インジゴカルミン内視鏡検査は、消化管の粘膜を詳しく観察するために、インジゴカルミンという青色の色素を用いる特別な内視鏡検査です。
検査は、通常の内視鏡検査では見つけにくい微細な病変や、がんなどの悪性腫瘍の範囲をより明確に捉えることを目的とします。
この記事では、インジゴカルミン内視鏡検査がどのようなもので、どのような手順で行われるのか、特徴について詳しく解説します。
インジゴカルミン内視鏡検査の基本
インジゴカルミン内視鏡検査は、消化管の病変をより詳細に診断するための精密検査の一つです。まずは、この検査法の基礎となる部分、特に使用する色素の役割や通常の内視鏡検査との違いについて理解を深めていきましょう。
インジゴカルミンとは何か
インジゴカルミンは、濃い青色をした色素です。インジゴスルホン酸ナトリウムという化合物で、食品添加物や医薬品の着色料として広く利用されていて、かき氷のブルーハワイのシロップや、一部の清涼飲料水にも含まれることがあります。
医療分野では、鮮やかな青色と安全性の高さから、腎機能検査や、今回解説する消化管内視鏡検査の色素として利用します。
消化管の粘膜に直接散布しても体内に吸収されることはほとんどなく、アレルギー反応なども極めてまれであるため、安心して検査に用いることができ、この安全性が、医療現場で長年にわたり使用され続けている理由の一つです。
なぜ消化管の観察に色素を使うのか
消化管の粘膜は、一見すると平坦で均一なピンク色に見えますが、実際には微細な凹凸や模様があり、病気が発生すると構造が変化します。
通常の内視鏡検査でも、明らかな隆起や陥凹、色の変化がある病変は発見できますが、ごく初期のがんや平坦な形のポリープは、周囲の正常な粘膜との区別がつきにくいことがあり、そこで色素の出番です。
インジゴカルミンを散布すると、色素が粘膜のくぼんだ部分に入り込み、粘膜表面の模様が青い線で縁取られたように浮かび上がります。
この現象により、正常な粘膜と病変部の構造の違いが明確になり、医師は病変の存在や広がりを正確に把握できるのです。
通常の内視鏡検査との違い
通常の内視鏡検査とインジゴカルミン内視鏡検査の最も大きな違いは、観察の精度にあります。
通常の内視鏡検査が消化管全体を広く観察し、異常な部分を探すスクリーニング的な役割を担うのに対し、インジゴカルミン内視鏡検査は、発見された病変をさらに詳しく調べる精密検査としての役割を持ちます。
いわば、地図で目的地を探すのが通常検査、目的地の詳細な地図を拡大して見るのが色素内視鏡検査、と例えることができます。
色素を用いることで、病変の境界線をミリ単位で特定したり、表面の微細な構造から良性か悪性かをある程度推測したりすることが可能です。
観察精度の比較
項目 | 通常の内視鏡検査 | インジゴカルミン内視鏡検査 |
---|---|---|
観察方法 | 白色光による直接観察 | 色素散布による粘膜模様の強調 |
主な目的 | 病変の発見(スクリーニング) | 病変の詳細な観察(精密検査) |
発見しやすい病変 | 隆起や陥凹が明確な病変 | 平坦で境界不明瞭な微細病変 |
どのような人が対象となるのか
インジゴカルミン内視鏡検査は、すべての人に行うわけではなく、主に、通常の内視鏡検査で何らかの異常が疑われた場合や、特定の疾患のリスクが高いと判断された場合が対象です。
過去に大腸ポリープや早期がんを治療した経験のある方、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患を長く患っている方、あるいは遺伝的に大腸がんのリスクが高い家系の方などが挙げられます。
医師が通常の内視鏡検査中に、より詳細な観察が必要だと判断した際に、その場で色素を散布して検査を追加することもあります。
精密検査の対象となる症状
- 原因不明の腹痛
- 便に血が混じる
- 長引く下痢や便秘
- 急な体重減少
インジゴカルミン色素の特性と役割
