化や小さな凹凸など、微細な病変を医師の目で直接確認できる点にあり、影絵を見るようなレントゲン検査とは異なり、診断の精度が格段に高くなります。
貧血の原因となっている出血箇所や、便秘の原因となっている狭窄部位を特定することができます。
がんが疑われる場所があれば、その場で組織の一部を採取し、顕微鏡による病理検査にかけることで、良性か悪性かの確定診断をつけることが可能です。
大腸内視鏡検査の流れ
| 工程 | 内容 | 所要時間・特徴 |
|---|---|---|
| 前処置 | 下剤を服用し腸内をきれいにする | 数時間かけて腸を空っぽにする |
| 検査本番 | 肛門からスコープを挿入し観察 | 通常15分〜30分程度 |
| 治療・処置 | ポリープ切除や組織採取 | 必要に応じてその場で実施 |
苦痛を減らすための工夫
「大腸カメラは痛い、苦しい」というイメージをお持ちの方も多いですが、近年の内視鏡医療は大きく進歩しています。
鎮静剤を使用して眠っているような状態で検査を受けることが一般的になっており、苦痛や恐怖心をほとんど感じずに検査を終えることが可能です。
また、腸を膨らませるために使用する気体も、空気ではなく吸収の速い二酸化炭素を使用する施設が増えていて、検査後のお腹の張りや不快感が劇的に軽減されています。
熟練した専門医による操作と、これらの工夫により、かつてのような辛い検査ではありません。
その場での治療というメリット
大腸内視鏡検査のもう一つの大きなメリットは、検査中に見つかった前がん病変であるポリープを、その場で切除できることです。
大腸がんは、多くの場合ポリープが成長してがん化するので、ポリープの段階で切除してしまうことは、将来の大腸がんを予防することに直結します。
検査と治療を一度に済ませられるため、何度も通院する手間や身体的負担を減らすことができ、貧血と便秘の原因を調べると同時に、将来のリスクの芽を摘むことができる、非常に価値のある検査です。
胃内視鏡検査(胃カメラ)の必要性
貧血の原因が上部消化管にある可能性を排除するため、また大腸疾患との重複リスクを考慮し、胃内視鏡検査を併せて行うことは、消化管全体の状態を把握するために極めて重要です。
上部消化管出血の可能性
便秘を主訴とする場合でも、貧血がある以上、胃や十二指腸からの出血も疑う必要があります。
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がんなどが原因で出血している場合、血液は腸を通る間に黒変し、黒っぽい便として排泄されます。便秘気味の方の場合、便が腸内に長く留まるため、血液の変化がより顕著になります。
大腸検査で異常がなかった場合、あるいは大腸がんが見つかった場合でも、別の場所(胃)に病気が隠れていないかを確認することは大切です。
胃と大腸の同時検査
| メリット | デメリット | 適している人 |
|---|---|---|
| 食事制限や通院が1回で済む | 検査時間が長くなる | 忙しくて時間が取れない人 |
| 鎮静剤を一度で活用できる | 体への負担が多少増す | 検査への恐怖心が強い人 |
| 全身の消化管を網羅できる | 費用が一度にかかる | 貧血の原因が不明な人 |
ピロリ菌と胃がんリスク
胃カメラを行う際には、ピロリ菌の感染有無も確認します。ピロリ菌は胃がんの最大のリスク因子であり、感染している場合は除菌治療が必要です。
ピロリ菌による慢性胃炎が進行すると、胃の粘膜が萎縮し、出血しやすくなることがあり、貧血の一因となることもあります。
便秘と直接関係がないように思えるかもしれませんが、消化器全体の健康状態を底上げする意味で、胃のチェックは欠かせません。
胃の状態を整えることで、消化吸収が改善し、全身状態が良くなることも期待できます。
同日検査の選択肢
多くの内視鏡専門クリニックでは、胃カメラと大腸カメラを同じ日に行う同日検査に対応しています。一度の鎮静剤で両方の検査を連続して行うため、目が覚めた時には全ての検査が終わっているという効率的な方法です。
事前の食事制限や下剤の服用も一度で済むため、患者さんのスケジュール調整や身体的・精神的負担を大きく軽減します。
貧血の原因を徹底的に突き止めるためには、上下両方の消化管を一度に調べてしまうのが最も合理的で安心なアプローチです。
CT検査やその他の画像診断
