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大腸ポリープの良性と悪性の違い – 見た目の特徴から

大腸ポリープの症状と早期発見のために知っておきたいこと

大腸ポリープは、自覚症状が乏しい状態のまま発見される場合が多く、なかには良性のままで大きな問題にならないものもあれば、放置すると悪性へ変化して大腸がんの原因になるものもあります。

見た目の特徴によって良性か悪性かを推測できる場合がありますが、自己判断には限界があるため、正確な診断を受けることが重要です。

本記事では、大腸ポリープについて「良性」と「悪性」の違いや見た目の特徴、内視鏡検査の意義などを解説します。

目次

大腸ポリープとは何か

大腸ポリープは、大腸の粘膜表面に発生するいぼ状の隆起でm形状や大きさ、発生する部位によって性質が異なり、場合によってはがん化する可能性があります。

自覚症状があまりなく、健康診断や人間ドック、あるいは便潜血検査をきっかけに発覚することも少なくありません。

大腸ポリープは「良性」「悪性」と単純に区別できるものだけではなく、腺腫性ポリープ、過形成性ポリープなどさまざまな種類があります。

なかには初期段階での変化が小さく、良性・悪性を含め将来的なリスクを正確に見抜くには内視鏡検査が大切です。

大腸ポリープの主な発生要因

生活習慣や加齢など、複数の要因が絡み合って大腸ポリープは発生し、例えば、食習慣における脂質やたんぱく質の過剰摂取、飲酒や喫煙などの習慣はポリープ発生のリスクを高めると考えられています。

加齢による細胞の変化も大きな要素であり、年齢を重ねるごとに発生率が高まる傾向があります。

さらに、遺伝的素因や家族歴も見逃せず、大腸がんの家族歴がある方は、そうでない方に比べて検査の重要度が高いです。

ポリープ発見と診断の一般的な流れ

ポリープが見つかるきっかけとしては、人間ドックや健康診断で便潜血検査に引っかかるケースが多く、その後の大腸内視鏡検査で詳細な観察を行い、ポリープの形や大きさ、色などを確認して診断します。

さらに、内視鏡で組織の一部を採取(生検)して病理組織学的な検査を行うこともあり、内視鏡検査は大腸ポリープを評価するうえで重要です。

見た目だけでは判断しきれない部分まで正確に調べることができるため、早期発見と治療につなげやすくなります。

良性と悪性の区別はなぜ重要か

大腸ポリープの良性と悪性の区別は、治療方針の決定に深く関わり、良性であっても大きさや形状によっては経過観察ではなく切除が望ましい場合がありますし、悪性の場合はより積極的な治療を検討する必要があります。

また、良性であっても将来的に悪性へ変化するリスクをゼロにできるわけではないので、正確に区別するためにも専門医による内視鏡検査や病理検査が欠かせません。

大腸ポリープに関する基本事項

項目内容
発生部位大腸全域(結腸・直腸を含む)
形状有茎性(茎がある)や無茎性(平坦)、半球状など多彩
主な症状自覚症状は乏しいが、大きくなると出血や便通異常を引き起こす場合あり
判定方法内視鏡検査、病理検査(生検)
良性・悪性の違い組織構造や細胞の増殖度合いなどによる

大腸ポリープの良性の特徴

いわゆる「大腸ポリープの見た目から良性の可能性を推測する」ことは医学的にも一定の意味がありますが、あくまで可能性の話であり、確定的な診断は病理組織学的な検査結果を踏まえる必要があります。

良性と考えられるポリープの多くは、小さく比較的ゆっくり成長する傾向があり、色や形状も目立った異常が少ないケースが多いです。

良性のポリープは急激な細胞増殖を伴わない場合が多く、腺腫性ポリープでも低異型度のものは経過観察や切除で完治が期待できます。

一方、過形成性ポリープなどはがん化リスクが低いとされていますが、種類や部位、併存疾患などによって異なるため、定期検査は欠かせません。

良性ポリープが持つ代表的な形態

良性の大腸ポリープと疑われる場合、形態としては有茎性や半球状で表面が比較的滑らかなものが多くみられ、色合いも周囲の粘膜と大きく変わらず、鮮やかな赤みを帯びていないことが一般的です。