この検査法を理解する上で、中心的な役割を果たすインジゴカルミン色素そのものの特性を知ることは非常に重要です。色素がどのようにして病変の発見に貢献するのか、仕組みと安全性について掘り下げていきます。
色素の主成分と安全性
インジゴカルミンの主成分はインジゴスルホン酸ナトリウムで、食品衛生法で食用青色2号として指定されている着色料であり、安全性は国によって厳しく管理されています。
内視鏡検査で使用する量はごくわずかであり、消化管の粘膜から体内に吸収されることはほとんどありません。
散布された色素は、便とともに自然に体外へ排出されるため、体への負担は極めて少ないと考えられています。ただし、非常にまれですが、アレルギー反応を示す可能性はゼロではありません。
過去に食品や薬でアレルギーを経験したことがある方は、事前に医師に伝えておくことが大切です。
インジゴカルミン色素の基本情報
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
分類 | 食用色素(食用青色2号) | 食品添加物として認可 |
色調 | 濃青色 | 水に溶かして使用 |
体内動態 | ほとんど吸収されない | 便と共に排出される |
粘膜の凹凸を強調する仕組み
インジゴカルミンは、粘膜自体を染める染色液とは異なり、これはコントラスト法と呼ばれる手法で、粘膜の表面にある微細なくぼみや溝に色素液が溜まることで、粘膜の模様を立体的に浮かび上がらせます。
健康な粘膜には、部位ごとに規則正しい模様(ピットパターンと呼ばれます)があり、大腸の正常な粘膜は、小さな円形や卵円形の模様が整然と並んでいます。
しかし、がんなどの病変が発生すると、この規則正しい模様が乱れたり、不規則な形になったりします。
インジゴカルミンを散布することで、模様の変化が青い線画のように明確に描き出され、正常な部分との違いを視覚的に捉えやすくなるのです。
病変の境界を明確にする効果
平坦な形のがん(表面型腫瘍)は、周囲の正常な粘膜との境界が非常に曖昧なことがあり、このような病変を治療する際には、病変を完全に取り切ることが重要です。
インジゴカルミンを散布すると、病変部の不規則な模様と正常部の規則正しい模様との境目がはっきりとします。
医師は病変の正確な広がりを診断でき、内視鏡治療(EMRやESD)を行う際の切除範囲を正確に決定するための重要な情報を得ることができます。
体内への吸収について
インジゴカルミンは水溶性の色素であり、分子のサイズが比較的大きいため、消化管の粘膜細胞の隙間を通り抜けて体内に吸収されることはほとんどありません。
粘膜表面に付着し、その役割を終えた後は、消化管内の水分と共に腸を移動し、最終的には便として排出されます。検査後に便が青みがかることがありますが、これは色素が排出されている正常な過程であり、心配は要りません。
この非吸収性という特性が、インジゴカルミンが安全な色素として消化管検査に広く用いられている根拠となっています。
インジゴカルミン内視鏡の作り方と準備
インジゴカルミン内視鏡という特別な機械があるわけではなく、この検査は通常の内視鏡に加えて、医療現場で準備されたインジゴカルミン色素液を用いて行います。
医療現場での色素液の調製方法
インジゴカルミンは、通常、濃度の高い原液がアンプル(ガラス製の密閉容器)に入った状態で供給され、検査で使用する際には、原液を滅菌された生理食塩水で薄めて、適切な濃度に調整します。
調製された色素液は、注射器(シリンジ)に充填され、内視鏡の先端から消化管内に散布できるように準備され、調製の過程では、正確な濃度管理と衛生管理が極めて重要です。
濃度調整の重要性
色素液の濃度は、観察する臓器や目的によって微妙に調整します。濃度が薄すぎると粘膜の模様が十分に強調されず、病変を見逃す原因になり、濃すぎると、粘膜全体が真っ青に染まってしまい、かえって凹凸が見えにくくなることがあります。
医師は、観察したい粘膜の状態や病変の種類を考慮し、最適なコントラストが得られるように濃度を決定し、微妙なさじ加減が、質の高い検査を行うための専門的な技術の一つです。
部位に応じた色素濃度の目安
