若年性ポリープは、主に幼児から学童期の子供の大腸に発生する良性の腫瘍で、血便の原因として非常に頻度の高い疾患です。
突然の出血に驚かれる保護者の方も多いですが、基本的にはがん化する心配の少ない良性の病変であり、適切な処置を行うことで完治が見込めます。
ただし、稀に多数のポリープができる若年性ポリポーシスという病態では遺伝的な要因や将来的なリスクが異なるため、正確な診断をつけることが重要です。
本記事では、子供の血便の主要な原因であるこのポリープの正体と、検査から治療に至るまでの流れ、そして治療後の生活について詳しく解説します。
若年性ポリープとはどのような病気か
子供の場合、特に痛みもなく真っ赤な血が出る症状の背景には、若年性ポリープが存在していることがよくあります。
腫瘍といっても、細胞が悪性化して無秩序に増殖するがんとは異なり、過誤腫と呼ばれる組織の形成異常の一種と考えられています。
小児から若年層に多い良性の腫瘍
若年性ポリープは、若年層に発生のピークを持つ良性の腫瘍で、粘膜の上皮が嚢胞状に拡張し、間質に炎症性の細胞浸潤を伴うのが特徴です。
専門的には過誤腫性ポリープと呼び、正常な組織が過剰に発育したものであり、本来あるべき場所にあるべき組織が無秩序に増えた状態を指し、細胞が異常な変化を起こしているわけではありません。
ポリープは、成長と共に自然に脱落してなくなってしまうこともあります。ポリープが大きくなると茎の部分がねじれたり、血流が悪くなったりして壊死し、排便と一緒に体外へ排出されるためです。
自然治癒の可能性があることも、この病気の特徴の一つですが、すべてのポリープが自然になくなるわけではなく、出血が続いて貧血になったり、腹痛の原因になったりする場合は治療が必要です。
若年性ポリープは男児にやや多く見られる傾向がありますが、女児にも発生します。好発年齢は2歳から6歳くらいの幼児期から小学校低学年にかけてがピークですが、10代の思春期や、稀に成人してから発見されるケースもあります。
ほとんどの場合、大腸の中に1つだけポリープができる単発型ですが、稀に数個から数十個以上発生する多発型があり、この場合は病気の性質や対応が異なってきます。
発生する原因と遺伝的な要因の有無
なぜ子供の大腸にポリープができるのか、根本的な原因は完全には解明されていません。
多くの場合は後天的な要因、つまり生まれつき持っていた遺伝子の異常ではなく、成長の過程で何らかのきっかけにより粘膜の一部が過剰に成長してしまったものと考えられています。
炎症や物理的な刺激、局所的な血流の変化などが関与している可能性がありますが、特定の食べ物や生活習慣が直接的な原因であるという明確な証拠はありません。
単発型の場合、遺伝性はほとんどないと考えられ、親が子供の頃にポリープがあったからといって、必ずしも子供に遺伝するわけではありませんし、兄弟で発症することも稀です。
しかし、ポリープが多数発生する若年性ポリポーシスの場合には、SMAD4やBMPR1Aといった特定の遺伝子に変異が見られることがあり、常染色体顕性遺伝(優性遺伝)の形式をとることがあります。
この場合は家族内での発症が見られるため、家系調査を含めた慎重な対応が必要です。
大腸のどの場所にできやすいか
若年性ポリープが発生する場所には明確な傾向があります。
盲腸から始まり、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、そして直腸へと続きますが、ポリープの約70パーセントから80パーセントは、肛門に近い直腸およびS状結腸に発生します。
肛門に近い場所にできるため、出血した血が酸化して黒くなる前に体外へ排出され、鮮やかな赤色の血便となるのです。
また、直腸の肛門に近い位置にポリープがある場合、排便時にイボのように肛門から外へ飛び出してくることがあり、これをポリープの脱出と呼びます。
親御さんがお尻を拭く際に気づくことも多いのは、このように物理的に見えやすい場所にできやすいためです。奥の方の大腸(右側結腸)にできることは比較的稀ですが、全くないわけではありません。
ポリープ自体は赤く充血しており、表面が滑らかで丸い形をしているのが特徴です。イチゴのような見た目と表現されることもあり、組織が柔らかく非常に血管が豊富であるため、便が通過する際のわずかな摩擦でも容易に出血します。
これが、子供が排便時に痛がらないにもかかわらず、便器が真っ赤になるほどの出血を起こす理由です。
