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いびきと日中の眠気が気になる方へ|金沢駅前で睡眠時無呼吸症候群を診断

 

「最近、会議中にどうしても眠くなってしまう」「家族から夜中にいびきがひどいと言われた」――そんなお悩みを抱えていらっしゃいませんか。十分に寝ているはずなのに日中に強い眠気を感じたり、朝起きたときに疲れが取れていなかったりする場合、それは単なる寝不足ではなく、睡眠時無呼吸症候群という病気のサインかもしれません。

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何度も呼吸が止まることで体が十分に休めず、高血圧や心筋梗塞、脳梗塞といった深刻な病気につながるリスクが高まる疾患です。しかし、適切な検査と治療を受けることで、症状は大きく改善できます。

この記事では、金沢駅前の当クリニックで行っている睡眠時無呼吸症候群の検査から治療まで、皆さまが安心して一歩を踏み出せるよう、総合内科専門医の立場から分かりやすくお伝えします。

この記事のポイント

  • 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まることで心血管疾患のリスクが高まる疾患です
  • 自宅で手軽にできる簡易検査から始められ、費用は保険適用で3割負担の方なら約3,500円です
  • 金沢駅前という立地で、お仕事帰りにも通いやすく、総合内科専門医が全身の健康管理を含めてサポートします
  •  

いびきや日中の眠気でお悩みの方、ご家族から指摘を受けた方は、どうぞお気軽にご相談ください。検査や治療について、丁寧にご説明いたします。

オンライン予約はこちら 電話予約:076-210-7140

目次

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群は、英語でSleep Apnea Syndromeと呼ばれ、頭文字を取ってSAS(サス)とも言われます。医学的には、睡眠中に10秒以上呼吸が止まる状態(無呼吸)や、呼吸が弱くなる状態(低呼吸)が、1時間あたり5回以上繰り返される場合に診断されます。

息が止まっている間、体は酸欠状態になり、その都度、脳が短時間だけ覚醒して呼吸を再開させます。この覚醒は本人が気づかないほど短いものですが、睡眠の質が大きく損なわれてしまいます。結果として、長時間寝ているのに疲れが取れない、日中に強い眠気を感じるといった症状が現れるのです。

日本呼吸器学会が2020年に発行した診療ガイドラインによれば、日本国内には推定で数百万人の潜在患者がいるとされ、実際に治療を受けている方は40万人を超えています。決して珍しい病気ではなく、多くの方が悩んでいる疾患なのです。

睡眠時無呼吸症候群には、大きく分けて閉塞性と中枢性の2つのタイプがあります。最も多いのは閉塞性睡眠時無呼吸で、喉の周りの筋肉が緩んで気道が狭くなったり塞がったりすることで起こります。特に肥満の方に多く見られますが、日本人の場合、顎が小さい方や扁桃腺が大きい方など、痩せ型の方でも発症することがあります。

主な症状と放置すると起こるリスク

睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状は、大きないびきと日中の眠気です。ご本人は寝ている間のことなので気づきにくく、多くの場合、ご家族から「いびきがすごい」「息が止まっていて心配」と指摘されて初めて気づきます。

日中の症状としては、会議中や運転中にどうしても眠くなる、集中力が続かない、朝起きたときに頭が重い、何度も夜中にトイレに起きてしまう、といったことが挙げられます。また、起床時の口の渇きや頭痛も、この病気の特徴的なサインです。

睡眠時無呼吸症候群の本当の怖さは、放置することで全身の健康に深刻な影響を及ぼす点にあります。睡眠中に繰り返し酸欠状態になることで、心臓や血管に大きな負担がかかり、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、不整脈といった心血管疾患のリスクが健康な方と比べて3倍から4倍高くなるという研究結果が報告されています。

また、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病とも密接に関係しており、これらの病気をお持ちの方は睡眠時無呼吸症候群を合併している可能性が高いことが分かっています。実際、当院でも高血圧や糖尿病の治療中に睡眠時無呼吸症候群が見つかり、両方を同時に治療することで全体の体調が改善されるケースを多く経験しています。

さらに見逃せないのが、日中の眠気による交通事故や労働災害のリスクです。居眠り運転による重大事故は、睡眠時無呼吸症候群の患者さんで起こる確率が健康な方の約7倍高いとされています。ご自身の健康だけでなく、大切なご家族や周囲の方の安全を守るためにも、早めの診断と治療が重要です。

検査の具体的な流れと当院の特徴

睡眠時無呼吸症候群の検査は、まず自宅でできる簡易検査から始まります。当院では、初診時に問診と診察を行い、睡眠時無呼吸症候群の可能性が疑われる場合、簡易検査の機器をお貸しします。

簡易検査は、指先に装着するセンサーと鼻の下に取り付けるセンサーを使って、ご自宅でいつも通りに眠っていただくだけです。睡眠中の酸素濃度、呼吸の状態、いびきの回数などを自動的に記録します。翌日、機器を当院にお返しいただき、数日後に結果をお伝えします。

簡易検査の結果、無呼吸低呼吸指数が1時間あたり40回以上の重症の場合は、この検査だけで睡眠時無呼吸症候群と診断され、CPAP治療を保険診療で開始できます。40回未満の場合は、より詳しい精密検査が必要になることがあります。精密検査は専門の医療機関での一泊入院検査となりますが、当院から近隣の検査可能な医療機関へご紹介いたしますので、ご安心ください。

当院の特徴は、金沢駅から徒歩圏内という立地の良さに加えて、総合内科専門医として全身の健康状態を包括的に診られる点です。睡眠時無呼吸症候群の患者さまの多くは、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を併せ持っています。当院では、これらの疾患も含めて一貫した管理を行い、お一人おひとりに最適な治療プランをご提案しています。

また、内視鏡検査や消化器疾患の診療も専門としているため、睡眠時無呼吸症候群に伴う逆流性食道炎などの消化器症状にも対応できます。お仕事帰りにも通いやすい診療時間帯を設けていますので、忙しい方でも無理なく通院を続けていただけます。

治療法について―CPAP療法を中心に

睡眠時無呼吸症候群の治療法には、主にCPAP療法、マウスピース療法、外科的手術、そして生活習慣の改善があります。症状の重症度や原因によって、最適な治療法は異なります。

最も一般的で効果が高いのがCPAP療法です。CPAPは持続陽圧呼吸療法のことで、就寝時に鼻に装着した専用マスクから空気を送り込み、気道を常に開いた状態に保つ治療法です。多くの患者さまが、CPAP療法を始めた初日から睡眠の質が改善し、日中の眠気が軽減したと実感されています。

CPAP装置は医療機関からレンタルする形で使用します。月に1回の通院が必要ですが、装置の使用状況や体調の変化を確認しながら、きめ細かくサポートしていきます。最近では、装置自体が小型化・静音化され、マスクの種類も豊富になり、患者さまの顔の形やお好みに合わせて選べるようになりました。

軽症から中等症の方で、CPAPに抵抗がある場合は、マウスピース療法も選択肢の一つです。これは就寝時に専用のマウスピースを装着し、下顎を前方に固定することで気道を広げる方法です。歯科医師と連携して作成します。

扁桃腺が極端に大きい方や、顎の形態に明らかな問題がある場合は、耳鼻咽喉科や口腔外科での手術が検討されることもあります。ただし、手術が適応となるケースは限られており、まずは保存的治療を試みることが一般的です。

どの治療法を選択する場合でも、生活習慣の改善は非常に重要です。肥満の方は体重を10パーセント減らすだけで、無呼吸の回数が約26パーセント減少するという報告があります。また、寝る前の飲酒は喉の筋肉を緩め、いびきや無呼吸を悪化させますので、控えることをお勧めします。横向きに寝る姿勢も、気道が塞がりにくくなるため効果的です。

検査と治療にかかる費用―保険適用について

睡眠時無呼吸症候群の検査と治療は、すべて健康保険が適用されます。多くの方が費用面で不安を感じていらっしゃいますが、実際には皆さまが思っているよりも負担は少なく済みます。

初診時の費用は、健康保険の3割負担の方で約4,000円程度です。これには問診、診察、心電図検査、胸部レントゲンなどの基本的な検査が含まれます。簡易検査の機器レンタル費用は、3割負担の方で約3,500円です。ご自宅で一晩検査を行っていただくだけですので、入院の必要はありません。

CPAP療法の費用は、月額で約5,000円程度です。これには装置のレンタル代、マスクなどの消耗品、月1回の診察料がすべて含まれています。装置を購入する必要はなく、レンタル形式ですので、故障時の対応や機器の交換もスムーズに行えます。

精密検査が必要な場合は、一泊入院での終夜睡眠ポリグラフ検査となり、医療機関によって異なりますが、3割負担の方でおおよそ2万5千円から4万円程度が目安です。ただし、簡易検査で重症と診断された場合は、精密検査なしでCPAP療法を開始できます。

高血圧や糖尿病などの合併症がある方は、それらの治療費が別途必要になりますが、当院では睡眠時無呼吸症候群の治療と合わせて効率的に管理していきますので、複数の医療機関を受診する手間が省けます。

項目 費用の目安(3割負担)
初診(問診・診察・基本検査) 約4,000円
簡易検査(自宅) 約3,500円
CPAP療法(月額) 約5,000円
精密検査(一泊入院、必要時) 約25,000〜40,000円

よくあるご質問

Q1. いびきをかくだけで睡眠時無呼吸症候群なのでしょうか?

いびきをかくからといって、必ずしも睡眠時無呼吸症候群というわけではありません。ただし、大きないびきに加えて、日中に強い眠気を感じる、朝起きたときに疲れが取れていない、ご家族から息が止まっていると指摘されるといった症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高くなります。多くの方が同じように心配されていますが、簡易検査で確認できますので、気になる方は一度ご相談ください。

Q2. 痩せているのですが、睡眠時無呼吸症候群になることはありますか?

はい、痩せている方でも睡眠時無呼吸症候群になることはあります。日本人は欧米人と比べて顎が小さい方が多く、また扁桃腺が大きい、舌が大きいといった解剖学的な特徴によって、標準体型や痩せ型の方でも気道が狭くなりやすいのです。体型に関わらず、症状がある方は検査を受けることをお勧めします。

Q3. CPAP治療は一生続けないといけないのでしょうか?

CPAP療法は、多くの場合、継続的な治療が必要になります。ただし、肥満が原因の方は減量に成功すると症状が改善し、治療を中止できることもあります。また、生活習慣の改善や体重管理によって、CPAP装置の圧力を下げられることもあります。定期的に通院していただきながら、患者さまお一人おひとりの状態に合わせて、最適な治療を続けていきましょう。

Q4. 高血圧の薬を飲んでいますが、睡眠時無呼吸症候群と関係がありますか?

非常に密接な関係があります。睡眠時無呼吸症候群の患者さまの約半数が高血圧を合併しており、逆に、薬を飲んでいても血圧のコントロールが難しい方の中には、睡眠時無呼吸症候群が隠れているケースが多くあります。睡眠時無呼吸症候群を治療することで、血圧が下がり、降圧薬の量を減らせることもありますので、両方を同時に管理していくことが大切です。

Q5. 検査や治療のために仕事を休む必要がありますか?

簡易検査はご自宅で行いますので、お仕事を休む必要はありません。CPAP療法も、就寝時に装置を使うだけですので、日常生活への影響はほとんどありません。当院は金沢駅前にあり、夕方の診療時間も設けていますので、お仕事帰りに通院していただけます。むしろ、治療を始めると日中の眠気が改善し、仕事の効率が上がったという方が多くいらっしゃいます。

 

金沢で睡眠時無呼吸症候群をご検討中の方へ

睡眠時無呼吸症候群は、放置すると心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気のリスクを高めてしまいますが、適切な診断と治療を受けることで、症状は大きく改善できます。日中の眠気がなくなり、仕事や家事の効率が上がる、朝の目覚めが爽やかになる、高血圧などの生活習慣病が改善する――こうした変化を実感される方がたくさんいらっしゃいます。

ご家族から「いびきがひどい」「息が止まっている」と指摘された方、日中に強い眠気を感じる方、朝起きたときに疲れが取れていない方は、ぜひ一度ご相談ください。検査は自宅で手軽にでき、費用も保険適用で抑えられます。一人で悩まず、専門医に相談することが、健康な生活への第一歩です。

当院は金沢駅前にあり、総合内科専門医として睡眠時無呼吸症候群だけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病も含めて、トータルで健康をサポートいたします。お仕事帰りにも通いやすい立地ですので、どうぞお気軽にお越しください。皆さまが安心して眠れる夜と、活力ある毎日を取り戻せるよう、私たちが全力でサポートいたします。

睡眠時無呼吸症候群のご相談は、当院までお気軽にどうぞ。ご予約は以下からお進みください。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-11-12 / 最終更新日:2025-11-12

糖尿病のリスクと予防|金沢駅前で食事療法・運動療法を

健康診断で血糖値が高めと指摘されて、ご不安を感じていらっしゃいませんか。「親が糖尿病で大変だったから心配」「このまま放っておくとどうなるのだろう」といったお悩みの方も多いと思います。糖尿病は、適切な知識と生活習慣の改善により、発症を予防したり、進行を遅らせたりすることができる病気です。

この記事では、金沢にお住まいの方に向けて、糖尿病のリスク要因から、科学的根拠に基づいた食事療法・運動療法まで、専門医の視点から分かりやすく解説いたします。当院には管理栄養士も在籍しており、お一人おひとりの生活スタイルに合わせた実践的なサポートをご提供しております。

この記事のポイント

  • 糖尿病は生活習慣の改善により予防・コントロール可能な病気です
  • 食事療法と運動療法を組み合わせることで、発症リスクを約58%減少させることができます
  • 当院では管理栄養士による個別指導で、無理なく続けられる食事改善をサポートします

 

糖尿病や血糖値について、ご不安な点やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。専門医と管理栄養士が、あなたの健康をサポートいたします。

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目次

糖尿病とは?放置するとどうなるのか

糖尿病は、血液中のブドウ糖濃度が慢性的に高くなる病気です。膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり、その働きが低下したりすることで起こります。日本では約1,000万人以上の方が糖尿病を患っているとされ、予備群を含めると約2,000万人にも上ります。

特に注意が必要なのは、2型糖尿病です。これは生活習慣と密接に関係しており、日本人の糖尿病の約95%を占めています。初期段階では自覚症状がほとんどないため、健康診断で初めて指摘される方も少なくありません。

糖尿病を放置すると起こる合併症

糖尿病を放置すると、全身のさまざまな血管が傷つき、深刻な合併症を引き起こす可能性があります。代表的な合併症には以下のようなものがあります。

  • 糖尿病網膜症:目の血管が障害され、視力低下や失明につながることがあります
  • 糖尿病腎症:腎臓の機能が低下し、透析治療が必要になる場合があります
  • 糖尿病神経障害:手足のしびれや痛み、感覚の低下が起こります
  • 心筋梗塞・脳梗塞:動脈硬化が進行し、命に関わる病気のリスクが高まります

こんな症状は要注意

血糖値がかなり高くなると、以下のような症状が現れることがあります。これらの症状に心当たりがある方は、早めに医療機関を受診されることをおすすめします。

  • のどが異常に渇く、水をたくさん飲む
  • トイレの回数が増える、特に夜間の頻尿
  • 疲れやすい、倦怠感が続く
  • 体重が急に減少する
  • 傷が治りにくい、感染症にかかりやすい

糖尿病のリスク要因

糖尿病の発症には、さまざまな要因が関係しています。ご自身のリスク要因を知ることで、効果的な予防策を立てることができます。

遺伝的要因

ご家族に糖尿病の方がいらっしゃる場合、糖尿病を発症しやすい体質を受け継いでいる可能性があります。特に両親や兄弟姉妹に糖尿病の方がいる場合は、定期的な検査が大切です。ただし、遺伝的要因があっても、生活習慣の改善により発症を予防できることが分かっています。

生活習慣に関連するリスク要因

日本人を対象とした研究により、以下の要因が糖尿病のリスクを高めることが明らかになっています。

  • 肥満:特に内臓脂肪型肥満(メタボリックシンドローム)は、インスリン抵抗性を引き起こします
  • 運動不足:身体活動量が少ないと、筋肉でのブドウ糖の利用が減少し、血糖値が上がりやすくなります
  • 食生活の乱れ:高カロリー、高脂肪、高糖質の食事を続けると、膵臓に負担がかかります
  • 加齢:40歳以降、特に中高年になると発症リスクが高まります
  • ストレス:慢性的なストレスは血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促します

糖尿病予備群とは

健康診断で「境界型」「糖尿病予備群」と診断された方は、正常と糖尿病の中間段階にあります。この段階で適切な対策を取れば、糖尿病への進行を防ぐことができます。日本糖尿病学会の基準では、空腹時血糖値が110〜125mg/dL、または75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値が140〜199mg/dLの範囲にある方が該当します。なお、HbA1cが5.6%以上の場合は、より詳しい検査(OGTT)を受けることが推奨されています。

糖尿病の食事療法

糖尿病の予防と管理において、食事療法は最も重要な柱の一つです。当院では管理栄養士が在籍しており、実践的な食事指導をご提供しております。

食事療法の基本的な考え方

糖尿病の食事療法では、極端な制限ではなく、バランスの取れた食事を適切な量で摂ることが大切です。日本糖尿病学会のガイドラインでも、個々の患者さんの状況に応じた柔軟な対応が推奨されています。

エネルギー摂取量の適正化

体重管理は糖尿病予防の鍵となります。大規模な臨床研究により、7%の体重減少を目標とした食事療法により、糖尿病の発症リスクを大幅に低減できることが実証されています。当院の管理栄養士が、お一人おひとりの年齢、活動量、体格に応じた適切なエネルギー量を計算し、無理のない減量計画をご提案いたします。

食事の質を高める具体的な方法

  • 野菜を先に食べる:食物繊維が豊富な野菜を最初に食べることで、血糖値の急上昇を抑えることができます
  • 主食の選び方:白米だけでなく、玄米や雑穀米を取り入れることで、食物繊維の摂取量を増やせます
  • 良質なタンパク質:魚、大豆製品、卵、赤身の肉などをバランスよく摂りましょう
  • 脂質の質:飽和脂肪酸を控え、青魚に含まれるオメガ3脂肪酸や、オリーブオイルなどの良質な油を選びましょう
  • 食物繊維を意識:特に水溶性食物繊維は血糖値のコントロールに役立つことが研究で示されています。海藻、こんにゃく、オクラなどの水溶性食物繊維源を日々の食事に取り入れることをおすすめします

当院の管理栄養士によるサポート

栄養指導では、食事記録をもとに、具体的な改善点をアドバイスいたします。「外食が多い」「料理をする時間がない」といったお悩みにも、実践可能な解決策をご提案します。継続的なフォローアップにより、無理なく健康的な食習慣を身につけていただけるようサポートいたします。

糖尿病予防のための運動療法

運動療法は食事療法と並ぶ、糖尿病予防の重要な柱です。運動により筋肉でのブドウ糖の利用が促進され、インスリンの働きも改善されます。国際的な大規模研究により、週150分以上の有酸素運動が糖尿病予防に効果的であることが証明されています。

運動療法の効果

定期的な運動には、以下のような多くの効果があります。

  • 血糖値のコントロール改善
  • インスリン抵抗性の改善
  • 体重減少と内臓脂肪の減少
  • 心肺機能の向上
  • 血圧や脂質代謝の改善
  • ストレス軽減と気分の改善

おすすめの運動方法

有酸素運動

ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動がおすすめです。金沢には兼六園や浅野川沿いなど、ウォーキングに適した環境が整っています。以下のような実践方法が効果的です。

  • 頻度:週に3〜5日、できれば毎日
  • 時間:1回20〜60分程度
  • 強度:軽く息が弾む程度(話しながら続けられる程度)

レジスタンス運動(筋力トレーニング)

筋肉量を増やすことで、基礎代謝が向上し、ブドウ糖の利用が促進されます。週2〜3回、スクワットや腕立て伏せなどの簡単な筋トレから始めましょう。

安全に運動を始めるために

運動を始める前に、以下の点に注意しましょう。

  • すでに糖尿病と診断されている方や、心臓病などの持病がある方は、運動を始める前に必ず医師に相談してください
  • 低血糖を起こさないよう、薬を服用している方は運動のタイミングに注意が必要です
  • 足に傷や水ぶくれができていないか、運動前後にチェックしましょう
  • 水分補給を忘れずに、無理のない範囲で続けることが大切です

日常生活に運動を取り入れる工夫

特別な時間を作らなくても、日常生活の中で身体活動量を増やすことができます。

  • エレベーターやエスカレーターではなく、階段を使う
  • 通勤時に一駅分歩く
  • 買い物は車ではなく、できるだけ徒歩や自転車で
  • テレビを見ながら、その場足踏みやストレッチをする

当院でのサポート体制

金沢駅前にある当院では、糖尿病の予防と管理を総合的にサポートする体制を整えております。

専門医による診療

総合内科専門医であり消化器病専門医でもある院長が、お一人おひとりの状態を丁寧に診察いたします。血液検査により、血糖値、HbA1c、インスリン抵抗性の指標などを評価し、現在の状態を正確に把握します。

管理栄養士による個別栄養指導

当院に在籍する管理栄養士が、あなたの生活スタイルに合わせた実践的な食事指導を行います。「外食が多い」「料理が苦手」といったお悩みにも、具体的な解決策をご提案いたします。継続的なフォローアップにより、無理なく健康的な食習慣を身につけていただけます。

定期的な検査とフォローアップ

糖尿病予防や管理には、定期的な検査が欠かせません。当院では、血糖値やHbA1cの推移をモニタリングし、治療効果を確認しながら、必要に応じて治療方針を調整いたします。検査の頻度は、お一人おひとりの状態に応じて設定いたします。

他の専門機関との連携

より専門的な治療や検査が必要な場合は、適切な医療機関をご紹介いたします。地域の医療機関と連携し、皆様の健康を守るために最善を尽くします。

よくあるご質問

Q1. 糖尿病予備群と診断されました。必ず糖尿病になるのでしょうか?

いいえ、そうではありません。糖尿病予備群の段階で適切な生活習慣の改善を行えば、糖尿病への進行を防ぐことができます。実際、大規模な臨床研究では、食事療法と運動療法により、糖尿病の発症リスクを約58%減少させることができると報告されています。早めに対策を始めることが重要です。

Q2. 食事制限が続けられるか心配です

糖尿病の食事療法は、極端な制限を強いるものではありません。バランスの取れた食事を適切な量で摂ることが基本です。当院の管理栄養士は、あなたの生活スタイルや好みに合わせた、無理なく続けられる食事プランをご提案いたします。「これは食べてはいけない」という禁止事項ではなく、「こうすればもっと良くなる」という前向きなアプローチでサポートいたします。

Q3. 運動が苦手なのですが、効果はありますか?

運動が苦手な方でも、日常生活の中で身体活動量を増やすことから始められます。エレベーターではなく階段を使う、買い物は歩いて行くなど、小さな工夫の積み重ねでも効果があります。

Q4. どのくらいの頻度で受診すればよいですか?

糖尿病予備群の方は、年1回の定期検査を基本としています。ただし、血糖値の推移や生活習慣の改善状況、介入内容に応じて、3〜6ヶ月ごとに検査を行うこともあります。すでに糖尿病と診断されている方は、血糖コントロールの状態に応じて受診間隔が変わります。目標値を安定して達成できている場合は数ヶ月に1回、血糖コントロールが不十分な場合や治療を調整している時期は1〜3ヶ月に1回など、お一人おひとりの状態に応じて最適な受診間隔をご提案いたします。

Q5. 家族に糖尿病の人がいます。検査を受けたほうがよいですか?

はい、ご家族に糖尿病の方がいらっしゃる場合は、定期的な検査をおすすめします。遺伝的要因により糖尿病を発症しやすい体質である可能性がありますが、生活習慣の改善により予防することは十分に可能です。早期発見・早期対策が重要ですので、少なくとも年に1回は健康診断を受けられることをおすすめします。リスクが高い場合は、医師の判断によりより頻繁な検査が必要になることもあります。

 

金沢で糖尿病予防をお考えの方へ

糖尿病は、適切な知識と生活習慣の改善により、予防・コントロールが可能な病気です。「血糖値が高めと指摘された」「家族が糖尿病で心配」といったお悩みをお持ちの方は、早めに専門医にご相談ください。

当院では、専門医による診察と、管理栄養士による実践的な栄養指導により、お一人おひとりに合わせた糖尿病予防・管理プログラムをご提供しております。金沢駅前という便利な立地で、お仕事帰りやお買い物のついでにも気軽にお立ち寄りいただけます。

健康診断の結果が気になる方、生活習慣を見直したい方、糖尿病について詳しく知りたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。あなたの健康な毎日を、私たちが全力でサポートいたします。

糖尿病予防や血糖値のコントロールについて、専門医と管理栄養士がサポートいたします。ご予約はこちらからどうぞ。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-11-12 / 最終更新日:2025-11-12

アニサキス食中毒の症状は?金沢で胃カメラ検査なら当院へ

お刺身やお寿司を食べた後、突然みぞおちに激しい痛みが襲ってきた…そんな経験はありませんか?「もしかしてアニサキス?」と不安になられている方もいらっしゃるかもしれません。アニサキス症は、早期に適切な診断と治療を受ければ、その場で症状を改善できる病気です。この記事では、金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院の消化器内視鏡専門医が、アニサキスの症状から検査、治療、予防法まで詳しく解説いたします。

この記事のポイント

  • アニサキス症は生魚摂取後1〜12時間以内に激しい上腹部痛を起こす食中毒で、内視鏡検査で虫体を確認・除去できます
  • 発生は年間を通じて見られ、年や魚種により春から秋、または秋から冬にピークが変わる傾向があります
  • 当院では女性医師による胃カメラ検査も可能で、アニサキスが見つかればその場で除去し、痛みを即座に解消します

 

生魚を食べた後の激しい腹痛でお困りの方は、早めの受診をおすすめします。ご予約はこちらからお進みいただけます。

オンライン予約はこちら 電話予約:076-210-7140

目次

アニサキスとは?放置するリスク

アニサキスは、サバ、アジ、イカ、サンマ、カツオなどの魚介類に寄生する線虫(寄生虫)の一種です。成虫はイルカやクジラなどの海洋哺乳類の胃に生息していますが、その卵は海中に排出され、オキアミなどのプランクトンを介して魚介類に寄生します。私たち人間が生や加熱不十分な魚介類を食べることで、このアニサキスの幼虫が体内に侵入し、アニサキス症という食中毒を引き起こします。

アニサキスの幼虫は、長さ2〜3cm、幅0.5〜1mm程度の白色で、少し太い糸のような見た目をしています。魚が生きている間は主に内臓表面に寄生していますが、魚が死亡すると時間の経過とともに筋肉(身)へ移動する性質があります。このため、たとえ新鮮な魚であっても、アニサキスが身の部分に移動している可能性があるのです。

近年、輸送技術の発達により新鮮な魚介類が全国に流通するようになった結果、アニサキス症の発生数も増加傾向にあります。厚生労働省の統計によれば、2013年から食中毒統計でアニサキスが個別に集計されるようになり、年間数百件が公式に報告されています。しかし、実際には届出がないケースも多く、診療報酬データに基づく推計では年間数万例規模の患者が発生していると考えられています。

アニサキス症を放置した場合のリスク

アニサキスは人間の体内では成長できず、通常1週間程度で自然に死滅します。しかし、その間、激しい腹痛が持続することがあります。アニサキスを内視鏡で除去しない限り、数日間にわたって周期的な強い痛みに悩まされる可能性があるのです。

さらに、稀なケースではありますが、腸アニサキス症では腸閉塞や腸穿孔といった重篤な合併症を引き起こすこともあります。このような場合には入院治療や外科手術が必要となることもあるため、症状が疑われる場合は早めの受診が重要です。

こんな症状は要注意

  • 生魚を食べた後、1〜12時間以内(多くは数時間以内)に激しい上腹部痛が出現
  • みぞおちがキリキリと絞られるような痛みが波のように繰り返す
  • 吐き気や嘔吐を伴う
  • 痛みの程度は「今まで経験したことのない激痛」と表現されることが多い
  • 一般的な食中毒と異なり、下痢はほとんど伴わない(胃アニサキス症の場合)

アニサキス症の発生時期と注意すべきポイント

アニサキス症は年間を通じて発生する可能性があり、発生のピークは年や魚種、地域によって変動します。生魚を楽しまれる際には、季節を問わず注意が必要です。

発生時期の変動について

国内の調査によると、アニサキス症の発生パターンは年によって異なることが分かっています。例えば、2013年から2017年のデータでは9月から10月にかけて発生が増加する傾向が見られましたが、2018年には4月から5月に発生のピークが移動するなど、年ごとの変動が確認されています。

この変動の理由として、以下のような要因が考えられます:

  • 魚種ごとの漁獲時期や旬の違い
  • 海水温の変動によるアニサキスの寄生率の変化
  • 魚の回遊ルートや漁場の変化
  • 生魚を食べる機会が増える季節イベント(年末年始、観光シーズンなど)

特に注意が必要な時期の例

一般的な傾向として、以下のような時期には特に注意が必要とされています:

  • 秋から冬にかけて:サバやサンマが旬を迎え、脂がのって美味しい時期。これらの魚を生で食べる機会が増えます
  • 春から初夏:カツオやアジなどが旬を迎える時期。年によってはこの時期に発生が増加することもあります
  • 年末年始や連休:寿司や刺身を食べる機会が増える時期

ただし、これはあくまで傾向であり、どの季節でもアニサキス症のリスクは存在します。近年の冷凍・輸送技術の進歩により、一年を通じて様々な産地の新鮮な魚介類が流通するようになったため、季節を問わず予防意識を持つことが重要です。

沿岸地域での注意点

日本海に面した金沢のような沿岸地域では、新鮮な海の幸が豊富に手に入り、生魚を食べる機会が比較的多い傾向があります。近江町市場をはじめとする鮮魚店や寿司店が充実しており、日常的に生魚に触れる機会があるため、以下のような場面では特に注意が必要です:

  • 釣りが趣味で、自分で釣った魚を刺身にする場合
  • 鮮魚店で購入した魚を自宅で調理する場合
  • 寿司店や居酒屋で季節の旬の魚を生で食べる場合

アニサキス症の主な症状

アニサキス症の症状は、アニサキスが寄生する部位によって異なります。ここでは、主な4つのタイプについて解説します。

急性胃アニサキス症(最も多いタイプ)

アニサキス症の大半を占めるのが、この急性胃アニサキス症です。生魚を食べた後、およそ1〜12時間以内(典型的には4時間前後)に、突然激しい上腹部痛(みぞおちの痛み)が出現します。痛みは波があり、キリキリと絞られるような痛みが周期的にやってきます。吐き気や嘔吐を伴うことも多く、患者様は「今まで経験したことのないような激痛」と表現されることが少なくありません。

この症状は、アニサキスが胃壁に刺入することによる直接的な刺激と、アニサキスに対するアレルギー反応の両方が関与していると考えられています。内視鏡検査でアニサキスを除去すれば、その瞬間から痛みが劇的に改善することが特徴です。

急性腸アニサキス症

胃を通過したアニサキスが小腸や大腸の壁に刺入した場合、急性腸アニサキス症を発症します。生魚摂取後、十数時間から数日後に激しい下腹部痛、吐き気、嘔吐、時に発熱や下痢などの症状が現れます。

腸アニサキス症は胃アニサキス症に比べて発症頻度は低いものの、診断が難しく、稀に腸閉塞や腸穿孔といった重篤な合併症を起こすことがあります。このような場合には入院加療や外科手術が必要となることもあります。

消化管外アニサキス症

極めて稀ですが、アニサキスが消化管の壁を突き破り、腹腔内に出て寄生することがあります。この場合、寄生した部位に応じた様々な症状を引き起こします。

アニサキスアレルギー

アニサキスに対するアレルギー反応として、蕁麻疹、血圧低下、呼吸困難、意識消失などのアナフィラキシー症状が出現することがあります。アニサキスは、国内のアナフィラキシーショックの主要な原因の一つとして知られています。

注目すべき点は、アニサキスアレルギーの場合、加熱や冷凍で死滅したアニサキスを摂取した場合でも症状が出る可能性があることです。また、これまで「青魚アレルギー」だと思われていた方が、実際には「アニサキスアレルギー」だったというケースもよく見られます。原因不明のアナフィラキシーの既往がある方や、青魚を食べると蕁麻疹が出る方は、一度アニサキスアレルギーの検査を受けることをおすすめします。