観察部位 | 一般的な濃度 | 目的 |
---|---|---|
食道 | 0.2% – 0.5% | 表面構造の詳細な観察 |
胃 | 0.1% – 0.2% | 陥凹性病変の境界確認 |
大腸 | 0.1% – 0.4% | ポリープの表面模様の観察 |
散布に使用する器具
調製したインジゴカルミン液を消化管内に均一に散布するため、専用の器具を使用します。
スプレーカテーテルと呼ばれる細いチューブを内視鏡の鉗子口(器具を出し入れする穴)から通して、先端から霧状に色素を噴霧することで、、観察したい範囲にムラなく色素を行き渡らせることができます。
医師は内視鏡の操作と合わせて、カテーテルを巧みに操り、病変に対して最適な角度と距離から色素を散布します。
- スプレーカテーテル
- 注射器(シリンジ)
- 接続チューブ
衛生管理と品質保持
内視鏡検査で使用するすべての器具は、厳格な衛生管理のもとで運用し、インジゴカルミン液を調製する生理食塩水や注射器、スプレーカテーテルは、すべて滅菌済みの使い捨て製品を使用するのが原則です。
患者さんから患者さんへ細菌やウイルスが感染するリスクを徹底的に排除し、また、インジゴカルミンの原液自体も品質が保たれたものを使用し、開封後は速やかに使い切ることで、色素の劣化を防ぎます。
インジゴカルミン内視鏡検査の具体的な手順
実際に検査を受けるとなった場合、どのような流れで進むのかは最も気になるところでしょう。ここでは、検査前の準備から検査後の説明まで、一連の手順を時系列に沿って詳しく説明します。
検査前の準備(食事と下剤)
インジゴカルミン内視鏡検査、特に大腸を対象とする場合、正確な観察のためには腸内を空にしておく必要があります。検査前日は、消化の良い食事をとり、夜に医師から指示された下剤を服用します。
検査当日は、朝から腸管洗浄液という液体の下剤を約1リットルから2リットル、数時間かけて飲み、腸内をきれいに洗浄し、便の残りかすがない状態にします。
胃の検査の場合は、前日の夕食後から絶食するだけで、腸管洗浄液の服用は必要ありません。正確な検査のためには、この前処置が非常に重要なので、医師や看護師の指示に必ず従ってください。
大腸検査前日の食事例
分類 | 食べて良いもの | 避けるべきもの |
---|---|---|
主食 | おかゆ、うどん、食パン | 玄米、そば、ラーメン |
おかず | 豆腐、鶏ささみ、白身魚 | きのこ類、海藻類、こんにゃく |
飲み物 | 水、お茶、スポーツドリンク | 牛乳、色の濃いジュース、アルコール |
検査室での流れ
検査当日は、指定された時間に医療機関へ行き、腸の状態を確認した後、検査着に着替えて検査室に入ります。検査台の上に横になり、リラックスした状態を保ち、多くの施設では、検査の苦痛を和らげるために鎮静剤を使用します。
点滴のルートを確保し、血圧計や心電図モニターなどを装着して、全身の状態を管理しながら安全に検査を進め、準備が整うと、医師が検査を開始します。
内視鏡の挿入と色素の散布
医師は、肛門または口から内視鏡をゆっくりと挿入し、目的の部位まで進め、まず、通常の内視鏡観察(白色光観察)で消化管全体をくまなく観察し、異常がないかを確認します。
ポリープやがんが疑われる病変、あるいは粘膜の色の変化など、詳しく調べる必要がある部分を見つけた時点で、インジゴカルミン液の散布を行い、スプレーカテーテルを用いて色素を均一に散布し、粘膜の模様を強調させます。
医師はモニターに映し出される拡大された粘膜像を詳細に観察し、病変の性質や範囲を診断し、必要に応じて、組織の一部を採取する生検も同時に行います。
検査後の安静と説明
検査は通常、観察部位や色素散布の範囲にもよりますが、20分から40分程度で終了し、鎮静剤を使用した場合は、検査後に意識がはっきりするまで、リカバリールームで1時間から2時間ほど安静にします。
完全に目が覚めた後、医師から検査結果について、撮影した内視鏡画像を見ながらどのような所見があったのか、今後の治療方針などの説明があります。