大腸がんの前段階である腺腫性ポリープとは性質が根本的に異なり、単発で発生する限りにおいては、将来的にがんになるリスクは極めて低い安全な病変といえます。
ポリープの発生部位と頻度の目安
| 大腸の部位 | 発生頻度の目安 | 特徴的な所見 |
|---|---|---|
| 直腸 | 非常に多い(約50%以上) | 鮮血便、排便時のポリープ脱出が見られやすい |
| S状結腸 | 多い(約20〜30%) | 鮮血便、便の表面に血液が付着する |
| 下行結腸以奥 | 少ない(約20%未満) | 血液が便と混じり合う、暗赤色の便になることがある |
気づくきっかけとなる主な自覚症状
若年性ポリープを持つ子供の多くは、普段は元気に過ごしており、食欲もあり、顔色も良いことがほとんどです。
全身状態が悪化することは稀であるため、突然の出血以外の症状には気づきにくいのが特徴でが、ポリープの存在を示すサインはいくつかあり、見逃さないことが早期発見につながります。
痛みを伴わない鮮血便の特徴
最も典型的かつ頻度の高い症状は、痛みを伴わない血便です(無症候性血便)。子供は排便時に「痛い」とは言わず、排便後にトイレの水が真っ赤に染まっていたり、便の表面に赤い血のスジが付着していたりすることで親が気づきます。
切れ痔(裂肛)の場合は排便時に痛みを伴い、硬い便が出た後に紙に血がつく程度であることが多いですが、若年性ポリープの場合は普通の便や軟らかい便であっても、ポリープが擦れて出血するため、比較的多量の血液が出ることがあります。
出血は毎回続くとは限らず、数日続いた後にピタリと止まり、忘れた頃にまた出血するといった間欠的な経過をたどることもよくあり、これはポリープの表面の傷が一時的に修復され、また排便の刺激で開くことを繰り返すためです。
痛みがないため、少し大きくなった子供であれば親に言い出せずに隠してしまうこともあり、下着の汚れで初めて気づくケースもあります。
ポリープが肛門から飛び出す脱出
直腸の下部、肛門のすぐ近くに長い茎(茎とはポリープの根元の細長い部分)を持ったポリープができると、排便のいきみでポリープが肛門の外へ押し出されてくることがあります(自然脱出)。
見た目は暗赤色の丸い塊で、時には親指の先ほどの大きさになることもあります。
親御さんは「脱腸したのではないか」「イボ痔ではないか」と驚いて受診されますが、診察ですぐにポリープであると判別できることが多いです。
脱出したポリープは指で押し込めば肛門内に戻ることが多いですが、飛び出したまま戻らなくなると、ポリープが締め付けられて血流障害を起こし、激しい痛みや壊死による黒ずみを生じることがあります。
脱出が見られた場合は、ポリープの存在が確実であるため、早急な処置が検討されます。
貧血や腹痛などその他の症状
出血が少量であっても、長期間にわたって繰り返されると、体内の鉄分が失われて貧血(鉄欠乏性貧血)になります。
子供の顔色が悪い、すぐに疲れる、息切れがするといった症状で検査をした結果、重度の貧血が見つかり、原因を調べる中で大腸ポリープが発見されることもあります。
右側結腸など奥の方にポリープがある場合、鮮血便として認識されにくく、気づかないうちに貧血が進行していることがあります。
腹痛は頻度としては低いですが、大きなポリープが腸の動きを妨げたり、ポリープを先頭にして腸が腸の中に入り込む腸重積を起こしたりした場合には、周期的な激しい腹痛や嘔吐が現れることがあります。
腸重積は緊急性の高い状態であり、速やかな治療が必要です。また、稀ですが大量の下血を起こしてショック状態になることもあります。
注意すべき症状と緊急度
| 症状 | 観察のポイント | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 少量の鮮血便 | 痛みはあるか、便の硬さはどうか | 数日以内に消化器内科や小児科を受診 |
| ポリープの脱出 | 押し込んで戻るか、色が黒ずんでいないか | 早急に受診し、専門医の診察を受ける |
| 顔色不良・息切れ | まぶたの裏が白くないか、爪の色はどうか | 血液検査が必要、貧血の有無を確認する |
検査による診断確定までの流れ
血便を主訴に受診された場合、医師はまず問診で症状の経過を詳しく聞き取ります。出血の量、色、頻度、腹痛の有無、便の性状などは重要な手がかりです。その後、身体診察を行い、必要に応じて詳細な検査へと進みます。
