高熱が続いて咳も止まらない」「息を吸うと胸が苦しい」「風邪だと思っていたのに、なかなか良くならない」──こうした症状が続くと、「もしかして肺炎では?」と不安になる方もいるでしょう。
肺炎は日本人の死亡原因の上位に入る病気ですが、早めに受診して適切な治療を受ければ、多くの場合は回復が期待できます。一方で、症状によっては救急受診が必要なケースもあるため、「どのタイミングで病院に行くべきか」を知っておくことが大切です。
この記事では、肺炎が疑われるときの症状と危険サイン、診察で医師が確認すること、胸部X線とCTの違い、そして受診の目安について、一般向けにわかりやすく解説します。金沢・野々市・白山市エリアで相談先をお探しの方の参考になれば幸いです。
【ポイント】本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療の代わりにはなりません。症状が気になる場合は、医療機関への相談をおすすめします。
発熱・咳・息切れ──「もしかして肺炎?」と感じたら
肺炎とは、細菌やウイルスなどの病原体が肺に侵入し、炎症を起こす病気です。風邪と似た症状から始まることが多いため、初期段階では「ただの風邪だろう」と思いがちですが、肺炎は風邪よりも重症化しやすく、適切な治療が遅れると入院が必要になることもあります。
よくある相談パターン
パターン①:風邪が長引くケース 「最初は喉の痛みと微熱だけだったのですが、1週間経っても咳が止まらず、むしろ悪化している気がします。」
パターン②:息苦しさが加わるケース 「熱は下がったのですが、階段を上るだけで息切れがして、深呼吸すると胸が痛みます。」
パターン③:高齢のご家族を心配するケース 「父(70代)が食欲がなく、ぼんやりしていることが増えました。熱はないのですが、肺炎ではないか心配です。」
このように、肺炎の症状は人によってさまざまです。特に高齢者では典型的な発熱や咳が出にくく、「なんとなく元気がない」「食欲が落ちた」といった非特異的な症状で発症することがあるため、注意が必要です。
肺炎が疑われるときの症状と危険サイン

肺炎の典型的な症状には、発熱(38度以上の高熱が多い)、咳(痰を伴うことが多い)、息切れ・呼吸困難、胸の痛み(特に深呼吸や咳をしたとき)、全身のだるさ・倦怠感などがあります。
救急受診を検討すべき危険サイン
以下のような症状がある場合は、肺炎が重症化している可能性や、心不全・肺塞栓症など他の重大な病気が隠れている可能性があるため、早急に医療機関を受診することを検討してください。
【重要】こんな症状があれば救急受診を
- 安静にしていても息苦しい、会話が途切れ途切れになる
- 唇や爪の色が紫色(チアノーゼ)になっている
- 意識がぼんやりする、反応が鈍い
- パルスオキシメーターで酸素飽和度(SpO2)が93%以下
- 血圧が極端に低い(収縮期90mmHg以下)
- 胸の強い痛みが続く
これらは日本呼吸器学会の重症度評価基準(A-DROPスコア)でも重視される項目であり、該当する場合は入院治療が必要になる可能性があります。
様子を見てよい目安
一方で、以下のような状態であれば、まずは日中の外来受診を検討してよいでしょう。
- 37〜38度程度の発熱で、水分・食事がとれている
- 咳はあるが、息苦しさはなく会話も普通にできる
- 夜間も眠れており、日常生活に大きな支障がない
ただし、「1週間以上症状が続く」「徐々に悪化している」と感じる場合は、早めの受診をおすすめします。
診察で医師が確認すること──問診・聴診・検査の流れ
肺炎が疑われる場合、医療機関では以下のような流れで診察・検査が行われます。
①問診