組織を採取した場合は、病理検査の結果が出るまでに1週間から2週間ほどかかりますので、後日改めて結果を聞きに行くことになります。
インジゴカルミン内視鏡検査の主な特徴
この検査法がなぜ精密検査として重要視されているのか、特徴を見ていきましょう。病変の発見精度向上から治療方針の決定に至るまで、多くの利点があります。
微細な病変の発見精度向上
最大の特徴は、通常の内視鏡では見過ごしてしまうような、ごく小さく平坦な病変の発見率を高める点にあり、消化管のがんは、早期の段階で発見し治療すれば、高い確率で治癒が期待できます。
インジゴカルミンによる粘膜模様の強調は、早期発見の精度を飛躍的に向上させます。
大腸にできる陥凹型(へこんだタイプ)の早期がんは、白色光だけでは非常に見つけにくいですが、色素を撒くことで輪郭が明瞭になり、発見が容易になるのです。
インジゴカルミンで発見しやすい病変
病変の種類 | 特徴 | 発見における色素の役割 |
---|---|---|
表面型早期がん | 平坦で隆起や陥凹が乏しい | 病変の境界と表面構造を明瞭化する |
微小ポリープ | サイズが数ミリと小さい | 周囲の粘膜とのコントラストを高める |
炎症性腸疾患の異形成 | 炎症で粘膜が変化し見つけにくい | がん化リスクのある部位を特定しやすくする |
良性・悪性の鑑別補助
インジゴカルミンによって強調された粘膜の表面模様(ピットパターン)を詳細に観察することで、病変が良性(ポリープなど)なのか、悪性(がん)なのかをある程度推測することができます。
これはピットパターン診断と呼ばれ、専門医が拡大内視鏡と組み合わせて行うことで、非常に高い精度で鑑別が可能になり、正常な円形のピットが、がん化すると歪んだり、不明瞭になったりします。
この情報により、不要な生検(組織採取)を減らしたり、逆に悪性が強く疑われる場合には、より確実な診断と迅速な治療計画につなげたりすることが可能です。
治療方針決定への貢献
病変の正確な範囲診断は、治療方針を決定する上で極めて重要です。インジゴカルミンで病変の広がりが正確にわかれば、内視鏡で切除可能か、あるいは外科手術が必要かの判断をより的確に行うことができます。
内視鏡治療が可能な場合でも、切除範囲を正確に設定できるため、病変の取り残しを防ぎ、かつ正常な粘膜へのダメージを最小限に抑えることができます。
検査時間の変動について
インジゴカルミン内視鏡検査は、通常の内視鏡検査に加えて色素を散布し、詳細な観察を行うため、その分だけ検査時間が長くなります。
通常の大腸内視鏡検査が15分から20分程度で終わるのに対し、色素を用いた精密検査では30分から40分、場合によってはそれ以上かかることもありますが、時間の延長は、より正確な診断と治療のために必要なものです。
鎮静剤を使用することが多いため、患者さんが時間経過による苦痛を感じることはほとんどありません。
インジゴカルミン内視鏡検査を受ける際の注意点
検査を安全かつスムーズに受けるために、患者さん自身に知っておいていただきたい注意点がいくつかあります。検査前から検査後までの生活上の留意点をまとめました。
検査前の食事制限の詳細
大腸検査の場合、前処置の精度が検査の質を決定するので、検査前日に食べるものは、消化が良く、腸に残りかすが少ないものを選びます。
きのこ類、海藻類、こんにゃく、種子の多い果物(キウイ、いちごなど)は、腸壁に残りやすいため避けることが必要です。医療機関によっては、検査食と呼ばれる専用のレトルト食品を用意している場合もあります。
食事に関する指示は、必ず守るようにしてください。水分は、脱水を防ぐためにも積極的に摂取しますが、牛乳などの乳製品や、色の濃いジュースは避けて、水やお茶、スポーツドリンクなどを選びましょう。
服用中の薬に関する相談
日常的に服用している薬がある場合は、必ず事前に主治医に相談してください。
血液をサラサラにする薬(抗凝固薬や抗血小板薬)を服用している方は、組織採取(生検)やポリープ切除を行う際に出血のリスクが高まるため、一時的に休薬が必要になる場合があります。ただし、自己判断での休薬は大変危険です。