ただし、見た目の特徴だけで良性かどうか決定づけるのは困難で、専門医は大きさや周辺の粘膜との境界線の状態などを総合的に観察し、疑わしい場合は生検で確定診断を行います。

良性ポリープと考えられる場合の治療方針

大腸内視鏡検査で良性ポリープが見つかった場合、サイズが小さく形状が単純であれば、その場で切除できることが多いです。

ポリープ切除にはポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術(EMR)など複数の方法があり、切除後は病理検査で悪性要素がないかを詳しく調べ、問題なければ一連の治療は終了となります。

ただし、再発リスクやほかの部位に新たなポリープが生じる可能性があるため、定期的な大腸カメラ検査を受けることが望ましいです。

良性ポリープが見られやすい人の傾向

特定の年齢層や生活習慣によって良性ポリープが見られやすいケースがあり、加齢による細胞の変異リスクが高まる点に加え、動物性脂肪の多い食生活や喫煙習慣、アルコールの多量摂取などもポリープ発生に影響します。

また、家族に大腸がんやポリープの既往歴がある場合は、同様の病変が見つかりやすい可能性があり、自覚症状がなくても、一定年齢以上になった方やリスク因子を抱える方は定期的な内視鏡検査を検討するとよいでしょう。

良性ポリープの観察ポイント

項目主な特徴
大きさ数mm~1cm程度と比較的小さい
色合い周囲の粘膜とほぼ同色、またはわずかに淡い赤色
表面の状態滑らかで凹凸が少ない
境界の明瞭度粘膜との境界が比較的はっきりしていることが多い
成長スピードゆっくり成長し、短期間で急激に大きくならない傾向がある

大腸ポリープの悪性の特徴

大腸ポリープが悪性、つまり大腸がん化した場合や、すでにがん細胞を含んでいる場合は、病状の進行に応じてさまざまなリスクを伴います。

見た目だけでは判断できないケースも多く、組織を一部採取して顕微鏡で観察し、がん細胞の有無や増殖の度合いを調べる病理検査が必要です。

悪性ポリープ特有の形態的なサイン

悪性の大腸ポリープを疑うサインの1つに、不規則な形状が挙げられ、有茎性でも茎の部分が太く、表面の凹凸が大きい場合や、周囲組織との境界があいまいな場合はがん化の可能性が高いと考えられます。

さらに、内視鏡で観察した際に表面が出血していたり、潰瘍化している場合も警戒すべきです。

また、ポリープ自体の色が黒ずんでいたり、ほかの部位よりも鮮やかな赤色である場合もひとつの目安ですが、決定的とは言えません。専門医の所見や病理検査を組み合わせることで、総合的に判断する必要があります。

悪性と診断された場合の治療と経過観察

内視鏡検査や病理検査で悪性が疑われた、あるいは悪性と断定された場合、まずは内視鏡で切除可能かどうかを評価します。

粘膜下層までの浸潤であれば内視鏡的切除の範囲で対応できるケースがありますが、筋層やそれより深く浸潤している場合、あるいはリンパ節転移の可能性がある場合は、外科的な切除手術を含めた治療が必要です。

治療後も再発や転移を早期に発見するため、定期的な大腸カメラ検査やCT検査などを組み合わせたフォローアップ体制が大切で、医師の指示に従い、症状がなくても定期検査は怠らないようにしましょう。

悪性度合いに応じた病期分類

大腸がんは一般的に病期分類(ステージング)によって治療方針が変わります。病期が進むほど治療の難易度は高くなり、治療後の再発リスクも高まる傾向があります。

治療法は、内視鏡切除、外科手術、必要に応じて化学療法などです。

したがって、悪性と疑われる大腸ポリープが見つかった場合は、病期分類を早い段階で行い、治療計画を立てることが何よりも重要で、発見が早ければ早いほど、体への負担が少ない治療で済む可能性が高まります。

悪性ポリープにみられる特徴

項目主な兆候
形状の乱れ表面がいびつで凹凸が激しい
色の変化黒ずみや鮮やかな赤色など、周囲との色調差が大きい
境界の不明瞭さ粘膜との境界線がはっきりせず、広範囲に浸潤している可能性あり
出血・潰瘍の有無表面に出血やただれがあり、潰瘍を伴うことがある
組織所見病理検査でがん細胞や高度異型度の細胞が確認される