医師はまず症状の経過を詳しく聞きます。受診時に伝えるとスムーズな情報としては、いつから症状が始まったか、熱の推移(体温の記録があれば持参)、咳の性状(乾いた咳か、痰が絡むか)、息切れの程度(安静時か、動いたときか)、既往歴(糖尿病、心臓病、呼吸器疾患など)、服用中の薬、最近のワクチン接種歴などがあります。
②聴診・身体診察
聴診器で肺の音を確認します。肺炎では「断続性ラ音」と呼ばれる特徴的な音が聞こえることがあります。また、呼吸数や脈拍、血圧、酸素飽和度(SpO2)も測定し、重症度を評価します。
③画像検査(胸部X線)
胸部X線(レントゲン)は、肺炎の有無を確認するための基本的な検査です。肺に炎症があると、胸部X線異常影(浸潤影、すりガラス影など)として写ることがあります。
④血液検査
白血球数やCRP(炎症反応の指標)などを調べ、感染の程度を評価します。重症度評価にはBUN(尿素窒素)なども用いられます。
当院(金沢消化器内科・内視鏡クリニック野々市中央院・金沢駅前院)では、消化器内科・内科として、発熱や咳などの急性症状にも対応しております。両院ともCT検査が可能ですので、必要に応じて詳細な画像検査を行うこともできます。ただし、検査の適応は症状や状態を医師が診察したうえで判断いたします。
胸部X線とCTの違い──画像検査が必要な場面

肺炎の診断には胸部X線が広く用いられますが、胸部CTとX線の違いを理解しておくことも大切です。
胸部X線の特徴
胸部X線は、簡便で被ばく量が少なく、多くの医療機関で実施可能な検査です。肺炎の診断において最初に行われる画像検査として広く用いられています。
ただし、胸部X線は早期の肺炎や小さな病変、肥満の方や慢性肺疾患がある方では見逃しの可能性があることが報告されています。また、骨や心臓と重なる部分は評価が難しい場合があります。
胸部CTの特徴
胸部CTは、肺を輪切りにした詳細な画像を得ることができ、胸部X線では検出が難しい病変も描出しやすいのが特徴です。研究によっては、CTの検出精度がX線を大きく上回ることが示されています。
ただし、CTはX線より被ばく量が多く、費用も高いため、すべての患者さんに行うわけではありません。
CTが必要となる場面
医師がCT検査を検討する状況としては、以下のようなケースがあります。
- 胸部X線で異常が見えないが、症状から肺炎が強く疑われる場合
- 重症で詳細な評価が必要な場合
- 肺炎以外の病気(肺塞栓症、肺がんなど)との鑑別が必要な場合
- 治療効果の判定や合併症の評価が必要な場合
【重要】画像検査の選択は医師が判断 どの検査を行うかは、症状や身体所見、患者さんの状態を総合的に評価して医師が決定します。「CTを撮ってほしい」というご希望があれば、受診時にお伝えいただければ、必要性について説明いたします。
心不全など他の病気との見分け方と紹介の目安
発熱・咳・息切れは肺炎の典型的な症状ですが、同様の症状を引き起こす他の病気もあります。特に以下の疾患との鑑別が重要です。
鑑別が必要な疾患
心不全:心臓のポンプ機能が低下し、肺に水がたまることで息切れが生じます。特に「横になると息苦しい」「夜間に咳が悪化する」「足がむくむ」といった症状がある場合は心不全の可能性があります。
肺塞栓症:足などの血管にできた血栓が肺の血管に詰まる病気です。突然の息切れや胸痛、血痰などが特徴で、緊急性が高い疾患です。
気管支喘息・COPD(慢性閉塞性肺疾患):慢性的な咳や息切れを引き起こします。感染をきっかけに悪化することもあります。
気胸:肺に穴が開いて空気が漏れる病気です。突然の胸痛と息切れが特徴です。
【重要】こんな症状は救急対応を
- 突然の激しい胸痛
- 急激に悪化する息苦しさ
- 血を吐いた(喀血)
- 意識がもうろうとする
これらの症状がある場合は、救急車(119番)を呼ぶことを躊躇しないでください。
受診の目安まとめ
救急受診(救急車を含む)を検討
- 安静時も息苦しい、会話が困難
- SpO2が93%以下