また、糖尿病の薬や血圧の薬なども、検査当日の服用について調整が必要な場合がありますので、忘れずに申し出てください。
検査当日の服装と持ち物
検査当日は、着替えやすいゆったりとした服装で来院することをお勧めします。検査着に着替えるため、脱ぎ着が楽なものが便利です。鎮静剤を使用する場合、検査後は車やバイク、自転車の運転はできません。
公共交通機関を利用するか、家族に送迎を依頼するように計画し、持ち物については、医療機関からの案内に従ってください。一般的には、健康保険証、診察券、同意書などが必要です。
- 健康保険証・診察券
- 検査の同意書
- お薬手帳
- 着替え(必要な場合)
検査後の生活上の留意点
検査が無事に終了した後も、いくつか注意すべき点があります。鎮静剤を使用した日は、眠気や判断力の低下が続くことがあるため、精密な作業や重要な判断は避けて、ゆっくりと過ごすことが大事です。
食事は、胃の検査であれば1時間後くらいから、大腸の検査であればお腹の張りが落ち着いてから摂取でき、最初は、おかゆなど消化の良いものから食べ始めるのが良いでしょう。
また、検査で腸に空気を入れるため、お腹が張ることがありますが、ガス(おなら)を出すことで楽になりますので、我慢しないようにしてください。
検査後の注意点まとめ
項目 | 注意内容 | 理由 |
---|---|---|
運転 | 当日は不可 | 鎮静剤の影響で判断力が低下するため |
食事 | 消化の良いものから開始 | 検査後の消化管への負担を軽減するため |
アルコール | 当日は控える | 鎮静剤の効果を増強させたり、血行を促進させたりするため |
インジゴカルミン内視鏡検査に関するよくある質問
最後に、インジゴカルミン内視鏡検査について、患者さんからよく寄せられる質問と回答をまとめました。
- 検査中に痛みはありますか
-
通常はほとんど痛みを感じません。内視鏡が腸の曲がり角を通過する際に、お腹が張るような感覚や軽い圧迫感を感じることがありますが、強い痛みが生じることはまれです。
多くの医療機関では、検査による苦痛を最小限に抑えるために鎮静剤を使用します。鎮静剤を使うと、うとうとと眠っているような状態で検査を受けることができるため、気づいたら検査が終わっていたという方がほとんどです。
痛みが心配な方は、事前に医師に相談してください。
- 検査時間はどのくらいかかりますか
-
検査時間自体は20分から40分程度が目安で、観察する範囲や病変の有無、色素散布や組織採取の必要性によって変動します。通常の内視鏡検査に比べると、詳細な観察を行う分、少し長くなる傾向があります。
ただし、これは来院してから帰宅するまでの時間ではありません。検査前の準備や検査後の安静時間を含めると、全体では3時間から4時間程度の滞在時間を見ておくと良いでしょう。
- 色素を使うことによる体への影響はありますか
-
体への悪影響はほとんどなく、インジゴカルミンは食品添加物としても使われる安全性の高い色素で、消化管の粘膜から体内に吸収されることはほぼありません。アレルギー反応も極めてまれです。
検査後に便が青くなることがありますが、これは色素が便と一緒に排出されているだけで、数日以内に元に戻ります。健康上の問題はありませんので、心配しないでください。
- 検査後、食事はいつからとれますか
-
検査後にお腹の張りがおさまれば食事をとることができ、鎮静剤を使用した場合は、意識がはっきりしてからになります。おおよその目安として、検査終了後1時間から2時間後から可能です。
ただし、検査後の最初の食事は、胃腸に負担をかけないよう、おかゆやうどんなど、消化の良いものから始めることをお勧めします。
組織採取やポリープ切除を行った場合は、出血予防のために、食事内容やアルコール摂取に関して追加の指示がある場合がありますので、医師の指示に従ってください。
以上
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