MENU

大腸ポリープ切除術と出血のリスク|対処と予防法

大腸ポリープ切除術と出血のリスク|対処と予防法

大腸ポリープ切除は将来の大腸がんを未然に防ぐ非常に有効な手段で、多くの検査は安全に終了しますが、切除という外科的な処置を行う以上、一定の確率で出血のリスクを伴います。

もし出血があっても、正しい知識と冷静な対処法を知っておくことで、慌てずに行動できます。

本記事では、出血が起こる仕組みから、自宅で様子を見てよいライン、医療機関へ連絡すべき危険なサイン、生活上の注意点までを詳しく解説します。

目次

大腸ポリープ切除後の出血が起こる原因と頻度

ポリープを切除した部位は人工的な傷口となっているため、治癒過程で出血が生じることがあります。全体の発生頻度は低いものの、切除方法やポリープの大きさによってリスクは変動します。発生の仕組みと頻度を正しく理解しましょう。

切除後の粘膜の状態と治癒の経過

内視鏡を用いて大腸ポリープを切除すると、ポリープがあった場所には潰瘍(かいよう)と呼ばれる粘膜の欠損が残り、これは皮膚で言うところの深い擦り傷や火傷のような状態です。

通常、傷口は止血クリップで縫縮されたり、自然に凝固した血液(かさぶた)で覆われたりして、時間をかけて修復に向かいます。粘膜が完全に再生して傷が塞がるまでには、数週間程度の時間を要します。

その間、傷口は非常にデリケートな状態にあり、便が通過する際の物理的な刺激や、腹圧の上昇、血流の増加などが加わると、傷口を塞いでいたかさぶたが剥がれることがあります。

また、クリップが早期に脱落したりして、再び血管が露出して出血に至ることがあります。これが術後出血の主な要因です。

切除手法による出血リスクの違い

主に電気を通電させて焼き切る方法と、通電せずに物理的に切断する方法の二つが用いられ、以前は通電して焼き切る方法が主流でしたが、熱を加えることで深部の血管にダメージが及び、遅れて出血するリスクがあることが課題でした。

これに対し、近年普及しているコールドスネアポリペクトミーは、高周波電流を使わずにスネアという金属の輪でポリープを締め付けて切断します。

熱による組織へのダメージがないため、術後の炎症が少なく、遅発性の出血リスクが低いです。

切除方法ごとの特徴比較

切除方法特徴出血の傾向
EMR(内視鏡的粘膜切除術)高周波電流で焼き切る熱損傷により数日後の出血リスクがややある
コールドスネアポリペクトミー通電せず物理的に切除する術後の遅発性出血のリスクは低い
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)大きな病変を電気メスで剥ぐ傷が大きいため、出血リスクは相対的に高い

切除直後のじわじわとした出血は起こりうるため、医師はポリープのサイズや形状に合わせて適切な方法を選択します。

発生頻度についての理解

全体として見れば、大腸ポリープ切除に伴う重篤な出血の頻度は決して高くはなく、数パーセント以下、あるいは1パーセント未満という報告が見られます。

多くの患者さんは何事もなく回復されますが、ゼロではないという点を認識し、万が一の際の備えをしておくことが、安心して検査を受けるためには必要です。

出血が起きやすい時期と術後出血の種類

出血には手術中に起こるものと、帰宅後数日経ってから突然起こるものがあり、注意が必要なのは帰宅後に発生する遅発性出血です。リスクの高い期間を把握し、その期間中は安静を保つことがトラブル回避につながります。

術中出血と即時対応

術中出血とは、ポリープを切除したその瞬間に起こる出血です。内視鏡検査中に発生するため、医師はその場ですぐに止血処置を行うことができます。

クリップで傷口を閉じたり、電気凝固で血管を焼いたりすることで、ほとんどの場合はその場でコントロールされるので、患者さんがこのタイプの出血を過度に心配する必要はあまりありません。

最も注意すべき遅発性出血

患者さんにとって重要なのは遅発性出血で、これは手術が無事に終わり、帰宅してから数日後、あるいは1週間程度経過してから起こる出血です。なぜ時間が経ってから出血するのかというと、切除部位にできたかさぶたが関係しています。

