
薬が効かない胸やけ。
その原因は「胃酸」
ではなく
「呼吸」かも。
「胃薬を飲み続けているのに、すっきりしない」「朝起きると、口の中が酸っぱい・苦い」——このような症状に悩んでいる場合、睡眠中の呼吸が影響している可能性があります。
この記事では、胃薬が効きにくい逆流性食道炎と睡眠時無呼吸症候群の関係について解説します。

胃薬は胃酸を抑えるが、逆流そのものは止められない
一般的な胃薬(PPIやP-CAB)は、胃酸の分泌を抑える薬です。胃酸の量や強さを減らすことには効果的ですが、胃の内容物が食道に上がってくる「逆流」という物理的な現象そのものを止めることはできません。
睡眠時無呼吸症候群の方の場合、睡眠中に胃の内容物が食道へ吸い上げられるような現象が起きている可能性があります。この場合、胃酸を抑えるだけでは症状が十分に改善しないことがあります。

無呼吸が胃酸逆流を引き起こすメカニズム

睡眠時無呼吸症候群の方に逆流が起こりやすい理由は、「胸腔内陰圧(きょうくうないいんあつ)」と呼ばれる現象にあります。
睡眠中に舌の付け根などが落ち込み、気道が塞がると(無呼吸の状態)、それでも体は呼吸しようとして横隔膜を強く動かします。空気の通り道が塞がっているのに無理に息を吸おうとするため、胸の中に強い陰圧(吸引力)が発生します。
この吸引力が、胃の中にあるものを食道へ引き上げてしまうことがあります。たとえるなら、ストローで飲み物を吸い上げるのと似た原理です。
つまり、睡眠中に無意識のうちに胃の内容物を吸い上げてしまっている状態が起きている可能性があります。これが、胃薬だけでは改善しにくい逆流性食道炎の原因となることがあります。

CPAP療法による改善の可能性
この「吸引」を防ぐためには、気道が塞がらないようにすることが重要です。生活習慣の改善(体位変換や減量など)に加えて、睡眠時無呼吸症候群の治療に使われるCPAP(シーパップ)療法が有効な場合があります。
CPAP療法は、睡眠中に鼻から空気を送り込み、気道を広げて呼吸を確保する治療法です。
陰圧の解消として、気道が開くことで、胸の中に無理な吸引力が発生しにくくなります。
逆流の抑制として、空気の圧力が胃の内容物が上がってくるのを抑える効果も期待されています。
胃薬と併用してCPAP療法を行うことで、薬だけでは改善しなかった症状が軽減する場合があります。

こんな症状がある方は睡眠の検査をご検討ください
以下のような症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群が関係している可能性があります。
強い胃薬(PPI/P-CAB)を飲んでも症状が残る方、就寝中に酸っぱいものが上がってきて咳き込んで目が覚める方、枕を高くしないと眠れない・座って寝ることがある方、肥満傾向があり、いびきを指摘されたことがある方、朝起きたときにのどがヒリヒリする・声が枯れている方は、胃の検査だけでなく、睡眠の検査を受けることをお勧めします。
逆流性食道炎の標準治療は薬物療法と生活習慣の改善ですが、上記の項目が複数当てはまる場合は、睡眠時無呼吸症候群の検査も検討されることをお勧めします。

まとめ
胃薬を飲んでも逆流性食道炎の症状が改善しない場合、睡眠時無呼吸症候群が関係している可能性があります。
睡眠中に気道が塞がると、胸の中に強い吸引力が発生し、胃の内容物が食道へ引き上げられることがあります。この場合、胃酸を抑える薬だけでは十分な効果が得られないことがあります。
いびきや日中の眠気、夜間の逆流症状がある方は、消化器内科での治療に加えて、睡眠の検査を受けることで、より効果的な治療につながる可能性があります。
よくある質問
Q. 胃薬をやめてCPAP療法だけで逆流性食道炎は治りますか?
CPAP療法は逆流の「物理的な原因」にアプローチする治療であり、胃酸そのものを減らす効果はありません。多くの場合、胃薬とCPAP療法を併用することで、より効果的に症状を改善できます。自己判断で胃薬を中止せず、医師と相談しながら治療を進めてください。
Q. 逆流性食道炎があれば、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けるべきですか?
すべての逆流性食道炎の方に睡眠時無呼吸症候群があるわけではありません。ただし、胃薬を飲んでも症状が改善しない方、いびきをかく方、肥満傾向のある方、夜間に逆流症状で目が覚める方は、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けることをお勧めします。
Q. 逆流性食道炎と睡眠時無呼吸症候群の両方がある場合、どちらを先に治療すべきですか?
両方の治療を並行して行うことが効果的な場合が多いです。逆流性食道炎に対しては胃薬による治療と生活習慣の改善を行い、睡眠時無呼吸症候群に対してはCPAP療法などを検討します。両方の治療を組み合わせることで、互いの症状改善につながる可能性があります。具体的な治療方針については、医師にご相談ください。
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