良性から悪性への移行リスク

大腸ポリープのなかには、当初は良性でも徐々に細胞が変性していき、悪性化するものがあります。

腺腫性ポリープは大腸がんの前がん病変と位置づけられることが多く、長年かけてゆっくり成長しながらがん化へ進行するケースが考えられます。

良性の段階で早期発見し、切除できれば大腸がんへの移行を防ぎやすくなりますが、まったくリスクがゼロになるわけではありません。切除後も再発や新たなポリープ発生に備えて定期的なフォローアップが必要です。

リスクを上げる要因

大腸ポリープが悪性に進行しやすい要因として、ポリープの大きさや形状、組織型が挙げられ、サイズが2cmを超えると悪性化リスクが高まると報告されています。

無茎性や表面が広がった形態のポリープは、内視鏡での発見が難しいケースもあり、気づかないうちに大きくなることもあります。

また、食習慣(高脂肪・低繊維)や飲酒・喫煙習慣、肥満などの生活習慣上のリスク、遺伝子変異や家族歴など、さまざまな要因が重なって悪性化リスクを高めるので注意が必要です。

定期的な内視鏡検査で移行を防ぐ

「大腸ポリープの見た目で良性かどうかを判断できる場合もある」ものの、見た目だけでは確実に見極められません。そこで、一定年齢を超えたら定期的に大腸内視鏡検査を受けることが重要になります。

大きくなる前にポリープを発見し、状態を確認することが、がん化を抑止するための大切な手段です。

リスク要因を複数抱えている方は、医師と相談しながら検査のタイミングを早めたり、検査間隔を短くしたりするといった対策をとることをおすすめします。

がん化リスクを下げるためにできること

普段の食生活で野菜や果物、食物繊維を多めに摂取するほか、適度な運動を行うことは大腸ポリープの悪性化リスクを下げる可能性があり、過度の飲酒や喫煙は避け、BMIのコントロールにも気を配りましょう。

また、便秘や下痢などの便通異常が続く場合は、一度専門医に相談しておくことが大切で、ポリープの早期発見だけでなく、さまざまな大腸疾患の早期治療にもつながります。

良性から悪性へ移行しやすい要因

要因内容
大きさ2cm以上のポリープは悪性化リスクが上がる
形状無茎性や表面が広がった形状は発見が遅れやすく、進行しやすい
組織型腺腫性ポリープは特に前がん病変として注意が必要
生活習慣高脂肪・低繊維の食事、飲酒・喫煙、肥満など
遺伝的背景家族歴や遺伝子変異がある場合、特に定期検査が重要

視覚的な観察の限界と内視鏡検査の重要性

大腸ポリープの見た目を観察することは、良性と悪性をある程度見極めるうえで参考になる場合がありますが、医師でも内視鏡画像だけで完全に診断できるわけではありません。

肉眼レベルで異常がなく見えても、組織学的にはすでに異型度が高く、悪性に近い状態に達しているケースもあるからです。内視鏡検査では気になる部分を組織採取し、病理検査による精密な診断を組み合わせることで正確性を高めます。

肉眼的所見と病理所見の違い

肉眼的所見では、ポリープの形状や色合い、出血の有無などを把握できますが、悪性化の初期段階ではそれほどはっきりした異常が見られない場合があります。

病理所見では、細胞レベルで異型度(細胞の異常な変化)やがん細胞の有無を確認できるため、最終的な診断の決定打となります。

表面的には小さく滑らかに見えても、高異型度の細胞を含んでいるケースもあるため、内視鏡検査での肉眼的評価だけに頼らず、生検の結果を踏まえた総合判断が必要です。

拡大内視鏡や特殊染色の活用

内視鏡検査の技術として、拡大内視鏡や特殊染色を用いてポリープの表面構造を詳しく観察する方法があり、表面の微細血管や形態を精密にとらえることで、より正確に良性・悪性を推測しやすくなります。

しかし、こうした技術を用いても限界はあり、あくまで最終確定は病理検査に委ねられます。

病理検査が欠かせない理由

「大腸ポリープの見た目で良性かどうかがわかる」とされることもありますが、誤解を生む恐れがあります。正確な診断のためには、切除したポリープの組織を顕微鏡で精査し、細胞の性質や増殖度、悪性度合いを確認する必要があります。