傷口を保護していたかさぶたが、食事や排便の刺激、あるいは時間の経過とともに自然に剥がれ落ちる際、下の血管がまだ完全に修復されていないと、そこから再び出血が始まります。

出血リスクの時系列まとめ

経過時期リスクレベル状態と注意点
手術当日〜翌日中〜高傷口が新鮮なため最も安静が必要な時期
術後2日〜7日かさぶたが剥がれ落ちる時期で突発的な出血に注意
術後8日〜14日粘膜が再生しリスクは低下するが油断は禁物

お風呂に入って血行が良くなった時や、重いものを持ってお腹に力が入った時などがきっかけになることもあります。日々の生活動作の中にリスクが潜んでいることを意識しましょう。

安全圏に入るまでの期間

一般的に、術後1週間を過ぎれば出血のリスクは大幅に減少し、2週間を経過すれば、傷口はほぼ治癒しており、出血の可能性は極めて低くなります。

最初の1週間をいかに穏やかに過ごすかが、トラブルなく完治させるための鍵となり、旅行や激しいスポーツの予定を組む際は、この期間を避けることが賢明です。

出血リスクを高める要因と服用薬の影響

すべてのポリープ切除が同じリスクを持つわけではありません。ポリープの大きさやできた場所、患者さんが普段飲んでいるお薬によって出血のしやすさは変わります。ご自身のリスク要因を知ることで、より慎重な行動をとることができます。

ポリープのサイズと形状による影響

ポリープのサイズが大きければ大きいほど、切除した後の傷口(潰瘍)も大きくなり、傷口が大きければ、それだけ露出する血管の数や太さが増すため、出血のリスクは高まります。

特に2センチを超えるような大きなポリープの場合は、より慎重な管理が必要です。また、ポリープの形状も関係します。

(くき)を持つような形状のポリープには太い栄養血管が通っていることが多く、切除の際に血管の処理が不十分だと出血につながりやすい傾向があります。平坦なポリープであっても、範囲が広ければ同様に注意が必要です。

発生部位によるリスクの差

大腸のどの場所にポリープができたかによってもリスクは異なり、盲腸や上行結腸といった大腸の奥の部分は、壁が薄く、血流も豊富であるため、他の部位に比べて出血のリスクがやや高いです。

また、直腸(肛門に近い部分)は、硬い便が通過する際の摩擦を受けやすく、物理的な刺激による再出血が起こりやすい場所で、肛門に近い場所の処置後は、便秘対策が特に重要になります。

注意が必要なリスク因子

  • 10mmを超える大きなポリープの切除
  • 太い茎を持つポリープの切除
  • 抗血栓薬(バイアスピリン、ワーファリン、イグザレルト等)の服用中
  • 高血圧症(血圧が高いと血管からの出血が止まりにくい)
  • 透析を受けている患者さん
  • 盲腸や直腸における切除処置

抗血栓薬(血液サラサラの薬)の服用

心臓病や脳梗塞の予防のために、血液を固まりにくくする薬(抗血栓薬、抗凝固薬、抗血小板薬など)を服用している患者さんは、出血のリスクが明らかに高くなります。

血液を固まりにくくする薬は血栓を防ぐために非常に重要ですが、ポリープ切除後の止血を妨げる要因にもなります。以前は検査前に一定期間の休薬を行うことが一般的でした。

現在は休薬による血栓症のリスク(脳梗塞などの発症)を避けるため、薬を継続したまま、あるいは休薬期間を短縮して検査を行うケースが増えています。

どのような対応をとるかは、患者さんの基礎疾患の状態とポリープの状況を天秤にかけて、主治医が慎重に判断します。自己判断での休薬や再開は大変危険ですので、必ず医師の指示に従ってください。

自宅で出血に気づいた際の判断基準と対処

帰宅後にトイレで血を見ることは誰にとっても恐怖ですが、少量の出血はよくあることであり、全てが緊急事態ではありません。慌てずに状況を観察し、様子を見て良いのか、すぐに病院へ連絡すべきかを判断する基準を解説します。