内視鏡が通過できないような強い狭窄がある場合や、他の臓器への転移・浸潤を確認するためには、腹部CT検査などの画像診断が不可欠であり、全体像を把握する地図のような役割を果たします。
腹部CT検査の役割
腹部CT検査は、X線を使ってお腹の断面図を撮影する検査です。内視鏡が腸の内側を見るのに対し、CTは腸の外側や壁の厚みの状態を観察するのに適しています。
もし大腸がんが進行していて、腸が極端に狭くなっている場合、内視鏡を通すことが危険なことがあり、そのようなケースでは、まずCTで狭窄の程度や場所を確認します。
また、肝臓や肺、リンパ節への転移がないか、腹水が溜まっていないかなど、病気の広がりを評価するためにCT検査は非常に重要です。
その他の特殊検査
- 注腸造影検査(バリウム):肛門からバリウムと空気を入れ、X線で腸の形を撮影します。腸の全体像や位置関係を把握するのに役立ちますが、近年はCTや内視鏡に置き換わりつつあります。
- カプセル内視鏡:小型カメラを内蔵したカプセルを飲み込み、小腸の内部を撮影します。胃や大腸の検査で異常が見つからない原因不明の消化管出血が疑われる場合に用いられます。
- PET-CT検査:がん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用した検査で、全身の転移や再発を調べるために行われます。
小腸病変の検索
胃カメラと大腸カメラを行っても出血源が見つからない場合、小腸からの出血を疑うことが必要です。
小腸は非常に長い臓器で、通常の内視鏡では届きにくい場所ですが、カプセル内視鏡やバルーン小腸内視鏡といった特殊な機器を用いることで検査が可能になりました。
小腸の腫瘍や血管の奇形が貧血の原因となっていることもあります。
便秘との関連は薄い場合が多いですが、原因不明の貧血を解決するための最後の砦として、このような検査手段があることを知っておくと良いでしょう。
総合的な診断への統合
画像診断は、内視鏡検査と対立するものではなく、補完し合う関係にあり、内視鏡で病変を直接見て細胞を採り、CTで病変の広がりや深さを知ることができます。
この両輪が揃って初めて、正確な診断と治療方針の決定が可能です。
医師は、患者さんの症状や血液検査の結果を見ながら、どの検査をどのような順序で行うのが最も負担が少なく、かつ情報を多く得られるかを判断します。提示された検査の目的を理解し、積極的に受けることが大切です。
Q&A
貧血と便秘に関する不安や疑問に対し、医療の現場で頻繁に尋ねられる事項をまとめました。
- 痔でも貧血と便秘になりますか?
-
切れ痔は便秘による硬い便の通過で発生しやすく、いぼ痔(内痔核)は排便時の出血により貧血の原因となります。
しかし、痔だと思い込んでいたら実は直腸がんだったというケースは後を絶ちません。痔と診断するためには、大腸の奥にがんがないことを確認する必要があります。
自己判断せず、必ず内視鏡検査で「がんではないこと」を証明してから痔の治療を行うのが正しい順序です。
- 症状が軽くても受診すべきですか?
-
症状が軽い今のうちに受診することで、早期発見の可能性が高まり、早期であれば内視鏡治療だけで完治できる可能性も高くなります。
大腸がんは初期症状が乏しい病気であり、貧血や便秘といった症状が出ている時点で、ある程度の進行が疑われます。
- 内視鏡検査は痛いですか?
-
かつては痛みを伴う検査というイメージがありましたが、現在は鎮静剤の使用やスコープの改良、挿入技術の向上により、苦痛は劇的に軽減されています。
多くの患者さんが「気づいたら終わっていた」「思ったよりずっと楽だった」と感想を述べられます。
痛みが不安な場合は、鎮静剤を使用するクリニックを選ぶ、事前に医師に不安を伝えるなどの対応で、快適に検査を受けることが可能です。
- 下剤を飲むのが不安ですが大丈夫ですか?
-
便秘の方にとって、大量の下剤を飲むことは大きな不安要素の一つですが、最近の下剤は味や飲みやすさが改良されており、以前より飲みやすくなっています。
また、どうしても飲めない場合や排便が辛い場合は、院内で看護師のサポートを受けながら下剤を服用したり、鼻から管を通して下剤を注入する方法を選択できる施設もあります。
便秘がひどい場合は、検査数日前から便を柔らかくする薬を処方するなど事前準備を行いますので、医師にご相談ください。
以上
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