金沢で受けられるアニサキスの検査と治療

アニサキス症が疑われる場合、金沢駅前の当院では以下のような検査と治療を行います。

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)による診断と治療

急性胃アニサキス症の診断と治療には、胃カメラ検査が最も有効です。当院では、経験豊富な消化器内視鏡専門医が検査を実施します。

胃カメラでアニサキスを直接観察し、その場で鉗子を使って虫体を摘出します。アニサキスを除去すると、驚くほど速やかに痛みが消失します。多くの患者様が「さっきまでの激痛が嘘のように楽になった」とおっしゃいます。

当院の胃カメラ検査の特徴は以下の通りです:

  • 鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査が可能
  • 女性医師による検査も選択可能で、女性の患者様も安心
  • 最新の内視鏡システムを導入し、微細なアニサキスも見逃さない
  • アニサキスが疑われる緊急の場合、当日検査にも対応

検査時間は通常10〜15分程度で、アニサキスが見つかればその場で除去します。除去後は胃粘膜保護薬や抗アレルギー薬を数日間服用していただくことで、胃の炎症を抑えます。

腹部超音波検査(腹部エコー)・CT検査

生魚摂取から時間が経過している場合や、腸アニサキス症が疑われる場合には、腹部エコー検査やCT検査を行うことがあります。腸壁の肥厚や腹水の有無などを確認し、小腸に移動したアニサキスの可能性を評価します。これらの画像検査は、腸アニサキス症の診断に有用な情報を提供してくれます。

血液検査

アニサキス感染では、白血球数の増加や好酸球の上昇が見られることがあります。また、アニサキス抗体を測定することで、アニサキスアレルギーの有無を調べることも可能です。

腸アニサキス症の治療

小腸や大腸に移動したアニサキスは、内視鏡での観察・除去が困難な場合が多いため、対症療法が中心となります。鎮痛剤や吐き気止め、抗アレルギー薬などを投与し、アニサキスが自然に死滅するまで経過を見守ります。ただし、腸閉塞や腸穿孔を起こした場合には、緊急で外科手術が必要となることもあります。

当院でのアニサキス除去の流れ

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院では、アニサキスが疑われる患者様に対して、以下のような流れで診療を行います。

  1. 問診と診察:いつ、どんな魚介類を食べたか、症状が出現した時間、痛みの性質などを詳しくお伺いします
  2. 緊急性の判断:症状から胃アニサキス症が強く疑われる場合、可能な限り当日中に胃カメラ検査を実施します
  3. 胃カメラ検査の準備:最後の食事から6時間以上経過していることが望ましいですが、緊急の場合は胃内の食べ物を吸引しながら検査を行うこともあります
  4. 胃カメラ検査と除去:鎮静剤を使用し、リラックスした状態で検査を受けていただきます。アニサキスが見つかれば、その場で鉗子を使って虫体を摘出します
  5. アフターケア:除去後は数日間、胃粘膜保護薬と抗アレルギー薬を服用していただきます。症状が完全に消失したことを確認します

費用については、保険診療で行われます。具体的な金額は、検査内容、処置の有無、使用する鎮静剤、時間外対応の有無などによって変動しますので、詳しくは当院窓口またはお電話でお問い合わせください。

アニサキス食中毒の予防法

アニサキス症を予防するためには、以下の対策が有効です。

1. 加熱処理

アニサキスは熱に弱く、60℃以上で1分以上、または70℃以上の加熱で確実に死滅します。魚介類を十分に加熱調理することが、最も確実な予防法です。

2. 冷凍処理

アニサキスは冷凍によって死滅します。事業者向けの基準では、-20℃で24時間以上(魚の中心部まで到達させる)の冷凍が推奨されています。ただし、**家庭用冷凍庫の場合**は、庫内温度の変動や魚の大きさによって中心部まで十分に冷凍されない可能性があるため、より長い冷凍時間(7日間程度)が推奨されています。

業務用の超低温冷凍庫(-35℃以下)では15時間以上の冷凍で死滅します。多くの回転寿司チェーンや飲食店では、適切な冷凍処理を施した魚を使用していますが、店舗や魚種によって対応は異なるため、気になる場合は店舗に確認することをおすすめします。

3. 目視確認と除去

魚を調理する際には、内臓を速やかに取り除き、身の部分を目視で確認してアニサキスがいないかチェックしましょう。ただし、アニサキスは小さく、身に潜り込んでいる場合もあるため、目視だけでは完全な予防にはなりません。あくまで補助的な対策として行ってください。

4. 新鮮な魚を選び、速やかに内臓を除去

魚が死亡すると、アニサキスは内臓から身へと移動します。釣ってきた魚や、丸ごと購入した魚は、できるだけ早く内臓を取り除くことで、身へのアニサキスの移行を防ぐことができます。

5. 年間を通じた注意

前述の通り、アニサキス症は年間を通じて発生します。生魚を食べる際は、季節に関わらず以下の点に注意しましょう:

  • 信頼できる飲食店を選ぶ
  • 冷凍処理の有無を確認する
  • 一度に大量の生魚を食べない
  • 体調が優れない時は生魚を避ける

注意:効果のない方法

一般的な調理で使う食酢、醤油、わさび、塩漬けでは、アニサキスは死滅しません。また、近年「正露丸がアニサキスに効く」という情報が流れていますが、これは治療法として医学的に確立されたものではありません。症状が出た場合は、自己判断せず必ず医療機関を受診してください。

よくあるご質問

Q1. アニサキスを食べても必ず症状が出るわけではないのですか?

その通りです。アニサキスを摂取しても、必ずしも症状が出るわけではありません。アニサキス症の発症には個人差があり、無症状のまま自然に排出されるケースも少なくありません。症状が出るかどうかは、アニサキスに対するアレルギー反応の有無や個人の免疫状態によって異なります。ただし、一度アニサキス症を発症した方は、次回以降より強い症状が出やすい傾向があるため、注意が必要です。

Q2. 市販の胃薬を飲めば痛みは治まりますか?

市販の胃薬では、アニサキスによる痛みを根本的に治すことはできません。一時的に痛みが和らぐことはあるかもしれませんが、アニサキスを除去しない限り、痛みは数日間持続します。生魚を食べた後に激しい腹痛が出た場合は、自己判断で市販薬を服用するのではなく、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。

Q3. アニサキス症は人から人にうつりますか?

いいえ、アニサキス症は人から人へは感染しません。アニサキスは魚介類を介してのみ人間に感染するため、患者様から他の人にうつる心配はありません。

Q4. サバ以外にも注意すべき魚はありますか?

はい、アニサキスはサバだけでなく、アジ、サンマ、イカ、カツオ、イワシ、サケ、タラ、キンメダイ、ニシン、ホッケなど、多くの魚介類に寄生する可能性があります。基本的に、すべての海産魚介類にアニサキスが寄生している可能性があると考えて、予防対策を行うことが大切です。

Q5. 一度アニサキス症になったら、もう生魚は食べられませんか?

必ずしもそうではありません。ただし、一度アニサキス症を発症した方は、次回以降アニサキスに対するアレルギー反応が強く出る可能性があります。生魚を食べる際は、①確実に冷凍処理されたものを選ぶ、②信頼できるお店で食べる、③一度に大量に食べない、などの注意を払うことをおすすめします。また、アニサキスアレルギーの検査を受けて、自分の状態を把握しておくことも有用です。

Q6. アニサキス症が起こりやすい季節はありますか?

アニサキス症は年間を通じて発生しますが、発生のピークは年や魚種によって変動します。過去のデータでは、秋に増加する年もあれば、春から初夏に増加する年もあります。これは魚の旬や漁獲時期、海水温の変動などが影響していると考えられています。そのため、特定の季節だけ注意すればよいというわけではなく、一年中予防意識を持つことが重要です。

金沢でアニサキス症をご心配の方へ

アニサキス症は、生魚を食べた後に激しい腹痛を引き起こす食中毒ですが、早期に適切な診断と治療を受ければ、その場で症状を改善できる病気です。特に、内視鏡検査でアニサキスを除去すれば、驚くほど速やかに痛みが消失します。

年間を通じて新鮮な魚介類が手に入る金沢のような沿岸地域では、生魚を食べる機会が多く、日常的にアニサキスのリスクに接する可能性があります。季節を問わず、適切な予防対策を心がけることが大切です。

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院では、アニサキス症が疑われる患者様に対して、緊急性に応じた柔軟な対応を心がけています。経験豊富な消化器内視鏡専門医・指導医が、苦痛の少ない鎮静下での胃カメラ検査を実施し、アニサキスを確実に除去します。女性医師による検査も可能ですので、女性の患者様も安心してご相談ください。

生魚を食べた後に激しい腹痛が出た場合は、我慢せずに早めにご相談ください。土曜日も検査を実施しており、金沢駅から徒歩5分という便利な立地で、皆様の健康をサポートいたします。

アニサキス症が疑われる症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-11-03 / 最終更新日:2025-11-03

高脂血症の食事療法と運動療法|金沢の管理栄養士が徹底サポート

健康診断でコレステロール値や中性脂肪が高いと指摘されて、不安を感じていらっしゃいませんか。「このまま放っておいて大丈夫だろうか」「薬を飲まなければいけないのだろうか」と気になっている方も多いと思います。

高脂血症(脂質異常症)は、血液中の脂質バランスが乱れている状態で、放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった重大な病気につながる可能性があります。しかし、早い段階で適切な対応を始めれば、食事療法や運動療法といった生活習慣の改善で十分にコントロールできることも多いのです。

この記事では、高脂血症のリスクから具体的な食事療法・運動療法まで、エビデンスに基づいた情報を分かりやすくお伝えします。金沢駅前にある当院では、管理栄養士が常駐し、お一人おひとりに合わせた食事指導を行っていますので、安心してご相談ください。

この記事のポイント

  • 高脂血症は動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます
  • 食事療法では、飽和脂肪酸を減らし、食物繊維を積極的に摂ることが重要です
  • 週に150分以上の有酸素運動が、脂質改善に効果的です
  • 当院では管理栄養士が常駐し、個別の食事指導を行っています

 

コレステロール値や中性脂肪が気になる方、食事療法について詳しく知りたい方は、いつでもお気軽にご相談ください。管理栄養士による個別相談も承っております。

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目次

高脂血症(脂質異常症)とは

高脂血症は、血液中の脂質濃度が基準値から外れている状態を指します。2007年に日本動脈硬化学会が診断基準を見直してから、正式には「脂質異常症」と呼ばれるようになりましたが、高脂血症という名称も広く使われています。

脂質異常症の診断は、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、HDLコレステロール(善玉コレステロール)、中性脂肪(トリグリセライド)の3つの数値によって行われます。これらの脂質バランスが乱れると、血管の壁に脂質が沈着し、動脈硬化を引き起こす原因となるのです。

脂質異常症の診断基準

日本動脈硬化学会が定める診断基準では、以下のいずれかに該当する場合に脂質異常症と診断されます。

  • LDLコレステロール:140mg/dL以上(高LDLコレステロール血症)
  • HDLコレステロール:40mg/dL未満(低HDLコレステロール血症)
  • 中性脂肪:空腹時150mg/dL以上、または随時175mg/dL以上(高トリグリセライド血症)
  • non-HDLコレステロール:170mg/dL以上

これらの数値は、10時間以上の絶食後に測定した空腹時の値を基本としています。ただし、中性脂肪については、2022年版のガイドラインで随時(非空腹時)の基準値も新たに設定されました。

原発性と続発性の脂質異常症

脂質異常症には、遺伝的要因や生活習慣が主な原因となる「原発性脂質異常症」と、他の疾患(糖尿病、甲状腺機能低下症、腎疾患など)や薬物使用に起因する「続発性脂質異常症」があります。続発性の場合は、基礎疾患の治療も並行して行う必要があります。

高脂血症を放置する3つのリスク

高脂血症そのものには、ほとんど自覚症状がありません。そのため「数値が少し高いだけ」と軽く考えてしまいがちですが、実は静かに進行する危険な状態なのです。放置することで起こりうる主なリスクを3つご説明します。

1. 動脈硬化の進行

血液中のLDLコレステロールが増えすぎると、血管の壁に入り込んで酸化し、動脈硬化を引き起こします。動脈硬化とは、血管が硬く狭くなり、弾力性を失った状態です。この状態が続くと、血液の流れが悪くなり、血管が詰まりやすくなります。

動脈硬化は全身の血管で起こる可能性があり、どの血管で進行するかによって、引き起こされる病気も異なります。心臓の血管で起これば心筋梗塞、脳の血管で起これば脳梗塞、足の血管で起これば閉塞性動脈硬化症といった具合です。

2. 心筋梗塞・狭心症のリスク上昇

心臓に血液を送る冠動脈に動脈硬化が起こると、狭心症や心筋梗塞を発症するリスクが高まります。心筋梗塞は、冠動脈が完全に詰まってしまい、心臓の筋肉に血液が届かなくなる状態で、命に関わる重大な病気です。

LDLコレステロールが高いほど、将来的に冠動脈疾患を発症するリスクが上昇することは、多くの研究で証明されています。特に、糖尿病や高血圧、喫煙などの他のリスク因子がある場合は、さらに注意が必要です。

3. 脳梗塞のリスク上昇

脳の血管に動脈硬化が起こると、脳梗塞のリスクが高まります。特にアテローム血栓性脳梗塞という種類の脳梗塞は、動脈硬化が主な原因となって発症します。

2022年版の動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは、脂質管理目標値の設定において、冠動脈疾患だけでなくアテローム血栓性脳梗塞も含めた「動脈硬化性疾患」全体のリスク評価が採用されました。これは、脳梗塞予防においても脂質管理が極めて重要であることを示しています。

高脂血症の食事療法|具体的な実践方法

高脂血症の治療において、食事療法は最も基本的で重要な取り組みです。薬物療法が必要な場合でも、食事療法は並行して続ける必要があります。ここでは、エビデンスに基づいた具体的な食事療法の方法をご紹介します。

適正体重の維持とエネルギー調整

まず大切なのは、適正体重を維持することです。肥満がある場合は、体に溜まった余分な脂肪を減らすことが、脂質改善の第一歩となります。

適正体重の目安は、「身長(m)×身長(m)×BMI目標値」で計算できます。BMI目標値は年齢によって異なり、18~49歳では18.5~24.9、50~64歳では20.0~24.9、65歳以上では21.5~24.9が推奨されています。

1日に必要なエネルギー量は、標準体重に25~30kcalを掛けた値が目安となります。例えば、身長165cmで標準体重が約60kgの方なら、1日1,500~1,800kcal程度が適切です。ただし、活動量や体格によって個人差がありますので、詳しくは医師や管理栄養士にご相談ください。

飽和脂肪酸を減らし不飽和脂肪酸を増やす

LDLコレステロールを下げるために最も効果的なのが、飽和脂肪酸の摂取を減らし、不飽和脂肪酸に置き換えることです。

飽和脂肪酸は、バター、ラード、牛脂、パーム油などの動物性脂肪や一部の植物油に多く含まれており、LDLコレステロールを上昇させます。一方、オリーブオイルに含まれる一価不飽和脂肪酸(MUFA)や、魚油・えごま油に含まれる多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、LDLコレステロールを下げる働きがあります。

具体的には以下のような工夫が有効です。

  • 肉類は脂身の少ない部位を選び、皮は取り除く
  • 調理油はオリーブオイルやキャノーラ油を使用する
  • 週に2回以上、魚(特に青魚)を食べる
  • バターやマーガリンの使用を控える
  • 洋菓子や菓子パンなどの加工食品を減らす

食物繊維を積極的に摂取する

食物繊維は、LDLコレステロールを下げる効果が認められています。2022年版のガイドラインでは、食物繊維の摂取推奨量が1日25g以上に設定されました。

食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、どちらもコレステロール改善に役立ちますが、特に水溶性食物繊維は腸内でコレステロールの吸収を抑える働きがあります。

食物繊維が豊富な食品には以下のようなものがあります。

  • 野菜類:ブロッコリー、キャベツ、ほうれん草、にんじん
  • 海藻類:わかめ、昆布、ひじき、もずく
  • きのこ類:しいたけ、えのき、しめじ
  • 豆類:大豆、納豆、枝豆
  • 穀物:玄米、大麦、オートミール
  • 果物:りんご、みかん、バナナ(ただし適量に)

果糖を含む加工食品を減らす

中性脂肪が高い方は、特に砂糖や果糖を含む加工食品の摂取を控えることが重要です。清涼飲料水、菓子類、果糖ぶどう糖液糖を含む加工食品は、中性脂肪を上昇させる原因となります。

果物自体は食物繊維やビタミンが豊富で健康的な食品ですが、食べ過ぎは果糖の過剰摂取につながりますので、1日200g程度(みかん2個分、りんご1個分など)を目安にしましょう。

塩分を控え、和食を取り入れる

高脂血症の方の多くは、高血圧も併発しています。塩分の過剰摂取は血圧上昇を招き、動脈硬化性疾患のリスクを高めますので、1日6g未満を目標に減塩を心がけましょう。

米、大豆製品、魚、野菜、海藻、きのこを中心とした和食は、血中脂質を改善し、動脈硬化性疾患の予防に効果的です。さらに低脂肪乳製品を毎日摂取する食生活は、脂質異常症の改善に理想的とされています。

アルコール摂取量の管理

2022年版のガイドラインでは、生活習慣改善の項目に「飲酒」が新たに追加されました。多量飲酒は動脈硬化性疾患の危険因子であり、特に中性脂肪を上昇させます。

アルコールの摂取量は、1日あたり25g以下(日本酒なら1合、ビールなら500ml、ワインならグラス2杯程度)にとどめることが推奨されています。また、週に2日程度の休肝日を設けることも大切です。

高脂血症の運動療法|効果的な取り組み方

運動療法は、食事療法と並んで高脂血症治療の柱となります。適度な運動は、中性脂肪を下げ、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を上げる効果があります。また、体重減少や血圧低下にもつながり、総合的な心血管リスクの改善が期待できます。

有酸素運動が基本

高脂血症の改善には、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動が最も効果的です。中強度以上の有酸素運動を定期的に行うことが推奨されており、具体的には以下のような目標が示されています。

  • 週に150分以上の中強度の運動(1日30分×5日以上)
  • または週に75分以上の高強度の運動
  • できれば毎日、少なくとも週5日以上実施する

中強度の運動とは、「ややきつい」と感じる程度の運動で、会話ができるくらいの速さで歩いたり、軽いジョギングをしたりする程度です。心拍数でいえば、最大心拍数(220-年齢)の50~70%程度が目安となります。

無理なく続けられる運動を選ぶ

運動療法で最も大切なのは、継続することです。いきなり激しい運動を始めても、体に負担がかかり長続きしません。まずは、日常生活の中で体を動かす機会を増やすことから始めましょう。

  • エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う
  • 一駅分歩く、または遠回りして歩く
  • 家事や庭仕事を積極的に行う
  • 休日に散歩や軽いハイキングを楽しむ

運動習慣がない方は、まず1日10分のウォーキングから始めて、徐々に時間を延ばしていくのが良いでしょう。10分の運動を3回に分けて行っても効果は期待できます。

筋力トレーニングも組み合わせる

有酸素運動に加えて、週に2~3回の筋力トレーニングを組み合わせると、より効果的です。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、体重管理がしやすくなります。

自宅でできる簡単な筋力トレーニングとしては、スクワット、腕立て伏せ(膝をついた状態でも可)、腹筋運動などがあります。無理のない範囲で、10~15回を2~3セット行うことから始めましょう。

運動時の注意点

運動療法を始める前に、特に以下のような方は必ず医師に相談してください。

  • 心臓病や不整脈がある方
  • 高血圧が十分にコントロールされていない方
  • 糖尿病で合併症がある方
  • 関節や腰に痛みがある方
  • 運動中に胸痛や息切れがひどくなる方

また、運動中は水分補給を忘れずに行い、体調が悪いときは無理をしないことが大切です。

金沢駅前院での高脂血症治療

金沢駅前にある当院では、高脂血症の治療に力を入れており、患者さま一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を心がけています。特に、管理栄養士が常駐している点が当院の大きな特徴です。

管理栄養士による個別栄養指導

高脂血症の改善には、食事療法が欠かせません。しかし、「何をどう食べればいいのか分からない」「外食が多くて難しい」といったお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

当院では、管理栄養士が常駐しており、お一人おひとりのライフスタイルや食習慣に合わせた、実践的な栄養指導を行っています。ご家族の食事と別に作るのではなく、家族みんなで健康的な食事を楽しめるようなアドバイスも得意としています。

栄養指導では以下のようなサポートを行っています。

  • 現在の食生活の詳しい聞き取りと問題点の洗い出し
  • 具体的な献立例や調理方法のご提案
  • 外食時の選び方、コンビニ食の活用法
  • 無理なく続けられる食事改善のステップ作り
  • 定期的なフォローアップと進捗確認

総合的な生活習慣改善のサポート

当院では、食事療法だけでなく、運動療法や禁煙支援など、総合的な生活習慣改善をサポートしています。医師、看護師、管理栄養士がチームとなって、患者さまの健康づくりをお手伝いします。

また、定期的な血液検査で脂質の数値を確認し、食事療法や運動療法の効果を評価します。生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られない場合は、薬物療法も検討しますが、その際も生活習慣改善は継続して行います。

金沢駅前で通いやすい立地

当院は金沢駅から徒歩圏内にあり、お仕事帰りやお買い物のついでにも通いやすい立地です。予約制ですので、待ち時間も少なく、忙しい方でも無理なく通院を続けていただけます。

高脂血症は、長期的な管理が必要な病気です。だからこそ、通いやすく、相談しやすいクリニックであることが大切だと考えています。

よくあるご質問

Q1. コレステロール値が少し高いだけですが、治療は必要ですか?

A. コレステロール値が基準値を少し超えているだけでも、他のリスク因子(糖尿病、高血圧、喫煙、家族歴など)がある場合は、早めに治療を始めることが推奨されます。逆に、他のリスク因子がなく、数値も軽度の上昇であれば、まずは生活習慣の改善から始めることができます。ご自身の状態に応じた判断が必要ですので、ぜひ一度ご相談ください。

Q2. 食事療法だけでどのくらい数値は下がりますか?

A. 個人差がありますが、適切な食事療法を3~6ヶ月続けることで、LDLコレステロールは10~15%程度低下することが期待できます。特に、飽和脂肪酸を減らし不飽和脂肪酸に置き換えることや、食物繊維を十分に摂取することが効果的です。当院の管理栄養士が、具体的な目標設定と実践方法をご提案いたします。

Q3. 卵はコレステロールが高いので食べない方がいいですか?

A. 以前は卵の摂取が制限されていましたが、現在の研究では、健康な方が1日1個程度の卵を食べても血中コレステロール値への影響は限定的とされています。むしろ、バターやラードなどの飽和脂肪酸を多く含む食品の方が、血中コレステロールを上げやすいことが分かっています。卵は良質なたんぱく質源ですので、極端に避ける必要はありませんが、バランスよく食べることが大切です。

Q4. 運動はどのくらいの期間続ければ効果が出ますか?

A. 運動療法の効果は、早ければ2~3ヶ月で現れ始めます。特に中性脂肪やHDLコレステロールは、比較的早く改善が見られることが多いです。ただし、継続することが何より重要で、運動をやめてしまうと数値は元に戻ってしまいます。無理のない範囲で、生活の一部として運動習慣を定着させることを目指しましょう。

Q5. 薬を飲み始めたら一生飲み続けなければいけませんか?

A. 必ずしもそうとは限りません。薬物療法を開始した後も、食事療法や運動療法を継続することで、数値が改善し、薬の量を減らしたり、場合によっては中止できたりすることもあります。ただし、家族性高コレステロール血症など遺伝的な要因が強い場合は、長期的な薬物療法が必要になることが多いです。いずれにしても、医師と相談しながら治療方針を決めていきます。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-10-30 / 最終更新日:2025-10-30

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高血圧は、毎日の生活習慣を見直すことで、予防や改善が十分に可能な病気です。この記事では、高血圧のリスク、塩分制限をはじめとした食事療法、そして無理なく続けられる運動療法について、分かりやすくお伝えします。

この記事のポイント

  • 高血圧は日本人の約4300万人(成人3人に1人、高齢層で2人に1人)が該当する重大な疾患
  • 治療目標は診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満
  • 塩分摂取量を1日6g未満に抑えることで、血圧を有意に下げることができる
  • 多くの場合、生活習慣改善と薬物療法の併用が効果的で、両輪として取り組むことが重要
  • 当院では女性医師による丁寧な診療と、患者様一人ひとりに合わせた生活指導を行っている

 

ご不安な点やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。ご予約はこちらからお進みいただけます。

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目次

高血圧とは?診断基準と治療目標

高血圧は、血管に常に高い圧力がかかっている状態のことを指します。日本高血圧学会のガイドラインでは、診察室での測定で収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。

多くの方が驚かれるのですが、日本では約4300万人が高血圧であり、成人全体では3人に1人前後、高齢層では約2人に1人が該当すると推計されています。高血圧の恐ろしさは、ほとんど自覚症状がないまま進行する点です。「サイレントキラー(静かなる殺人者)」とも呼ばれ、気づかないうちに血管や臓器にダメージを与え続けます。

高血圧の診断基準

高血圧には明確な診断基準があります。診察室で測定した血圧と、ご自宅で測定する家庭血圧では、基準値が異なります。

  • 診察室血圧: 収縮期血圧140mmHg以上、または拡張期血圧90mmHg以上
  • 家庭血圧: 収縮期血圧135mmHg以上、または拡張期血圧85mmHg以上

家庭血圧は、リラックスした状態で測定できるため、より正確に日常の血圧を把握できます。当院では、患者様に家庭血圧計の使用を積極的にお勧めしています。

高血圧の治療目標

高血圧と診断された場合、治療の目標値も明確に定められています。2025年版の高血圧管理・治療ガイドラインでは、以下の目標値が推奨されています。

  • 一般的な成人の目標: 診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満
  • 75歳以上の高齢者: 個々の状態に応じて目標を調整

これらの目標値を達成することで、脳卒中や心筋梗塞などの重大な合併症のリスクを大幅に減らすことができます。

高血圧を放置するとどうなるのか

高血圧を放置すると、血管は常に高い圧力にさらされ続け、次第に硬く厚くなります。これが動脈硬化です。動脈硬化が進行すると、心臓や脳、腎臓などの重要な臓器への血流が悪くなり、以下のような重大な病気のリスクが高まります。

  • 心筋梗塞、狭心症
  • 脳梗塞、脳出血
  • 慢性腎臓病
  • 心不全
  • 認知症

実際、もし高血圧が完全に予防できれば、年間10万人以上の方が亡くならずに済むと推計されています。だからこそ、血圧が高めと言われたら、早めの対策が非常に重要なのです。

高血圧が引き起こす病気とそのリスク

高血圧は、様々な臓器に影響を及ぼします。ここでは、特に注意が必要な病気についてご説明します。

心臓への影響:心筋梗塞と心不全

高血圧によって心臓は常に強い力で血液を送り出さなければならず、心臓の筋肉が疲弊します。また、動脈硬化が進むと、心臓に栄養を送る冠動脈が狭くなったり詰まったりして、心筋梗塞を引き起こします。

心筋梗塞は突然の激しい胸痛を伴い、命に関わる緊急事態です。早期発見・早期治療が生死を分けるため、胸の違和感や息切れといった症状が現れたら、すぐに医療機関を受診してください。

脳への影響:脳卒中と認知症

高血圧は脳卒中(脳梗塞、脳出血)の最大の危険因子です。脳の血管が詰まったり破れたりすると、麻痺や言語障害、意識障害といった重篤な後遺症が残る可能性があります。

また近年の研究では、高血圧が認知症のリスクを高めることも明らかになっています。中年期からの血圧管理が、将来の認知機能の維持に重要であることが分かってきました。

腎臓への影響:慢性腎臓病

腎臓は血液をろ過する臓器ですが、高血圧によって腎臓の細い血管がダメージを受けると、腎機能が徐々に低下します。腎機能が著しく低下すると、透析治療が必要になることもあります。

腎臓病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な健康診断で尿検査や血液検査を受けることが大切です。

メタボリックシンドロームとの関係

高血圧は、肥満、脂質異常症、高血糖といった他の生活習慣病と併発しやすく、これらが重なるとメタボリックシンドロームと呼ばれる状態になります。メタボリックシンドロームでは、動脈硬化が急速に進行し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが一層高まります。

当院では、高血圧だけでなく、これらの関連する病気も含めた総合的な管理を心がけています。

金沢で実践できる塩分制限の具体的な方法

高血圧の最大の原因は、食塩の摂りすぎです。日本人は伝統的に塩分の多い食事を好む傾向があり、平均的な食塩摂取量は1日約10gと言われています。しかし、高血圧の予防や治療には、1日6g未満に抑えることが推奨されています。

国際的な研究でも、食塩摂取量を減らすことで血圧が有意に低下し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが減少することが示されています。ここでは、金沢の食文化を楽しみながら、無理なく塩分を減らす方法をご紹介します。

塩分の多い食品を知る

まず、どの食品に塩分が多く含まれているかを知ることが重要です。以下のような食品には特に注意が必要です。

  • 調味料: 醤油、味噌、ソース、ドレッシング
  • 加工食品: ハム、ソーセージ、練り製品、インスタント食品
  • 漬物: 梅干し、たくあん、キムチ
  • 汁物: 味噌汁、ラーメン、うどんのスープ

金沢は美味しい海の幸に恵まれた土地ですが、塩焼きや塩辛といった調理法は塩分が多くなりがちです。お刺身や蒸し料理を選ぶなど、調理法を工夫することで、塩分を抑えながら美味しく食べることができます。

減塩のための具体的な工夫

塩分を減らすと言っても、味気ない食事になってしまっては長続きしません。以下のような工夫で、美味しさを保ちながら減塩を実践しましょう。

  • だしを効かせる: 昆布やかつお節でしっかりとだしを取ると、少ない塩分でも満足感が得られます
  • 酸味や香りを活用: レモン、酢、生姜、ニンニク、ハーブなどで味にアクセントをつけます
  • スプレー式醤油差しを使う: 少量でも満遍なく味が付くため、使用量を減らせます
  • 汁物は具だくさんにして汁を少なめに: 味噌汁やスープは、汁を飲み干さないようにするだけでも減塩効果があります
  • 外食時は「薄味で」と伝える: 多くの飲食店では調整してもらえます

カリウムを積極的に摂る

カリウムには、体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。野菜や果物、海藻、豆類に豊富に含まれているため、これらを積極的に食事に取り入れましょう。

ただし、腎臓病がある方はカリウムの摂取制限が必要な場合もありますので、主治医にご相談ください。

DASH食(ダッシュ食)のすすめ

DASH食とは、高血圧を予防・改善するためにアメリカで開発された食事法で、減塩に加えて、野菜、果物、低脂肪乳製品を多く摂り、飽和脂肪酸やコレステロールを控えることが特徴です。

研究では、DASH食と減塩を組み合わせることで、降圧薬に匹敵するほどの血圧低下効果が得られることが示されています。

運動療法で血圧をコントロールする

食事療法と並んで重要なのが運動療法です。適度な運動は、血圧を下げるだけでなく、体重管理、ストレス解消、動脈硬化の予防にも効果があります。

どんな運動が効果的か

高血圧の改善には、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングといった有酸素運動が最も効果的です。有酸素運動は、心臓や血管の機能を高め、血圧を自然に下げる作用があります。

目安としては、1回30分以上、週に3〜5日以上行うことが推奨されています。ただし、いきなり激しい運動を始めるのは危険ですので、まずは軽いウォーキングから始めて、徐々に時間や強度を増やしていくことが大切です。

日常生活の中で体を動かす

特別な運動時間を確保するのが難しい方は、日常生活の中で意識的に体を動かすことから始めましょう。

  • エスカレーターではなく階段を使う
  • 一駅分歩く、または遠回りして歩く
  • 家事や庭仕事を積極的に行う
  • 買い物は車ではなく徒歩や自転車で行く

こうした小さな積み重ねが、血圧の改善につながります。

筋力トレーニングも取り入れる

有酸素運動に加えて、週に2〜3回の軽い筋力トレーニングを行うと、さらに効果的です。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、肥満の予防にもなります。スクワット、腕立て伏せ、腹筋運動など、自宅でできる簡単なトレーニングから始めてみましょう。

運動時の注意点

運動は高血圧の改善に有効ですが、無理は禁物です。以下の点に注意してください。

  • 高血圧の方は、運動を始める前に必ず医師に相談する
  • 急激な激しい運動は避け、徐々に強度を上げる
  • 胸痛、息切れ、めまいなどを感じたらすぐに中止する
  • 水分補給をこまめに行う
  • 暑い日や寒い日は特に無理をしない

当院での高血圧管理の取り組み

金沢駅前の当院では、高血圧の予防と管理に力を入れています。当院の特徴をご紹介します。

女性医師による丁寧な診療

当院には女性医師が在籍しており、女性特有の悩みにも寄り添った診療を心がけています。更年期や妊娠・出産に関連した血圧の変化についても、安心してご相談いただけます。

一人ひとりに合わせた生活指導

高血圧の治療で最も大切なのは、患者様ご自身が納得して生活習慣を改善することです。当院では、画一的な指導ではなく、患者様のライフスタイルや食生活、お仕事の状況などを丁寧にお伺いし、無理なく続けられる具体的な改善策を一緒に考えます。

定期的なフォローアップ

血圧管理は長期的な取り組みが必要です。当院では、定期的な診察で血圧や血液検査の結果を確認し、必要に応じて治療方針を調整します。家庭血圧の記録を持参していただければ、より正確な評価が可能です。

必要に応じた薬物療法

高血圧の治療は、まず生活習慣の改善から始めますが、血圧の値や心血管リスクの程度によっては、最初から生活習慣改善と薬物療法を併用することが推奨されます。実際、多くの患者様において、生活習慣の改善だけでは目標血圧に到達することが難しく、薬物療法との併用が必要となります。

現在の降圧薬は種類が豊富で、副作用も少なく、効果的に血圧をコントロールできます。患者様の状態や合併症の有無に合わせて、最適なお薬を選択します。大切なのは、薬を飲むことに抵抗を感じるのではなく、生活習慣の改善と薬物療法を車の両輪として、しっかりと血圧をコントロールすることです。

よくあるご質問

Q1: 高血圧に自覚症状はありますか?