少量の一時的な出血への対応

排便をした際、トイレットペーパーに少し血が付着する程度や、便の表面にうっすらと赤い筋がついている程度であれば、慌てる必要はありません。切除部位が便と擦れた際の一時的な滲出性の出血である可能性が高いです。

この場合、まずは安静にして様子を見て、次回の排便時に出血が増えていなければ、傷口は自然に止血に向かっていると考えられます。

水分を多めに取り、便を硬くしないように心がけながら、激しい動きを避けて生活してください。ただし、少量の出血であっても、それが何日も続く場合は、念のため医療機関に相談してください。

緊急性が高い出血のサイン

直ちに行動を起こさなければならない出血もあります。トイレの水が真っ赤に染まるほどの大量の出血や、レバーのような塊(血の凝塊)が出てくる場合は、動脈性の出血や、傷口からの持続的な出血が疑われます。

症状別の緊急度判定

症状の現れ方緊急度推奨される行動
紙に血が付く、便に血が混じる程度自宅で安静にし、次回の排便まで様子を見る
便器の水が薄い赤色やピンクになる翌朝一番で医療機関へ電話相談する
鮮血が止まらない、凝血塊が出る、腹痛がある直ちに医療機関へ連絡、または救急要請

また、出血だけでなく、激しい腹痛や冷や汗、めまい、動悸を伴う場合は、出血によって血圧が下がっている可能性があり、非常に危険な状態です。

このような症状が見られた場合は、夜間や休日であっても迷わず医療機関に連絡するか、救急対応を依頼してください。我慢して様子を見続けると、貧血が進行して意識を失う恐れもあります。

連絡する際に伝えるべき情報

医療機関に電話をする際は、落ち着いて以下の情報を伝えるとスムーズです。いつ検査を受けたか、どのくらいの量の血が出たか(コップ一杯分など)、血の色は鮮やかか黒っぽいか、腹痛はあるか、現在服用している薬はあるかといった点です。

これらの情報があれば、医師や看護師は緊急性の度合いをより正確に判断し、適切な指示を出すことができます。

医療機関で行う止血処置と再治療の流れ

出血が止まらない場合、再度内視鏡を使った止血処置が必要になり、確実に傷口を治すための処置です。病院に戻ってからどのような治療が行われるのか、流れを解説します。

緊急内視鏡検査の実施

出血を主訴に来院された患者さんの場合、血液検査で貧血の進行具合を確認しつつ、多くのケースで緊急の内視鏡検査が行われ、腸の中に溜まった血液を洗い流しながら出血点を探し出します。

出血している場所さえ特定できれば、内視鏡を使って確実に止血することが可能で、再度の検査は身体的にも精神的にも負担がかかりますが、放置するよりもはるかに安全です。

検査前処置として再度下剤を飲む必要がある場合と、浣腸のみで対応できる場合がありますが、前回の検査からの経過時間や腸内の状況によって医師が判断します。

主な止血方法の種類

出血点が見つかった場合、いくつかの道具を使い分けて止血を行い、最も一般的なのはクリップ法です。洗濯バサミのような小さな金属製のクリップで、出血している血管ごと傷口を挟み込んで物理的に圧迫します。

クリップは数週間から数ヶ月で自然に脱落し、便と一緒に排出されます。クリップで止血が困難な場合や、傷口が広範囲な場合は、高周波凝固法を用います。

止血処置のバリエーション

処置名内容目的
クリップ止血法金属クリップで傷口を閉じる物理的な圧迫による確実な止血
高周波凝固法電気を通電して組織を焼く熱による血管の閉塞と凝固
局所注射法薬剤を粘膜下に注入する血管収縮および周囲の圧迫による止血

特殊な鉗子(かんし)で出血点を掴み、電気を流して組織を熱凝固させ、また、出血が激しい場合には、血管収縮剤を局所に注射して一時的に血流を抑える方法を併用することもあります。