問診と便潜血検査の役割
問診では、家族にポリープや大腸がんの人がいないかどうかも確認し、これは遺伝性のポリポーシスを除外するための重要な情報です。
直腸診といって、医師が指を肛門に入れて診察することもあり、直腸の下の方にポリープがあれば、触診だけで診断がつくこともあります。
便潜血検査は、目に見えない微量な出血を検出する検査ですが、すでに明らかな血便が出ている場合には必ずしも行う必要はありません。
出血の原因がポリープなのか、腸の炎症なのか、あるいはアレルギーによるものなのかを区別するために、便中の細菌培養検査や、炎症マーカー(カルプロテクチンなど)を測定することのほうが診断的価値が高い場合があります。
血液検査では、貧血の程度や炎症反応の有無を調べ、全身状態を把握します。
注腸造影検査での位置確認
大腸内視鏡検査を行う前に、ポリープの有無や位置を把握するために注腸造影検査(バリウム検査)を行うことがあります。
肛門から造影剤と空気を入れて大腸を膨らませ、X線撮影を行い、ポリープがあれば、粘膜から突出した陰影として写ります。
内視鏡に比べて子供への身体的負担が比較的少なく、鎮静剤を使わなくても実施できる場合があるため、スクリーニングとして用いられることがある検査です。
ただし、平坦なポリープや小さな病変は見逃される可能性もあり、最近では最初から内視鏡検査を行う施設も増えています。
大腸内視鏡検査による直接観察
確定診断と治療方針の決定のために最も確実なのが大腸内視鏡検査(大腸カメラ)です。肛門から細いスコープを挿入し、モニター画面で大腸の内部を直接観察し、ポリープの色、形、大きさ、茎の有無、出血の状態などを詳細に確認できます。
また、他に病変がないか、ポリープが1つだけなのか複数あるのかを調べるためにも、全大腸を観察することが大切です。
子供にとって大腸内視鏡検査は精神的、身体的なストレスが大きいため、多くの場合は鎮静剤を使用して眠った状態で検査を行い、年齢や施設の体制によっては、全身麻酔下で行うこともあります。
検査前には下剤を飲んで腸の中をきれいにしますが、子供が大量の下剤を飲むのは難しいため、入院し経鼻チューブから下剤を投与したり、浣腸だけで対応可能な範囲(直腸・S状結腸)に限定して検査を行うなど、状況に応じた工夫がなされます。
検査前の準備チェックリスト
- 検査前日は消化の良い食事を心がけ、繊維質の多いものは避けます。
- 普段飲んでいる薬がある場合は、休薬の必要性を医師に確認します。
- 下剤を飲む練習や、水分の摂取方法について説明を受けます。
- 検査に対する子供の不安を取り除くため、年齢に合わせた説明を行います。
病理組織検査での最終診断
内視鏡検査でポリープが見つかり、その場で切除した場合は、回収したポリープを顕微鏡で詳しく調べる病理組織検査に提出し、本当に若年性ポリープであるか、それとも腺腫などの他の種類のポリープでないかを最終的に確定します。
見た目が若年性ポリープであっても、組織学的に一部に腺腫成分が含まれている場合などもあり、将来的なリスク評価のためには組織診断が重要です。
自然脱落の可能性と治療方針の決定
若年性ポリープと診断されたからといって、必ずしも直ちに手術や切除が必要なわけではありません。ポリープの状態や子供の年齢、症状の重さなどを総合的に判断して治療方針を決定します。
自然に取れてなくなる自然脱落とは
若年性ポリープは組織が脆く、茎が細長いため、排便のいきみや便の通過による物理的な力で茎がちぎれ、ポリープ自体が便と一緒に排出されることがあり、これを自然脱落(自己切断)と言います。
脱落した直後は多少の出血が見られますが、元の茎の部分は自然に治癒し、ポリープは完全になくなり、脱落したポリープの現物が確認できれば、それが治療の完了です。
経過観察を選択する場合の基準
ポリープが小さく(例えば5ミリメートル以下)、出血もごく少量で貧血がなく、腹痛などの症状もない場合は、無理に内視鏡治療を行わず、経過観察を選択することがあります。
定期的な診察で様子を見ているうちに自然脱落することも期待できるからです。
特に低年齢の幼児で、全身麻酔や内視鏡検査のリスクがベネフィットを上回ると判断される場合は、成長を待って検査や治療を行うという選択肢も十分にあり得ます。
内視鏡的切除が必要になる判断
一方で、以下のような場合には積極的な切除治療が推奨されます。