A: 高血圧は、ほとんどの場合、自覚症状がありません。頭痛やめまい、動悸といった症状が出ることもありますが、かなり進行してからです。だからこそ、定期的な血圧測定が重要です。

Q2: 一度高血圧と診断されたら、一生薬を飲み続けなければなりませんか?

A: 必ずしもそうではありませんが、多くの場合、生活習慣の改善と薬物療法の併用が必要です。軽度の高血圧であれば、生活習慣の改善だけで血圧が正常化するケースもありますが、中等度以上の高血圧や、すでに臓器障害がある場合、心血管リスクが高い場合は、当初から併用療法が推奨されます。薬を飲みながらも生活習慣を改善し続けることで、薬の量を減らせることもあります。

Q3: 家庭血圧計はどのように選べば良いですか?

A: 上腕式の血圧計が最も正確です。手首式は持ち運びには便利ですが、測定誤差が大きくなりやすいため、家庭での定期測定には上腕式をお勧めします。日本高血圧学会が推奨する機種のリストも公開されていますので、参考にしてください。

Q4: 血圧は朝と夜、どちらで測るのが良いですか?

A: 理想的には、朝と夜の両方で測定するのがベストです。朝は起床後1時間以内、排尿後、朝食前、薬を飲む前に測定します。夜は就寝前に測定します。それぞれ2回ずつ測定し、平均値を記録してください。

Q5: 運動中に血圧が上がるのは危険ですか?

A: 運動中に血圧が上がるのは正常な反応です。ただし、安静時の血圧が非常に高い状態で激しい運動をすると危険ですので、運動を始める前に医師に相談し、適切な運動強度を確認することが大切です。

金沢で高血圧予防をご検討中の方へ

高血圧は、日本人にとって最も身近な病気の一つですが、適切な管理によって、心筋梗塞や脳卒中といった重大な合併症を予防することができます。

大切なのは、早めに気づき、早めに対策を始めることです。健康診断で血圧が高めと指摘されたら、それは体からの大切なサインです。放置せず、まずは生活習慣の見直しから始めてみましょう。

塩分制限や運動療法は、最初は大変に感じるかもしれませんが、少しずつ習慣化していけば、無理なく続けることができます。ご自身の健康を守るため、そしてご家族のためにも、今日から一歩を踏み出してみませんか。

金沢駅前の当院では、高血圧の予防と管理について、専門的で丁寧なサポートを提供しています。ご不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。皆様の健康な毎日を、心から応援しています。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-10-22 / 最終更新日:2025-10-22

大腸カメラが恥ずかしい女性へ|金沢駅前院が解消する5つの不安

 

「便潜血陽性で大腸カメラを勧められたけれど、お尻を見られるのが恥ずかしくて予約できない…」そんなお悩みを抱えていらっしゃいませんか。実は、女性が大腸カメラ検査をためらう最大の理由が、この「恥ずかしさ」なのです。しかし、大腸がんは女性のがん死亡原因の第1位であり、早期発見には大腸カメラ検査が最も有効です。この記事では、金沢駅前院が実践する5つの不安解消策をご紹介し、女性の皆様が安心して検査を受けられる環境づくりについて詳しく解説します。

この記事のポイント

  • 大腸がんは女性のがん死亡数第1位で、恥ずかしさから検査を避けることは命に関わるリスクとなる
  • 女性医師による検査、専用検査着、鎮静剤使用により、恥ずかしさを最小限に抑えた検査が可能
  • 金沢駅前院では女性のプライバシーに最大限配慮し、院内下剤対応など女性が安心できる環境を整備

大腸カメラが恥ずかしいと感じる金沢の女性のイメージ

ご不安な点やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。ご予約はこちらからお進みいただけます。

オンライン予約はこちら 電話予約:076-210-7140

目次

なぜ女性は大腸カメラを「恥ずかしい」と感じるのか

大腸カメラ検査に対して女性が感じる「恥ずかしさ」には、男性とは異なる複数の心理的要因が関係しています。海外の研究でも、女性は男性よりも大腸カメラ検査に対して恥ずかしさを強く感じることが報告されており、この感情が検査受診率の低下につながっています。

最も多くの女性が挙げる理由が「お尻や肛門を見られることへの抵抗感」です。大腸カメラは肛門から内視鏡を挿入する検査のため、下半身を露出する必要があります。たとえ医療行為であっても、普段は絶対に見せることのない部位を他人に見られることに、強い羞恥心を感じるのは当然のことです。特に、男性医師や男性スタッフが検査に関わる場合、この恥ずかしさはさらに増幅されます。

検査前の準備段階での恥ずかしさ

検査当日だけでなく、準備段階にも恥ずかしさを感じる場面があります。検査前には大量の下剤を飲んで腸内を空にする必要があり、この過程で何度もトイレに通うことになります。クリニックで下剤を服用する場合、他の患者さんやスタッフの目が気になり、「何度もトイレに行く姿を見られたくない」という心理が働きます。

さらに、検査着への着替えも恥ずかしさを感じる瞬間です。お尻の部分に穴が開いた専用の検査着を着用しますが、「この格好で廊下を歩くのか」「誰かに見られたらどうしよう」という不安を抱える方が少なくありません。このような複合的な恥ずかしさが、検査を先延ばしにする大きな要因となっているのです。

恥ずかしさが命を奪う|女性と大腸がんの深刻な現実

大腸がんは、女性のがん死亡数において第1位を占めています。厚生労働省の人口動態統計によると、2023年には約25,000人の女性が大腸がんで亡くなっており、肺がんや膵臓がんを上回る深刻な状況です。さらに、罹患数でも乳がんに次いで第2位であり、約65,000人の女性が毎年大腸がんと診断されています。

この数字が物語るのは、大腸がんが決して他人事ではないということです。生涯のうちに13人に1人の女性が大腸がんと診断される可能性があり、40歳を過ぎると発症リスクが急激に高まります。しかし、大腸がんは早期発見できれば90%以上が治癒可能な病気です。それにもかかわらず死亡数が多い最大の理由は、「恥ずかしさ」という心理的障壁により検査受診が遅れることにあります。

検査を避けることで起きる取り返しのつかない事態

大腸がんの初期段階では、ほとんど自覚症状がありません。血便や腹痛、便通異常などの症状が現れる頃には、すでに進行している可能性が高いのです。実際、症状が出てから受診した女性の多くが、「もっと早く検査を受けておけばよかった」と後悔されています。

特に女性の場合、子宮や卵巣など婦人科系の症状と大腸がんの症状が似ているため、発見が遅れるケースも少なくありません。「生理痛がひどい」「更年期のせいかも」と自己判断してしまい、大腸の異常を見逃してしまうのです。恥ずかしさを理由に検査を先延ばしにすることは、自分の命を危険にさらす行為に他なりません。

【不安1】お尻を見られることへの恥ずかしさ|専用検査着で解消

「お尻を丸出しにして検査を受けるのでは」という不安は、最も多くの女性が抱える誤解の一つです。実際には、現在の大腸カメラ検査では、プライバシーに最大限配慮した専用の検査着を使用しています。

金沢駅前院で使用している検査着は、お尻の部分にのみ小さな開口部がある使い捨てタイプです。この開口部はカメラを挿入するために最小限必要な部分だけで、検査中もタオルやシートで覆われているため、露出している時間はカメラ挿入時のわずか数秒のみです。検査台に横になっている間、下半身は常に検査着とタオルで保護されており、医師が直接お尻を見るのは、文字通り一瞬だけなのです。

検査室のプライバシー配慮

検査室内も、患者様のプライバシーを守るために細心の注意を払っています。検査室への入退室時には、他の患者様と顔を合わせないよう動線を工夫しており、検査中は必要最小限のスタッフのみが立ち会います。また、検査モニターは患者様の視界に入らない角度に設置されているため、「自分の腸内が映っている画面を見られる」という恥ずかしさもありません。

さらに、検査後のリカバリールームも個別に区切られており、鎮静剤から覚めるまでの時間をプライベートな空間で過ごすことができます。他の患者様の視線を気にすることなく、リラックスして休んでいただける環境を整えています。

【不安2】男性医師への抵抗感|女性医師による検査で安心

「できれば女性の先生に診てもらいたい」というご希望は、多くの女性患者様が共有する切実な願いです。海外の研究では、女性医師による検査を受けられる環境があると、女性の大腸カメラ受診率が有意に上昇することが報告されています。これは、同性だからこそ理解してもらえる安心感や、恥ずかしさの軽減効果が大きいことを示しています。

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院では、女性医師による大腸カメラ検査に対応しています。女性医師であれば、生理中の不安や妊娠・授乳に関する相談も気兼ねなくお話しいただけます。「こんなことを聞いても大丈夫かな」と躊躇してしまう小さな疑問も、女性同士なら自然に相談できる雰囲気があります。

女性スタッフによるサポート体制

医師だけでなく、検査に立ち会う看護師やスタッフも女性が担当します。検査前の説明から着替えの介助、検査中のサポート、検査後のケアまで、すべての過程で女性スタッフが寄り添います。生理用品の扱いや更衣室での細やかな配慮など、女性ならではの視点でのサポートが、患者様の心理的負担を大きく軽減します。

予約時に「女性医師希望」とお伝えいただければ、女性医師のスケジュールに合わせて検査日を調整いたします。遠慮なくご希望をお伝えください。

【不安3】痛みと恥ずかしさの二重苦|鎮静剤で意識のない検査

「検査中に痛みで苦しむ姿を見られたくない」「恥ずかしい体勢でいる時間を意識していたくない」という不安は、鎮静剤を使用することで解消できます。鎮静剤を使った大腸カメラ検査では、うとうとと眠っているような状態で検査を受けられるため、痛みも恥ずかしさもほとんど感じることなく検査を終えることができます。

鎮静剤使用時は、意識が朦朧とした状態になるため、検査中の記憶がほとんど残りません。「気づいたら検査が終わっていた」という患者様がほとんどで、恥ずかしさを感じる余裕もないまま検査が完了します。特に初めて検査を受ける方や、過去に痛みを経験された方には、鎮静剤の使用を強くおすすめします。

鎮静剤使用時の安全管理

鎮静剤を使用する場合、検査中は血圧、脈拍、血中酸素飽和度を常時モニタリングし、安全管理を徹底しています。検査後は専用のリカバリールームで30分から1時間ほど休んでいただき、意識がはっきりするまでスタッフが付き添います。

ただし、鎮静剤使用後は自動車・バイク・自転車の運転ができませんので、公共交通機関のご利用か、ご家族の送迎をお願いしています。金沢駅から徒歩5分という立地のため、電車でのアクセスも便利です。

【不安4】トイレの心配と下剤の恥ずかしさ|院内下剤対応

大腸カメラ検査前には、約2リットルの下剤を飲んで腸内を空にする必要があります。自宅で下剤を飲む場合、「何度もトイレに行く音が家族に聞こえる」「外出中に急な便意に襲われたらどうしよう」といった不安を抱える方が少なくありません。特に一人暮らしの女性や、自宅のトイレ環境に不安がある方にとって、この準備は大きなストレスとなります。

金沢駅前院では、院内で下剤を服用できる環境を整えています。クリニック内の専用スペースで下剤を飲み、院内のトイレを使用しながら準備を進められるため、自宅での不安から解放されます。トイレは個室で音も配慮された設計となっており、他の患者様の目を気にする必要もありません。

下剤服用のサポート体制

院内下剤の場合、スタッフが下剤の飲み方や排便の状態を確認しながらサポートします。「便がきれいになったかどうか分からない」「追加で下剤を飲む必要があるのか」といった疑問にも、その場で看護師が対応するため、安心して準備を進められます。

初めて検査を受ける方、便秘がちで準備に不安がある方、自宅での下剤服用が難しい方は、ぜひ院内下剤をご利用ください。予約時にお申し出いただければ、検査当日のスケジュールを調整いたします。

【不安5】生理中や授乳中の不安|女性特有の悩みに対応

「生理中でも検査を受けられるのか」「授乳中だけど鎮静剤は大丈夫か」といった女性特有の不安も、多くの方が抱えています。結論から申し上げると、生理中でも大腸カメラ検査は問題なく実施できます。大腸カメラは肛門から挿入するため、生理中であっても検査精度に影響はありません。

ただし、検査中は生理用ナプキンを外す必要があるため、検査直前にトイレで新しいナプキンに交換し、検査後すぐに装着し直すことをおすすめします。タンポンについては、検査中の腹圧で外れる可能性があるため、ナプキンのご使用をお願いしています。このような細かな配慮も、女性スタッフが丁寧にご説明いたします。

妊娠中・授乳中の検査について

妊娠中の大腸カメラ検査は、母体と胎児への影響を考慮し、原則として避けています。急を要する場合は、産婦人科医と連携しながら慎重に判断します。授乳中の検査は可能ですが、鎮静剤を使用する場合は、薬剤が母乳に移行する可能性があるため、検査後24時間は授乳を控えていただくようお願いしています。

搾乳した母乳を事前に準備しておく、ミルクを併用するなどの対策について、事前診察時に詳しくご説明いたします。女性医師であれば、このような相談も気兼ねなくしていただけます。

金沢駅前院が女性のために整えた検査環境

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院では、女性が安心して検査を受けられる環境づくりに力を入れています。ここまでご紹介した5つの不安解消策に加え、さまざまな配慮を行っています。

まず、立地の良さです。金沢駅から徒歩5分というアクセスの良さは、検査前後の移動負担を軽減します。鎮静剤を使用する場合、車での来院ができないため、公共交通機関で通いやすい立地は大きなメリットです。また、平日は仕事で忙しい方のために土曜日の検査にも対応しており、ライフスタイルに合わせて予約を調整できます。

最新の内視鏡システムと専門医の技術

当院では、最新の内視鏡システムを導入しており、高画質での観察が可能です。これにより検査時間の短縮につながり、患者様の身体的・心理的負担を軽減しています。また、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医の資格を持つ医師が検査を担当するため、安全性と精度の高い検査を提供できます。

専門医の熟練した技術により、痛みを最小限に抑えた検査が可能です。女性の場合、腸の形状や長さに個人差が大きく、検査の難易度が高くなることがありますが、経験豊富な医師であれば、患者様の状態に合わせた丁寧な挿入操作で、苦痛を軽減できます。

恥ずかしさで検査を先延ばしにせず、まずはお気軽にご相談ください。女性医師による丁寧な説明と、安心できる検査環境をご用意してお待ちしております。

オンライン予約はこちら 電話予約:076-210-7140

よくあるご質問

Q1. 検査当日の服装は何を着ていけばいいですか?

A. 検査着に着替えますので、服装に特別な制限はありません。ただし、着脱しやすい上下が分かれた服装がおすすめです。ワンピースは避け、ゆったりとしたパンツとトップスの組み合わせが便利です。また、検査後は腹部を締め付けない楽な服装の方が快適に過ごせます。アクセサリーや時計は検査前に外していただきますので、貴重品は最小限にしてご来院ください。

Q2. 検査時間はどのくらいかかりますか?

A. 検査自体は15分から30分程度です。ただし、検査前の準備(着替え、点滴ルート確保など)と検査後の休憩時間を含めると、クリニック滞在時間は全体で3時間から4時間程度を見込んでください。鎮静剤を使用する場合は、検査後30分から1時間のリカバリー時間が必要です。院内下剤を利用する場合は、さらに2時間から3時間の下剤服用時間が加わります。

Q3. 検査費用はどのくらいかかりますか?

A. 保険診療の場合、3割負担で観察のみの検査は約6,000円から7,000円程度です。ポリープ切除を行った場合は、2万円から3万円程度になります。鎮静剤の使用費用も含まれています。検診目的の自費診療の場合は、3万円から4万円程度です。詳しい費用については、予約時にお問い合わせください。

Q4. 女性医師を指名できますか?追加費用はかかりますか?

A. はい、女性医師による検査をご希望の場合は、予約時にお申し出ください。女性医師のスケジュールに合わせて検査日を調整いたします。女性医師指名による追加費用は一切発生しませんので、ご安心ください。ただし、曜日や時間帯によっては女性医師の予約が取りにくい場合がありますので、お早めのご予約をおすすめします。

Q5. 検査後すぐに仕事に戻れますか?

A. 鎮静剤を使用しない場合は、検査後すぐに通常の生活に戻れます。ただし、鎮静剤を使用した場合は、検査当日はお仕事を休まれることをおすすめします。眠気やふらつきが残る可能性があり、集中力を要する作業や運転は避けてください。また、ポリープ切除を行った場合は、当日は激しい運動や飲酒を控えていただきます。

金沢で大腸カメラをご検討中の女性の方へ

大腸カメラに対する「恥ずかしさ」という感情は、決して恥ずべきものではありません。多くの女性が同じ不安を抱えており、その気持ちはとても自然なものです。しかし、その恥ずかしさを理由に検査を先延ばしにすることで、命に関わる病気を見逃してしまう可能性があることも事実です。

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院では、女性医師による検査、プライバシーに配慮した検査環境、鎮静剤の使用、院内下剤対応など、女性の皆様が安心して検査を受けられる体制を整えています。「恥ずかしい」という壁を取り除き、あなたの健康を守るお手伝いをさせてください。

便潜血陽性、血便、腹痛、便通異常などの症状がある方はもちろん、40歳を過ぎて一度も大腸カメラを受けたことがない方、家族に大腸がんの方がいる方も、ぜひ検査をご検討ください。検査に関する不安や疑問がございましたら、まずはお電話やオンラインでご相談いただけます。専門のスタッフが丁寧にお答えいたします。

あなたの勇気ある一歩が、あなた自身とご家族の未来を守ります。金沢駅前院は、女性の皆様の健康を全力でサポートいたします。

ご予約・ご相談はこちらから。女性医師による検査をご希望の方は、予約時にお申し出ください。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-10-20 / 最終更新日:2025-10-20

便秘を改善する食事の選び方|【金沢の専門医が解説】

 

便秘と食事には深い関係があります。便秘でお悩みの方にとって、便秘の食事改善は最も重要な治療法の一つです。

金沢駅前消化器内科・内視鏡クリニックでは、便秘の食事指導を専門に行っています。この記事では、便秘と食事の関係、プロバイオティクスやオリゴ糖を活用した便秘の食事療法について、消化器専門医が最新エビデンスに基づいて解説します。

この記事のポイント

  • 便秘と食事は密接に関連しており、食事改善で便秘が劇的に良くなります
  • 便秘の食事にはプロバイオティクス(善玉菌)とオリゴ糖の組み合わせが効果的
  • 2024年の研究で便秘の食事療法の有効性が示されています
  • 金沢の当院では女性医師による便秘の食事指導を行っています

 

便秘と食事についてご相談されたい方は、お気軽にご連絡ください。

オンライン予約はこちら 電話予約:076-210-7140

便秘と食事の基本的な関係

便秘と食事は切っても切れない関係にあります。便秘の食事療法は、薬に頼らない最も基本的な治療法です。

便秘の定義と診断基準

医学的な便秘の診断には、Rome IV基準が用いられます。以下の6つの症状のうち2つ以上が該当し、症状が6か月前から始まり、直近3か月間持続している場合に慢性便秘症と診断されます:

  • 排便回数が週に3回未満
  • 便が硬い(硬便)
  • 排便時に強くいきむ必要がある
  • 残便感がある(完全に出きらない感じ)
  • 出口閉塞感(肛門が詰まった感じ)
  • 用手的介助が必要(手で押さえる必要がある)

これらの症状に加えて、お腹の張り(腹部膨満感)や不快感を伴うことも多くあります。

便秘と食事が関連する3つの理由

1. 便の量と硬さに直接影響

便秘の食事改善で最も重要なのは食物繊維です。食物繊維が不足すると便の量が減り、腸の動きが鈍くなります。

厚生労働省によれば、食物繊維の目標量は以下の通りです:

  • 成人男性:21g以上/日
  • 成人女性:18g以上/日

しかし、e-ヘルスネットによると、ほとんどの日本人が不足しており、平均摂取量は約14g程度とされています。便秘の食事では、この不足分を補うことが第一歩です。

2. 腸内環境に影響

便秘と食事の関係で注目すべきは腸内細菌です。善玉菌が優勢な環境では便秘になりにくく、悪玉菌が増えると便秘が悪化します。

腸内には以下の菌が生息しています:

  • 善玉菌:ビフィズス菌、乳酸菌など
  • 悪玉菌:ウェルシュ菌、大腸菌(有毒株)など
  • 日和見菌:優勢な方に味方する菌

3. 腸の動きに影響

規則正しい便秘の食事習慣は、腸の蠕動運動を活発にします。特に朝食を摂ることで「胃・結腸反射」が起こり、便意を感じやすくなります。

便秘を悪化させる食事習慣

以下の食事習慣は便秘と食事の関係で避けるべきです:

  • 食物繊維が少ない食事
  • 水分摂取量が少ない
  • 脂質に偏った食事
  • 発酵食品を摂らない
  • 朝食を抜く
  • 不規則な食事時間

金沢の当院では、これらの便秘の食事習慣を改善する具体的な指導を行っています。

便秘の食事|プロバイオティクスの効果

便秘の食事改善で注目されているのがプロバイオティクスです。プロバイオティクスは便秘と食事の関係において、有効性が示されています。

プロバイオティクスとは

プロバイオティクスは以下の特徴を持ちます:

  • 腸内環境を改善する生きた微生物
  • ビフィズス菌や乳酸菌が代表的
  • 腸内フローラのバランスを整える
  • 健康に好影響を与える

便秘の食事におけるプロバイオティクスの科学的根拠

便秘の食事療法としてのプロバイオティクスは、多くの研究で有効性が示されています:

  • 2024年BMJ Open:便の頻度と硬さを改善(ただしエビデンスの質は低〜非常に低)
  • 2014年Am J Clin Nutr:排便回数が週1.3回増加、腸管通過時間を12.4時間短縮
  • 2022年Clin Nutr:プロバイオティクスとシンバイオティクスの包括的レビュー

日本の慢性便秘症診療ガイドライン2023では、プロバイオティクスは代替・補助的治療として位置づけられており、食物繊維や生活習慣改善と併用することで、便秘の食事療法の効果を高めることができます。効果量は小〜中等度ですが、安全性が高いことが特徴です。

プロバイオティクスが便秘を改善する仕組み

便秘の食事にプロバイオティクスを取り入れると、以下の効果があります:

  • 腸の動きを活発化:有機酸が蠕動運動を促進
  • 悪玉菌を抑制:腸内フローラを改善
  • 便を柔らかく:水分バランスを調整
  • 炎症を抑制:腸管免疫を調整

効果が報告されているプロバイオティクスの種類

便秘の食事で効果が報告されている菌株(効果は菌株や個人により異なります):

  • ビフィドバクテリウム・ラクティス(B. lactis):複数の研究で排便頻度の改善が報告
  • ラクトバチルス・カゼイ・シロタ(L. casei Shirota):日本で馴染み深い菌株
  • ビフィドバクテリウム・ロンガム(B. longum):高齢者での効果報告あり

※効果は菌株、用量、期間、個人差により異なります。継続的な摂取と観察が重要です。

プロバイオティクスを含む食事・食品

便秘の食事に取り入れやすい食品:

  • ヨーグルト:消費者庁許可のトクホ製品がおすすめ
  • 乳酸菌飲料:手軽に摂取できる
  • 納豆:納豆菌が腸内環境を整える
  • 味噌:発酵食品として優秀
  • キムチ:植物性乳酸菌が豊富
  • ぬか漬け:日本の伝統食

プロバイオティクスの効果的な摂り方

便秘の食事でプロバイオティクスを最大限活用するポイント:

  • 毎日継続:定着しにくいため継続が重要
  • 食事と一緒に摂取:研究では食事と同時摂取が胃酸から菌を守り、生存率が高いことが示されています
  • 複数の菌株:多様性が効果を高める可能性
  • 適量を守る:製品の表示に従って摂取(ヨーグルトの場合、1日100〜200g程度が目安)

便秘の食事|オリゴ糖と食物繊維

便秘と食事の関係で、プロバイオティクスと同じく重要なのがプレバイオティクスです。便秘の食事には、オリゴ糖と食物繊維が欠かせません。

プレバイオティクスとは

プレバイオティクスの特徴:

  • 消化されずに大腸まで届く
  • 善玉菌のエサになる
  • 腸内環境を改善する
  • オリゴ糖と食物繊維が該当

オリゴ糖の効果

便秘の食事におけるオリゴ糖の役割:

  • ビフィズス菌を増やす
  • 大腸まで消化されずに届く
  • 善玉菌の増殖を促進

フラクトオリゴ糖や難消化性デキストリンは、消費者庁許可の特定保健用食品として「おなかの調子を整える」効果が認められています。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、オリゴ糖が食物繊維の一部として腸内環境改善に役立つことが解説されています。

オリゴ糖を含む食事・食品

便秘の食事で積極的に摂りたいオリゴ糖食品:

  • 大豆製品:納豆、豆腐、きな粉
  • 玉ねぎ:フラクトオリゴ糖が豊富
  • ごぼう:イヌリンも含む
  • ねぎ・にんにく:オリゴ糖が豊富
  • バナナ:手軽に摂取できる
  • アスパラガス:フラクトオリゴ糖
  • オリゴ糖シロップ:市販品も活用

食物繊維の重要性

便秘の食事には2種類の食物繊維が必要です:

不溶性食物繊維

  • 便の量を増やす
  • 腸を刺激する
  • 野菜・穀類・豆類に多い

水溶性食物繊維

  • 便を柔らかくする
  • 善玉菌のエサになる
  • 果物・海藻・大麦に多い

食物繊維を含む食事・食品

便秘の食事で推奨される食物繊維源:

  • 穀類:玄米、麦ごはん、全粒粉パン
  • 豆類:大豆、あずき、おから
  • 野菜類:ごぼう、ブロッコリー、かぼちゃ
  • いも類:さつまいも、こんにゃく
  • きのこ類:しいたけ、えのき
  • 海藻類:わかめ、ひじき
  • 果物類:りんご、キウイ、プルーン

水分摂取の重要性

便秘の食事では、水分摂取も重要です。水分が不足している方や、食物繊維を多く摂る際は、1日1.5〜2リットル程度の水分摂取を心がけましょう。研究では、食物繊維25gと約2リットルの水分を組み合わせることで、排便頻度が改善することが示されています。

ただし、水分単独での効果は限定的であり、食物繊維やその他の生活習慣改善と併用することが大切です。

便秘の食事|シンバイオティクス

便秘と食事の最新アプローチが「シンバイオティクス」です。これは便秘の食事療法で効果的な方法とされています。

シンバイオティクスとは

シンバイオティクスの定義:

  • プロバイオティクス(善玉菌)
  • プレバイオティクス(善玉菌のエサ)
  • 両方を同時に摂取する
  • 相乗効果で便秘改善をサポート

便秘の食事でシンバイオティクスが効果的な理由

便秘の食事にシンバイオティクスを取り入れると:

  • 善玉菌が腸内で活発に働く
  • もともといる善玉菌も増殖
  • 腸内環境が持続的に改善
  • 便秘症状の緩和をサポート

実践しやすいシンバイオティクスの食事例

便秘の食事で今日から実践できる組み合わせ:

朝食の組み合わせ

  • ヨーグルト + バナナ + オリゴ糖
  • 納豆 + 玄米 + キムチ
  • 味噌汁 + わかめ + ごぼう

昼食・夕食の組み合わせ

  • キムチ + 玉ねぎサラダ + 豆腐
  • ぬか漬け + 麦ごはん + 根菜煮物
  • チーズ + 全粒粉パン + 果物

おやつ・デザート

  • ヨーグルト + きな粉 + オリゴ糖
  • ヨーグルト + プルーン + りんご
  • 飲むヨーグルト + バナナ

便秘の食事でシンバイオティクスを成功させるコツ

便秘の食事療法を成功させる4つのポイント:

  • 継続が最重要:2〜4週間は続ける
  • 多様性を意識:様々な食品を組み合わせる
  • 水分補給:不足している場合は1日1.5〜2リットル
  • 規則正しく:特に朝食を抜かない

便秘の食事|1日のモデルメニュー

金沢の当院が推奨する便秘の食事例:

朝食

  • 玄米ごはん(食物繊維)
  • 納豆(プロバイオティクス)
  • 味噌汁(プロバイオティクス)with わかめ・ごぼう
  • ヨーグルト + バナナ + オリゴ糖

昼食

  • 麦ごはん(食物繊維)
  • 焼き魚
  • ひじきの煮物(食物繊維)
  • キムチ(プロバイオティクス)
  • 野菜サラダ with 玉ねぎ

夕食

  • 玄米ごはん(食物繊維)
  • 鶏肉のソテー
  • ブロッコリー・かぼちゃ(食物繊維)
  • 豆腐とわかめのサラダ
  • ぬか漬け(プロバイオティクス)

間食

  • ヨーグルト + きな粉 + オリゴ糖
  • りんご or キウイ

このような便秘の食事を続けることで、食物繊維の目標量を達成できます。

金沢で便秘の食事指導を受けるには

金沢駅前消化器内科・内視鏡クリニックでは、便秘と食事に関する専門的な指導を行っています。

当院の便秘の食事指導の特徴

  • 消化器専門医による診断:正確な便秘の原因を特定
  • 女性医師も在籍:相談しやすい環境
  • 個別の食事指導:一人ひとりに合った便秘の食事プラン
  • 最新エビデンス:科学的根拠に基づく指導
  • 金沢駅前:通いやすい立地

便秘の食事指導の流れ

  1. 問診:食生活・生活習慣を詳しく聴取
  2. 診察:便秘の原因を診断
  3. 食事指導:具体的な便秘の食事メニュー提案
  4. フォローアップ:改善状況を確認

検査が必要なケース

便秘の食事改善の前に、検査をお勧めする警告症状(アラームサイン):

  • 血便がある
  • 便が細くなった
  • 体重が減少している
  • 50歳以上で急に便秘が始まった
  • 家族に大腸がんの方がいる
  • 腹痛が強い、悪化している

金沢の当院では、苦痛の少ない大腸カメラ検査を実施しています。

金沢駅前の便利な立地

便秘の食事相談は金沢駅前の当院へ:

  • 金沢駅から徒歩圏内
  • 仕事帰りに通いやすい
  • 金沢市内・石川県内から多数来院
  • 予約制でスムーズ

よくあるご質問

便秘の食事改善でヨーグルトは1日どのくらい食べればいいですか?