入院の必要性と期間

止血処置を行った後は、再々出血のリスクを考慮して入院が必要になることがあり、入院期間は出血の程度や患者さんの体力によりますが、数日から1週間程度が目安です。入院中は絶食をして腸を休め、点滴で栄養と水分を補給します。

軽微な出血で、クリップで確実に止血できたことが確認されれば、そのまま帰宅して自宅安静となるケースもあります。いずれにせよ、医師が安全であると判断するまでは慎重な経過観察が必要です。

術後の生活制限と食事による出血予防

手術が成功しても、自宅での過ごし方次第で出血リスクは変わります。特に食事、入浴、運動、飲酒の4点は、血圧や血流に直接影響を与えるため重要で、我慢が必要なのは数日から1週間程度です。

食事内容の調整と注意点

食事は傷口への直接的な刺激となるため、術後数日間は特に配慮が必要です。基本は消化が良く、腸に残りにくいものを選びます。おかゆ、うどん、白身魚、豆腐、卵料理などが適しています。

よく噛んで食べることで、胃腸への負担をさらに減らすことができます。避けるべきなのは、食物繊維が多く硬いものです。

ごぼう、レンコン、キノコ類、海藻類は消化されにくく、便として排出される際も形が残るため、傷口をこすって出血を起こす可能性があります。

出血予防のために避けるべき食品リスト

  • 繊維の多い野菜(ごぼう、たけのこ、レンコン)
  • キノコ類全般(エノキ、シメジなどは消化されにくい)
  • 海藻類(ワカメ、昆布、ひじき)
  • 刺激物(激辛カレー、キムチ、多量の香辛料)
  • 種のある果物(キウイ、イチゴなどは種が刺激になることがある)
  • アルコール類全般

また、唐辛子やわさびなどの香辛料も、腸の蠕動(ぜんどう)運動を過剰に刺激し、充血を招くため控えるべきで、脂っこい食事も消化管への負担が大きいため、回復するまでは避けたほうが無難です。

飲酒がもたらすリスク

お酒は最も注意すべき要因の一つです。アルコールには血管を拡張させる作用があり、全身の血流が良くなると同時に、ポリープを切除した傷口の血管も拡張します。

せっかく固まっていたかさぶたが血流の勢いで押し流されてしまい、再出血の引き金となるので、少しだけなら大丈夫という油断がトラブルを招くことがあります。

医師の許可が出るまでは禁酒を守ることが、最も確実な予防法です。ノンアルコールビールであっても、炭酸ガスによる腸管内圧の上昇が刺激になることがあるため、炭酸飲料自体も控えましょう。

運動と入浴の制限

激しい運動も血圧を上昇させ、腹圧をかけるため出血のリスクを高めるので、ジョギング、ゴルフ、筋力トレーニングなどは術後1週間は控えてください。重い荷物を持ち上げたり、強くいきむ動作も同様に腹圧を上げるため注意が必要です。

散歩程度の軽い動きであれば翌日から可能な場合が多いですが、疲れを感じたらすぐに休むようにします。入浴に関しては、長時間の湯船への浸かりすぎは血管を拡張させるため、当日はシャワーのみとしましょう。

翌日以降も、ぬるめのお湯に短時間浸かる程度から始めます。サウナや長風呂は脱水のリスクもあり、血液がドロドロになって血栓ができやすくなる側面もあるため、術後の体調が安定するまでは避けるべきです。

良性ポリープとがん病変による出血の違い

出血したということは、悪いもの(がん)だったのではないかと心配される患者さんがいますが、術後出血の有無とポリープの良性・悪性は直接関係ありません。

良性ポリープでも出血は起こる

大腸ポリープの多くは腺腫(せんしゅ)と呼ばれる良性の腫瘍で、大きくなると癌化する可能性がありますが、切除した時点では良性であることが大半です。重要なのは、良性のポリープであっても、切除すれば傷ができます。

術後出血は、あくまで傷口からの出血であり、病変が悪いものだから出血したのではありません。良性の小さなポリープを切った後でも、たまたま太い血管に当たってしまえば出血します。

