「健康診断で胸部X線を撮ったら”異常影あり”と書かれていた…」 「CTで詳しく調べましょうと言われたけれど、何が違うの?被ばくは大丈夫?」
こうした不安を抱える方は少なくありません。
この記事では、胸部X線とCTの違いを分かりやすく整理し、肺結節の精査で何が分かるのか、被ばくの注意点、検査当日の流れまでを解説します。結論を急ぐ前に、まずは仕組みを理解することで、検査への不安を少しでも和らげていただければ幸いです。
【この記事で分かること】
- 胸部X線とCTの原理・得意分野の違い
- CT精査で評価できること/できないこと
- 被ばく線量の目安と注意点
- 検査当日の流れと受診の目安
健診で「胸部X線異常影あり」と言われたら

健康診断や人間ドックで胸部X線を撮影した結果、「異常影あり」「要精査」と記載されることがあります。この段階で「がんかもしれない」と心配される方も多いのですが、要精査=病気が確定したわけではありません。
胸部X線は、体を正面から1枚の平面画像として撮影します。そのため、心臓や骨と重なる部分にある小さな影は見えにくいことがあり、「何かがあるかもしれない」という段階で精査が勧められるケースが多いのです。
精査の多くは胸部CT検査で行われます。CTを撮ることで、X線では判断しにくかった影の正体をより詳しく調べることが可能になります。
胸部X線とCTの仕組みの違い

胸部X線の特徴
胸部X線(レントゲン)は、体の後ろからX線を照射し、前にある検出器で受け取ることで1枚の画像を作成します。撮影時間は数秒程度と短く、被ばく量も少ないため、スクリーニング(ふるい分け)検査として広く使われています。
ただし、人間の体は立体構造であるため、平面画像では臓器同士が重なって見えてしまいます。特に心臓の裏側や横隔膜付近、肋骨と重なる領域では、小さな異常影の発見が難しい場合があります。
胸部CTの特徴
CT(コンピュータ断層撮影)は、体の周囲を回転しながらX線を照射し、1〜5mm間隔の断層画像を100枚以上撮影します。これにより、臓器の重なりを排除した詳細な画像が得られます。
| 比較項目 | 胸部X線 | 胸部CT |
|---|---|---|
| 画像形式 | 平面(2D) | 断層(3D) |
| 撮影枚数 | 1〜2枚 | 100枚以上 |
| 所要時間 | 数秒 | 5〜10分程度 |
| 被ばく量(実効線量) | 約0.06mSv | 約5〜7mSv(通常)、約1mSv(低線量) |
| 得意分野 | 広範囲のスクリーニング | 小病変の検出、性状評価 |
【ポイント】 CTはX線に比べて診断精度が高い一方、被ばく量は多くなります。どちらが「優れている」というよりも、目的に応じて使い分けることが大切です。
CTで精査すると何が分かるのか
CT検査で肺結節の精査を行う最大のメリットは、結節の「存在」だけでなく「性状」まで評価できる点にあります。
評価できること
- 結節の大きさ:mm単位での正確な計測
- 結節の性状:充実型(白く濃い)、すりガラス型(淡い)、部分充実型(混在)
- 位置の確認:肺の中なのか、骨や血管の重なりなのかを明確化
- 周囲組織との関係:リンパ節腫大や胸水の有無
日本CT検診学会のガイドライン(2024年改訂)では、6mm以上の肺結節に対してCTでの精査が推奨されています。結節の性状により、経過観察の間隔や追加検査の必要性が判断されます。
CTでも「確定診断」はできない
一方で、CTだけで「がんかどうか」を断定することはできません。CTはあくまで画像検査であり、確定診断には組織を採取して調べる病理検査が必要になるケースがあります。CTで発見された結節のうち、実際に悪性であるのは数%程度とも報告されています。
したがって、CT精査の結果を受けて、医師が「経過観察」「追加検査」「専門医への紹介」などを総合的に判断します。
被ばくの違いと注意点