便秘の食事としてヨーグルトは、製品の表示に従って摂取してください。一般的な目安としては1日100〜200g程度ですが、重要なのは継続することです。プロバイオティクスは腸内に定着しにくいため、便秘の食事では毎日の継続が最も重要です。バナナやオリゴ糖と一緒に摂ると、シンバイオティクスとしての効果が期待できます。

便秘の食事で食物繊維を摂りすぎるとどうなりますか?

通常の便秘の食事から摂る食物繊維で過剰摂取になることはほとんどありませんが、サプリメントで急激に大量摂取すると、お腹の張りや下痢を起こすことがあります。便秘の食事で食物繊維を増やす際は、水分が不足している場合は1日1.5〜2リットル程度を一緒に摂ることが大切です。金沢の当院では、適切な量の便秘の食事指導を行っています。

便秘の食事改善はどのくらいで効果が出ますか?

便秘の食事療法の効果は個人差がありますが、多くの研究では2〜4週間の継続で効果が現れることが示されています。便秘と食事の関係では、腸内環境の改善に時間がかかるため、すぐに効果が出なくても諦めずに継続することが大切です。金沢の当院では、便秘の食事指導とともに、必要に応じて薬物療法も組み合わせます。

便秘の食事を改善しても良くならない場合は?

便秘の食事改善を2〜4週間続けても便秘が改善しない場合や、血便・体重減少・激しい腹痛などの症状がある場合は、何か病気が隠れている可能性があります。金沢の当院では、消化器専門医による診察と大腸カメラ検査で、便秘と食事の関係を詳しく調べることができます。お一人で悩まず、ぜひご相談ください。

便秘の食事で朝食が重要な理由は?

便秘の食事では、特に朝食が重要です。朝食を食べることで「胃・結腸反射」が起こり、腸が動き始めて排便のリズムが整います。この反射は、食事の中でも朝食が最も強く腸を刺激することが分かっています。また、ヨーグルトなどのプロバイオティクスは、食事と一緒に摂取すると効果的です。金沢の当院では、便秘と食事の関係から、朝食の重要性を詳しく指導しています。

便秘と食事についてもっと詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。

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金沢で便秘の食事相談なら当院へ

便秘と食事の関係について、この記事では最新のエビデンスに基づいて解説してまいりました。

便秘の食事改善で最も大切なのは、プロバイオティクス(善玉菌)とプレバイオティクス(オリゴ糖・食物繊維)を組み合わせたシンバイオティクスです。ヨーグルトにバナナやオリゴ糖を加える、納豆と玄米を一緒に食べるなど、便秘の食事は簡単にできることから始められます。

2024年の最新研究でも、プロバイオティクスを含む便秘の食事が便秘改善に有効性を示すことが報告されています。便秘と食事は密接に関連しており、毎日の便秘の食事改善が最も重要な治療法です。

ただし、便秘の食事改善を続けても便秘が改善しない場合や、血便・体重減少・激しい腹痛などの症状がある場合は、何か病気が隠れている可能性があります。

金沢駅前消化器内科・内視鏡クリニックでは、消化器専門医による的確な診断と、一人ひとりに合わせた便秘の食事指導を行っております。便秘と食事に関するお悩みは、金沢の当院にお任せください。

女性医師も在籍しておりますので、便秘の食事について安心してお話しいただけます。金沢駅から徒歩圏内という便利な立地で、皆様のご来院をお待ちしております。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025年10月19日 / 最終更新日:2025年10月19日

金沢で過敏性腸症候群にお悩みの方へ|低FODMAP食事療法について

お腹の張りや腹痛、下痢や便秘が繰り返し起こり、何を食べても調子が悪くなるような気がして、食事の時間が不安になっていませんか。検査を受けても異常が見つからず、どうすれば良いか分からないまま過ごされている方も多いと思います。そのようなお悩みを抱える方に知っていただきたいのが、低FODMAP食事療法です。

低FODMAP食は、過敏性腸症候群の症状を和らげるために開発された科学的根拠のある食事法で、世界中の研究で効果が確認されています。この記事では、FODMAPとは何か、どのように実践すれば良いか、そして金沢で専門的なサポートを受ける方法について、消化器内科医の視点から分かりやすくご説明いたします。

この記事のポイント

  • 低FODMAP食は過敏性腸症候群の症状改善に科学的根拠があり、約半数から7割以上の患者さんで効果が認められています
  • 特定の糖質を一時的に制限し、自分に合わない食品を見つけることが目的で、長期の厳格な制限は推奨されません
  • 当院では女性医師による内視鏡検査と、管理栄養士による食事指導で総合的にサポートいたします

金沢で低FODMAP食事療法について学ぶ過敏性腸症候群の方のイメージ

ご不安な点やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。ご予約はこちらからお進みいただけます。

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目次

FODMAPとは?お腹の不調との関係

FODMAP(フォドマップ)は、小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい糖質の総称です。具体的には、以下の5つの成分の頭文字を取った言葉です。

  • Fermentable(発酵性の)
  • Oligosaccharides(オリゴ糖)- 玉ねぎ、にんにく、小麦などに含まれるフルクタンやガラクトオリゴ糖
  • Disaccharides(二糖類)- 牛乳、ヨーグルトなどに含まれる乳糖(ラクトース)
  • Monosaccharides(単糖類)- りんご、梨などに含まれる果糖(フルクトース)
  • And
  • Polyols(ポリオール)- きのこ類やキシリトールなどの糖アルコール

これらの糖質は小腸でうまく吸収されないまま大腸に到達し、腸内細菌によって急速に発酵されます。その結果、大量のガスが発生したり、浸透圧によって腸内の水分が増加したりして、お腹の張り、腹痛、下痢といった症状を引き起こすことがあります。

過敏性腸症候群とFODMAPの関係

過敏性腸症候群の方は、腸の知覚が過敏になっており、少しのガスや水分増加でも強い症状を感じやすい状態にあります。日本消化器病学会の診療ガイドラインによれば、過敏性腸症候群は現在の診断基準(Rome IV)では日本人の約2~3パーセントが抱える疾患であり、腹痛や便通異常が慢性的に続くにもかかわらず、検査では器質的な異常が見つからないことが特徴です。

FODMAPを多く含む食品を摂取すると、これらの症状が悪化することが分かっており、逆に低FODMAP食によって症状が軽減される可能性があります。重要なのは、FODMAPが万人にとって悪いわけではなく、腸が敏感な方にとって症状の引き金になりやすいということです。

低FODMAP食事療法の科学的根拠

低FODMAP食は、オーストラリアのモナシュ大学で2005年に開発され、その後、世界中で臨床研究が行われてきました。

最新の研究結果

2025年に医学雑誌ランセット・ガストロエンテロロジー&ヘパトロジーで発表されたシステマティックレビューでは、低FODMAP食が過敏性腸症候群の全般的な症状、腹痛、お腹の張りに対して最も効果的な食事療法であることが示されました。複数の無作為化比較試験を統合したメタアナリシスでは、低FODMAP食を実施した患者さんの約50パーセントから75パーセントで症状の改善が認められており、個人差はありますが多くの方に効果が期待できる治療法です。

また、2021年に発表された研究では、低FODMAP食によって腸内でのガス産生が減少し、炎症マーカーであるヒスタミンが約8分の1に減少したことが報告されています。これは、低FODMAP食が単なる対症療法ではなく、腸内環境そのものに良い影響を与える可能性を示唆しています。

日本における評価

日本消化器病学会が発行する過敏性腸症候群診療ガイドライン2020においても、食事療法の重要性が強調されており、特定の食品が症状を悪化させる場合には、それらを控えることが推奨されています。低FODMAP食は世界的なエビデンスが蓄積されている食事療法として、今後さらに注目されていくと考えられます。

低FODMAP食の実践方法 - 3つのステップ

低FODMAP食は、ただ特定の食品を避け続ける食事法ではありません。自分に合わない食品を見つけ出すための、計画的なアプローチです。

ステップ1:除去期(2~4週間、最大6週間)

まず、高FODMAP食品を全て控える期間を設けます。この期間に症状が改善されるかどうかを確認します。除去期は通常2週間から4週間程度が推奨されており、最大でも6週間以内にとどめることが大切です。この間に症状の変化を記録することが重要です。

控える食品(高FODMAP食品)の例:

  • 穀物:小麦製品(パン、パスタ、うどん)、大麦、ライ麦
  • 野菜:玉ねぎ、にんにく、アスパラガス、キャベツ、カリフラワー
  • 果物:りんご、梨、マンゴー、すいか、さくらんぼ
  • 乳製品:牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム(乳糖を含むもの)
  • 豆類:大豆、レンズ豆、ひよこ豆
  • 甘味料:ハチミツ、高果糖コーンシロップ、キシリトール

食べられる食品(低FODMAP食品)の例:

  • 穀物:白米、玄米、そば(10割)、グルテンフリーパスタ、オートミール
  • 野菜:にんじん、きゅうり、トマト、ナス、ピーマン、レタス、ほうれん草
  • 果物:バナナ、みかん、キウイ、いちご、ブルーベリー(いずれも適量)
  • 乳製品:ラクトースフリーミルク、ハードチーズ(チェダー、パルメザン)
  • たんぱく質:鶏肉、牛肉、豚肉、魚、卵、豆腐(木綿豆腐が推奨、絹ごし豆腐は少量のみ)
  • 調味料:オリーブオイル、醤油(大さじ2杯程度まで)、味噌(小さじ2杯程度まで)、塩、こしょう

重要な注意点: FODMAPの含有量は食品の種類だけでなく、食べる量によっても変わります。低FODMAP食品でも大量に摂取すると症状が出ることがあるため、適切な分量を守ることが大切です。モナシュ大学が提供するFODMAPアプリなどで、具体的な許容量を確認することをおすすめします。

ステップ2:再導入期(6~8週間)

症状が改善した後、一つずつFODMAP食品を段階的に再導入し、どの食品が症状を引き起こすかを特定します。例えば、最初の週は乳糖を含む食品を少量試し、次の週はフルクタンを含む食品を試すといった具合に、慎重に進めていきます。この期間は通常6週間から8週間程度を目安とします。

この期間は、自分の体と向き合う大切な時間です。食事日記をつけ、何を食べてどのような症状が出たかを記録することで、ご自身のトリガー食品が明確になります。

ステップ3:維持期(長期)

再導入期で問題なかった食品は日常の食事に戻し、症状を起こす食品だけを適度に控える、個別化された食事スタイルを確立します。完全な制限ではなく、症状を起こさない範囲で楽しむことが目標です。

実践する際の注意点

低FODMAP食は栄養バランスが偏る可能性があるため、自己判断で始めるのではなく、必ず医師や管理栄養士の指導のもとで行うことが推奨されています。当院では、消化器内科医と管理栄養士が連携し、患者さん一人ひとりに合わせた食事指導を行っております。

金沢で低FODMAP食を始める前に必要な検査

低FODMAP食を始める前に、過敏性腸症候群以外の病気がないことを確認しておくことが非常に重要です。

大腸内視鏡検査が必要なケース

腹痛や便通異常の症状は、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)、大腸ポリープ、大腸がんなどでも起こることがあります。過敏性腸症候群は、これらの器質的な病気を除外した上で診断される機能性疾患です。

大腸内視鏡検査は、以下のような警戒徴候がある場合や、年齢に応じた大腸がんスクリーニングが必要な場合に推奨されます。

  • 血便が見られる
  • 原因不明の体重減少がある
  • 発熱を伴う
  • 貧血がある
  • 50歳以上で新たに症状が出現した
  • 家族に大腸がんや炎症性腸疾患の方がいる

若年の方で警戒徴候がない場合は、必ずしも内視鏡検査が最初に必要とは限りませんが、症状が長引く場合や不安が強い場合には、安心のために検査を受けることも選択肢の一つです。医師と相談しながら、適切な検査のタイミングを決めていきましょう。

当院での検査の特徴

金沢駅前消化器内科・内視鏡クリニックでは、女性医師による大腸内視鏡検査を行っております。女性の患者さんにとって、デリケートな検査だからこそ同性の医師に診てもらいたいというお声を多くいただいており、リラックスして検査を受けていただける環境を整えています。

また、鎮静剤を使用することで、苦痛を最小限に抑えた検査が可能です。検査中は医師や看護師が声をかけながら進めますので、ご不安な点があればいつでもお伝えください。

血液検査・腹部エコー検査

大腸カメラに加えて、血液検査で炎症マーカーや貧血の有無を確認したり、腹部エコー検査で肝臓、胆のう、膵臓などの状態を調べたりすることもあります。総合的な評価を行うことで、より正確な診断につながります。

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よくあるご質問

低FODMAP食はどのくらいの期間続ければ良いですか?

除去期は通常2週間から4週間、最大でも6週間以内が推奨されています。その後の再導入期が6週間から8週間程度です。完全な制限を長期間続けるのではなく、ご自身に合わない食品だけを適度に控える維持期に移行することが目標です。長期間の厳しい制限は栄養バランスを崩したり、腸内細菌叢に悪影響を与えたりする可能性がありますので、必ず医師や管理栄養士の指導のもとで進めてください。

低FODMAP食は誰でも効果がありますか?

低FODMAP食は過敏性腸症候群の方の約半数から7割以上で効果が認められていますが、全ての方に効果があるわけではありません。効果の程度には個人差があります。まずは適切な診察と、必要に応じた検査で他の病気を除外し、過敏性腸症候群であることを確認してから始めることが大切です。

外食やお付き合いの際はどうすれば良いですか?

除去期は厳しい制限が必要ですが、維持期に入れば、症状を起こさない範囲で柔軟に対応できます。和食(白米、焼き魚、野菜の煮物など)は比較的低FODMAPの選択肢が多いです。事前にメニューを確認したり、症状が出やすい食品だけを避けたりすることで、社会生活を楽しみながら食事療法を続けられます。

低FODMAP食を始める前にどんな検査が必要ですか?

過敏性腸症候群は、炎症性腸疾患や大腸がんなどの器質的な病気を除外して診断される疾患です。血便、体重減少、発熱、貧血などの警戒徴候がある場合や、50歳以上で新たに症状が出現した場合、家族歴がある場合などは、大腸内視鏡検査が推奨されます。若年で警戒徴候がない場合は、必ずしも最初から内視鏡検査が必要とは限りませんが、症状が長引く場合や不安が強い場合には検査を受けることも選択肢です。当院では、女性医師による苦痛の少ない大腸カメラ検査を行っておりますので、安心してご相談ください。

金沢で過敏性腸症候群の食事療法をご検討中の方へ

お腹の不調は、日常生活の質を大きく低下させます。何を食べても調子が悪くなるのではないかという不安を抱えながら過ごすのは、とても辛いことです。しかし、低FODMAP食事療法は、科学的根拠に基づいた効果的なアプローチであり、多くの方が症状の改善を実感されています。

大切なのは、自己判断で始めるのではなく、まず適切な診察を受けて正確な診断を得ること、必要に応じて検査を受けること、そして医師や管理栄養士のサポートを受けながら計画的に進めることです。当院では、消化器内科専門医と管理栄養士が連携し、患者さん一人ひとりに寄り添った診療を心がけております。

女性医師による内視鏡検査、最新の設備、そして温かい雰囲気の中で、皆様の健康をサポートさせていただきます。お腹の不調でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。一緒に、快適な毎日を取り戻していきましょう。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-10-18 / 最終更新日:2025-10-18

便秘の原因と検査の必要性|金沢で安心して受けられる検査を専門医が解説

 

 

毎日のお通じがなかなか来ない、お腹が張って苦しい、いつも便秘薬に頼ってしまう…そんなお悩みを抱えていらっしゃいませんか。便秘は多くの方が経験する身近な症状ですが、実は背後に重大な病気が隠れている可能性もあります。

「たかが便秘」と軽く考えて放置してしまうと、症状が悪化するだけでなく、大切な病気のサインを見逃してしまうかもしれません。この記事では、金沢で便秘にお悩みの方に向けて、便秘の原因から、どんな時に検査が必要なのか、そして具体的な検査方法まで、消化器専門医が分かりやすく解説いたします。

この記事のポイント

  • 便秘には機能性と器質性があり、器質性便秘は大腸がんなどの重大な病気が原因の可能性があります
  • 警告サイン(血便、体重減少、貧血など)がある場合は精密検査が必要です
  • 当院では女性医師による苦痛の少ない大腸カメラ検査を受けていただけます

ご不安な点やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。ご予約はこちらからお進みいただけます。

オンライン予約はこちら 電話予約:076-210-7140

目次

便秘とは?医学的な定義と種類

便秘とは、単に排便の回数が少ないというだけではありません。医学的には、本来体外へ排出すべき便を十分な量かつ快適に排出できない状態を指します。

具体的には、以下のような症状がある場合、便秘と考えられます。

便秘の主な症状

  • 排便回数が週に3回未満
  • 排便時に強くいきむ必要がある
  • 便が硬くて出しにくい
  • 排便後も便が残っている感じがする(残便感)
  • お腹が張って苦しい(腹部膨満感)

これらの症状が慢性的に続く場合、専門的な評価が必要になることがあります。便秘は大きく分けて、生活習慣やストレスなどが原因となる「機能性便秘」と、何らかの病気が原因となる「器質性便秘」の2つに分類されます。

便秘の原因|機能性便秘と器質性便秘

便秘の原因を正しく理解することは、適切な治療につながる第一歩です。ここでは、便秘を引き起こす主な原因について詳しく見ていきましょう。

機能性便秘の原因

機能性便秘は、腸の働きそのものに問題が生じることで起こる便秘です。日本人の便秘の多くはこのタイプで、以下のような原因が考えられます。

大腸通過遅延型(旧分類の弛緩性便秘に相当)では、大腸の蠕動運動が弱まり、便を押し出す力が低下します。運動不足や食物繊維不足、加齢などが主な原因です。高齢者や運動習慣のない方に多く見られます。

機能性便排出障害は、排便時に骨盤底筋群や肛門括約筋の協調運動がうまくいかず、便が出にくくなる状態です。いきんでも便が出ない、残便感が強いといった症状が特徴です。

また、ストレスなどが原因で自律神経が乱れると、腸が過度に緊張して痙攣し、腸管が狭くなるため便がスムーズに通過できず、コロコロとした硬い便になることがあります。腹痛を伴うことが多く、便秘と下痢を繰り返す場合は過敏性腸症候群(IBS)の可能性も考えられます。

器質性便秘の原因

器質性便秘は、腸そのものに何らかの病気があることで起こる便秘です。以下のような疾患が原因となります。

大腸がんやポリープは、腸管を狭窄させたり閉塞させたりして便の通過を妨げます。特に、これまで便秘がなかった方に急に便秘が始まった場合は注意が必要です。

炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)は、腸に慢性的な炎症を起こし、便秘や下痢などの症状を引き起こします。

腸閉塞は、腸管が完全に塞がってしまう状態で、激しい腹痛や嘔吐を伴います。緊急を要する状態ですので、速やかな医療機関の受診が必要です。

その他、甲状腺機能低下症や糖尿病などの内分泌疾患、パーキンソン病などの神経疾患、うつ病などの精神疾患も便秘を起こすことがあります。また、服用している薬剤の副作用として便秘が現れることもあります。

検査が必要な便秘のサイン

すべての便秘が検査を必要とするわけではありませんが、以下のような症状がある場合は、背後に重大な病気が隠れている可能性があるため、早めの検査をお勧めいたします。

すぐに検査が必要な警告サイン

  • 急に便秘が始まった:これまで便秘がなかった方に急に便秘が始まった場合、特に40歳以上の方では大腸がんなどの可能性を考える必要があります(日本では40歳から便潜血検診が推奨されています)
  • 血便が出る:便に血が混じる、便が黒っぽい(タール便)場合は、大腸がんや炎症性腸疾患などの可能性があります
  • 原因不明の体重減少:特にダイエットをしていないのに体重が減少している場合は要注意です
  • 激しい腹痛:我慢できないほどの激しい腹痛や、持続する強い痛みがある場合
  • 便が細くなった:便が以前より明らかに細くなり、それが持続している場合、他の警告サイン(血便、体重減少、貧血など)を伴うときは精査が必要です。ただし、便の太さの変化だけでは診断の決め手にはなりませんので、総合的に判断します
  • 貧血の症状:顔色が悪い、立ちくらみがする、息切れがするなどの症状がある場合
  • 家族歴:ご家族に大腸がんや炎症性腸疾患の方がいる場合

これらの症状がある場合は、自己判断で市販の便秘薬だけに頼らず、医療機関を受診して適切な検査を受けることが大切です。早期発見・早期治療により、多くの病気は良好な経過をたどることができます。

金沢で受けられる便秘の検査方法

便秘の原因を正確に診断するために、金沢駅前院では以下のような検査を受けることができます。

問診と身体診察

まず、詳しい問診を行います。便秘の期間、排便の頻度や便の性状、随伴症状、生活習慣、服用中の薬剤、家族歴などを丁寧にお伺いします。その後、腹部の診察を行い、お腹の張りや圧痛、腫瘤の有無などを確認します。

血液検査

初期評価としては、貧血の有無を調べるために血算(CBC)を行います。貧血があれば、大腸がんなどの出血性病変の可能性を考えます。甲状腺機能や炎症反応などの検査は、臨床的に疑われる場合に選択的に実施します。たとえば、寒がり、疲れやすさ、体重増加など甲状腺機能低下症を疑う症状がある場合は、甲状腺ホルモンの測定を追加します。

腹部エコー(腹部超音波検査)

体に負担をかけずに、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓などの臓器を観察できます。腹部の腫瘤や腹水の有無なども確認できます。痛みがなく、放射線被曝もないため、安心して受けていただける検査です。

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)

警告サイン(血便、体重減少、貧血、家族歴など)がある場合や、年齢やリスクに応じた大腸がんスクリーニングが必要な場合に、大腸カメラを行います。肛門から内視鏡を挿入し、大腸の粘膜を直接観察することで、大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患、憩室などを発見できます。

警告サインがなく、スクリーニング年齢にも該当しない慢性便秘の場合は、必ずしも初期評価で大腸カメラが必要というわけではありません。生活習慣の改善や適切な薬物療法で様子を見ることもあります。ただし、症状が改善しない場合や、経過中に新たな症状が出現した場合は、検査を検討します。

当院では、鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査を心がけております。また、女性医師による検査も可能ですので、女性の方も安心して受けていただけます。検査中にポリープが見つかった場合、その場で切除することも可能です。

CT検査

腹部CT検査により、大腸の走行や腸閉塞の有無、腹腔内の詳細な情報を得ることができます。緊急性が高い場合や、内視鏡検査が困難な場合に行われることがあります。

当院での内視鏡検査の流れ

金沢駅前にある当院では、患者様の不安を少しでも和らげ、安心して検査を受けていただけるよう、丁寧な説明と配慮を心がけております。

初診時

まず、詳しい問診と診察を行います。便秘の状況や随伴症状、ご心配な点などを丁寧にお伺いします。必要に応じて、血液検査や腹部エコー検査を行います。これらの結果をもとに、大腸カメラなどの精密検査が必要かどうかを判断いたします。

検査前

大腸カメラ検査を受けていただく場合、事前に詳しい説明を行い、検査日を予約します。検査前日は消化の良い食事をとっていただき、前夜と当日朝に下剤を服用して腸内をきれいにします(分割投与法)。当院では、服用しやすい下剤を使用し、服用方法も丁寧にご説明いたします。

検査当日

ご希望に応じて鎮静剤を使用し、苦痛の少ない検査を行います。検査時間は通常15〜30分程度です。検査後は、鎮静剤が完全に覚めるまで、リカバリールームでお休みいただきます。鎮静剤を使用した場合は、検査当日の車の運転や危険を伴う作業は控えていただく必要があります。検査結果は、画像をご覧いただきながら丁寧にご説明いたします。

よくあるご質問

Q1. 便秘薬を飲み続けていますが、検査は必要ですか?

A. 長期間便秘薬に頼っている場合、自己判断での使用は避け、一度医師にご相談ください。適切な用量での使用であれば、多くの便秘薬は長期使用も可能ですが、薬の種類によっては短期使用が推奨されるものもあります。また、便秘の背後に病気が隠れている可能性もありますので、警告サインがある場合は検査を受けて原因を明らかにすることをお勧めします。

Q2. 大腸カメラは痛いと聞きましたが大丈夫でしょうか?

A. 当院では、鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査を行っております。多くの患者様が「思ったより楽だった」とおっしゃいます。また、女性医師による検査も可能ですので、ご希望の方はお気軽にお申し出ください。検査前の不安な点についても、丁寧にご説明いたしますので、どんな小さなことでもお尋ねください。

Q3. 検査費用はどのくらいかかりますか?

A. 検査費用は、検査の種類や保険適用の有無によって異なります。大腸カメラ検査の場合、3割負担で観察のみであれば約5,000〜8,000円程度です(ポリープ切除や生検を行った場合は追加費用がかかります)。詳しくは、受診時にご説明いたしますので、ご安心ください。

Q4. 検査当日は仕事を休む必要がありますか?

A. 鎮静剤を使用する場合、検査後しばらくの間、眠気やふらつきが残ることがあります。そのため、検査当日はお仕事をお休みいただくか、午後からの勤務にしていただくことをお勧めします。また、検査当日は車の運転や危険を伴う作業は控えていただく必要があります。

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金沢で便秘の検査をご検討中の方へ

便秘は多くの方が経験する身近な症状ですが、時に重大な病気のサインであることもあります。「たかが便秘」と軽く考えず、気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診することが大切です。

金沢駅前にある当院では、消化器専門医が、患者様お一人おひとりの症状に合わせた丁寧な診察と検査を行っております。女性医師による検査も可能ですので、どなたでも安心してご相談いただけます。

便秘でお悩みの方、検査を受けるべきか迷っていらっしゃる方は、どうぞお気軽にご相談ください。皆様の健康を守るため、スタッフ一同、心を込めてサポートさせていただきます。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-10-13 / 最終更新日:2025-10-13

大腸がんのリスクとは?金沢の専門医が解説する予防と検査の重要性

「最近、お腹の調子が気になる」「家族に大腸がんの人がいて心配」そんな不安を抱えている方は少なくありません。大腸がんは日本人に多いがんの一つですが、早期発見できれば治癒の可能性が高く、リスク要因を知ることで予防につなげることができます。

この記事では、大腸がんのリスク因子について、最新の医学的エビデンスに基づいて詳しく解説します。ご自身やご家族の健康を守るために、どのような点に注意すべきか、そして検査の重要性について、金沢駅前で内視鏡診療を行う専門医の立場から、分かりやすくお伝えします。

この記事のポイント

  • 大腸がんのリスクには変えられない要因(年齢・家族歴)と、生活習慣で改善できる要因があります
  • 飲酒・喫煙・肥満・運動不足などの生活習慣は、大腸がんのリスクを高めることが科学的に証明されています
  • 当院では女性医師による苦痛の少ない大腸内視鏡検査で、早期発見・早期治療をサポートしています

 

ご不安な点やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。ご予約はこちらからお進みいただけます。

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目次

大腸がんとは?日本での現状

大腸がんは、大腸(結腸・直腸)の粘膜から発生する悪性腫瘍です。日本では年間約15万人から16万人が大腸がんと診断されており、がんによる死亡原因としても上位を占めています。

国立がん研究センターの統計によると、大腸がんの罹患率は40歳代から増加し始め、年齢が高くなるほど高まる傾向にあります。また、男性は女性の約1.3倍罹患しやすいとされていますが、女性においても大腸がんは重要な健康課題となっています。

大腸がんの多くは、良性のポリープ(腺腫)から数年から十数年かけて、ゆっくりとがん化していきます。そのため、定期的な検査でポリープの段階で発見し切除することが、大腸がんの最も効果的な予防法となります。

早期発見の重要性

大腸がんは早期に発見できれば、内視鏡治療や手術による治癒の可能性が非常に高いがんです。初期段階では自覚症状がほとんどないため、症状が出る前から定期的な検査を受けることが重要です。

便潜血検査や大腸内視鏡検査などの検診を受けることで、無症状のうちに早期がんやポリープを発見できます。特に、家族歴や生活習慣などでリスクが高い方は、より積極的な検査の受診をお勧めします。

大腸がんのリスク要因:変えられない要因

大腸がんのリスク要因には、自分では変えることができない要因と、生活習慣の改善によって対処できる要因があります。まず、変えられない要因について理解しておきましょう。

年齢

大腸がんのリスクは、年齢とともに上昇します。厚生労働省の指針では、40歳以上の方を大腸がん検診の対象としており、50歳を過ぎるとリスクはさらに高まります。

近年では若年層の大腸がんも増加傾向にあることが報告されていますが、全体として見ると、年齢が上がるほど大腸がんに罹患する割合は高くなります。そのため、40歳を過ぎたら、症状がなくても定期的な検診を受けることが推奨されます。

家族歴・遺伝的要因

家族に大腸がんや大腸ポリープの既往がある方は、そうでない方と比較して大腸がんのリスクが高くなります。特に、第一度近親者(親、兄弟姉妹、子ども)に大腸がんの方がいる場合、リスクは約2倍から3倍に上昇するとされています。

さらに、家族性大腸腺腫症(FAP)やリンチ症候群(HNPCC)などの遺伝性疾患では、若年でも大腸がんを発症するリスクが非常に高くなります。これらの遺伝性疾患は、特定の遺伝子の変異が家族内で受け継がれることが原因です。

家族歴がある方は、一般の方よりも早い年齢から、そしてより頻繁に大腸内視鏡検査を受けることが重要です。遺伝性疾患が疑われる場合には、遺伝カウンセリングや遺伝子検査の相談も検討されます。

炎症性腸疾患

潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患を長期間患っている方は、大腸がんのリスクが高まることが知られています。これらの疾患では、長年にわたる慢性的な炎症が大腸の粘膜に影響を与え、がん化のリスクを高めると考えられています。

炎症性腸疾患で治療中の方は、主治医の指示に従って定期的にサーベイランス検査を受けることが大切です。

大腸がんのリスク要因:生活習慣で改善できる要因

ここからは、日常生活の中で改善できる大腸がんのリスク要因について解説します。これらの要因は、ご自身の努力で変えることができるため、積極的に取り組むことで大腸がんのリスクを下げることが可能です。

飲酒

過度な飲酒は、大腸がんのリスクを高めることが、多くの研究で示されています。厚生労働省の報告によると、毎日2合以上の飲酒習慣のある男性では、大腸がんのリスクが2.1倍に高まることが明らかになっています。

アルコールが分解される過程で生じるアセトアルデヒドという物質が、大腸の粘膜にダメージを与え、がん化のリスクを高めると考えられています。特に日本人は、遺伝的にアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが弱い方が多いため、飲酒による影響を受けやすいとされています。

大腸がんの予防のためには、飲酒しないことがベストですが、飲む場合でも適量を守ることが大切です。厚生労働省では、純アルコール量で1日20g程度(ビール中瓶1本、日本酒1合程度)までを節度ある飲酒量としています。

喫煙

喫煙は、肺がんだけでなく大腸がんのリスクも高めます。たばこに含まれる発がん性物質が、血液を通じて全身に運ばれ、大腸の粘膜にも影響を与えることが原因と考えられています。

禁煙することで、大腸がんのリスクは徐々に低下していきます。禁煙が難しい場合は、医療機関での禁煙外来を利用することも一つの方法です。禁煙は、大腸がんだけでなく、さまざまな病気のリスクを下げることができる、最も効果的な健康習慣の一つです。

肥満・運動不足

肥満は大腸がんのリスクを高める要因の一つです。体重が増えると、体内のインスリンや炎症に関わる物質のバランスが崩れ、大腸の細胞の増殖に影響を与えると考えられています。

一方、適度な運動習慣は大腸がんのリスクを下げることが、多くの研究で示されています。運動により腸の蠕動運動が活発になり、発がん性物質が腸内に留まる時間が短くなることや、体重管理ができることなどが、その理由と考えられています。

日常生活の中で、できるだけ体を動かす時間を増やすことを心がけましょう。ウォーキングなどの軽い運動でも、継続することで効果が期待できます。

食生活

食生活の欧米化に伴い、日本でも大腸がんが増加していると指摘されています。特に、赤身肉(牛肉、豚肉、羊肉など)や加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)の過剰摂取は、大腸がんのリスクを高めることが科学的に証明されています。

国立がん研究センターの研究によると、女性では赤身肉や加工肉の摂取により大腸がんが発生する危険性が高くなる可能性があることが報告されています。これらの肉類を高温で調理すると、発がん性物質が生成されることも知られています。