逆に初期の大腸がんを切除しても、傷口の処理が完璧であれば出血しないこともあるので、術後の出血を見て癌だったのかもしれないと悲観する必要はありません。

がん病変特有の出血傾向

手術を受ける前の自然出血については意味合いが異なります。進行した大腸がんは、自ら無秩序に血管を作り出し、組織が脆くなっているため、便が通るなどの些細な刺激で容易に出血し、これが便潜血検査で陽性となる原因です。

出血のタイミングと意味の違い

状況出血の原因良性・悪性の関連
検査・手術前の自然出血病変の脆さや便との摩擦進行がんほど出血しやすい傾向がある
手術中の出血切除器具による血管の切断関係なし(手技やポリープの形による)
手術後の遅発性出血かさぶたの脱落や腹圧関係なし(傷口の治癒過程の問題)

内視鏡治療の対象となるような早期がんや前癌病変の場合、見た目だけでは良性ポリープと区別がつかないこともあります。最終的な診断は、切除したポリープを顕微鏡で詳しく調べる病理組織検査の結果を待つ必要があります。

出血の有無で自己判断せず、必ず後日の外来で医師から正式な結果説明を受けることが大切です。

病理検査結果を待つ心構え

切除したポリープの詳しい性質がわかるまでには、通常2週間から3週間程度かかり、この期間、不安に思う患者さんもいるかもしれませんが、まずは手術後の傷を治すことに専念してください。

もし病理検査で追加の治療が必要(例えば、がんが予想より深く入り込んでいた場合など)と判断されたとしても、それは早期発見できたことによる前向きなステップになります。

まずは術後の出血トラブルを防ぎ、万全の体調で結果説明を聞きに行くことが、今の患者さんにできる最善の行動です。

よくある質問

ここでは、大腸ポリープ切除を受けられた患者さんから頻繁に寄せられる疑問について回答します。生活上の細かい判断に迷った際の参考にしてください。

仕事への復帰はいつから可能ですか?

デスクワークや事務作業であれば、翌日から復帰しても問題ありません。ただし、身体に負担をかけないよう、長時間座りっぱなしを避け、時々休憩をとるように心がけてください。

重い荷物を運ぶ作業や、激しく動き回る肉体労働に従事されている患者さんは、腹圧がかかり出血のリスクが高まるため、少なくとも3日から1週間程度は配置転換をしてもらうか、休暇を取りましょう。

旅行や出張の予定を入れても大丈夫ですか?

術後1週間、特に最初の3日間は、遠方への移動は避けるべきです。万が一、旅先や移動中(飛行機や新幹線の中など)で出血が起きた場合、医療機関にすぐにアクセスできず、対応が遅れて事態が悪化する恐れがあります。

特に海外旅行や、医療機関の少ない地域への旅行は、術後2週間程度空けてから計画しましょう。

便の色が黒っぽいのですが出血でしょうか?

便の色が黒い場合、胃や十二指腸などの上部消化管からの出血、あるいは大腸の奥の方からの古い出血が疑われますが、ポリープ切除後においては、以前の出血が酸化して黒くなって出てきている可能性もあります。

また、検査中に使用した青い色素液と便が混ざって暗緑色に見えたり、鉄剤を服用していたりすることで黒く見えることもあります。鮮血(赤い血)が継続して出ていないか、腹痛がないかを確認してください。

黒い便だけで腹痛もなく、体調が良いのであれば、数日様子を見て通常の色に戻るか確認し、不安が残る場合は医療機関へ連絡しましょう。

お腹に軽い痛みや違和感がありますが平気ですか?