被ばく線量の目安
| 検査・状況 | 実効線量の目安 |
|---|---|
| 胸部X線(正面) | 約0.06mSv |
| 胸部CT(通常線量) | 約5〜7mSv |
| 低線量胸部CT | 約1mSv |
| 自然放射線(日本・年間) | 約2.1mSv |
「被ばく=危険」ではない
放射線による健康影響が明確に認められるのは、100mSvを超える被ばくからとされています。CT検査1回で受ける線量はその1/10以下であり、検査による診断の利益が被ばくのリスクを大きく上回ると考えられています。
ただし、以下のケースでは事前に医師へ相談してください。
- 妊娠中または妊娠の可能性がある方
- 短期間に複数回のCT検査を受ける予定がある方
- 小児(放射線感受性が高いため)
低線量CTという選択肢
肺がん検診などでは、通常のCTより放射線量を抑えた「低線量CT」が用いられることがあります。画質はやや落ちますが、肺結節の存在診断には十分な情報が得られるとされています。どの撮影条件が適切かは、精査の目的に応じて医師が判断します。
CT検査当日の流れ
初めてCT検査を受ける方のために、一般的な流れをご紹介します。
検査前
- 予約・受付:事前予約が必要な施設が多いです
- 問診票記入:アレルギー歴、妊娠の可能性、服用中の薬などを確認
- 更衣:金属類(ネックレス、下着のワイヤー等)を外し、検査着に着替える場合があります
検査中
- 検査台に仰向け:装置の中央に横たわります
- 息止め:撮影中は10秒程度の息止めを指示されます
- 撮影時間:実際のスキャンは数十秒〜数分程度
検査後
- 結果説明:施設により当日または後日、医師から説明を受けます
- 造影剤を使用した場合:水分を多めに摂取し、体調の変化があれば連絡
【よくある相談例】
「健診で影があると言われ、精査を受けるべきか迷っています」 → 要精査と判断された場合は、早めにCT検査を受けることで、不安な期間を短くできます。「何度もCTを撮っても大丈夫ですか?」 → 経過観察で複数回の検査が必要になることはあります。被ばくの蓄積が心配な場合は、検査間隔や必要性を医師と相談しましょう。
受診目安とよくある相談
緊急性が高い場合(すぐに受診を)
- 血痰(血が混じった痰)がある
- 急激な体重減少がある
- 強い息切れや胸痛がある
早めの精査が勧められる場合
- 健診で「要精査」「要再検」と判定された
- 過去のX線画像と比較して新しい影が出現した
- 喫煙歴が長い(喫煙指数600以上など高リスク群)
経過観察でよい場合が多いケース
- 小さな結節(6mm未満)で、リスク因子が少ない
- 過去の検査で変化がないことが確認されている
いずれの場合も、自己判断で放置せず、医師の判断を仰ぐことが大切です。金沢・野々市・白山市エリアで精査をご検討の方は、CT検査に対応した医療機関へご相談ください。
まとめ
胸部X線で胸部X線異常影を指摘された場合、CTによる肺結節の精査を行うことで、影の正体をより詳しく調べることができます。
【この記事のポイント】
- 胸部X線は平面画像、CTは断層画像という違いがある
- CTで結節の大きさ・性状を評価できるが、確定診断には限界がある
- 被ばくは診断の利益と比較して判断される(心配な場合は医師に相談)
- 経過観察の間隔や追加検査の要否は、医師が総合的に判断する
「要精査」と言われると不安になるものですが、多くの場合は良性の所見や経過観察で済むケースです。気になる症状が続く場合や、結果について詳しく知りたい場合は、遠慮なく医療機関へご相談ください。
金沢・野々市・白山市エリアでお困りの方へ
当院(金沢消化器内科・内視鏡クリニック)では、野々市中央院・金沢駅前院ともに内科診療を行っています。
健診で異常を指摘された方は、お気軽にご相談ください。必要に応じて、大学病院や基幹病院との連携診療も行っています。
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- 胸部X線で「影がある」と言われましたが、がんですか?
-
要精査=がん確定ではありません。骨や血管の重なり、炎症後の痕跡など良性の原因も多いです。CTで詳しく調べることで、影の正体を評価できます。不安な場合は早めに精査を受けましょう。
- CTとX線、どちらが正確ですか?
-
一般に、CTの方が小さな病変の検出や性状評価に優れています。ただしCTは被ばく量が多いため、目的に応じて使い分けられます。スクリーニングにはX線、精査にはCTという役割分担が一般的です。
- CT検査の被ばくは危険ではないですか?
-
通常のCT1回で受ける線量(約5〜7mSv)は、影響の検出が難しいとされる100mSvより大幅に低い水準です。多くの場合、検査で得られる診断の利益が被ばくのリスクを上回ると考えられていますが、妊娠中の方は事前にご相談ください。
- 肺結節が見つかったら必ず手術になりますか?
-
いいえ。結節の多くは良性であり、すぐに手術が必要になるケースは限られています。大きさや性状に応じて経過観察が選択されることも多く、治療方針は医師が総合的に判断します。
- CT検査はどのくらい時間がかかりますか?
-
撮影自体は数十秒程度で終わることが多いです。受付から結果説明までの所要時間は施設により異なりますので、事前にご確認ください。
- 造影剤は必ず使いますか?
-
目的によります。肺結節の存在確認だけであれば造影剤なしで行うことが多いですが、血管や腫瘍の性状を詳しく調べる場合は造影剤を使用することがあります。アレルギー歴がある方は事前にお伝えください。
- 低線量CTと通常のCTは何が違いますか?
-
低線量CTは放射線量を通常の1/5〜1/7程度(施設差あり)に抑えた撮影法です。画質はやや落ちますが、肺結節の存在診断には十分な情報が得られるとされています。
参考文献
- 国立がん研究センター がん対策研究所 検診研究部.有効性評価に基づく 肺がん検診ガイドライン 2025年度版.
- 日本CT検診学会 肺がん診断基準部会.低線量CTによる肺がん検診の肺結節の判定基準と経過観察の考え方 第6版
- 特定非営利活動法人 日本肺癌学会.肺癌診療ガイドライン―悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む 2024年版 ver.1.1
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- Japan Network for Research and Information on Medical Exposures (J-RIME).日本の診断参考レベル(2020年版)(Japan DRLs 2020).2020.
- 環境省.放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和5年度版)第2章「放射線による被ばく」.
- 量子科学技術研究開発機構(QST).CT検査など医療被ばくに関するQ&A.