一方、食物繊維を多く含む野菜や果物、全粒穀物などの摂取は、大腸がんのリスクを下げる可能性があるとされています。食物繊維は腸内環境を整え、便の通過時間を短くすることで、発がん性物質の影響を減らすと考えられています。

バランスの取れた食事を心がけ、野菜や果物を積極的に取り入れ、赤身肉や加工肉は適量にとどめることが、大腸がん予防の第一歩です。

糖尿病

2型糖尿病の方は、糖尿病でない方と比較して大腸がんのリスクが高いことが知られています。高血糖やインスリン抵抗性が、細胞の異常な増殖に関わっていると考えられています。

糖尿病の方は、血糖コントロールを良好に保つとともに、定期的な大腸がん検診を受けることが重要です。

金沢で受けられる大腸がん検査の種類

大腸がんの早期発見には、定期的な検査が欠かせません。金沢駅前でも、さまざまな検査方法が受けられます。

便潜血検査

便潜血検査は、自治体の検診などで広く行われているスクリーニング検査です。便に微量の血液が混じっていないかを調べる検査で、大腸がんやポリープからの出血を検出します。

国立がん研究センターの大腸がん検診ガイドライン2024年度版では、便潜血検査免疫法による検診が推奨されています。40歳以上の方は、年に1回この検査を受けることが勧められています。

ただし、便潜血検査が陰性でも大腸がんやポリープがないとは言い切れません。陽性の場合は必ず精密検査(大腸内視鏡検査)を受けることが重要です。また、家族歴がある方やリスクが高い方は、便潜血検査に頼らず、直接大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入し、大腸の内部を直接観察する検査です。ポリープやがんを高い精度で発見でき、さらに検査中にポリープを切除することも可能です。

当院では、消化器内視鏡専門医による苦痛の少ない大腸内視鏡検査を提供しています。女性医師も在籍しておりますので、女性の方も安心してご相談いただけます。最新の内視鏡システムを導入し、小さなポリープも見逃さないよう、丁寧な観察を心がけています。

大腸内視鏡検査は、ポリープの段階で切除することで大腸がんを予防できる、最も効果的な方法です。家族歴がある方、40歳以上の方、便潜血検査で陽性だった方は、ぜひ大腸内視鏡検査をご検討ください。

CT検査・MRI検査

CT検査やMRI検査は、大腸がんの進行度や転移の有無を調べるために用いられます。また、大腸CT検査(CTコロノグラフィ)は、内視鏡を使わずにCTで大腸を観察する方法ですが、ポリープの切除ができないため、異常が見つかった場合は結局大腸内視鏡検査が必要になります。

これらの検査は、状況に応じて適切に使い分けることが大切です。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-01-15 / 最終更新日:2025-01-15

食道癌リスクが高い人とは?金沢の専門医が解説する予防と検査

【金沢の専門医が解説】食道がんのリスクと予防|飲酒・喫煙からバレット食道まで

「最近、お酒を飲むとしみるような感じがする」「タバコも長年吸っているけれど、食道がんが心配」そのようなお悩みを抱えていらっしゃる方は、決して少なくありません。食道がんは、飲酒や喫煙が大きなリスク要因となることが明らかになっており、特に日本人男性に多くみられる疾患です。また、胃酸逆流によって生じるバレット食道も、食道腺がんの原因として注目されています。この記事では、金沢で消化器内科・内視鏡検査を専門とする当院が、食道がんのリスク要因や予防法、早期発見の重要性について、エビデンスに基づいて詳しく解説いたします。皆さまの不安が少しでも軽くなり、健康な毎日を送るための一助となれば幸いです。

この記事のポイント

  • 食道がんは飲酒と喫煙が主要なリスク要因であり、特に両方の習慣がある方はリスクが大幅に上昇します
  • バレット食道は胃酸逆流により生じ、食道腺がんのリスク因子として重要です
  • 当院では、最新の内視鏡システムを用いた早期発見と、女性医師による丁寧な検査で安心して受診いただけます

 

ご不安な点やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。ご予約はこちらからお進みいただけます。

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食道がんとは?日本における現状

食道がんは、食道の粘膜から発生する悪性腫瘍です。日本では年間約2万5千人が新たに食道がんと診断されており、男性が女性の約5~6倍と圧倒的に男性に多い疾患です。食道がんには主に2つのタイプがあり、日本人の約90%は「扁平上皮がん」、残りの約7~10%が「腺がん」です。

扁平上皮がんは食道のどの部分にも発生しますが、特に食道の中部から下部に多くみられます。一方、腺がんは主に食道と胃の境目付近(食道胃接合部)に発生することが多く、欧米では腺がんの割合が増加傾向にあります。

食道がんの特徴と予後

食道がんは早期には自覚症状が乏しく、症状が出た時点で既に進行していることが少なくありません。また、食道は壁が薄く、周囲に重要な臓器(気管、大動脈、心臓など)が隣接しているため、がんが進行すると治療が困難になります。そのため、食道がん全体の5年生存率は約49%と、胃がんや大腸がんと比較して低い傾向にあります。

しかし、早期発見できれば内視鏡治療で完治が可能であり、ステージIの5年生存率は約79%と良好です。これは、定期的な内視鏡検査による早期発見がいかに重要かを物語っています。

こんな症状は要注意

  • 食べ物を飲み込むときにつかえる感じや痛み(嚥下困難・嚥下痛)
  • 胸の奥や背中の痛み
  • 体重減少や食欲不振
  • 声のかすれ(反回神経への浸潤)
  • 慢性的な咳や痰

これらの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めいたします。

飲酒が食道がんリスクを高めるメカニズム

飲酒は食道がん、特に扁平上皮がんの最も重要なリスク要因の一つです。アルコールそのものではなく、体内で代謝される際に生成される「アセトアルデヒド」という物質が、強い発がん性を持つことが分かっています。

アセトアルデヒドと食道がん

アルコールを摂取すると、まずアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに分解されます。その後、アセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)によってさらに酢酸へと分解されます。しかし、日本人の約40%は、遺伝的にALDH2の働きが弱い、または欠損しているタイプです。このタイプの方は、お酒を飲むと顔が赤くなりやすく、「アジアンフラッシュ」と呼ばれる反応が起こります。

ALDH2の働きが弱い方がお酒を飲むと、体内にアセトアルデヒドが長時間蓄積し、食道粘膜が繰り返しダメージを受けます。研究によれば、ALDH2不活性型でお酒を飲む習慣のある方は、正常型の方と比べて食道がんのリスクが数十倍も高まるとされています。

飲酒量とリスクの関係

国際的な研究では、1日あたりのアルコール摂取量が増えるほど、食道扁平上皮がんのリスクが上昇することが明らかになっています。例えば、1日75g以上のアルコール摂取(日本酒約4合、ビール大瓶約3本相当)では、全く飲まない人と比較してリスクが約7~8倍になるという報告もあります。

さらに注意すべきは、適量と考えられる少量の飲酒であっても、ALDH2が弱い体質の方にとってはリスクとなりうる点です。「お酒で顔が赤くなる」「少量でも気分が悪くなる」といった方は、特に注意が必要です。

喫煙と食道がんの関係

喫煙もまた、食道扁平上皮がんの主要なリスク要因です。タバコの煙には70種類以上の発がん性物質が含まれており、これらが食道粘膜に直接ダメージを与えます。

喫煙によるリスク上昇

大規模な研究によれば、1日30本以上の喫煙者は、タバコを吸わない人と比較して食道がんのリスクが約5倍高まります。また、喫煙開始年齢が若いほど、喫煙期間が長いほど、1日の喫煙本数が多いほど、リスクは上昇します。

フィルターなしのタバコの喫煙は、軽めのタバコと比較してリスクが高いことも報告されています。これは、タール含有量や煙の吸い込み方の違いが影響していると考えられています。

禁煙の効果

禁煙によって食道がんのリスクは徐々に低下します。禁煙後10年以上経過すると、リスクは約35~45%減少することが示されています。「今さら遅い」と考えず、いつからでも禁煙を始めることには意味があります。

飲酒と喫煙の相乗効果

最も注意すべきなのは、飲酒と喫煙の両方の習慣がある場合です。これらは単独でもリスクを高めますが、両方が重なると、それぞれの影響を足し合わせた以上の「相乗効果」が生じます。

驚くべき相乗効果の実態

南米で行われた大規模な研究では、大量飲酒と喫煙の両方の習慣がある方は、どちらもしない方と比較して食道扁平上皮がんのリスクが約50~130倍も高まることが報告されています。また、日本の研究でも、重度の喫煙者かつ大量飲酒者のオッズ比(リスク比)は50を超えるとされています。

なぜこのような相乗効果が生じるのでしょうか。アルコールは食道粘膜を傷つけ、タバコに含まれる発がん性物質が粘膜に浸透しやすくなります。また、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドと、タバコに含まれる化学物質が相互に作用し、DNA損傷をさらに促進すると考えられています。

適度な飲酒や喫煙でもリスクは上昇

興味深いことに、適度な量の飲酒や喫煙であっても、両方を組み合わせるとリスクが大幅に上昇します。例えば、中程度の飲酒量と中程度の喫煙量でも、食道がんのリスクが12~19倍になるという報告があります。これは、「ほどほどなら大丈夫」という考えが必ずしも当てはまらないことを示しています。

バレット食道と食道腺がんのリスク

食道がんには扁平上皮がんのほかに「腺がん」があります。日本では全体の約7~10%と少数派ですが、欧米では腺がんが増加しており、その前段階として「バレット食道」が重要な役割を果たしています。

バレット食道とは

バレット食道とは、本来食道を覆っている扁平上皮が、胃や腸の粘膜に似た円柱上皮(腺上皮)に置き換わった状態です。この変化は、長期間にわたる胃酸や胆汁の逆流によって生じます。逆流性食道炎を放置していると、慢性的な炎症により粘膜が変化し、バレット食道へと進行することがあります。

バレット食道の方は、正常な食道粘膜の方と比較して、食道腺がんのリスクが約30~40倍高いとされています。ただし、バレット食道から腺がんへと進行する確率は年間0.4~0.5%程度と決して高くはありません。それでも、定期的な内視鏡検査によるフォローアップが重要です。

胃酸逆流と食生活の影響

バレット食道の発生には、胃食道逆流症(GERD)が深く関与しています。高脂肪食、過食、肥満、特に内臓脂肪型肥満は、腹圧を上昇させ、下部食道括約筋の機能を低下させて、胃酸逆流を引き起こしやすくします。また、食後すぐに横になる習慣や、前かがみの姿勢が多い生活も逆流を助長します。

欧米での食道腺がんの増加は、肥満人口の増加と密接に関連していると考えられています。日本でも、食生活の欧米化や肥満の増加に伴い、バレット食道と食道腺がんへの注意が必要です。

バレット食道の早期発見と管理

バレット食道は内視鏡検査で診断できます。バレット粘膜の範囲や異形成(前がん病変)の有無を評価し、リスクに応じて定期的な内視鏡観察を行います。異形成が見つかった場合や、腺がんの早期段階であれば、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)といった低侵襲な治療で対応できることもあります。

金沢で受けられる内視鏡検査と早期発見の重要性

食道がんは早期には症状がほとんどないため、定期的な内視鏡検査による早期発見が非常に重要です。金沢駅前にある当院では、最新の内視鏡システムと経験豊富な専門医による、苦痛の少ない精密な検査を提供しております。

当院の内視鏡検査の特徴

当院では、NBI(狭帯域光観察)システムを搭載した最新の内視鏡を使用しています。NBIは、粘膜表面の微細な血管構造を強調表示する技術で、早期がんや前がん病変の発見率を大幅に向上させます。通常の白色光観察では見逃しやすい微小な病変も、NBIによって明瞭に可視化できるため、より正確な診断が可能です。

また、ヨード染色法も併用することで、食道扁平上皮がんの早期発見精度をさらに高めています。ヨード染色では、正常な扁平上皮は褐色に染まりますが、がんや異形成の部分は染まらないため、病変の範囲を正確に把握できます。

女性医師による安心の検査

当院には女性の消化器内視鏡専門医が在籍しており、女性の患者さまからも「同性の医師に診てもらえて安心」とご好評をいただいております。内視鏡検査に不安がある方、初めての方も、どうぞお気軽にご相談ください。

鎮静剤使用で苦痛の少ない検査

ご希望に応じて鎮静剤を使用することで、ウトウトと眠っているような状態で検査を受けていただけます。嘔吐反射が強い方や、以前の検査でつらい経験をされた方も、リラックスして検査を受けられます。検査時間は通常10~15分程度です。

高リスクの方には定期検査を推奨

以下に該当する方は、食道がんのリスクが高いため、定期的な内視鏡検査をお勧めします。

  • 飲酒習慣がある方(特にALDH2不活性型でお酒を飲む方)
  • 喫煙習慣がある方、または過去に長期喫煙歴がある方
  • 飲酒と喫煙の両方の習慣がある方
  • 慢性的な胸焼けや逆流症状がある方
  • バレット食道と診断された方
  • 頭頸部がん(口腔、咽頭、喉頭がん)の既往がある方
  • 家族に食道がんや頭頸部がんの方がいる方

食道がんを予防するための生活習慣

食道がんの予防には、日々の生活習慣の見直しが不可欠です。以下のポイントを意識することで、リスクを大幅に減らすことができます。

1. 禁煙・節酒

最も重要なのは、喫煙をやめること、そして過度な飲酒を控えることです。日本食道学会の診療ガイドラインでも、食道がん予防のために禁煙と節酒を強く推奨しています。特に、お酒を飲むと顔が赤くなる体質の方は、少量であっても飲酒を控えることが望ましいとされています。

既に食道がんの治療を受けた方も、再発予防のために禁煙と禁酒の継続が非常に重要です。

2. バランスの良い食事

新鮮な野菜や果物を積極的に摂取しましょう。ビタミンC、ビタミンE、カロテノイドなどの抗酸化物質は、食道粘膜を保護し、発がんリスクを低下させる可能性があります。特に緑黄色野菜や柑橘類には、これらの栄養素が豊富に含まれています。

一方、熱すぎる飲食物は食道粘膜を繰り返し傷つけ、がんのリスクを高める可能性があります。熱いお茶やスープは、少し冷ましてから飲むようにしましょう。

3. 適正体重の維持

肥満、特に内臓脂肪型肥満は、胃酸逆流を引き起こしやすく、バレット食道や食道腺がんのリスクを高めます。適度な運動とバランスの良い食事で、適正体重を維持することが大切です。

4. 逆流症状への対処

慢性的な胸焼けや胃酸逆流の症状がある方は、早めに医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。プロトンポンプ阻害薬(PPI)などの胃酸分泌抑制薬による治療や、生活習慣の改善(食後すぐに横にならない、就寝時に上半身を少し高くするなど)によって、バレット食道への進行を防ぐことができる可能性があります。

5. 定期的な内視鏡検査

リスク要因を持つ方は、症状がなくても定期的に内視鏡検査を受けることで、早期発見・早期治療につなげることができます。早期であれば、食道を温存した内視鏡治療で完治が期待できます。

よくあるご質問

Q1. お酒を飲むと顔が赤くなりますが、これは食道がんのリスクと関係ありますか?

A1. はい、大いに関係があります。お酒を飲んで顔が赤くなるのは、アセトアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)の働きが弱い体質である証拠です。この体質の方がお酒を飲むと、発がん性物質であるアセトアルデヒドが体内に蓄積しやすく、食道がんのリスクが大幅に高まります。お酒で顔が赤くなる方は、できる限り飲酒を控えることをお勧めします。

Q2. 食道がんの初期症状はありますか?

A2. 残念ながら、食道がんの初期には、ほとんど自覚症状がありません。症状が出るのは、がんがある程度進行してからのことが多いです。そのため、リスク要因をお持ちの方は、症状がなくても定期的な内視鏡検査を受けることが非常に重要です。進行すると、食べ物がつかえる感じ(嚥下困難)、胸の痛み、体重減少などの症状が現れます。

Q3. バレット食道と診断されました。必ず食道がんになりますか?

A3. いいえ、バレット食道から食道腺がんへと進行する確率は、年間0.4~0.5%程度と決して高くはありません。ただし、リスクがゼロではないため、定期的な内視鏡検査によるフォローアップが必要です。異形成(前がん病変)の有無や程度に応じて、観察間隔を調整します。また、胃酸を抑える薬物療法や生活習慣の改善によって、進行を遅らせることができる可能性があります。

Q4. 内視鏡検査はどのくらいの頻度で受ければよいですか?

A4. リスク要因の程度によって異なりますが、一般的には以下のような目安があります。大量飲酒と喫煙の両方の習慣がある方、お酒で顔が赤くなる体質で飲酒習慣がある方、頭頸部がんの既往がある方などは、年に1回程度の検査が推奨されます。バレット食道と診断された方は、異形成の有無や程度に応じて、1~3年に1回程度の検査が必要です。ご自身の状況については、担当医とよくご相談ください。

Q5. 禁煙・禁酒をすれば、食道がんのリスクは下がりますか?

A5. はい、禁煙や節酒・禁酒によって、食道がんのリスクは徐々に低下します。禁煙後10年以上経過すると、リスクは約35~45%減少するとされています。また、飲酒量を減らすことでも、リスクの低下が期待できます。「今さら遅い」ということはありませんので、いつからでも禁煙・節酒を始める意味は十分にあります。当院でも禁煙外来を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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金沢で食道がんのリスクにお悩みの方へ

食道がんは、飲酒や喫煙といった生活習慣と深く関わる疾患です。特に日本人では、遺伝的にアルコールに弱い体質の方が多く、「お酒で顔が赤くなる」方は特に注意が必要です。また、胃酸逆流によって生じるバレット食道も、食道腺がんのリスク因子として重要です。

幸いなことに、食道がんは早期発見できれば、内視鏡治療で食道を温存しながら完治を目指すことができます。そのためには、リスク要因をお持ちの方が、症状がなくても定期的に内視鏡検査を受けることが何よりも大切です。

金沢駅前にある当院では、最新の内視鏡システムを用いた精密検査と、消化器内視鏡専門医による丁寧な診療を提供しております。女性医師も在籍しており、鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査も可能です。「飲酒や喫煙の習慣があり心配」「胸焼けが続いている」「バレット食道と言われたことがある」といったご不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。皆さまの健康を守るため、スタッフ一同、全力でサポートいたします。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-10-15 / 最終更新日:2025-10-15

金沢市でインフルエンザ予防|医師が解説する効果的な対策

「今年もインフルエンザの流行が始まったみたい…家族を守るために何をすればいいの?」そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。特に小さなお子さんやご高齢のご家族がいらっしゃる場合、インフルエンザ予防は切実な問題です。

ご安心ください。この記事では、消化器内科・内視鏡専門医の立場から、インフルエンザ予防の最新情報と、特に基礎疾患をお持ちの方が知っておくべき重要なポイントを分かりやすく解説いたします。適切な予防対策を知ることで、ご自身とご家族の健康を守ることができます。

この記事のポイント

  • インフルエンザワクチンは発症予防だけでなく、重症化を防ぐ効果が期待できます
  • 糖尿病や心疾患など基礎疾患がある方は重症化リスクが高く、特に注意が必要です
  • 金沢市内で安心して予防接種を受けられる医療機関があります

 

ご不安な点やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。ご予約はこちらからお進みいただけます。

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目次

インフルエンザとは?今シーズンの流行状況

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。普通の風邪とは異なり、38度以上の高熱、頭痛、関節痛、筋肉痛といった全身症状が急速に現れるのが特徴です。咳や鼻水といった呼吸器症状も伴います。

日本では例年12月から3月にかけて流行のピークを迎えます。2025年度も10月に入り流行の兆しが見られており、早めの対策が推奨されています。特に注意が必要なのは、インフルエンザは感染力が非常に強く、短期間で多くの人に広がるという点です。

インフルエンザの主な症状

以下のような症状が現れた場合は、インフルエンザの可能性があります:

  • 突然の38度以上の高熱
  • 強い倦怠感や筋肉痛、関節痛
  • 頭痛
  • 咳、のどの痛み、鼻水
  • 悪寒や寒気

通常は1週間程度で回復しますが、高齢者や基礎疾患をお持ちの方、小さなお子さんでは重症化する可能性があるため、早めの受診が大切です。

放置すると危険な合併症

インフルエンザを放置すると、肺炎や気管支炎などの呼吸器系の合併症を引き起こす可能性があります。特に注意すべき合併症として以下が挙げられます:

  • 肺炎:ウイルス性肺炎や二次性の細菌性肺炎が発症することがあります
  • インフルエンザ脳症:小児に多く見られ、意識障害や異常行動を伴う重篤な合併症です
  • 心筋炎:まれですが、心臓の筋肉に炎症が起こることがあります
  • 基礎疾患の悪化:既存の慢性疾患が急激に悪化する可能性があります

インフルエンザ予防で最も重要なワクチン接種

インフルエンザを防ぐ最も効果的な方法は、ワクチン接種です。ワクチンには感染そのものを完全に防ぐ効果はありませんが、発症を予防し、特に重症化や死亡を防ぐ効果が期待できます。

ワクチンの効果と接種時期

インフルエンザワクチンの効果は、年齢や健康状態によって異なりますが、一般的に以下のような効果が報告されています:

  • 発症予防効果:全年齢で概ね30〜60%程度の発症予防効果があります(季節やウイルス株によって変動します)
  • 重症化予防効果:高齢者の入院を予防する効果が複数の研究で報告されており、小児では入院を63〜78%予防したという2024-2025年シーズンの米国データがあります
  • 死亡予防効果:高齢者施設入所者の死亡を82%阻止したという国内研究があります(小規模研究のため目安としてお考えください)

ワクチンの効果が現れるまでには接種後約2週間かかり、効果は約3〜6カ月間持続します(ウイルスの型や年齢によって変動することがあります)。流行のピークが12月から3月であることを考えると、10月から11月に接種するのが理想的です。

ワクチン接種をおすすめする方

日本では65歳以上の方等が定期接種の対象となっており、生後6カ月以上のすべての方への接種が推奨されています。特に以下の方は重症化リスクが高いため、優先的に接種を検討すべきです:

  • 65歳以上の高齢者(定期接種対象)
  • 基礎疾患がある方(糖尿病、心疾患、呼吸器疾患、腎臓病など)
  • 妊娠されている方
  • 小さなお子さん(生後6カ月以上)
  • 医療従事者や高齢者施設職員

金沢市でのワクチン接種

金沢市内の多くの医療機関でインフルエンザワクチンの接種が可能です。当院では、予約制で待ち時間を最小限に抑えた接種を行っております。ご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

基礎疾患がある方のインフルエンザリスク

基礎疾患をお持ちの方は、インフルエンザに感染すると重症化しやすく、入院や死亡のリスクが高まることが知られています。特に注意が必要な基礎疾患と、そのリスクについて解説します。

糖尿病をお持ちの方

糖尿病の方は、インフルエンザによる重症化リスクが特に高いことが分かっています。高血糖の状態では白血球の働きが低下し、ウイルスへの抵抗力が弱くなるためです。

さらに、インフルエンザに感染すると一時的に血糖値が上昇しやすく、血糖コントロールが難しくなります。糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群といった深刻な合併症を引き起こす可能性もあります。

糖尿病の方は、日頃から血糖コントロールを良好に保つことに加えて、必ずインフルエンザワクチンの接種を受けることが推奨されます。予防接種により、糖尿病患者の入院リスクを減少させる効果が複数の研究で報告されています。

心臓や肺の病気がある方

慢性心疾患(心不全、虚血性心疾患など)や慢性呼吸器疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患COPDなど)をお持ちの方も、インフルエンザによる重症化リスクが高いとされています。

インフルエンザ感染により、既存の心臓病や肺疾患が急激に悪化する可能性があります。特にCOPDの患者さんでは、インフルエンザワクチンを接種することで重篤な増悪を減少させ、死亡率を低減できることが複数の研究で報告されています。

その他の基礎疾患

以下の基礎疾患をお持ちの方も、インフルエンザ予防に特に注意が必要です:

  • 慢性腎臓病
  • 免疫不全状態(HIV感染症、免疫抑制剤使用中など)
  • 肝臓病
  • 悪性腫瘍で治療中の方

感染時の注意点(シックデイ対策)

基礎疾患をお持ちの方がインフルエンザに感染した場合、いわゆる「シックデイ」として特別な対応が必要になることがあります。特に糖尿病でインスリン治療を受けている方は、食事量が減ったからといって自己判断でインスリンを中止すると、重篤な状態に陥る危険があります。

体調を崩された場合は、必ず主治医に連絡し、薬の調整や受診のタイミングについて指示を受けてください。事前に主治医とシックデイ時の対応について相談しておくことをおすすめします。

金沢市で実践できる日常的な予防対策

ワクチン接種に加えて、日常生活での予防対策を実践することが大切です。金沢市にお住まいの方が今日から始められる予防法をご紹介します。

手洗いの徹底

インフルエンザウイルスは、ドアノブや手すりなどに付着したウイルスを手で触り、その手で鼻や口を触ることで感染する接触感染も重要な感染経路です。外出から帰った時、食事の前、咳やくしゃみをした後は、必ず石けんで丁寧に手を洗いましょう。

手洗いは15秒以上かけて、指の間や爪の周り、手首までしっかり洗うことがポイントです。アルコール手指消毒剤の使用も効果的です。

適切なマスクの着用

インフルエンザは咳やくしゃみによる飛沫感染が主な感染経路です。混雑した場所や公共交通機関を利用する際は、マスクを着用することで感染リスクを減らせます。

既に咳や発熱などの症状がある場合は、周囲への感染を防ぐ「咳エチケット」として、必ずマスクを着用しましょう。マスクがない場合は、ティッシュやハンカチ、袖で口と鼻を覆います。

室内の湿度管理

空気が乾燥すると、のどの粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。金沢市は冬季に湿度が比較的保たれる地域ですが、暖房を使用する室内では乾燥しやすくなります。

加湿器などを使って、室内の湿度を50〜60%に保つことが推奨されます。適度な換気も忘れずに行いましょう。

十分な休養と栄養

体の抵抗力を高めるために、十分な睡眠とバランスの取れた栄養摂取を心がけましょう。疲労がたまっていると免疫力が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。

特にビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物、たんぱく質をバランスよく摂取することが大切です。

人混みを避ける

流行期には、できるだけ人混みへの外出を避けることも予防につながります。やむを得ず外出する場合は、マスクの着用や手洗いを徹底しましょう。

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よくあるご質問

Q. インフルエンザワクチンは毎年接種する必要がありますか?

A. はい、毎年接種することが推奨されています。インフルエンザウイルスは毎年変異するため、その年に流行が予測される株に対応したワクチンが製造されます。また、ワクチンの効果は約5カ月間で減衰するため、毎シーズンの接種が重要です。

Q. ワクチンを打てばインフルエンザにかかりませんか?

A. ワクチンは感染を完全に防ぐものではありませんが、発症のリスクを概ね30〜60%程度減らし(季節やウイルス株によって変動します)、特に重症化や死亡を予防する効果があります。万が一感染しても、軽症で済む可能性が高まります。

Q. インフルエンザにかかったかもしれません。いつ受診すべきですか?

A. 38度以上の高熱、強い倦怠感、筋肉痛などの症状が急に現れた場合は、早めに医療機関を受診してください。抗インフルエンザ薬は発症後48時間以内に服用を開始することで最も効果を発揮します。受診前に電話で連絡することをおすすめします。

Q. 家族がインフルエンザにかかりました。どうすればいいですか?

A. 患者さんはできるだけ別の部屋で休養し、看病する人はマスクを着用して、こまめに手洗いをしましょう。同居のご家族で重症化リスクが高い方(高齢者、基礎疾患がある方など)がいる場合は、予防的に抗インフルエンザ薬を処方できる場合がありますので、医師にご相談ください。

Q. 糖尿病の治療中ですが、ワクチンは受けられますか?

A. はい、糖尿病の方こそワクチン接種が強く推奨されます。血糖コントロールが不良な方や合併症がある方は、特にインフルエンザが重症化しやすいため、必ず接種を受けることをおすすめします。ワクチン接種により糖尿病患者の入院や合併症のリスクを減少させる効果が複数の研究で報告されています。

金沢市でインフルエンザ予防をご検討中の方へ

インフルエンザは予防が可能な感染症です。ワクチン接種を中心とした予防対策により、ご自身とご家族の健康を守ることができます。

特に基礎疾患をお持ちの方は、インフルエンザによる重症化リスクが高いため、早めの予防接種と日常的な感染予防対策が重要です。不安な点がございましたら、どうぞ遠慮なくご相談ください。

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院では、皆様が安心して予防接種を受けられるよう、感染対策を徹底した環境を整えております。予約制により待ち時間を最小限に抑え、スムーズな診療を心がけております。

インフルエンザワクチンの接種や、体調に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

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著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-10-14 / 最終更新日:2025-10-14

【金沢の消化器専門医が解説】胃がんを疑う症状と早期発見のポイント

「最近、胃の調子がずっと良くない…」「胸焼けが続いているけど、まさか胃がん?」そんな不安を抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。胃がんは初期にはほとんど症状がないため、気づいた時には進行していることもあります。しかし、だからこそ、ちょっとした体のサインを見逃さず、早めに検査を受けることが大切です。この記事では、胃がんを疑うべき症状や、金沢で安心して受けられる検査について、消化器内視鏡専門医が詳しくお伝えします。

この記事のポイント

  • 胃がんの初期にはほとんど症状がないため、定期的な胃カメラ検査による早期発見が重要です
  • 胃痛・食欲不振・体重減少・黒色便などの症状が続く場合は、速やかに消化器内科の受診をお勧めします
  • 当院では女性医師による検査も可能で、鎮静剤を使用した苦痛の少ない胃カメラ検査を提供しています

 

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胃がんとは?放置するリスク

胃がんは、胃の内側を覆う粘膜の細胞から発生する悪性腫瘍です。日本では依然として罹患数が多く、大腸がん・肺がんに続いて第3位となっています。男性の方が女性よりも発症リスクが高く、特に50歳以降で増加する傾向にあります。

胃がんの最大の特徴は、早期にはほとんど自覚症状がないという点です。がんが粘膜や粘膜下層にとどまっている「早期胃がん」の段階では、多くの場合無症状です。症状が現れるのは、がんが固有筋層以上に深く進行した「進行胃がん」になってからであることが多いのです。

こんな症状は要注意

次のような症状が2週間以上続く場合は、胃がんの可能性を考えて、早めに消化器内科を受診されることをお勧めします。

  • みぞおちや上腹部の痛み・不快感が続く
  • 胸焼けや胃もたれが頻繁に起こる
  • 食欲がなく、以前のように食べられない
  • 理由もなく体重が減少している(1~2ヶ月で5%以上)
  • 便の色が黒っぽい(タール便)
  • 貧血の症状(立ちくらみ、疲れやすさ)がある
  • 吐き気や嘔吐が続く

これらの症状は胃炎や胃潰瘍でも見られるため、症状だけで胃がんと判断することはできません。だからこそ、気になる症状がある場合は自己判断せず、内視鏡検査で確認することが大切です。

胃がんを疑うべき7つの症状

胃がんの症状は進行度によって異なりますが、ここでは特に注意すべき7つの症状について詳しく解説します。

1. 持続する胃痛・みぞおちの痛み

胃がんが進行すると、胃の壁が刺激されてみぞおちや上腹部に痛みを感じることがあります。特に、空腹時や食後に痛みが増す場合は注意が必要です。ただし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍でも同様の症状が現れるため、内視鏡検査での確認が必要です。

2. 食欲不振・早期満腹感

胃がんが進行すると、胃の動きが悪くなり、少量の食事でもすぐに満腹感を感じるようになります。また、食欲そのものが低下し、好きだった食べ物にも興味がわかなくなることがあります。これは胃がんの重要なサインの一つです。

3. 原因不明の体重減少

特にダイエットをしているわけでもないのに、1~2ヶ月で体重が5%以上減少した場合は要注意です。胃がんによる食欲不振や消化吸収の低下が原因となっている可能性があります。

4. 黒色便(タール便)

胃がんから出血すると、血液が胃酸によって黒く変色し、便が黒っぽくなります(タール便)。これは胃や十二指腸からの出血を示す重要なサインです。黒色便に気づいたら、速やかに医療機関を受診してください。

5. 貧血症状

胃がんからの慢性的な出血により、徐々に貧血が進行することがあります。立ちくらみ、めまい、疲れやすさ、動悸、息切れなどの症状が現れます。健康診断で貧血を指摘された場合も、胃カメラ検査を検討されることをお勧めします。

6. 胸焼け・胃もたれ

胃がんによって胃の動きが悪くなると、食べ物が胃に長時間とどまり、胃酸が逆流して胸焼けを起こすことがあります。また、消化が悪くなることで胃もたれも頻繁に起こります。逆流性食道炎と症状が似ているため、鑑別が必要です。

7. 吐き気・嘔吐

胃の出口付近にがんができると、食べ物の通過が妨げられ、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。特に食後に吐き気が強くなる場合は、早めの検査をお勧めします。

金沢で受けられる胃がん検査の種類と特徴

胃がんの早期発見には、適切な検査を受けることが何よりも重要です。ここでは、代表的な検査方法とその特徴について解説します。

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)

胃カメラは、先端にカメラが付いた細い管を口または鼻から挿入し、胃の内部を直接観察する検査です。胃がんの早期発見に最も有効な検査方法で、わずかな色調の変化や凹凸も見逃しません。

当院では、最新の内視鏡システムを使用し、NBI(狭帯域光観察)や拡大内視鏡などの技術により、早期胃がんの発見率を高めています。また、鎮静剤を使用することで、苦痛を最小限に抑えた検査が可能です。

検査中に異常が見つかった場合は、その場で組織を採取(生検)し、病理検査でがん細胞の有無を確認します。また、ピロリ菌感染の検査も同時に行うことができます。

胃部X線検査(バリウム検査)について

バリウムという造影剤を飲んでX線撮影を行う検査で、集団検診などで広く用いられています。ただし、胃カメラと比べると小さな早期がんや平坦な病変は見つけにくく、精度の面では内視鏡検査に劣ります。また、バリウム検査で異常が指摘された場合は、必ず胃カメラ検査での精密検査が必要となります。

当院では、より精度の高い胃カメラ検査を第一選択としてご提案しております。「バリウムは苦手」という方も、鎮静剤を使用した胃カメラなら楽に検査を受けていただけますので、ぜひご相談ください。

ABC検診(胃がんリスク層別化検査)

血液検査でピロリ菌感染の有無と胃粘膜の萎縮度を調べ、胃がんになるリスクを判定する検査です。胃がんそのものを見つける検査ではありませんが、ハイリスク群に該当した方は定期的な胃カメラ検査が推奨されます。

CT検査(当院で受けられます)

当院では、院内にCT検査設備を完備しております。これにより、胃カメラで異常が見つかった際に、その場で速やかにCT検査を受けていただくことが可能です。

CT検査では、胃がんの進行度の評価や、リンパ節転移・他臓器への転移の有無を詳しく確認することができます。他の医療機関に移動する必要がなく、同じ日のうちに必要な検査を完結できるため、患者さまの負担を大きく軽減できます。

また、診断までの時間が短縮されることで、より早く治療方針を立てることができ、不安な期間を最小限に抑えることができます。これは、消化器疾患の診療において当院が最も大切にしているポイントの一つです。

当院での胃カメラ検査の流れ

当院では、患者さまができるだけリラックスして検査を受けられるよう、様々な工夫をしています。

検査前日

前日の夕食は、消化の良いものを午後9時までに済ませてください。それ以降は絶食となりますが、水やお茶などの透明な飲み物は当日の検査直前まで摂取できます。

検査当日

  1. 受付:予約時間の15分前にご来院ください
  2. 問診:症状や既往歴、服用中のお薬について確認します
  3. 前処置:喉の麻酔を行い、胃の動きを抑える薬を服用します。ご希望の方には鎮静剤を使用します
  4. 検査:経口または経鼻で内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸を観察します(所要時間:5~15分)
  5. 検査後:鎮静剤を使用した場合は、30分~1時間程度お休みいただきます
  6. 結果説明:医師が画像を見せながら検査結果を詳しく説明します

必要に応じて、当日中にCT検査など追加の精密検査を受けていただくことも可能です。

当院の特徴

  • 女性医師による検査:女性の患者さまも安心して受診いただけます
  • 鎮静剤の使用:ご希望に応じて、眠ったような状態で検査を受けられます
  • 最新の内視鏡システム:微細な病変も見逃さない高精細な画像で観察します
  • 消化器内視鏡専門医による検査:豊富な経験を持つ専門医が丁寧に検査します
  • 院内CT完備:必要な検査を一度の来院で完結できます
  • 土曜日の検査も可能:お仕事でお忙しい方も受診しやすい診療体制です

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よくあるご質問

胃がんの初期症状はありますか?