- 出血量が多く貧血が進行している場合や、輸血が必要になるほどの大量出血のリスクがある場合。
- ポリープが大きく(1センチメートル以上)、自然脱落が期待しにくい場合。
- 腹痛を繰り返している、あるいは腸重積を起こすリスクがある場合。
- ポリープが肛門から頻繁に脱出し、生活に支障がある場合。
- 診断を確定させるために組織検査が必要な場合。
これらの状況では、放置することによるデメリットのほうが大きいため、内視鏡による切除を行います。外科手術(開腹手術)が必要になることは極めて稀で、ほとんどが内視鏡で完結します。
治療方針を左右する要素
| 判断要素 | 経過観察寄り | 切除治療寄り |
|---|---|---|
| ポリープの大きさ | 小さい(数mm程度) | 大きい(1cm以上) |
| 出血・貧血 | なし〜軽度 | 中等度〜重度、進行性 |
| 症状 | 無症状 | 腹痛、脱出、腸重積の懸念 |
内視鏡を用いた切除治療の実際
内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)は、成人の大腸ポリープ治療と同様の手技で行われますが、子供の場合はより慎重な管理が必要です。
ポリペクトミーという切除手法
内視鏡の先端からスネアと呼ばれる金属の輪を出し、ポリープの茎の部分に掛け、その後、高周波電流を流して茎を焼き切ります。
最近では、電流を流さずにスネアの機械的な締め付けだけで切除するコールドポリペクトミーという手法も、出血リスクの少ない小さなポリープには用いられます。
ただし、若年性ポリープは茎が太く血流が豊富なことが多いため、止血処置を確実に行える高周波切除(ホットポリペクトミー)が選択されることが一般的です。切除後は、クリップという小さな金属で切除面を縫縮し、後出血を予防します。
入院の必要性と治療にかかる時間
成人の小さなポリープであれば日帰り手術も可能ですが、小児の場合は全身管理や術後の安静、万が一の出血への対応を考慮し、数日間の入院を基本とする施設が多いです。
特に全身麻酔や深い鎮静を使用する場合は、麻酔からの覚醒や呼吸状態のモニタリングが必要となるため、入院が安全です。治療自体にかかる時間は、ポリープの数や場所にもよりますが、通常は15分から30分程度で終了します。
偶発症のリスクと予防策
内視鏡治療に伴うリスクとして、術後出血と穿孔(腸に穴が開くこと)があります。若年性ポリープは血管が太いため、切除直後や数日後に出血するリスクが成人のポリープよりもやや高いです。
これを防ぐために、切除前に茎の根元をクリップや留置スネアで縛って血流を遮断してから切除するなどの工夫が行われます。穿孔は非常に稀ですが、起きた場合は緊急手術が必要です。
入院中は便の状態や腹痛の有無を厳重に観察し、異常があればすぐに対応できる体制をとります。
若年性ポリポーシスとの鑑別点
単発の若年性ポリープと区別しなければならない重要な病態に、若年性ポリポーシスがあります。単なるポリープの数が多い状態というだけでなく、病気としての性質が異なります。
単発型と多発型の大きな違い
定義としては、大腸に5個以上の若年性ポリープがある場合、または全消化管に若年性ポリープを認める場合、あるいは家族歴がある場合を若年性ポリポーシスと診断します。
単発型は良性で再発も少ないですが、ポリポーシス型は再発を繰り返し、難治性の貧血や低タンパク血症(蛋白漏出性胃腸症)を起こし、発育障害の原因となることがあります。
胃や小腸にも発生する可能性
若年性ポリポーシスでは、大腸だけでなく胃や小腸にもポリープが発生することがあります。そのため、診断がついた場合は大腸内視鏡だけでなく、胃カメラやカプセル内視鏡などを用いて全消化管の検索を行うことが重要です。
広範囲にポリープが存在する場合は、すべてを切除することが難しく、外科的な大腸全摘術が必要になるケースもあります。
遺伝子検査や定期的なサーベイランス
ポリポーシス型は遺伝性疾患である可能性が高いため、遺伝カウンセリングや遺伝子検査が検討され、また、単発型とは異なり、将来的な消化管がん(大腸がんや胃がん)の発生リスクが高いことが知られています。
そのため、若いうちから定期的な内視鏡検査によるサーベイランス(監視)を継続し、がん化の兆候を早期に発見することが重要です。
単発型と診断された場合でも、切除後に新たなポリープができないか、念のため数年後に一度検査を行うことが推奨されることもあります。