内視鏡検査で観察される代表的な画像所見

観察事項特徴
ポリープの表面構造滑らか、顆粒状、びらん状、潰瘍状など
色調の変化周囲粘膜とのコントラスト、紅色、褐色、黒色など
血管パターン血管がはっきり見えるか、不規則に走行しているかなど
拡大内視鏡の有無拡大機能を用いると微細な表面模様が観察しやすい
特殊染色の種類インジゴカルミン、クリスタルバイオレットなどを使用する場合

視覚的特徴だけで判断するリスク

  • 良性に見えても高度異型度の細胞を含む場合がある
  • 大きくないポリープでも部位によって悪性化しやすい可能性がある
  • 色調が変化していなくても深部にがん組織が潜む場合がある

大腸ポリープを予防する生活習慣

大腸ポリープの予防には、規則正しい生活とバランスの良い食事、適度な運動が大切です。偏った食事や運動不足、喫煙・過度の飲酒などの生活習慣は、ポリープや大腸がんを含む多くの疾患リスクを高めます。

大腸ポリープの発生を完全に防ぐことは難しいですが、リスクを下げる努力によって、良性ポリープのまま留めたり、成長スピードを遅らせたりできる可能性があります。

食事と栄養のポイント

食物繊維を豊富に含む野菜、果物、海藻、豆類などを積極的に取り入れることが推奨されていて、食物繊維には、腸内の環境を整え、便通をスムーズにする働きがあるため、大腸に有害物質が停滞する時間を短縮できると考えられています。

また、過度な肉や脂質の摂取は控え、魚や良質の植物性たんぱく質をバランスよく取り入れることが望ましいです。生活習慣病の予防も兼ねて、塩分の摂取量にも気を配りましょう。

大腸の健康を意識した食材

食材主な栄養素・特徴
ブロッコリー食物繊維、ビタミンC
きのこ類食物繊維、ビタミンD
大豆製品良質なたんぱく質、イソフラボン
海藻類ミネラル、食物繊維
青魚(サバなど)良質な脂質(EPA、DHA)、たんぱく質

適度な運動と体重管理

ウォーキングやジョギング、スイミングなどの有酸素運動を週に数回取り入れ、体重を適正範囲で維持することは大腸ポリープのリスク軽減につながるとされています。

肥満は慢性的な炎症状態を引き起こし、さまざまながんリスクを高める要因と考えられるため、体重コントロールは重要です。

激しい運動を急に始める必要はありませんが、エスカレーターではなく階段を使う、こまめに歩く時間をつくるなど、日常生活の中で動くことを意識するとよいでしょう。

禁煙と適度な飲酒

喫煙は肺がんなど呼吸器系だけでなく、大腸がんリスクも高め、大腸ポリープの発生とも関連があると考えられるため、禁煙を心がけることが大切です。

飲酒に関しても、過度な量は肝臓だけでなく大腸を含む消化管全体に負担をかけます。摂取量を管理して、できれば週に数日は休肝日をもうけるなどの工夫をおすすめします。

生活習慣改善のためのチェック項目

  • 週3~4回の有酸素運動を行っている
  • 肉や脂質の摂取を控えめにし、野菜や魚を増やしている
  • 禁煙を実施中、または吸わない
  • 飲酒量を控えて週数日は休肝日を設定している
  • 定期的に体重を測定して適正範囲を維持している

検査の流れと注意点

大腸ポリープの早期発見や、良性・悪性の正確な区別を行うには内視鏡検査が大切で、検査の流れや注意点を把握しておくことで、スムーズに受診できるようになります。

大腸内視鏡検査前の準備

大腸内視鏡検査の前日もしくは当日は、下剤を飲んで腸の中をきれいにし、腸内に便が残っていると正確な観察が難しくなるため、この準備は重要です。検査前日は消化に良い食事を心がけ、水分補給もしっかり行います。

当日は医師や看護師の指示に従って下剤を服用し、便が透明になるまで排出を続け、必要に応じて腸洗浄を行うこともあります。

検査時の流れ

検査中は内視鏡(柔軟性のある細長いカメラ)を肛門から挿入し、大腸全体を観察します。空気や二酸化炭素を注入して腸を膨らませながら進むため、腹部に張り感を覚えることがありますが、検査時間は通常15~30分ほどです。