検査後は、腸の中に空気を入れて観察した影響で、お腹が張ったり、ガスによる軽い痛みを感じたりすることがよくありますが、ガスが排出されるにつれて自然に解消していきます。ガスを我慢せずに出すようにしてください。

また、腸の動きが活発になることで一時的な違和感が生じることもあります。時間の経過とともに痛みが強くなる、歩くと響くような痛みがある、発熱を伴うといった場合は注意が必要です。

稀な合併症である穿孔(腸に穴が開くこと)や腹膜炎の兆候である可能性も否定できません。痛みが強まる場合は、迷わず受診してください。

以上

参考文献

Watabe H, Yamaji Y, Okamoto M, Kondo S, Ohta M, Ikenoue T, Kato J, Togo G, Matsumura M, Yoshida H, Kawabe T. Risk assessment for delayed hemorrhagic complication of colonic polypectomy: polyp-related factors and patient-related factors. Gastrointestinal endoscopy. 2006 Jul 1;64(1):73-8.

Shibuya T, Nomura O, Kodani T, Murakami T, Fukushima H, Tajima Y, Matsumoto K, Ritsuno H, Ueyama H, Inami Y, Ishikawa D. Continuation of antithrombotic therapy may be associated with a high incidence of colonic post‐polypectomy bleeding. Digestive Endoscopy. 2017 May;29(3):314-21.

Inagaki Y, Yoshida N, Fukumoto K, Kassai K, Inoue K, Hirose R, Dohi O, Okuda T, Hasegawa D, Okuda K, Ogiso K. Risk factors of delayed bleeding after cold snare polypectomy for colorectal polyps: a multicenter study. Digestive Diseases and Sciences. 2022 Jul;67(7):3177-84.

Kishida Y, Hotta K, Imai K, Ito S, Yoshida M, Kawata N, Tanaka M, Kakushima N, Takizawa K, Ishiwatari H, Matsubayashi H. Risk analysis of colorectal post-polypectomy bleeding due to antithrombotic agent. Digestion. 2019 Feb 4;99(2):148-56.

Yanagisawa N, Nagata N, Watanabe K, Iida T, Hamada M, Kobayashi S, Shimbo T, Akiyama J, Uemura N. Post-polypectomy bleeding and thromboembolism risks associated with warfarin vs direct oral anticoagulants. World journal of gastroenterology. 2018 Apr 14;24(14):1540.

Watanabe K, Nagata N, Yanagisawa N, Shimbo T, Okubo H, Imbe K, Yokoi C, Yanase M, Kimura A, Akiyama J, Uemura N. Effect of antiplatelet agent number, types, and pre-endoscopic management on post-polypectomy bleeding: validation of endoscopy guidelines. Surgical endoscopy. 2021 Jan;35(1):317-25.

Matsumoto M, Fukunaga S, Saito Y, Matsuda T, Nakajima T, Sakamoto T, Tamai N, Kikuchi T. Risk factors for delayed bleeding after endoscopic resection for large colorectal tumors. Japanese journal of clinical oncology. 2012 Nov 1;42(11):1028-34.

Tsuruta S, Tominaga N, Ogata S, Tsuruoka N, Sakata Y, Shimoda R, Eguchi Y, Anzai K, Hara M, Fujimoto K. Risk factors for delayed hemorrhage after colonic endoscopic mucosal resection in patients not on antithrombotic therapy: retrospective analysis of 3,844 polyps of 1,660 patients. Digestion. 2019 Aug 16;100(2):86-92.

Inoue T, Ishihara R, Nishida T, Akasaka T, Hayashi Y, Nakamatsu D, Ogiyama H, Yamaguchi S, Yamamoto K, Mukai A, Kinoshita K. Prophylactic clipping not effective in preventing post‐polypectomy bleeding for< 20‐mm colon polyps: A multicenter, open‐label, randomized controlled trial. Journal of Gastroenterology and Hepatology. 2021 Feb;36(2):383-90.

Ishigami H, Arai M, Matsumura T, Maruoka D, Minemura S, Okimoto K, Kasamatsu S, Saito K, Nakagawa T, Katsuno T, Yokosuka O. Heparin‐bridging therapy is associated with a high risk of post‐polypectomy bleeding regardless of polyp size. Digestive Endoscopy. 2017 Jan;29(1):65-72.

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

Dr.中村文保のアバター Dr.中村文保 医療法人社団心匡会 理事長

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医
日本消化器病学会 消化器病専門医
日本肝臓学会 肝臓専門医

目次