単発型とポリポーシスの比較
| 項目 | 単発型(孤発性) | 若年性ポリポーシス |
|---|---|---|
| ポリープの数 | 通常1個(多くても4個以下) | 5個以上、多数 |
| 発生部位 | 主に大腸(直腸・S状結腸) | 全消化管(胃・小腸・大腸) |
| がん化リスク | 極めて低い | 高い(定期検査が必要) |
治療後の経過と日常生活での注意点
無事にポリープを切除した後は、基本的には健康な子供と同じ生活に戻ることができますが、術後しばらくは注意が必要です。
切除後の食事制限と安静期間
退院後、自宅での生活に戻ってから1週間程度は、激しい運動や長時間の入浴、旅行などは控えるようにします。これは、遅れて出血する後出血のリスクを避けるためです。
食事については、消化の良いものを中心にし、腸を刺激する辛いものや脂っこいもの、繊維の多すぎるものは術後1週間程度控えます。
学校の体育や部活動への復帰時期については、主治医の指示に従いますが、一般的には術後2週間程度で制限が解除されることが多いです。
再発の可能性と定期検査の頻度
単発型の若年性ポリープであれば、切除後の再発率は低く、予後は非常に良好です。別の場所に新たにポリープができる可能性はゼロではありませんが、頻度は高くなく、症状がなければ毎年の内視鏡検査などは不要とされています。
ただし、一度ポリープができた体質を考慮し、再び血便などの症状が出た場合には速やかに受診することが大切です。
学校生活や運動への復帰時期
入院期間も含めて、学校を休む期間は1週間前後になることが多いです。退院後はすぐに登校可能ですが、運動制限があるため、体育の見学などの配慮が必要になります。
プールやお腹に衝撃が加わるようなスポーツは、完全に傷が治るまで待つ必要があり、精神面でも、久しぶりの登校で不安にならないよう、親御さんや学校の先生のサポートが大切です。
術後の生活における禁止・制限リスト
- 術後1週間は、激しい運動(サッカー、バスケットボール、水泳など)を禁止します。
- 自転車の運転など、腹圧がかかる動作は極力避けます。
- 便秘にならないよう、水分を多めに摂り、排便コントロールに気を配ります。
- 遠方への旅行や、すぐに医療機関にかかれない場所への移動は術後2週間程度控えます。
よくある質問
- 子供の内視鏡検査は痛くないですか
-
子供の内視鏡検査では、大人以上に苦痛への配慮を徹底します。基本的には鎮静剤を使って眠った状態、あるいは麻酔をかけた状態で行うため、検査中の痛みや恐怖を感じることはほとんどありません。
検査が終わって目が覚めた時には、全て終わっているという状態を目指して実施します。
- 兄弟にも同じポリープができますか
-
単発型の若年性ポリープであれば、遺伝性はほとんどないため、兄弟に同じようにポリープができる確率は高くありません。
しかし、若年性ポリポーシスと診断された場合には遺伝的な要因が関与している可能性があるため、兄弟も症状がなくても検査を受けることが推奨される場合があります。
- 大人のポリープとは何が違いますか
-
大人のポリープの多くは腺腫と呼ばれ、放置するとがんになる可能性があるため、がん予防のために切除します。
一方、子供の若年性ポリープは炎症性・過誤腫性の変化であり、がん化のリスクよりも、出血や脱出といった現在の症状を改善するために治療を行うという点で、治療の目的や病気の性質が大きく異なります。
- 切除したポリープは良性ですか
-
若年性ポリープは組織学的には良性の過誤腫であり、単発のものであればがん化の心配はまずありません。ただし、顕微鏡による病理検査で最終確認を行い、腺腫成分などが混じっていないかを確実に診断します。
結果が出るまで1週間から2週間程度かかりますが、医師から良性と言われれば安心して良い病気です。
以上
参考文献
Matsumoto T, Umeno J, Jimbo K, Arai M, Iwama I, Kashida H, Kudo T, Koizumi K, Sato Y, Sekine S, Tanaka S. Clinical guidelines for diagnosis and management of juvenile polyposis syndrome in children and adults-secondary publication. Journal of the Anus, Rectum and Colon. 2023 Apr 25;7(2):115-25.