残念ながら、胃がんの初期にはほとんど症状がありません。がんが粘膜や粘膜下層にとどまっている早期の段階では、多くの方が無症状です。だからこそ、症状がないうちから定期的に胃カメラ検査を受けることが、早期発見には極めて重要です。

胃の痛みが続いていますが、胃がんでしょうか?

胃痛は胃がんの症状の一つではありますが、胃炎や胃潰瘍、機能性ディスペプシアなど、他の病気でも同様の症状が現れます。症状だけでは判断できませんので、2週間以上続く胃痛がある場合は、胃カメラ検査を受けて原因を確認されることをお勧めします。

胃カメラは苦しいですか?

当院では、鎮静剤を使用した胃カメラ検査を行っています。鎮静剤を使うと、眠っているような状態で検査を受けられるため、苦痛をほとんど感じずに検査を終えることができます。また、鼻から挿入する経鼻内視鏡では、嘔吐反射が少ないため、比較的楽に検査を受けられます。

ピロリ菌がいると必ず胃がんになりますか?

ピロリ菌に感染しているからといって、必ず胃がんになるわけではありません。しかし、ピロリ菌感染は胃がんの最大のリスク要因であり、感染していない方と比べて胃がんの発症リスクが数倍高くなることが知られています。ピロリ菌の除菌治療を受けることで、胃がんのリスクを大きく下げることができます。

何歳から胃がん検診を受けるべきですか?

厚生労働省の指針では、50歳以上の方に対して2年に1回の胃内視鏡検査が推奨されています。ただし、ピロリ菌感染がある方、家族に胃がんの方がいる方、胃の症状がある方は、50歳未満でも定期的な検査をお勧めします。

胃カメラの費用はどのくらいかかりますか?

症状があって保険診療で胃カメラを受ける場合、3割負担の方で5,000円~10,000円程度です。組織検査(生検)やピロリ菌検査を追加した場合は、それぞれ数千円の追加費用がかかります。詳しくは受診時にお尋ねください。

金沢で胃がんの不安を感じている方へ

胃がんは、早期に発見すれば治癒率が非常に高いがんです。しかし、初期にはほとんど症状がないため、定期的な検査が何よりも大切です。

「胃の調子が悪いけど、まだ我慢できるから…」と先延ばしにせず、気になる症状があればお早めにご相談ください。当院では、消化器内視鏡専門医が最新の内視鏡システムを使用し、丁寧に検査を行っています。女性医師による検査も可能ですので、女性の方も安心してご来院いただけます。

また、鎮静剤を使用した苦痛の少ない胃カメラ検査も行っていますので、「胃カメラは苦しい」というイメージをお持ちの方も、どうぞお気軽にご相談ください。

金沢駅から徒歩5分の当院は、お仕事帰りやお買い物の合間にも立ち寄りやすい立地です。予約制ですので、待ち時間も少なくスムーズに検査を受けていただけます。院内にはCT検査設備も完備しており、必要な検査を一度の来院で完結できることも、多くの患者さまからご好評いただいております。

あなたの健康と安心のために、私たちが全力でサポートいたします。胃の不調でお悩みの方、検診で異常を指摘された方、ご家族に胃がんの方がいらっしゃる方は、ぜひ一度ご相談ください。

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中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
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公開日:2025-10-13 / 最終更新日:2025-10-13

ピロリ菌と慢性胃炎の関係とは|金沢で受ける除菌治療と胃がん予防

健康診断でピロリ菌陽性と指摘され、慢性胃炎の可能性があると言われたら、とても不安になりますよね。「胃がんになってしまうのではないか」「どうすればいいのだろう」と、心配されている方も多いのではないでしょうか。

ピロリ菌に感染していても、適切な検査と除菌治療を受けることで、慢性胃炎の進行を抑え、将来の胃がんリスクを大幅に減らすことができます。この記事では、ピロリ菌と慢性胃炎、そして胃がんの関係について、消化器内視鏡専門医がエビデンスに基づいて分かりやすくご説明します。

この記事のポイント

  • ピロリ菌は慢性胃炎の主な原因であり、放置すると萎縮性胃炎から胃がんへと進行するリスクがあります
  • 除菌治療により胃がん発生リスクを半減させることができます
  • 当院では最新のPCR検査を導入し、薬剤耐性も同時に判定することで除菌成功率を高めています
  • 女性医師による丁寧な胃カメラ検査と、保険適用の除菌治療を提供しています

 

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ピロリ菌とは?慢性胃炎との深い関係

ヘリコバクター・ピロリ菌(通称:ピロリ菌)は、胃の粘膜に生息する細菌です。1982年にオーストラリアで発見されて以来、慢性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの主要な原因であることが科学的に証明されてきました。

通常、胃の中は強い酸性環境のため細菌は生存できませんが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という特殊な酵素を持っています。この酵素によって尿素を分解し、アンモニアを作り出すことで胃酸を中和し、胃の中で生き続けることができるのです。

ピロリ菌に感染する時期と経路

ピロリ菌の感染は主に幼少期(5歳頃まで)に起こります。当時の衛生環境が良くなかった時代に育った世代、特に65歳以上の方では感染率が高いですが、若い方での感染率は減少しており、30歳代で10%、10歳代では3-5%程度です。

感染経路としては、以下のようなケースが考えられています:

  • 井戸水など衛生状態の良くない水の摂取
  • 家族間での経口感染(親から子への口移しなど)
  • 不衛生な食べ物からの感染

現在では上下水道が整備され、若年層の感染率は大幅に減少していますが、ご家族にピロリ菌感染者がいる場合は、ご自身も感染している可能性があるため、一度検査を受けることをお勧めします。

ピロリ菌が慢性胃炎を引き起こすメカニズム

ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こります。この状態が「ピロリ菌感染胃炎(慢性胃炎)」です。感染が長期間続くと、胃粘膜が徐々に薄くなり、萎縮する「萎縮性胃炎」へと進行していきます。

萎縮性胃炎が進行すると、胃の粘膜が腸の粘膜のように変化する「腸上皮化生」という状態になります。この段階になると、胃がん発生のリスクが大幅に高まることが、国内外の研究で明らかになっています。

ピロリ菌が引き起こす病気 - 慢性胃炎から胃がんまで

ピロリ菌感染を放置すると、様々な消化器疾患を引き起こす可能性があります。ここでは、主な病気について詳しくご説明します。

慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)

ピロリ菌に感染した方のほぼ全員に、慢性的な胃粘膜の炎症が起こります。初期には自覚症状がないことも多く、健康診断や人間ドックで偶然発見されるケースが少なくありません。

主な症状:

  • 胃もたれ、膨満感
  • みぞおち周辺の鈍い痛み
  • 食欲不振
  • 吐き気、げっぷ

ただし、これらの症状は慢性胃炎に特有のものではなく、他の胃腸疾患でも起こり得ます。症状がある場合は、ご自身で判断せず、必ず医療機関を受診してください。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

ピロリ菌感染により胃粘膜の防御機能が低下すると、胃酸の攻撃によって粘膜が深く損傷し、潰瘍が形成されます。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者さんの80~90%がピロリ菌に感染していることが分かっています。

除菌治療に成功すれば、潰瘍の再発率を大幅に下げることができます。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の副作用による潰瘍もありますが、ピロリ菌が原因の場合は除菌が最も効果的な治療法です。

萎縮性胃炎と胃がんリスクの関係

ピロリ菌による慢性的な炎症が長年続くと、胃粘膜が萎縮し、薄くなっていきます。この萎縮性胃炎の状態が進行すればするほど、胃がんの発生リスクが高まることが、多くの研究で証明されています。

世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関は、全世界の胃がんの約8割がピロリ菌感染に起因すると報告しています。また、最新の研究では、ピロリ菌感染者は非感染者と比べて、胃がん発症リスクが約5~10倍高いことが示されています。

重要なのは、除菌治療により胃がんリスクを半減させることができるという事実です。特に若いうちに除菌することで、より高い予防効果が期待できます。

その他のピロリ菌関連疾患

  • 胃MALTリンパ腫:ピロリ菌が原因で発生する胃のリンパ腫で、除菌により改善することがあります
  • 機能性ディスペプシア:検査で異常が見つからないのに胃の不快症状が続く病気で、ピロリ菌が関与している場合があります

金沢で受けられるピロリ菌検査の種類と方法

ピロリ菌の検査方法には、大きく分けて「内視鏡を使う検査」と「内視鏡を使わない検査」の2種類があります。当院では、患者さんの状態に応じて最適な検査方法をご提案しています。

内視鏡を使う検査(胃カメラ)

迅速ウレアーゼ試験:胃カメラ検査時に採取した組織を用いて、ピロリ菌が持つウレアーゼという酵素の活性を調べます。結果が早く分かる利点があります。

組織鏡検法:採取した胃粘膜を顕微鏡で観察し、ピロリ菌の存在を直接確認する方法です。

培養法:採取した組織を培養してピロリ菌を増殖させ、感染の有無を確認します。

PCR検査(核酸増幅法):2022年11月から保険適用となった最新の検査法です。胃液を含む内視鏡廃液中のピロリ菌のDNA(遺伝情報)を高感度に検出します。当院ではこのPCR検査を実施しており、最大の特徴は、ピロリ菌の有無だけでなく、除菌治療に使用する抗生物質「クラリスロマイシン」への耐性の有無も同時に判定できることです。これにより、除菌治療前に薬剤耐性を把握し、患者さんに最適な除菌薬を選択できるため、除菌の成功率を高めることができます。検査精度も非常に高く、他の検査で陰性でも感染が疑われる場合に有用です。

内視鏡検査の大きなメリットは、ピロリ菌の感染診断だけでなく、胃粘膜の状態(萎縮の程度、炎症の広がり)を直接観察できること、そして胃がんなど他の病気の有無も同時に確認できることです。

内視鏡を使わない検査

尿素呼気試験:検査薬を服用し、一定時間後の呼気を調べる方法です。簡便で精度が高く、除菌判定にも使用されます。空腹時に実施する必要があり、胃酸分泌抑制薬(PPI)を服用中の方は2週間の休薬が必要です。

血清抗体測定:血液検査でピロリ菌に対する抗体を調べます。簡便ですが、除菌後も抗体が残るため除菌判定には不向きです。

便中抗原測定:便を採取してピロリ菌の抗原を検出します。

保険適用の条件

2013年2月より、内視鏡検査で慢性胃炎と診断された場合、ピロリ菌検査と除菌治療が保険適用となりました。これにより、多くの方が経済的負担を抑えて治療を受けられるようになっています。

当院では、最新の内視鏡システムを使用し、消化器内視鏡専門医による精密な検査を提供しています。鎮静剤を使用した無痛胃カメラにも対応しており、検査への不安を軽減できるよう配慮しています。

除菌治療の流れと成功率

ピロリ菌の除菌治療は、薬を1週間服用するだけの簡単な治療法です。ここでは、治療の具体的な流れと注意点についてご説明します。

一次除菌治療

2種類の抗生物質と1種類の胃酸分泌抑制薬の合計3剤を、1日2回、7日間連続で服用します。近年では、従来のプロトンポンプ阻害薬(PPI)に代わり、より強力な酸分泌抑制作用を持つP-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)が使用されることが多くなり、除菌成功率は約90%まで向上しています。

重要な注意点:

  • 必ず指示通り7日間飲み切ってください(自己判断での中止は耐性菌を生む原因になります)
  • 二次除菌時は禁酒が必要です(一次除菌では特に制限なし)
  • 副作用(下痢、軟便、味覚異常、発疹など)が出た場合は速やかにご相談ください

除菌判定

除菌治療終了後、2ヶ月程度経過してから除菌の成否を判定します。尿素呼気試験や便中抗原測定などで確認し、陰性であれば除菌成功です。

二次除菌治療

一次除菌が不成功の場合、抗生物質の1つを別の薬剤に変更して二次除菌を行います。一次除菌と二次除菌を合わせた累積除菌成功率は97~98%と非常に高い成績が報告されています。二次除菌まで保険適用となっています。

三次除菌以降

二次除菌でも不成功の場合、自費診療にはなりますが、三次除菌を行うことも可能です。当院では、患者さんの状況に応じて最適な治療方針をご提案いたします。

除菌後も定期的な胃カメラ検査が必要な理由

ピロリ菌の除菌に成功すれば、胃がんリスクは大幅に減少しますが、0にはなりません。これは非常に重要なポイントです。

除菌後も胃がんリスクが残る理由

除菌前の胃粘膜の萎縮が進行していた場合、除菌後も萎縮した粘膜が完全に正常な状態に戻るまでには10年以上かかるとされています。また除菌前に蓄積したDNAメチル化異常(DNAの一時的な傷)は除菌後も完全に消えることはなく、萎縮した粘膜から胃がんが発生する可能性は残り続けます。

また、除菌時点で検査では発見できない極めて小さながんが既に発生していた可能性もあります。そのため、除菌成功後も継続的な経過観察が必要なのです。

推奨される検査頻度

日本消化器内視鏡学会や日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、ピロリ菌除菌後も定期的な胃カメラ検査を推奨しています。

特に以下に該当する方は、より慎重な経過観察が必要です:

  • 除菌前に萎縮性胃炎が進行していた方
  • 腸上皮化生が確認されている方
  • 胃がんの家族歴がある方
  • 除菌時の年齢が50歳以上の方

当院では、除菌成功後の定期検査についても、患者さん一人ひとりのリスクに応じた最適な検査計画をご提案しています。

よくあるご質問

Q1. ピロリ菌に感染していても症状がない場合、除菌は必要ですか?

はい、症状の有無に関わらず除菌治療をお勧めします。ピロリ菌感染があると、自覚症状がなくても胃粘膜では慢性的な炎症が進行し、将来的に胃がんのリスクが高まります。日本ヘリコバクター学会のガイドラインでも、ピロリ菌感染者全てに除菌治療を強く推奨しています。

Q2. 除菌治療の費用はどのくらいかかりますか?

内視鏡検査で慢性胃炎と診断された場合、ピロリ菌検査と除菌治療(二次除菌まで)は保険適用となります。3割負担の場合、一次除菌で約6,000円、二次除菌で約7,000円程度です(診察料・検査料は別途)。詳しい費用については、受診時にご説明いたします。

Q3. 除菌治療の副作用はありますか?

主な副作用として、下痢・軟便(10~30%)、味覚異常・口内炎(5~15%)、発疹(2~5%)などが報告されています。ほとんどは軽度で一時的なものですが、症状が強い場合やアレルギーが疑われる場合は速やかにご連絡ください。また、除菌後に一時的に逆流性食道炎の症状が出ることがありますが、適切に対処できますのでご安心ください。

Q4. 家族もピロリ菌検査を受けた方がいいですか?

はい、ご家族に感染者がいる場合、特にお子さんは感染している可能性があります。ピロリ菌は主に幼少期(5歳まで)に家族間で感染することが多いため、ご家族での検査をお勧めします。若いうちに除菌することで、より高い予防効果が期待できます。中学生以上であれば検査・除菌が可能です。

Q5. 除菌後に再感染することはありますか?

成人での再感染率は非常に低く、年0.2%前後とされています。ピロリ菌は免疫機能が未発達な幼少期に感染するため、大人になってから新たに感染が持続することはほとんどありません。ただし、除菌判定を受けていない場合や、わずかに残った菌が再増殖する可能性もあるため、除菌後の判定検査は必ず適切に受けてください。

Q6. 胃カメラ検査は苦しくないですか?

当院では、鎮静剤を使用した無痛胃カメラ検査にも対応しています。消化器内視鏡専門医が最新の内視鏡システムを使用し、できるだけ短時間で正確な検査を行います。鼻から挿入する経鼻内視鏡も選択可能ですので、検査への不安がある方もお気軽にご相談ください。

Q7. PCR検査(核酸増幅法)とは何ですか?従来の検査とどう違うのですか?

PCR検査は2022年11月から保険適用となった最新のピロリ菌検査法です。胃カメラ検査時に採取した胃液からピロリ菌のDNAを高感度に検出します。最大の利点は、ピロリ菌の有無だけでなく、除菌に使用する抗生物質「クラリスロマイシン」への耐性の有無も同時に判定できることです。これにより、除菌治療前に薬剤耐性を把握し、患者さんに最適な除菌薬を選択できるため、一次除菌の成功率を高めることができます。当院ではこの最新検査を導入しており、より確実な除菌治療を目指しています。

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金沢でピロリ菌検査をご検討中の方へ

ピロリ菌と慢性胃炎、そして胃がんの関係についてご理解いただけたでしょうか。

大切なポイントをもう一度まとめると:

  • ピロリ菌は慢性胃炎の主な原因であり、放置すると胃がんリスクが高まります
  • 適切な除菌治療により、胃がん発生リスクを約25%まで減少させることができます
  • 内視鏡検査で慢性胃炎と診断されれば、検査・除菌治療ともに保険適用となります
  • 除菌成功後も、年1回の胃カメラ検査による経過観察が重要です
  • 若いうちに除菌するほど、より高い予防効果が期待できます

当院では、消化器内視鏡専門医・消化器病専門医・肝臓専門医の資格を持つ医師が、最新の医学的知見とエビデンスに基づいた丁寧な診療を提供しています。2022年11月に保険適用となった最新のPCR検査(核酸増幅法)を導入しており、ピロリ菌の感染診断と同時に薬剤耐性も判定できるため、より確実な除菌治療が可能です。女性医師による検査も可能ですので、ご希望の方はお気軽にお申し出ください。

「健康診断でピロリ菌陽性と言われた」「家族にピロリ菌感染者がいる」「胃の調子が気になる」など、少しでも不安がある方は、まずは一度ご相談ください。早期発見・早期治療が、あなたとご家族の健康を守ります。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
日本内科学会 総合内科専門医 / 日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 / 日本消化器病学会 消化器病専門医 / 日本肝臓学会 肝臓専門医

内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力しています。

公開日:2025年10月13日 / 最終更新日:2025年10月13日

みぞおちの痛み、放置は危険?原因と即日検査|金沢の消化器内科専門医が解説

食後や空腹時にみぞおちが痛む、キリキリと締め付けられるような不快感がある――そんなお悩みを抱えていらっしゃる方は少なくありません。「ストレスのせいかな」「少し様子を見よう」と考えがちですが、みぞおちの痛みは胃や膵臓、胆のうなど、さまざまな臓器からのサインである可能性があります。
この記事では、みぞおちの痛みの原因となる病気から、当院で即日実施可能な検査(胃カメラ、腹部超音波検査、院内CT検査、迅速血液検査)まで、分かりやすく解説いたします。

この記事のポイント

  • みぞおちの痛みは胃潰瘍、膵炎、胆石症など複数の病気が原因となる可能性があり、早期の検査が重要です
  • 胃カメラ・腹部超音波検査・院内CT検査・迅速血液検査により、原因を当日中に特定できます
  • 女性院長が、鎮静剤使用により苦痛の少ない検査を提供しています

みぞおちの痛みでお困りの方は、お気軽にご相談ください。金沢駅前で院内CT検査を含む即日検査が可能です。女性院長が診療いたします。

オンライン予約はこちら 電話予約:076-210-7140

目次

みぞおちの痛みとは?放置するリスク

みぞおちとは、胸骨の下端から臍のやや上までの腹部中央上部を指し、医学的には心窩部(しんかぶ)と呼ばれる領域です。この部位には胃や十二指腸、膵臓、肝臓、胆のうといった重要な臓器が集まっており、これらの臓器に何らかの異常が生じると、みぞおちに痛みや不快感として現れることがあります。

みぞおちの痛みは、単なる消化不良やストレスによる一時的な症状のこともありますが、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、急性膵炎、胆石症といった治療を要する病気が隠れている可能性もあります。また、まれではありますが、心筋梗塞の初期症状としてみぞおちの痛みが現れることもあり、注意が必要です。

痛みを我慢して放置すると、病気が進行し、出血や穿孔(臓器に穴が開くこと)といった深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。早期に原因を特定し、適切な治療を開始することで、こうしたリスクを大幅に減らすことができます。

こんな症状は要注意

以下のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診されることをお勧めします。

  • 食後や空腹時に繰り返す痛み ― 食事との関連がある痛みは胃や十二指腸の疾患を疑います
  • キリキリ、ズキズキとした強い痛み ― 激しい痛みは膵炎や胆石症の可能性があります
  • 吐き気や嘔吐を伴う痛み ― 消化管の閉塞や炎症の可能性があります
  • 背中やわき腹にも広がる痛み ― 膵臓や胆のうの疾患で特徴的です
  • 黒色便や血便が出る ― 消化管出血の兆候であり、緊急性が高い症状です
  • 体重減少や食欲低下 ― 慢性的な炎症や悪性疾患の可能性を考慮します

緊急受診が必要な症状

突然の激しい痛み、冷や汗を伴う痛み、意識がもうろうとする、呼吸困難などの症状がある場合は、ためらわず救急車を呼んでください。心筋梗塞や急性膵炎など、命に関わる病気の可能性があります。

みぞおちの痛みで考えられる主な病気

みぞおちの痛みの原因となる病気は多岐にわたりますが、ここでは特に頻度の高いものをご紹介します。

胃・十二指腸の病気

胃潰瘍・十二指腸潰瘍は、胃酸やピロリ菌、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの影響で、胃や十二指腸の粘膜に傷ができる病気です。みぞおちの痛みに加えて、吐き気、胸やけ、食欲不振などの症状が現れます。空腹時や夜間に痛みが強くなることが特徴です。放置すると出血や穿孔を起こすリスクがあり、早期の診断と治療が重要です。

機能性ディスペプシアは、胃カメラなどの検査で明らかな異常が見つからないにもかかわらず、みぞおちの痛みや胃もたれ、早期満腹感といった症状が続く病気です。胃の運動機能の低下や知覚過敏、ストレスなどが関与していると考えられています。機能性ディスペプシアは成人の約10〜20%に見られる頻度の高い病気で、適切な治療により症状の改善が期待できます。

急性胃炎は、暴飲暴食、ストレス、アルコールの過剰摂取などによって胃粘膜に急性の炎症が生じる状態です。みぞおちの痛みや吐き気、嘔吐などが突然現れます。多くは一時的な症状ですが、繰り返す場合は慢性化する可能性があります。

肝胆膵系の病気

胆石症は、胆のうや胆管に石ができる病気です。脂肪分の多い食事の後に、みぞおちから右上腹部にかけて激しい痛み(胆石発作)が生じることがあります。痛みは背中や右肩にも放散することがあり、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。胆石が胆管に詰まると、黄疸や発熱を引き起こし、緊急処置が必要になる場合があります。

急性膵炎は、膵臓が自らの消化酵素によって炎症を起こす病気です。アルコールの多飲や胆石が原因となることが多く、みぞおちから左上腹部にかけて激しい持続的な痛みが特徴です。痛みは背中に抜けることが多く、前かがみの姿勢で楽になることがあります。重症化すると命に関わることもあるため、速やかな診断と治療が必要です。

慢性膵炎は、膵臓の炎症が長期間続くことで、膵臓の組織が徐々に破壊されていく病気です。初期には食後の腹痛や背部痛が主な症状ですが、進行すると消化吸収障害や糖尿病を引き起こします。

その他の病気

逆流性食道炎は、胃酸が食道に逆流することで食道粘膜に炎症が生じる病気です。胸やけが主な症状ですが、みぞおちの痛みや不快感を感じることもあります。肥満、食後すぐに横になる習慣、脂肪分の多い食事などが原因となります。

狭心症・心筋梗塞は、心臓の血管が狭くなったり詰まったりすることで、心臓への血流が不足する病気です。典型的には胸痛が主な症状ですが、みぞおちの痛みとして現れることもあります。特に、冷や汗を伴う強い痛み、呼吸困難、肩や顎への放散痛がある場合は、直ちに救急車を呼ぶ必要があります。

急性虫垂炎(盲腸)は、盲腸の先にある虫垂という小さな臓器に細菌感染などで炎症が起こる病気です。典型的には右下腹部の痛みが主な症状ですが、初期にはみぞおちや臍周囲の痛みとして現れ、徐々に右下腹部へ移動します。特に、吐き気・嘔吐、発熱、右下腹部を押すと強く痛む場合は注意が必要です。放置すると虫垂が破れて腹膜炎を起こし、命に関わることもあるため、早めの受診が重要です。

金沢駅前で受けられるみぞおちの痛みの検査

みぞおちの痛みの原因を特定するためには、症状や診察所見に応じて適切な検査を組み合わせることが重要です。当院では、以下の検査を即日で実施することが可能です。

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)

胃カメラは、食道、胃、十二指腸を直接観察できる検査で、みぞおちの痛みの原因を調べる上で最も重要な検査の一つです。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、胃がん、食道がんなどを詳細に診断できます。

当院では、口から挿入する経口内視鏡と、鼻から挿入する経鼻内視鏡の両方をご用意しています。経鼻内視鏡は嘔吐反射が少なく、検査中に医師と会話することもできるため、初めての方や不安の強い方におすすめです。また、ご希望に応じて鎮静剤を使用することで、ほとんど苦痛を感じることなく検査を受けていただけます。

検査時間は通常10〜15分程度で、異常が見つかった場合は組織を採取して病理検査を行います。ピロリ菌の検査も同時に実施可能です。検査結果は当日中にご説明し、必要に応じて治療方針をご提案いたします。

腹部超音波検査(腹部エコー)

腹部超音波検査は、お腹に超音波を当てて、肝臓、胆のう、膵臓、腎臓などの臓器の状態を画像で確認する検査です。胆石症、膵炎、肝臓疾患、腎臓疾患などの診断に有効です。

検査は痛みがなく、体への負担も少ないため、妊娠中の方でも安全に受けていただけます。検査時間は15〜20分程度で、リアルタイムで臓器の動きや血流も観察できます。胆石や膵臓の腫れ、肝臓の脂肪沈着などを即座に確認できるため、みぞおちの痛みの原因が肝胆膵系にある場合、非常に有用な検査です。

当院では、経験豊富な技師が検査を行い、医師より結果をご説明いたします。必要に応じて、さらに詳しい検査(CT検査など)をご案内することもあります。

CT検査(院内で実施可能)

CT検査は、X線を使って体の断面画像を撮影する検査で、腹部の臓器や血管を詳細に評価できます。急性膵炎、膵臓がん、腹部大動脈瘤、腸閉塞、虫垂炎(盲腸)などの診断に特に有効です。

超音波検査では見つけにくい病変や、緊急性の高い病態を見逃さないために、CT検査が必要になることがあります。当院では院内にCT設備を完備しており、他の医療機関に移動することなく、その場で迅速にCT検査を受けていただけます。検査時間は5〜10分程度で、造影剤を使用する場合もあります。検査結果は画像診断医と連携し、速やかにご説明いたします。院内で胃カメラからCT検査まで一貫して行えることで、診断までの時間を大幅に短縮できます。

迅速血液検査

血液検査では、炎症の程度(白血球数、CRP)、肝機能(AST、ALT、γ-GTP)、膵酵素(アミラーゼ)、腎機能、貧血の有無などを調べます。これらの数値から、炎症や臓器障害の程度を客観的に評価できます。

当院では、院内で迅速に結果が出る血液検査機器を導入しており、採血から約30分程度で主要な項目の結果をご説明できます。急性膵炎や胆石症、肝機能障害などが疑われる場合、血液検査の結果は診断と治療方針の決定に非常に重要です。

当院での検査の流れと特徴

金沢消化器内科・内視鏡クリニックでは、みぞおちの痛みでお困りの患者様に、迅速かつ丁寧な診療を提供しています。

診療の流れ

  1. 問診・診察 ― 痛みの部位、性質、発症のタイミング、随伴症状などを詳しくお伺いします。お腹を触診し、圧痛の有無や腹部の状態を確認します。
  2. 検査のご提案 ― 症状に応じて、必要な検査(胃カメラ、腹部超音波検査、血液検査など)をご提案します。検査の内容や流れについて、分かりやすくご説明いたします。
  3. 検査の実施 ― 当日中に検査を実施いたします。胃カメラは予約枠に空きがあれば即日対応可能です。腹部超音波検査と血液検査は、ほとんどの場合その場で実施できます。
  4. 結果説明・治療方針の決定 ― 検査結果をその日のうちにご説明し、診断と今後の治療方針をご提案いたします。お薬の処方や生活指導を行い、必要に応じて専門病院への紹介も行います。

当院の特徴

消化器内視鏡専門医による診療 ― 院長は日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化器病学会専門医の資格を持ち、豊富な経験と高度な技術で正確な診断を行います。

女性院長による診療 ― 当院では女性院長が診療にあたっており、女性ならではの細やかな配慮と温かい対応を心がけています。特に女性の患者様からは「話しやすい」「相談しやすい」とご好評をいただいております。もちろん男性の患者様も安心してご来院ください。デリケートなお悩みも、遠慮なくご相談いただけます。

院内CT検査完備 ― 他の医療機関への移動や予約待ちの必要がなく、院内でCT検査まで完結できます。胃カメラ、腹部超音波検査、血液検査と組み合わせることで、みぞおちの痛みの原因を当日中に総合的に診断することが可能です。

鎮静剤を使用した苦痛の少ない胃カメラ ― 鎮静剤(静脈麻酔)を使用することで、ほとんど眠っているような状態で検査を受けていただけます。嘔吐反射や不安が強い方でも、リラックスして検査を受けられます。

金沢駅前の好立地 ― 金沢駅から徒歩圏内にあり、お仕事帰りやお買い物のついでにも通いやすい立地です。駐車場も完備しています。

即日検査・当日結果説明 ― 迅速血液検査や腹部超音波検査は当日中に結果をご説明できます。胃カメラも予約枠に空きがあれば即日対応可能です。お急ぎの方もご相談ください。

よくあるご質問

Q1. みぞおちの痛みで受診する場合、何科に行けばよいですか?