鎮静剤を使用できる医療機関もあり、不安や痛みを軽減しながら検査を受けることも可能です。

ポリープが見つかった場合は、医師の判断でその場で切除するケースもあり、切除したポリープは病理検査に回され、後日、詳細な結果が報告されます。

大腸内視鏡検査で行われる主な処置

処置名内容
観察内視鏡カメラを使って大腸内の状態をくまなくチェック
生検気になる部分の組織を一部採取して病理検査に出す
ポリペクトミー有茎性ポリープなどを内視鏡のスネア(輪状の器具)で切除
EMR平坦な粘膜病変などを粘膜下注入後に切除する内視鏡的粘膜切除術
ESDさらに大きい病変を切除できる内視鏡的粘膜下層剥離術

検査後の経過観察

大腸内視鏡検査やポリープ切除を終えたあとは、腸内に傷が残るため、出血や穿孔などの合併症に注意する必要があります。医師の指示に従い、検査当日は安静に過ごす、食事は消化の良いものをとるなどの配慮が大切です。

切除したポリープの病理検査結果が出るまでには通常1~2週間かかるため、後日、クリニックや病院で詳しい説明を受け、結果に応じて今後のフォローアップのスケジュールや追加治療の必要性が決まります。

検査を受けるうえでの注意点

事前の問診で、常用薬の有無やアレルギー、過去の手術歴などを正確に伝えてください。

抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している方は、ポリープ切除時に出血リスクが高まる可能性があるため、医師が投薬の調整を行う場合があります。

また、検査後はしばらく車の運転を控えるように勧められることがあり、鎮静剤を使用した場合は、意識がはっきりしない時間帯があるため、安全のために付き添いをお願いすることも検討してください。

大腸内視鏡検査を受ける際の主な注意点

  • 検査前の下剤服用を正しく行い、腸内をきれいにする
  • 常用薬やアレルギー歴を医師に詳細に伝えておく
  • 検査後は腹部の張りなどに注意し、安静を保つ
  • ポリープ切除した場合は出血リスクに留意し、運動や入浴を控える
  • 鎮静剤使用後は車の運転を避け、付き添いの確保を検討する

よくある質問

大腸ポリープに関して、患者様から寄せられる質問をいくつか取り上げて解説します。良性・悪性の違いや検査に関する不安の解消につながれば幸いです。

大腸ポリープは必ず切除しなければいけませんか?

一般的に、大きさや形状に関係なく大腸ポリープが見つかった場合は、多くの医療機関で切除をすすめることが多いです。特に腺腫性ポリープは将来的にがん化するリスクを考慮して切除を行う傾向にあります。

過形成性ポリープなど、がん化リスクが低いと考えられるポリープに関しては、医師と相談のうえ定期的に経過観察という選択肢をとる場合もあります。

良性と言われたポリープでも定期検査は必要ですか?

良性と診断されたポリープでも、まったく悪性化しないと断定はできません。また、他の部位に新たなポリープが生じる可能性もあるため、定期的な大腸内視鏡検査は続けるほうが望ましいです。

医師の指示に従って検査間隔を守り、安心して過ごしてください。

大腸カメラは痛いと聞きますが、避けられませんか?

大腸カメラ検査に対して痛みや不快感を心配する方は多いですが、実際には、内視鏡や技術の進歩により、痛みや不快感はかなり軽減されています。

また、鎮静剤を使用できる医療機関も増えており、ほとんど眠っているような状態で検査が受けられます。大腸ポリープの発見や早期診断にとって非常に大切な検査なので、不安な場合は事前に医師とよく相談するとよいでしょう。

大腸ポリープを切除した後、どのくらいで普通の生活に戻れますか?

切除の方法やポリープの大きさ、患者様の体調などによりますが、日帰りで切除できる場合も多く、術後1~2日は安静に過ごすことを推奨されます。

その後は日常生活に戻れますが、約1週間程度は激しい運動やアルコール摂取、長時間の入浴などは控えるほうが安全です。医師の指示に従って無理のない範囲で普段の生活を再開しましょう。

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この記事を書いた人

Dr.中村文保のアバター Dr.中村文保 医療法人社団心匡会 理事長

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医

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