Matsubara Y, Nakamura Y, Nakayama Y, Yano T, Ishikawa H, Kumagai H, Umeno J, Uchida K, Jimbo K, Yamamoto T, Ishida H. Prevalence and Incidence of Peutz–Jeghers Syndrome and Juvenile Polyposis Syndrome in Japan: A Nationwide Epidemiological Survey in 2022. Journal of Gastroenterology and Hepatology. 2025 Feb;40(2):473-81.
Atsumi M, Kawamoto K, Ebisui S, Takamasu M, Nishida H, Satoh T, Fukuda S, Kodama T, Kashima K, Tsuchihashi Y, Umehara M. A case report of juvenile polyposis with adenomatous change and a review of 34 cases reported in Japan. Gastroenterologia Japonica. 1991 Aug;26(4):523-9.
Nagita A, Amemoto K, Yoden A, Yamazaki T, Mino M, Miyoshi H. Ultrasonographic diagnosis of juvenile colonic polyps. The Journal of pediatrics. 1994 Apr 1;124(4):535-40.
Yamagiwa H, Ishihara A, Matsuzaki O, Yoshimura H. Clinicopathological study of juvenile polyp. Gastroenterologia Japonica. 1979 Oct;14(5):425-31.
Kagemoto K, Saito Y, Mizuguchi Y, Sakamoto T, Taniguchi H, Sekine S, Takayama T. Optical biopsy in real time by endocytoscopy: a case of juvenile polyp. Endoscopy. 2020 Apr;52(04):E142-3.
Lee BG, Shin SH, Lee YA, Wi JH, Lee YJ, Park JH. Juvenile polyp and colonoscopic polypectomy in childhood. Pediatric gastroenterology, hepatology & nutrition. 2012 Dec 31;15(4):250.
Brosens LA, Langeveld D, van Hattem WA, Giardiello FM, Offerhaus GJ. Juvenile polyposis syndrome. World journal of gastroenterology: WJG. 2011 Nov 28;17(44):4839.
Hood B, Bigler S, Bishop P, Liu H, Ahmad N, Renault M, Nowicki M. Juvenile polyps and juvenile polyp syndromes in children: a clinical and endoscopic survey. Clinical pediatrics. 2011 Oct;50(10):910-5.
Fox VL, Perros S, Jiang H, Goldsmith JD. Juvenile polyps: recurrence in patients with multiple and solitary polyps. Clinical Gastroenterology and Hepatology. 2010 Sep 1;8(9):795-9.