まずは消化器内科を受診されることをお勧めします。みぞおちの痛みの多くは、胃や十二指腸、膵臓、胆のうといった消化器系の臓器が原因です。当院は消化器内科専門のクリニックですので、適切な検査と診断を速やかに行うことができます。

Q2. 胃カメラは痛いですか?怖くて受けられないかもしれません。

多くの方が胃カメラに対して不安を感じられますが、当院では鎮静剤(静脈麻酔)を使用することで、ほとんど苦痛なく検査を受けていただけます。また、鼻から挿入する経鼻内視鏡は嘔吐反射が少なく、初めての方にもおすすめです。検査前に丁寧にご説明し、リラックスして受けていただけるよう配慮しています。

Q3. 検査費用はどのくらいかかりますか?

症状があり、医師が必要と判断した場合は保険診療となります。3割負担の場合、胃カメラ検査は約5,000円〜8,000円程度(組織検査を行った場合は追加費用がかかります)、腹部超音波検査は約2,000円〜3,000円程度、血液検査は約2,000円〜4,000円程度です。詳しくは受診時にご確認ください。

Q4. 当日すぐに検査を受けることはできますか?

腹部超音波検査と血液検査は、ほとんどの場合当日中に実施できます。胃カメラは予約枠の空き状況によりますが、緊急性が高い場合は可能な限り当日対応いたします。事前にお電話でご相談いただくとスムーズです。

Q5. 検査前に食事を抜く必要がありますか?

胃カメラを受ける場合は、検査前日の夜9時以降は絶食が必要です。当日は水やお茶などの透明な飲み物は少量であれば構いません。腹部超音波検査も食事の影響を受けるため、できれば空腹状態での検査が望ましいです。詳しくは予約時にご説明いたします。

金沢でみぞおちの痛みの検査をご検討中の方へ

みぞおちの痛みは、日常生活に支障をきたすだけでなく、重大な病気のサインである可能性もあります。「少し様子を見よう」と思っているうちに、病気が進行してしまうことも少なくありません。早期に原因を特定し、適切な治療を開始することで、多くの病気は改善が期待できます。

金沢消化器内科・内視鏡クリニックでは、みぞおちの痛みでお悩みの患者様に、最新の設備と豊富な経験をもとに、迅速かつ丁寧な診療を提供しています。胃カメラ、腹部超音波検査、院内CT検査、迅速血液検査を組み合わせることで、他の医療機関に移動することなく、当日中に原因を特定し、治療方針をご提案することが可能です。

女性院長による診療をはじめ、鎮静剤を使用した苦痛の少ない胃カメラなど、患者様が安心して検査を受けられる環境を整えています。金沢駅前という好立地で、お仕事帰りやお買い物のついでにも通いやすいクリニックです。

みぞおちの痛みでお困りの方は、どうぞお一人で悩まず、お気軽にご相談ください。皆様の健康をお守りするため、スタッフ一同、心を込めて診療にあたらせていただきます。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-10-12 / 最終更新日:2025-10-12

胃アニサキスかも?と思ったら金沢で即日検査|専門医が症状から予防まで解説

「昨夜お寿司を食べたあと、突然胃が痛くなって眠れない」「みぞおちのあたりがキリキリと痛む」そんな激しい胃痛に襲われて不安になっていませんか。その痛み、もしかすると胃アニサキス症かもしれません。ご安心ください。当院では胃アニサキスの即日検査・除去に対応しており、内視鏡で除去すれば痛みはピタッと治まります。この記事では、胃アニサキス症の症状から検査・治療、そして予防法まで、消化器内視鏡専門医が詳しく解説いたします。

この記事のポイント

  • ・ 生魚を食べて数時間後の激しい胃痛は胃アニサキス症の可能性が高い
  • ・ 内視鏡検査で確実に診断でき、その場で除去すれば痛みは即座に消失
  • ・ 当院では女性医師による優しい内視鏡検査で即日対応が可能

 

ご不安な点やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。ご予約はこちらからお進みいただけます。

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目次

胃アニサキスとは?寄生虫による急性胃腸炎

胃アニサキス症は、アニサキスという寄生虫の幼虫が胃の粘膜に侵入することで起こる急性の胃腸炎です。アニサキスは長さ約2~3cm、幅0.5~1mm程度の白い糸のような形をした寄生虫で、サバやイカ、サケ、イワシなど私たちが日常的に食べる魚介類に寄生しています。

実は、アニサキスは人間を最終宿主とすることはできません。本来はクジラやイルカなどの海洋哺乳類が最終宿主となる寄生虫なのです。そのため、人の胃に入ったアニサキスは数日から1週間程度で死滅します。しかし、その間に胃壁に食いつくことで、激しい痛みを引き起こすのです。

厚生労働省の統計によると、2023年には300件を超えるアニサキス食中毒が報告されており、食中毒原因のトップとなっています。ただし、これは氷山の一角で、実際には年間2万人近くの患者が発生していると推計されています。

アニサキスが胃に侵入する仕組み

アニサキスの幼虫は主に魚介類の内臓に寄生していますが、魚が死んで鮮度が落ちると、内臓から筋肉(私たちが食べる身の部分)へと移動します。この移動したアニサキスが生きたまま体内に入ると、胃の粘膜に頭部を突き刺して侵入しようとします。

興味深いことに、アニサキスが胃壁に食いついた際の物理的な刺激だけでなく、アレルギー反応も痛みの原因となっています。つまり、蚊に刺されたときのように、局所的なアレルギー反応が起きて周囲の粘膜が腫れ、激しい痛みが生じるのです。

胃アニサキスの症状|食後数時間で始まる激痛の特徴

胃アニサキス症の最も特徴的な症状は、生魚を食べてから数時間(多くは2~8時間)以内に始まる激しい胃痛です。痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの方が「今まで経験したことのない激痛」と表現されます。

主な症状の特徴

  • 激しい上腹部痛:みぞおちのあたりがキリキリ、チクチクと痛む
  • 周期的な痛み:波のように痛みが強くなったり弱くなったりを繰り返す
  • 悪心・嘔吐:吐き気や実際に嘔吐することもある
  • 腹部膨満感:お腹が張った感じがする

ここで重要なのは、全ての人が激痛を感じるわけではないということです。実は、アニサキスを摂取しても、特に症状もなく、あるいはごく軽い胃の違和感程度で済んでしまう方も1~2割程度いらっしゃいます。

腸アニサキス症との違い

まれに(約1%以下)、アニサキスが小腸に到達して腸アニサキス症を起こすことがあります。この場合、食後10時間から数日後に下腹部痛が現れ、腸閉塞や腸穿孔といった重篤な合併症を起こすこともあります。ただし、95%は胃アニサキス症ですので、まずは胃カメラ検査を行うのが一般的です。

胃アニサキスの検査と診断|内視鏡検査で確実に発見

胃アニサキス症の診断で最も重要なのは、詳しい問診と内視鏡検査(胃カメラ)です。「いつ、何を食べたか」という情報は診断の大きな手がかりとなります。特に、サバ、イカ、サケ、サンマなどの生食歴がある場合は要注意です。

内視鏡検査の重要性

胃アニサキス症の確定診断と治療には、内視鏡検査が必須です。内視鏡で胃の中を直接観察すると、白く細長い虫体が胃壁に食いついている様子を確認できます。アニサキスは複数匹いることもあるため、胃全体を丁寧に観察することが大切です。

当院では最新の高精細内視鏡システムを導入しており、微細な病変も見逃さない精度の高い検査を行っています。従来の内視鏡より視野が広いため、アニサキスの見落としリスクを最小限に抑えることができます。

即日検査の重要性

アニサキスによる激痛は数日間続くことがあります。そのため、症状が出たらできるだけ早く検査を受けることが大切です。当院では、6時間以上絶食していれば即日検査が可能です。WEB予約から当日検査枠をご予約いただくか、お電話でお問い合わせください。

検査前の絶食時間 検査可能時間 予約方法
6時間以上 当日検査可能 WEB予約または電話
6時間未満 翌日以降 通常予約

内視鏡による胃アニサキス除去の流れと当院の工夫

内視鏡検査でアニサキスが発見されたら、その場ですぐに除去を行います。除去には鉗子(かんし)という専用の器具を使用し、アニサキスをつまんで摘出します。

除去手順の詳細

  1. アニサキスの確認:内視鏡で胃内を観察し、アニサキスの位置を特定
  2. 鉗子の準備:内視鏡の鉗子孔から生検鉗子を挿入
  3. 虫体の把持:アニサキスの頭部をしっかりとつかむ(これが重要!)
  4. 慎重な摘出:ゆっくりと引き抜いて虫体を完全に除去
  5. 確認作業:他にもアニサキスがいないか胃全体を再度確認

ここで最も重要なのは、アニサキスの頭部ごと完全に除去することです。体の一部だけを引き抜いても、頭部が胃壁に残っていれば痛みは改善しません。当院では、経験豊富な内視鏡専門医が確実な除去を行います。さらに、より確実に除去するため、通常の胃カメラ用鉗子よりも大きなカップのついた鉗子を使用し、周囲の組織ごと摘出することもあります。

当院ならではの工夫と配慮

当院では、患者様の苦痛を最小限に抑えるため、以下のような工夫を行っています:

  • 女性医師による検査:女性の患者様も安心して検査を受けていただけます
  • 鎮静剤の使用:ウトウトと眠っているような状態で楽に検査を受けられます
  • 経鼻内視鏡の選択:鼻から細いカメラを入れるため、嘔吐反射が起きにくい
  • 最新機器の導入:高精細な画像で小さなアニサキスも見逃しません

除去が成功すると、多くの方が「嘘のように痛みが消えた」「ピタッと痛みが止まった」と驚かれます。これがアニサキス症の特徴的な経過です。

胃アニサキスを予防する5つの方法

胃アニサキス症は、適切な予防策を講じることで防ぐことができます。以下に、日常生活で実践できる5つの予防方法をご紹介します。

1. 加熱調理を徹底する

アニサキスは熱に弱く、中心温度70℃以上で加熱するか、60℃以上で1分間加熱することで確実に死滅します。焼き魚や煮魚など、しっかり火を通した料理なら安心して食べられます。

2. 冷凍処理された魚を選ぶ

-20℃以下で24時間以上冷凍することでアニサキスは死滅します。スーパーで販売されている「解凍」と表示された刺身は、一度冷凍処理されているため比較的安全です。

3. 新鮮な魚の内臓は避ける

アニサキスは主に魚の内臓に寄生しています。新鮮な魚介類の内臓を生で食べることは絶対に避けてください。また、購入後はできるだけ早く内臓を取り除き、よく洗ってから調理しましょう。

4. 目視確認を行う

家庭で魚をさばく際は、身の部分にアニサキスがいないか目視で確認します。薄造りにすると発見しやすくなり、ブラックライトを当てるとアニサキスが光って見えるため、より確実に確認できます。

5. リスクの高い魚種を把握する

特にアニサキスの寄生率が高いとされる魚種を知っておくことも大切です:

  • サバ(特にしめ鯖は要注意)
  • イカ(特にスルメイカ)
  • サケ・マス
  • サンマ
  • イワシ
  • ホタルイカ

ただし、これらの魚を避ける必要はありません。適切な処理をすれば、安全においしく食べることができます。なお、養殖魚は加熱または冷凍した餌を与えているため、アニサキスの心配はほとんどありません。

よくある質問

患者様からよくいただく質問に、専門医の立場から丁寧にお答えします。

Q1. アニサキスは薬で治療できますか?

残念ながら、アニサキスを死滅させる特効薬はありません。ステロイドや抗ヒスタミン薬で症状を和らげることはできますが、根本的な治療には内視鏡による除去が必要です。多くの方が同じように心配されますが、内視鏡で除去すれば確実に痛みは治まりますので、ご安心ください。

Q2. 正露丸や民間療法は効果がありますか?

正露丸などの市販薬や、強いアルコールを飲むといった民間療法には、アニサキスを死滅させる効果はありません。むしろ、治療を遅らせることで症状が長引く可能性があります。医学的根拠に基づく治療として、内視鏡による除去をお勧めします。

Q3. 検査でアニサキスが見つからなかったらどうなりますか?

まれに、アニサキスが小腸に移行していたり、胃のひだに深く潜り込んでいて発見できないことがあります。この場合でも、アニサキスは人体では生きられないため、通常1週間程度で自然に死滅します。症状を和らげる対症療法を行いながら経過を観察します。当院では、見落としを防ぐため、最新の内視鏡システムで丁寧に観察を行っています。

金沢で胃アニサキス症が疑われる方へ

生魚を食べた後の激しい胃痛は、胃アニサキス症の可能性が高く、早期の内視鏡検査と除去が症状改善の鍵となります。アニサキスは確かに激しい痛みを引き起こしますが、適切に除去すれば劇的に症状は改善します。大切なのは、一人で我慢せず、専門医に相談することです。

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院では、女性医師による優しく丁寧な内視鏡検査を行っています。金沢駅から徒歩5分という好立地で、お仕事帰りにも受診しやすい環境を整えています。鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査や、経鼻内視鏡による楽な検査も選択可能です。激しい胃痛でお困りの方は、どうぞ遠慮なくご相談ください。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-01-27 / 最終更新日:2025-01-27

金沢で胃カメラ経鼻と経口どちらを選ぶ?違いと選び方を専門医が解説

 

胃カメラ検査を受けようと思ったとき、「鼻から入れる経鼻内視鏡と口から入れる経口内視鏡、どちらが楽なんだろう?」と悩まれる方がとても多くいらっしゃいます。この記事では、胃カメラの経鼻と経口の違いについて、それぞれの特徴や選び方のポイントを専門医の立場から分かりやすく解説し、金沢で安心して検査を受けていただくための情報をお伝えします。

この記事のポイント

  • ・経鼻内視鏡は直径5-6mm、経口内視鏡は8-10mm程度で、太さに約2倍の違いがある
  • ・嘔吐反射が強い方は経鼻内視鏡、鎮静剤を使いたい方は経口内視鏡が適している
  • ・当院では最新の内視鏡システムを導入し、女性医師による検査で安心感を提供
  •  

ご不安な点やご不明な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

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目次

胃カメラ経鼻と経口の違いとは?

胃カメラの経鼻と経口の違いを理解することは、自分に合った検査方法を選ぶ第一歩です。まず基本的な違いから説明させていただきます。

経鼻内視鏡は鼻から内視鏡を挿入する方法で、スコープの直径は約5~6mmと非常に細くなっています。一方、経口内視鏡は口から内視鏡を挿入する従来からある方法で、スコープの直径は約8~10mmです。この太さの違いが、検査時の体感に大きく影響します。

経鼻内視鏡は内視鏡が舌の付け根を通らないため、嘔吐反射が起こりにくく、一般的に苦痛が少ない検査方法とされています。多くの患者様が「オエッ」となる感覚を心配されますが、経鼻内視鏡ではその心配が大幅に軽減されます。

最新の技術により、以前は経口内視鏡に劣っていた経鼻内視鏡の画質も格段に向上しました。2020年以降に開発された経鼻内視鏡は、経口内視鏡と同様の高画質を実現しており、診断精度の面でも遜色ありません。

経鼻内視鏡のメリット・デメリット

経鼻内視鏡を選ぶ際の利点と注意点について、詳しく見ていきましょう。

経鼻内視鏡の主なメリット

最大のメリットは、嘔吐反射が起きづらいことです。内視鏡が舌根(舌の奥の方)に触れないルートを通るため、「オエッ」となる不快な感覚を避けることができます。さらに、検査中に会話ができることも大きな利点です。不安や疑問があればその場で医師に伝えられるため、安心感が違います。

また、局所麻酔のみで検査が可能なため、鎮静剤を使用する必要がありません。そのため検査後すぐに車の運転やお仕事に戻ることができ、お忙しい方にも選ばれています。検査時間も5分程度と短く、身体への負担も最小限です。

経鼻内視鏡のデメリット

一方で、経鼻内視鏡にもいくつかの制限があります。鼻腔が狭い方や鼻中隔が曲がっている方は、物理的に内視鏡を挿入できない場合があります。また、鼻出血のリスクがあり、検査後に少量の鼻血が出ることがあります。

さらに、スコープが細いため、使用できる処置具に制限があります。生検(組織採取)は可能ですが、大きな処置を行う場合は経口内視鏡の方が適していることもあります。

経口内視鏡のメリット・デメリット

続いて、経口内視鏡について詳しくご説明します。

経口内視鏡の主なメリット

経口内視鏡の最大の利点は、明るく鮮明な画像で詳細な観察ができることです。スコープが太い分、より明るいライトと高性能なカメラを搭載でき、また拡大観察が可能なため、微小な病変も見逃しにくくなります。特に早期がんの発見には、この高い画質が重要な役割を果たします。

また、処置具の選択肢が豊富で、生検や治療的処置もスムーズに行えます。操作性も優れており、胃の隅々まで効率的に観察することができます。検査時間も経験豊富な医師であれば、むしろ経口の方が短時間で済むこともあります。

経口内視鏡のデメリット

最も大きな課題は、嘔吐反射による苦痛です。内視鏡が喉を通過する際に「オエッ」となる感覚が強く出やすく、これが「胃カメラは苦しい」というイメージにつながっています。

ただし、当院では鎮静剤を使用することで、この苦痛を大幅に軽減することができます。うとうとと眠っているような状態で検査を受けられるため、ほとんど苦痛を感じることなく検査を終えることができます。

どちらを選ぶ?患者様のタイプ別おすすめ

それでは、実際にどちらを選べばよいのでしょうか。患者様のタイプ別に、おすすめの検査方法をご提案します。

経鼻内視鏡がおすすめの方

歯磨きの際に奥を磨くとすぐに「オエッ」となってしまう方、以前の経口検査で苦しい思いをされた方は、経鼻内視鏡が適しています。また、鎮静剤を使いたくない方、検査後すぐに運転や仕事に戻る必要がある方にもおすすめです。「鎮静剤で眠るのが怖い」という方も、経鼻なら意識がはっきりした状態で楽に検査を受けられます。

経口内視鏡がおすすめの方

より精密な検査を希望される方、鼻炎や副鼻腔炎などで鼻の通りが悪い方は経口内視鏡が適しています。また、鎮静剤を使って完全にリラックスした状態で検査を受けたい方にもおすすめです。「どうせなら眠っている間に終わらせたい」という方は、経口内視鏡+鎮静剤の組み合わせが最適でしょう。

当院では、患者様一人ひとりの状態やご希望を丁寧にお聞きして、最適な検査方法をご提案しています。どちらか迷われている場合も、遠慮なくご相談ください。

鎮静剤を使用する場合の選び方

鎮静剤の使用は、胃カメラの経鼻と経口の選択に大きく影響します。ここでは、鎮静剤を使用する場合の考え方について説明します。

一般的に、鎮静剤を使用する場合は経口内視鏡を選択することが多いです。なぜなら、経鼻内視鏡はそもそも苦痛が少ないため、鎮静剤を使うメリットが薄れてしまうからです。「鎮静剤を使って鼻から」という選択は、せっかくの経鼻内視鏡の利点(検査後すぐに活動できる)を失ってしまうため、あまりお勧めしません。

鎮静剤を使用した経口内視鏡では、ミダゾラムなどの薬剤を静脈注射することで、うとうとと眠っているような状態になります。検査中の記憶がほとんど残らない方も多く、「気がついたら終わっていた」という感想をよくいただきます。

ただし、鎮静剤を使用した場合は検査後30分から1時間程度の安静が必要で、当日の車の運転はできません。これらの制約を理解したうえで、ご自身のライフスタイルに合った選択をすることが大切です。

よくある質問

患者様からよくいただく質問に、専門医の立場から丁寧にお答えします。

Q1. 経鼻と経口で検査の精度に違いはありますか?

最新の経鼻内視鏡は画質が大幅に向上しており、通常の検査では経口内視鏡と同等の診断が可能です。多くの方が同じように心配されますが、どちらを選んでも早期がんの発見率に大きな差はありませんので大丈夫ですよ。ただし、より詳細な観察が必要な場合や、拡大観察が必要な場合は、経口内視鏡の方が有利なこともあります。

Q2. 鼻が詰まっていても経鼻内視鏡は受けられますか?

軽い鼻づまり程度であれば、血管収縮薬を使用することで検査可能な場合もあります。ただし、慢性的な鼻炎や花粉症で鼻腔が腫れている場合は、無理をせず経口内視鏡を選択した方が安全です。検査前の診察で鼻の状態を確認させていただき、最適な方法をご提案します。

Q3. どちらの方法でも鎮静剤は使えますか?

技術的には両方可能ですが、経鼻内視鏡で鎮静剤を使うことはほとんどありません。経鼻内視鏡の最大のメリットである「楽に受けられて、すぐに日常生活に戻れる」という利点が失われてしまうためです。鎮静剤をご希望の場合は、経口内視鏡をお勧めしています。

金沢で胃カメラ経鼻と経口の違いをご検討中の方へ

胃カメラの経鼻と経口の違いについて詳しくご説明してきましたが、大切なのは一人で悩まず専門医に相談することです。どちらの方法にもそれぞれの良さがあり、患者様の状態やライフスタイル、ご希望に応じて最適な選択は変わります。

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院では、最新の内視鏡システムを導入し、経鼻・経口どちらの検査にも対応しています。特に女性の患者様には、女性医師による検査も可能で、より安心して検査を受けていただける環境を整えています。金沢駅から徒歩5分とアクセスも良好で、土曜日の検査にも対応しているため、お仕事でお忙しい方にも通いやすいクリニックです。

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参考文献

著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-10-08 / 最終更新日:2025-10-08

痛みが不安な方へ|内視鏡の鎮静剤を金沢駅前で詳しく解説

「内視鏡検査は痛いのでは?」「苦しい思いをするのでは?」という不安から、検査を躊躇されている方も多いのではないでしょうか。しかし、現在では鎮静剤を使用することで、ウトウトと眠っているような状態で楽に検査を受けることができます。金沢駅前院では、3種類の鎮静剤を患者様の状態に応じて使い分け、安全で快適な検査を実現しています。

この記事のポイント

  • ・内視鏡の鎮静剤には複数の種類があり、それぞれ特徴が異なる
  • ・適切な鎮静剤の選択により、検査の苦痛を大幅に軽減できる
  • ・金沢駅前院では3種類の鎮静剤を使い分けて安全性を確保


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目次

内視鏡の鎮静剤とは?基本的な役割と必要性

内視鏡検査における鎮静剤は、検査中の不安や苦痛を和らげ、リラックスした状態で検査を受けるために使用される薬剤です。また、鎮静剤の使用により、患者様がリラックスすることで、医師も落ち着いて丁寧な観察ができるようになります。

日本消化器内視鏡学会の2020年ガイドラインによると、鎮静剤の使用により検査の苦痛が軽減され、患者満足度が向上することが示されています。さらに、適切なモニタリング下での使用により、安全性も確保されることが明らかになっています。

特に、嘔吐反射が強い方、以前の検査で辛い経験をされた方、精密検査で時間がかかることが予想される場合などは、鎮静剤の使用が推奨されています。つまり、鎮静剤は単に楽にするだけでなく、検査の質を向上させる重要な役割を担っているのです。

当院で使用する3種類の鎮静剤の特徴

ミダゾラム(ドルミカム)

ミダゾラムは、最も歴史が長く広く使用されている鎮静剤です。ベンゾジアゼピン系薬剤で、効果の発現が早く、安全域が広いことが特徴です。また、健忘作用があるため、検査中の不快な記憶が残りにくいという利点もあります。

さらに、フルマゼニルという拮抗薬が存在するため、万が一効きすぎた場合でも速やかに覚醒させることができます。そのため、高齢者や初めて鎮静剤を使用する方にも安心して使用できる薬剤といえます。

レミマゾラム(アネレム)

レミマゾラムは、2025年6月に内視鏡検査の鎮静薬として保険適用となった新しい薬剤です。超短時間作用型のベンゾジアゼピン系薬剤で、投与後すぐに効果が現れ、検査終了後は速やかに覚醒することが特徴です。

そのため、検査後の回復が早く、通常は検査終了後10分程度で診察室まで歩いて移動でき、30分程度で帰宅可能です。なお、呼吸や血圧への影響が少ないため、高齢者や基礎疾患をお持ちの方にも安全に使用できます。

プロポフォール

プロポフォールは、全身麻酔でも使用される薬剤で、効果の発現と消失が非常に速いことが特徴です。深い鎮静が得られるため、長時間の内視鏡治療などに適しています。一方で、呼吸抑制のリスクがあるため、使用には十分な注意とモニタリングが必要です。

当院では、プロポフォールの使用に際しては、気道確保に習熟した医師による慎重な管理のもとで使用しています。

鎮静剤使用時の検査の流れと所要時間

鎮静剤を使用した内視鏡検査は、以下のような流れで進みます。まず、検査前の問診で、アレルギーや既往歴、服用中の薬などを確認します。次に、点滴ルートを確保し、血圧計やパルスオキシメーターなどのモニター機器を装着します。

検査開始時に、患者様の年齢、体重、全身状態に応じて適切な量の鎮静剤を投与します。鎮静効果が得られたことを確認してから内視鏡検査を開始します。胃カメラの場合は約5~10分、大腸カメラの場合は約10~20分で検査自体は終了します。

検査終了後は、リカバリールームで30分~1時間程度休息していただきます。したがって、来院から帰宅まで、胃カメラで1~2時間、大腸カメラで2~3時間程度が目安となります。

鎮静剤の安全性と副作用について

鎮静剤の使用において最も重要なのは安全性の確保です。当院では、日本消化器内視鏡学会のガイドラインに準拠し、検査中は継続的にバイタルサインをモニタリングしています。

主な副作用としては、一時的な血圧低下、呼吸抑制、傾眠傾向などがありますが、適切な管理により重篤な合併症はほとんど発生しません。また、まれに頭痛や吐き気を感じる場合がありますが、多くは一過性で、水分摂取により改善します。

なお、緑内障(閉塞隅角型)の方や重症筋無力症の方は、使用できない薬剤があります。そのため、事前の問診で詳しくお聞きし、安全に使用できる薬剤を選択しています。検査当日は、鎮静剤の影響が残る可能性があるため、車やバイク、自転車の運転はお控えいただいています。

検査費用と保険適用について

内視鏡検査における鎮静剤の使用は保険適用となります。3割負担の場合、鎮静剤の費用は約100~600円程度と、比較的安価です。使用する薬剤の種類や量により多少の差はありますが、大きな負担にはなりません。

胃カメラ検査全体の費用は、3割負担で約4,000~6,000円、生検を行った場合は約8,000~10,000円程度です。大腸カメラ検査は、観察のみで約6,000円、ポリープ切除を行った場合は約20,000~30,000円程度となります。

これらの費用には、鎮静剤の費用も含まれています。つまり、検査の苦痛を大幅に軽減できる鎮静剤を、わずかな追加費用で使用できるということです。

よくある質問

患者様から実際によくいただく質問にお答えします。

Q1. 鎮静剤を使うと完全に眠ってしまうのですか?

鎮静剤の効果には個人差がありますが、多くの場合「意識下鎮静」という状態になります。これは、声をかけると反応するけれど、ウトウトしているような状態です。検査中の記憶がほとんど残らない方も多く、「いつの間にか終わっていた」という感想をいただくことがよくあります。

Q2. 鎮静剤なしでも検査は受けられますか?

もちろん可能です。経鼻内視鏡を選択される場合や、お車で来院される場合など、鎮静剤を使用せずに検査を受ける方もいらっしゃいます。ただし、鎮静剤を使用した方が楽に検査を受けられるため、可能であれば使用をお勧めしています。

Q3. アルコールをよく飲む人は効きにくいと聞きましたが?

確かに、日常的に飲酒量が多い方は、ベンゾジアゼピン系薬剤が効きにくい傾向があります。しかし、当院では複数の薬剤を用意しており、患者様の状態に応じて適切な薬剤と用量を選択しますので、ご安心ください。

金沢駅前院での検査を検討中の方へ

内視鏡の鎮静剤は、検査の苦痛を軽減し、より精度の高い検査を可能にする重要な選択肢です。したがって、「痛いのが怖い」「以前辛かった」という理由で検査を避けている方こそ、鎮静剤を使用した検査をご検討いただきたいと思います。

金沢駅前院では、経験豊富な内視鏡専門医が、患者様一人ひとりの状態に応じて最適な鎮静剤を選択し、安全で快適な検査を提供しています。金沢駅から徒歩5分という好立地で、土曜日の検査にも対応しています。どうぞお気軽にご相談ください。

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公開日:2025-10-04 / 最終更新日:2025-10-04

大腸カメラを受けるべき症状は?金沢で安心検査・血便や腹痛の不安解消

血便が出た、腹痛が続く、便秘と下痢を繰り返す...このような症状で不安を感じていませんか?「大腸カメラを受けるべきかどうか」と迷っているあなたへ、この記事では症状別の検査の必要性を詳しく解説し、不安を解消するための正確な情報をお伝えします。

この記事のポイント

  • 血便・下痢・便秘などの症状が2週間以上続く場合は早期検査が重要
  • 40歳を過ぎたら症状がなくても定期的な大腸カメラ検査を推奨
  • 保険適用なら検査費用は6,000円程度から(3割負担)

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大腸カメラ検査が必要な代表的な症状とは

大腸カメラ検査を受けるべきかどうか判断に迷う方は多いですが、実は明確な基準があります。また、症状によって緊急性が異なるため、適切なタイミングでの受診が重要です。

特に注意すべき症状として、血便、持続する下痢や便秘、腹痛、便の形状変化、原因不明の体重減少などが挙げられます。これらの症状は、単独で現れることもあれば、複数が同時に起こることもあります。

さらに、便潜血検査で陽性と判定された場合は、自覚症状がなくても必ず精密検査として大腸カメラを受ける必要があります。なぜなら、早期の大腸がんやポリープは自覚症状がほとんどないからです。

血便が出たときの緊急度と検査の必要性

血便は最も重要な警告サインの一つです。便に鮮血が付着している場合は肛門や直腸からの出血、暗赤色の場合は大腸からの出血、黒色の場合は胃や十二指腸からの出血が疑われます。

一方で、血便の原因は痔などの良性疾患から大腸がんなどの悪性疾患まで幅広く、自己判断は危険です。特に、40歳以上で初めて血便が見られた場合や、血便とともに体重減少、腹痛、便通異常がある場合は、速やかに検査を受けることが推奨されます。

なお、たとえ一回だけの血便であっても、大腸がんの可能性を否定することはできません。そのため、血便を認めた場合は、症状の頻度や量に関わらず、消化器内科を受診して適切な検査を受けることが大切です。

便秘・下痢・腹痛が続く場合の判断基準

便秘や下痢が2週間以上続く場合は、単なる体調不良ではなく、何らかの腸疾患が隠れている可能性があります。特に、便秘と下痢を交互に繰り返す場合は、過敏性腸症候群だけでなく、大腸がんによる腸管狭窄の可能性も考慮する必要があります。

また、腹痛の位置や性質も重要な情報です。持続的な腹痛、特定の部位に限局した痛み、排便で改善しない痛みなどは、器質的な病変を示唆する可能性があります。さらに、これらの症状に加えて発熱、体重減少、食欲不振などの全身症状を伴う場合は、炎症性腸疾患の可能性もあるため、早期の検査が必要です。

つまり、「いつもの便秘」「ストレスによる下痢」と自己判断せず、症状が持続する場合は専門医の診察を受けることが、重大な病気の見逃しを防ぐために重要なのです。

年齢別・リスク別の検査推奨時期

大腸がんの罹患率は40歳代から増加し始め、50歳代で急激に上昇します。したがって、症状がなくても40歳を過ぎたら一度は大腸カメラ検査を受けることが推奨されています。

さらに、以下のリスク要因がある方は、より早期からの定期的な検査が必要です。家族に大腸がんや大腸ポリープの既往がある方、喫煙習慣がある方、肥満の方、脂肪分の多い食事を好む方、運動不足の方などは、30代後半から検査を検討すべきでしょう。

一方、過去に大腸ポリープを切除したことがある方は、医師の指示に従って1~3年ごとの定期的な検査が必要です。なぜなら、ポリープができやすい体質の可能性があり、新たなポリープの早期発見と切除により、大腸がんを予防できるからです。

大腸カメラで発見できる病気と早期発見の重要性

大腸カメラ検査では、大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎、クローン病、虚血性大腸炎、感染性腸炎など、様々な病気を発見できます。特に重要なのは、前がん病変である大腸ポリープを発見し、その場で切除できることです。

日本では年間約15万人が新たに大腸がんと診断され、がん死亡原因の上位を占めています。しかし、早期発見できれば5年生存率は90%以上と高く、内視鏡治療だけで完治することも可能です。そのため、症状が出る前の定期的な検査が極めて重要なのです。

また、潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患も、早期診断により適切な治療を開始することで、症状をコントロールし、生活の質を維持することができます。つまり、大腸カメラ検査は単なる検査ではなく、将来の健康を守るための重要な投資といえるでしょう。

検査の流れと費用・保険適用について

大腸カメラ検査は、前日の食事制限と当日の腸管洗浄剤服用により、腸内をきれいにしてから行います。検査時間は通常15~20分程度で、鎮静剤を使用すれば苦痛なく検査を受けることができます。

費用については、医師が必要と判断した場合は保険適用となり、3割負担で観察のみなら約6,000円、ポリープ切除を含めても2万円~3万円程度です。なお、血便、下痢、便秘、腹痛などの症状がある場合や、便潜血検査陽性の場合は、ほぼ確実に保険適用となります。

したがって、症状がある方は費用を心配せずに、まず診察を受けることが大切です。早期発見により、身体的にも経済的にも負担の少ない治療が可能になるからです。

よくある質問

大腸カメラ検査について、患者様から頻繁にいただく質問にお答えします。検査への不安を少しでも解消していただければ幸いです。

Q1. 痔があるのですが、大腸カメラ検査は受けられますか?