- 意識がぼんやり、反応が鈍い
- 唇や爪が紫色
- 突然の激しい胸痛
- 血を吐いた
日中の外来受診を推奨
- 38度以上の発熱が3日以上続く
- 1週間以上咳が続き、改善しない
- 痰の色が黄色・緑色・茶色に変わった
- 息を吸うと胸が痛い
- 倦怠感が強く、食欲がない
様子を見てよい目安
- 37度台の微熱で、水分・食事がとれている
- 咳はあるが軽度で、息苦しさはない
- 症状が徐々に改善傾向にある
ただし、様子を見ていても「悪化している気がする」「不安が強い」という場合は、早めに相談されることをおすすめします。
金沢・野々市・白山市エリアで相談できる当院について
金沢消化器内科・内視鏡クリニックでは、野々市中央院・金沢駅前院の両院で、発熱や咳などの急性症状にも対応しており、胸部XP、CT、呼吸機能検査も可能です。また循環器疾患(心不全、不整脈など)や呼吸器専門的な治療が必要と判断された場合は、連携する専門医療機関へご紹介いたします。
▶ [当院のCT検査の詳細はこちら]
まとめ
発熱・咳・息切れは、肺炎をはじめとするさまざまな病気のサインである可能性があります。特に「安静時も息苦しい」「意識がぼんやりする」「SpO2が93%以下」といった危険サインがある場合は、早急な受診が必要です。
一方で、症状が軽く、水分や食事がとれている場合は、まずは日中の外来受診を検討してよいでしょう。
肺炎は早期に発見し、適切な治療を受ければ、多くの場合は回復が期待できる病気です。「風邪が長引いているだけかも」と思っても、1週間以上症状が続く場合や、徐々に悪化している場合は、無理せず医療機関に相談してください。
- 風邪と肺炎はどう見分けますか?
-
風邪は主に鼻や喉の症状が中心で、多くの場合は数日〜1週間程度で症状のピークを越えます。一方、肺炎は高熱が続く、咳が悪化する、息苦しさがあるなどの特徴があります。症状だけで判断するのは難しいため、1週間以上続く場合は受診をおすすめします。
- 肺炎で病院に行く目安は何日ですか?
-
38度以上の発熱が3日以上続く、咳が1週間以上続く、息苦しさがある場合は受診を検討してください。安静時も息苦しい、意識がぼんやりするなどの症状があれば、救急受診が必要な場合もあります。
- 肺炎の検査は何をしますか?
-
問診・聴診のほか、胸部X線、血液検査が基本です。症状や状態によっては、より詳細な胸部CT検査を行うこともあります。検査の選択は医師が総合的に判断します。
- 胸部X線で異常がなくても肺炎の可能性はありますか?
-
はい、あります。X線は早期の肺炎や小さな病変を見逃す可能性があります。症状が続く場合は、CTなど追加検査を検討することがあります。
- 肺炎と心不全の症状の違いは何ですか?
-
どちらも息切れを起こしますが、心不全では「横になると息苦しい」「足のむくみ」が特徴的です。肺炎では発熱や痰を伴う咳が多くみられます。ただし、合併することもあるため、医師の診察が重要です。
- CT検査はどんなときに必要ですか?
-
X線で異常が見えないが症状から肺炎が疑われる場合、重症の場合、他の病気との鑑別が必要な場合などにCTを検討します。必要性は医師が判断します。
- 肺炎は自然に治りますか?
-
ウイルス性肺炎の一部は自然軽快することもありますが、細菌性肺炎は抗菌薬治療が必要です。自己判断で様子を見ると重症化するリスクがあるため、症状が続く場合は受診をおすすめします。
- 高齢者の肺炎で気をつける症状は何ですか?
-
高齢者では典型的な発熱や咳が出にくく、「なんとなく元気がない」「食欲低下」「意識がぼんやり」といった症状で発症することがあります。いつもと様子が違う場合は早めに受診してください。
参考文献
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