痔がある方でも問題なく検査を受けていただけます。実際、血便の原因が痔だと思っていたら大腸の病気が見つかることもあるため、むしろ積極的に検査を受けることをお勧めします。検査により痔の状態も確認できるため、適切な治療方針を立てることができます。

Q2. 検査前の下剤服用が不安です。どれくらい辛いのでしょうか?

腸管洗浄剤は約2リットルを2時間かけて飲んでいただきますが、最近は飲みやすい製剤も開発されています。当院では複数の下剤をご用意しており、患者様に合わせて選択可能です。また、院内で服用していただくこともできるため、不安な方はご相談ください。

Q3. 検査で異常がなかった場合、次はいつ受ければよいですか?

ポリープなどの異常がなかった場合、一般的には3~5年後の検査を推奨しています。ただし、家族歴やリスク因子によって推奨間隔は異なるため、検査結果をもとに医師が個別にアドバイスいたします。症状が新たに出現した場合は、間隔に関わらず受診してください。

金沢駅前院での検査を検討中の方へ

血便、下痢、便秘、腹痛などの症状は、身体からの重要なサインです。したがって、これらの症状を見逃さず、適切なタイミングで検査を受けることが、あなたの健康を守る第一歩となります。

当院では、消化器内視鏡専門医による精度の高い検査を実施しており、女性医師による検査も選択可能です。金沢駅から徒歩5分の好立地で、土曜日の検査にも対応しているため、お仕事で忙しい方も受診しやすい環境を整えています。不安な症状がある方は、一人で悩まず、まずはご相談ください。

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中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
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公開日:2025-10-03 / 最終更新日:2025-10-03

大腸ポリープ切除後の過ごし方|金沢駅前院の専門医が詳しく解説

「大腸ポリープを切除したけれど、いつから普通の生活に戻れるのか不安」「出血しないか心配で、何をしても良いのか分からない」そんな不安を抱えていませんか。実は、ポリープ切除後の過ごし方を正しく理解することで、合併症のリスクを大幅に減らし、安心して回復期間を過ごすことができます。この記事では、金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院の専門医が、術後の生活で守るべきポイントを分かりやすく解説します。

この記事のポイント

  • ・ ポリープ切除後の出血リスクは約1%で、多くは術後2〜7日、最長30日まで起こり得る
  • ・ 食事制限は1週間、運動制限は3〜10日間が標準的な制限期間
  • ・ 便器が真っ赤になるような大量出血があれば、すぐに医療機関へ連絡

 

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目次

大腸ポリープ切除後に起こりうる合併症

大腸ポリープ切除は安全性の高い治療ですが、切除部位に潰瘍ができるため、一定のリスクが存在します。最も注意すべき合併症は出血で、発生頻度は約1%とされています。つまり、100人に1人程度の割合で起こる可能性があるのです。

また、出血の多くは術後2〜7日で発生し、最長30日まで起こり得ることが報告されています。なぜなら、この期間は切除部の傷がまだ不安定で、血管が露出している状態だからです。術後数日は特に注意が必要で、1〜2週間は要観察期間となります。さらに、10日以降も稀に遅発性出血が起こることがあるため、油断は禁物です。

そのため、日本消化器内視鏡学会のガイドラインでは、術後の慎重な生活を推奨しています。なお、穿孔(腸に穴があく)は、発生率はおおむね0.04〜0.08%(0.4〜0.8/1000)程度で、病変の大きさや術式により変動します。

術後1週間の重要な過ごし方

ポリープ切除後の最初の1週間は、特に慎重に過ごす必要があります。出血の多くは術後2〜7日で発生するため、この期間は安静を心がけることが大切です。具体的には、激しい運動や重い物を持つことは避け、デスクワークなどの軽作業に留めましょう。

また、排便時には必ず便器を確認してください。少量の血液が便に付着する程度は正常範囲内ですが、便器が血で真っ赤になるような大量出血は緊急事態です。一方で、腹部の張りや軽い痛みは、検査時に入れた空気やガスの影響であることが多く、時間とともに改善します。

さらに、この期間は血圧の急激な変化を避けることも重要です。熱いお風呂やサウナは血管を拡張させ出血リスクを高めるため、シャワー浴程度に留めることが推奨されています。術後1〜2週間は要観察期間として、体調の変化に注意を払い続けることが大切です。

食事制限の具体的な内容と期間

ポリープ切除後1週間は、消化の良い食事を心がける必要があります。なぜなら、硬い便や繊維質の多い食物が切除部位をこすることで、出血を誘発する可能性があるからです。

具体的に避けるべき食品は、生野菜、きのこ類、海藻、玄米、ナッツ類などの繊維質が多いものです。また、脂っこい食事や香辛料の強い料理も腸に刺激を与えるため控えましょう。一方で、白がゆ、うどん、豆腐、白身魚、卵料理などは消化が良く推奨されます。

そして、アルコールは血管を拡張させ出血リスクを高めるため、最低1週間は完全に禁酒することが必要です。つまり、術後の食事管理は、切除部位の治癒を促進し、合併症を予防する重要な要素なのです。

運動・入浴・旅行などの生活制限

運動制限については、ポリープの大きさや切除方法により期間が異なりますが、一般的に3〜10日間は激しい運動を控える必要があります。ゴルフ、テニス、ジョギングなどの汗をかく運動は、腹圧上昇や血圧上昇により出血リスクを高めます。したがって、この期間は散歩程度の軽い運動に留めることが大切です。

入浴に関しては、切除当日はシャワー浴のみとし、翌日から短時間の入浴が可能です。ただし、長湯やサウナは1週間程度避けてください。なお、温泉旅行などは感染リスクもあるため、2週間程度は控えることが望ましいでしょう。

旅行や出張については、万が一の出血時に適切な処置を受けられない可能性があるため、術後1〜2週間は遠方への移動を避けることが推奨されます。特に飛行機は気圧変化が腸に影響を与える可能性があるため、より慎重な判断が必要です。

仕事復帰のタイミングと注意点

仕事復帰のタイミングは、職種によって大きく異なります。デスクワークなどの軽作業であれば、体調に問題がなければ翌日から可能です。ただし、長時間の会議や出張は避け、体調を見ながら徐々に通常業務に戻していくことが大切です。

一方、肉体労働や重い物を扱う仕事の場合は、3〜7日間は休養が必要です。というのも、腹圧がかかる動作は切除部位からの出血を誘発する可能性が高いからです。また、医療従事者や介護職など、患者様を抱える仕事も同様の注意が必要です。

さらに、立ち仕事の方は、長時間の立位により腹部に負担がかかるため、適度な休憩を取りながら仕事を行うことが重要です。つまり、無理をせず段階的に仕事量を増やしていくことが、安全な社会復帰につながるのです。

出血時の対処法と受診の目安

ポリープ切除後に出血が起きた場合、その量と状態により対処法が異なります。便に少量の血が付着する程度や、トイレットペーパーに薄く血が付く程度であれば、多くの場合自然に止血するため、安静にして様子を見ることができます。

しかし、以下のような症状があれば、直ちに医療機関に連絡する必要があります。便器が血で真っ赤になる、血の塊(レバー状)が出る、何度も血便を繰り返す、めまいや冷や汗などの貧血症状がある場合です。これらは持続的な出血を示唆しており、内視鏡による止血処置が必要になることがあります。

なお、出血時は慌てずに、まず切除を行った医療機関に連絡することが大切です。切除部位や方法を把握している施設での対応が、最も適切な処置につながります。夜間や休日の場合は、事前に確認しておいた緊急連絡先に連絡してください。

よくある質問

大腸ポリープ切除後の生活について、患者様からよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. ポリープ切除後、便秘薬は使用しても大丈夫ですか?

便秘は硬い便が切除部位を傷つける可能性があるため、適切な便通管理が重要です。酸化マグネシウムなどの便を柔らかくする緩下剤は、医師の指示のもと使用可能です。ただし、センナなどの刺激性下剤は腸の動きを急激に活発にし、出血リスクを高める可能性があるため慎重な使用が必要です。便秘が心配な場合は、まず水分摂取を増やし、消化の良い食事を心がけてください。それでも改善しない場合は、自己判断せず担当医に相談することが大切です。

Q2. 抗血栓薬を服用していますが、いつから再開すべきですか?

抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)の再開時期は、出血リスクと血栓リスクのバランスを考慮して決定されます。アスピリンなどの抗血小板薬は、止血確認後できるだけ早く、多くは24時間以内に再開されます。DOAC(直接経口抗凝固薬)は通常は翌日再開が標準的です。ワルファリンについては1〜7日で個別判断となり、患者様の血栓リスクや切除したポリープの状態により異なります。これらは一般的な目安ですが、必ず主治医の指示に従ってください。自己判断での中止や再開は、重篤な合併症につながる可能性があるため絶対に避けましょう。

Q3. 次回の大腸内視鏡検査はいつ受ければ良いですか?

日本消化器内視鏡学会のガイドラインによると、切除したポリープの数や大きさ、病理結果により次回検査の推奨時期が異なります。腺腫を完全切除した場合、5mm未満が1〜2個なら3〜5年後、10mm以上または3個以上なら3年以内の検査が推奨されています。ただし、がん化リスクの高い腺腫や切除が不完全な場合は、より短期間での再検査が必要になることもあります。

金沢駅前院での検査を検討中の方へ

大腸ポリープ切除後の過ごし方は、合併症を防ぎ、安全に回復するために極めて重要です。出血リスクは術後2〜7日に多く発生するため特に注意深く過ごし、1週間の食事制限と適切な生活制限を守ることで、ほとんどの方が問題なく日常生活に戻ることができます。したがって、医師の指示を守り、無理のない範囲で徐々に活動を再開することが、順調な回復への近道となるのです。

金沢消化器内科・内視鏡クリニックでは、日本消化器内視鏡学会の専門医が、一人ひとりの患者様に合わせた術後指導を行っています。女性医師による検査も可能で、女性の患者様も安心して治療を受けていただけます。大腸ポリープでお悩みの方、検査をご検討の方は、ぜひ当院にご相談ください。

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著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢駅前で地域医療に注力。

公開日:2025-10-02 / 最終更新日:2025-10-02

大腸カメラ前の食事制限で失敗しない方法|金沢駅前院の専門医が解説

「大腸カメラ検査前日に間違えて野菜を食べてしまった」「下剤を飲んでも便がきれいにならない」そんな失敗で検査が延期になることは避けたいですよね。実は、食事制限の失敗により検査が中止になるケースは決して少なくありません。この記事では、金沢駅前院の消化器内視鏡専門医が、検査前の食事制限で失敗しないための具体的な方法を詳しく解説します。

この記事のポイント
・食事制限の失敗原因第1位は「繊維質の見落とし」で、特に調味料やドレッシングに注意が必要
・便秘の程度に応じて3日前から準備を始めることで、検査当日の失敗リスクを大幅に減らせる
・検査食(クリアスルー、エニマクリンなど)を使えば、食事選びのミスを完全に回避できる

 

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食事制限で失敗する3大原因と対策

大腸カメラ検査前の食事制限で失敗する最大の原因は「隠れた繊維質の見落とし」です。例えば、うどんは消化に良いと思って食べたものの、わかめやネギが入っていたために検査に支障が出るケースがあります。また、白米は大丈夫でも、ふりかけや海苔を使ってしまう失敗も多く見られます。そのため、調味料や薬味にも細心の注意を払う必要があるのです。

次に多いのが「自己判断による食事選び」です。「少しくらいなら大丈夫だろう」と考えて、禁止されている食品を摂取してしまうケースが後を絶ちません。特に、豆腐は良いけれど納豆はダメ、じゃがいもは良いけれどさつまいもはダメなど、似た食材でも可否が異なることを知らずに失敗する方が多いです。

さらに「水分摂取の誤解」による失敗もよく見られます。牛乳やオレンジジュース、野菜ジュースなど、一見問題なさそうな飲み物が実は腸内に残りやすく、検査の妨げになります。さらに、コーヒーに入れたミルクや、スポーツドリンクと間違えて飲んだ乳酸菌飲料なども失敗の原因となっています。これらを防ぐには、摂取可能な飲み物リストを事前に確認し、厳守することが大切です。

失敗しない食事制限の開始タイミング

食事制限の開始が遅すぎると、検査当日に腸がきれいにならず失敗につながります。逆に、早すぎる制限は体調不良の原因となり、これも検査の支障となります。したがって、適切なタイミングで開始することが成功の鍵となるのです。

毎日排便がある方でも、検査前日だけの制限では不十分な場合があります。なぜなら、前々日に食べた繊維質の多い食事が腸内に残っている可能性があるからです。そのため、確実を期すなら2日前から軽い制限を始めることをおすすめします。具体的には、2日前の夕食から脂っこいものや繊維質を減らし始めると良いでしょう。

一方、便秘がちな方(2~3日に1回の排便)は、必ず3日前から準備を始めてください。便秘の方が前日だけの制限で臨むと、約30%の確率で腸の洗浄が不十分となり、検査の延期や追加処置が必要になるというデータがあります。早めの準備により、このような失敗を確実に防ぐことができるのです。

検査3日前から前日まで|失敗を防ぐ段階的メニュー

検査3日前は「脂質制限期」として、揚げ物、焼肉、ラーメンなどの脂っこい食事を完全に避けます。朝食は通常通りでも構いませんが、昼食と夕食は和食中心にします。例えば、白米、焼き魚(塩焼き)、冷奴、味噌汁(具なし)などが適しています。この段階でよくある失敗は、「ヘルシーだから」と野菜サラダを食べてしまうことです。

検査2日前は「繊維制限期」に入ります。この日から野菜、海藻、きのこ、果物を完全に除外します。朝食は白パン(バターなし)と目玉焼き、昼食は素うどん、夕食は白米と鶏むね肉(皮なし)の塩焼きなどにします。ここでの失敗例として、「消化に良いから」と野菜スープを飲んでしまうケースがあります。たとえ具を食べなくても、野菜エキスが腸に影響する可能性があるため避けましょう。

検査前日は「低残渣食期」として、最も厳格な制限を行います。朝食と昼食は白がゆまたは食パン(何も付けない)、夕食は20時までに白がゆとコンソメスープ(具なし)程度に留めます。前日によくある失敗は、「お腹が空いたから」と21時以降に何か食べてしまうことです。空腹感は水やお茶で紛らわせ、絶対に固形物は摂取しないでください。

検査前日の落とし穴|意外と知らないNG食品

検査前日には、一見問題なさそうでも実はNGな食品が多数存在します。まず、調味料の落とし穴として、ドレッシング、マヨネーズ、ケチャップは油分が多いため使用できません。また、醤油や味噌も、使用は最小限にしてください。塩やだし汁(透明なもの)での味付けが最も安全です。

次に、主食の落とし穴です。白米は良いのですが、おかゆにする際に卵を入れる「卵がゆ」は要注意です。卵の調理方法によっては消化に時間がかかるため、できれば白がゆのみにしましょう。パンについても、食パンは良いですが、ロールパンやクロワッサンはバターが多く含まれているためNGです。さらに、そうめんや冷や麦は良いですが、そばは繊維が多いため避ける必要があります。

飲み物にも意外な落とし穴があります。スポーツドリンクは良いのですが、プロテイン入りのものは避けてください。お茶についても、緑茶や麦茶は問題ありませんが、ごぼう茶やコーン茶などの穀物系のお茶は控えてください。これらの細かな違いを把握することが、失敗を防ぐ鍵となります。

検査当日朝の失敗防止チェックリスト

検査当日の朝は、最も注意が必要な時間帯です。まず、絶対に守るべきルールは「固形物を一切口にしない」ことです。朝起きて習慣的に何か口に入れてしまう方が多いため、前夜のうちに食卓の上の食べ物をすべて片付けておくことをおすすめします。

薬の服用についても失敗が起きやすいポイントです。血圧薬などは少量の水で服用可能ですが、糖尿病薬やインスリンは基本的に中止しますが、必ず主治医の指示に従ってください。また、サプリメントや健康食品も、この日は服用を控えてください。特に、青汁やビタミン剤は腸内に色素を残す可能性があるため要注意です。飴やガムは施設によって対応が異なることがあるため、受診先の指示に従ってください。

下剤服用時の失敗を防ぐためのチェックリストは以下の通りです。①下剤は冷やして飲みやすくする、②一気に飲まず、コップ1杯ずつ10分間隔で飲む、③吐き気を感じたら一旦休憩する、④便が透明な水様になるまで確実に飲み切る、⑤服用開始から検査までは4時間以上空ける。これらを守ることで、腸管洗浄の失敗を防ぎ、スムーズな検査につなげることができます。

検査食で失敗リスクをゼロにする方法

食事選びの失敗を完全に避けたい方には、大腸検査専用の検査食を強くおすすめします。当院でも検査食を利用しています。

代表的な検査食には、キユーピーの「クリアスルー」(3食セット:約1,500円)とグリコの「エニマクリン」(3食セット:約2,000円)があります。これらは朝・昼・夕の献立がセットになっており、温めるだけで食べられます。メニューも鶏そぼろ雑炊、肉じゃが、ビーフシチューなど、通常の食事に近い味付けで、検査前の不安な時期でも美味しく食べられると好評です。

検査食の最大のメリットは、「これを食べていれば間違いない」という安心感です。自己判断による失敗のリスクがなくなり、検査に向けて精神的にも落ち着いて準備できます。購入はドラッグストア、通販サイト、医療機関で取り扱っています。特に初めて検査を受ける方、過去に食事制限で失敗した経験がある方、仕事で忙しく食事の準備が難しい方には、検査食の利用を強く推奨します。

よくある質問

検査前の食事制限で失敗しないために、患者様からよく寄せられる質問と回答をまとめました。

Q1. うっかり禁止食品を食べてしまった場合はどうすればいいですか?

まず、慌てずに医療機関に連絡してください。食べた物の種類、量、時間を正確に伝えることが重要です。繊維質の少ないものを少量食べた程度であれば、追加の下剤で対応できる場合があります。ただし、海藻類や種子類を摂取した場合は、検査の延期が必要になることもあります。自己判断で検査を受けると、不完全な検査となり再検査が必要になる可能性が高いため、必ず事前に相談してください。

Q2. 外食や出張中でも失敗しない食事選びのコツは?

外食時は、素うどん、卵雑炊、白がゆなどのシンプルなメニューを選びます。ファミリーレストランなら「お子様うどん(具なし)」、コンビニなら「塩むすび」「白がゆ」が安全です。避けるべきは、サラダバー、バイキング、定食類です。出張の場合は、検査食を持参することを強くおすすめします。レトルトパックなので持ち運びも簡単で、お湯さえあれば食べられます。

Q3. 検査が午後の場合、朝食は食べても良いですか?

検査が午後(14時以降)の場合でも、検査当日の朝食は原則として摂取できません。これは、腸管洗浄液(下剤)の効果を確実にするためです。ただし、医療機関によっては、朝7時までに消化の良い軽食(白がゆ、素うどんなど)を少量摂取することを許可する場合もあります。必ず事前診察時に確認し、指示に従ってください。自己判断で朝食を摂ると、腸内に残渣が残り、検査の延期につながる可能性が高いため、絶対に避けましょう。


金沢駅前院での検査を検討中の方へ

大腸カメラ前の食事制限での失敗は、適切な知識と準備により確実に防ぐことができます。隠れた繊維質への注意、適切な開始タイミング、段階的な食事調整など、本記事で解説したポイントを守ることで、検査の成功率は格段に向上します。つまり、失敗を恐れる必要はなく、正しい方法を知って実践すれば、誰でも確実に準備を完了できるのです。

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院では、食事制限で失敗しないための個別指導を徹底しています。日本消化器内視鏡学会の専門医・指導医が、患者様の体質や生活習慣に応じた最適な準備方法をご提案します。女性医師による検査も可能で、女性の患者様も安心して受診いただけます。また、院内での下剤服用にも対応しており、自宅での準備が不安な方も万全のサポート体制でお迎えします。検査食のご用意もありますので、食事選びで迷うことなく、安心して検査に臨んでいただけます。

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著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢市を中心に地域医療に注力。

公開日:2025-10-01 / 最終更新日:2025-10-01

大腸ポリープは放置すると危険?専門医が詳しく解説

健康診断で大腸ポリープを指摘されて、「このまま放置したら、がんになってしまうのでは?」と不安を感じていませんか。また、内視鏡検査や治療に対する恐怖から、受診を先延ばしにしている方も多いのではないでしょうか。このような不安は当然のことですが、正しい知識を持って適切な対処をすれば、大腸がんのリスクを大幅に減らすことができます。この記事では、大腸ポリープの危険性と適切な治療法について詳しく解説します。

この記事のポイント

  • ・腺腫性ポリープは放置するとがん化する可能性があり、サイズが大きくなるほどリスクが高まる
  • ・大腸内視鏡検査で早期発見・切除すれば、大腸がんの発生を50-80%予防できる
  • ・金沢駅前院では女性医師による検査も可能で、鎮静剤使用により苦痛なく検査を受けられる


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大腸ポリープとは?

大腸ポリープは、大腸の粘膜から内側に突出したイボ状の隆起物です。日本消化器病学会のガイドラインによると、大腸ポリープは大きく「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」に分類されます。また、40歳を過ぎると約4人に1人の割合でポリープが発見されるとされています。

腫瘍性ポリープの中でも特に重要なのが「腺腫(せんしゅ)」と呼ばれるタイプで、全ポリープの約半数を占めます。さらに、この腺腫は放置すると一部ががん化する可能性があるため、「大腸がんの芽」として扱われています。一方で、炎症性ポリープや過形成性ポリープなどの非腫瘍性ポリープは、基本的にがん化のリスクは低いとされています。

なお、近年では鋸歯状病変(きょしじょうびょうへん)と呼ばれるポリープも注目されています。これは見た目が平坦で発見しにくいものの、がん化のリスクがあることが分かってきました。そのため、経験豊富な内視鏡専門医による精密な検査が重要となっています。

放置するとどうなる?

大腸ポリープ(とくに腺腫)は、放っておくと一部ががんへ進むことがあります。ポイントは、ただあるかないかではなく、大きくなるほど危険度が上がります。

「腺腫内がん」と診断される割合は、ポリープの大きさが増えるほど高くなります。目安として、5mm未満で約0.4%、5〜9mmで約3.4%、10〜14mmで約12%、15〜19mmで約20.7%、20〜24mmで約26.6%、25mm以上では約32.1%と報告されています。つまり、10mmを超えると粘膜内がんの割合が一段と増える傾向がはっきりしており、サイズが大きいほど注意が必要です。

形の違いも大切です。平べったいタイプや、表面がギザギザに見える「鋸歯状(きょしじょう)」タイプは見つけにくいのに、要注意の性質を持つことがあり、ていねいな観察が必要です。

また、ポリープががんに進むまでの期間は人それぞれですが、目安は5〜10年ほどと考えられています。つまり、この間に内視鏡で見つけて切り取れば、がん化を防げる可能性が高いということです。


大腸ポリープの症状と発見のきっかけ

大腸ポリープの多くは、初期段階では自覚症状がほとんどありません。特に小さなポリープの場合、まったく無症状であることがほとんどです。しかし、ポリープが大きくなると、便に血が混じる、粘液が付着する、便秘や下痢を繰り返すなどの症状が現れることがあります。

実際の発見のきっかけとしては、便潜血検査での陽性反応が最も多いです。便潜血検査は、肉眼では分からないような微小な出血を検出できる検査です。ただし、ポリープに対する感度は10〜50%程度とされており、陰性でも安心はできません。そのため、40歳を過ぎたら症状の有無にかかわらず、定期的な大腸内視鏡検査を受けることが推奨されています。

内視鏡検査による診断と同時切除の流れ

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、肛門から内視鏡を挿入して大腸全体を直接観察する検査です。検査時間は通常15〜30分程度で、ポリープが発見された場合はその場で切除することができます。これにより、検査と治療を同日に完了でき、患者様の時間的・経済的負担を軽減できます。

ポリープ切除の方法は主に3種類あります。最も一般的な「ポリペクトミー」では、スネアと呼ばれる輪状のワイヤーをポリープにかけて電気を流して切除します。また、「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」では、ポリープの下に生理食塩水を注入して持ち上げてから切除します。小さなポリープの場合は「コールドポリペクトミー」という電気を使わない方法も選択されます。

なお、当院では鎮静剤を使用することで、うとうとした状態で検査を受けることができます。また、空気の代わりに炭酸ガスを使用することで、検査後の腹部膨満感を大幅に軽減しています。金沢駅前院では女性医師による検査も可能ですので、男性医師による検査に抵抗がある方も安心して受診いただけます。

日帰り手術の費用と保険適用について

大腸ポリープ切除は基本的に日帰り手術として行われ、健康保険が適用されます。3割負担の場合、ポリープ切除を含む大腸内視鏡検査の費用は、切除するポリープの数や大きさによって異なりますが、おおむね2万円から3万円程度となります。

また、民間の医療保険に加入している場合、大腸ポリープ切除は「外来手術」として給付金の対象となることが多いです。手術給付金の額は保険契約によって異なりますが、例えば外来手術給付金が5万円の契約であれば、実際の自己負担額を上回る給付を受けられる可能性があります。

ただし、検査のみで終わった場合や、生検(組織採取)だけの場合は給付対象外となることがほとんどです。そのため、加入している保険会社に事前に確認しておくことをおすすめします。

切除後の経過観察とがん予防効果

大腸ポリープを切除した後も、新たなポリープができる可能性があるため、定期的な経過観察が重要です。日本消化器病学会のガイドラインでは、20mm以上の大きなポリープや10個以上のポリープを切除した方は1年後、それ以外の方は3年後に内視鏡検査を受けることが推奨されています。

また、大腸ポリープの再発を防ぐためには、生活習慣の改善も大切です。特に、赤身肉や加工肉の摂取を控え、野菜や食物繊維を多く含む食事を心がけることが重要です。さらに、適度な運動を継続し、禁煙・節酒を実践することで、ポリープの発生リスクを下げることができます。

つまり、大腸ポリープの切除と定期的な検査、そして生活習慣の改善を組み合わせることで、大腸がんの予防効果を最大化できるのです。

よくある質問

大腸ポリープに関して、患者様からよくいただく質問にお答えします。

Q1. 大腸ポリープは必ず切除しなければいけませんか?

すべてのポリープが切除対象というわけではありません。腺腫性ポリープや平坦陥凹型病変、鋸歯状病変は小さくても切除が推奨されます。医師が内視鏡で観察し、病変の特徴を評価した上で判断します。

Q2. ポリープ切除後、普通の生活に戻れるまでどのくらいかかりますか?

ポリープ切除後は、出血予防のため1週間程度は激しい運動や飲酒、長時間の入浴を避ける必要があります。食事は切除当日は消化の良いものを摂り、徐々に通常の食事に戻していきます。デスクワークなどの軽作業は翌日から可能ですが、重労働や出張などは医師と相談の上で判断してください。

Q3. 大腸内視鏡検査は痛いと聞きますが、本当ですか?

痛みの感じ方には個人差がありますが、当院では鎮静剤を使用することで、ほとんどの方がうとうとした状態で検査を受けられます。また、炭酸ガスを使用することで検査後の腹部膨満感も軽減されます。経験豊富な内視鏡専門医が浸水法などの丁寧な操作を行うことにより、鎮静剤を使用しなくても「思ったより楽だった」とおっしゃる方も多いです。


金沢駅前院での検査を検討中の方へ

大腸ポリープは、放置するとがん化する可能性がある一方で、早期に発見して切除すれば大腸がんを効果的に予防できます。したがって、健康診断でポリープを指摘された方や、40歳を過ぎた方は、早めに大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院では、日本消化器内視鏡学会の専門医・指導医が、最新の内視鏡システムを用いて精密な検査を行っています。女性医師による検査も可能で、鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査を提供しています。金沢駅から徒歩5分とアクセスも良好ですので、お仕事帰りにも受診いただけます。大腸ポリープについてご不安な方は、ぜひ一度ご相談ください。

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著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢市を中心に地域医療に注力。

公開日:2025-09-30 / 最終更新日:2025-09-30

大腸カメラ事前準備を徹底解説|金沢駅前の女医による安心の内視鏡検査

大腸カメラ検査を控えて「前日は何を食べたらいいの?」「下剤はどのくらい飲むの?」と不安に感じていませんか。実は検査の成功は、事前準備の質で8割が決まるといわれています。金沢駅前院では女性医師による丁寧な検査と、患者様一人ひとりに合わせた準備方法で、初めての方でも安心して検査を受けていただけます。

この記事のポイント

  • ・検査3日前から始める食事制限で腸内環境を整え、病変の見落としリスクを最小限に
  • ・前処置の下剤は段階的に服用することで、身体への負担を軽減しながら確実な洗浄効果を実現
  • ・金沢駅前院では女性医師による検査と最新設備で、苦痛の少ない安全な検査を提供


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大腸カメラ検査の事前準備が重要な理由

大腸内視鏡検査の精度は、腸管がどれだけきれいになっているかで大きく左右されます。前処置が不十分だと見落としが大幅に増えるからです。

また、腸内に便や食物残渣が残っていると、内視鏡の挿入が困難になり、検査時間が延長することがあります。そのため、検査による苦痛が増し、場合によっては検査を中断せざるを得ないケースも発生します。

さらに、前処置の質は「腸管洗浄度」として評価され、これは大腸内視鏡検査の重要な精度管理指標となっています。つまり、適切な事前準備を行うことは、単に検査をスムーズに進めるだけでなく、病変の早期発見という検査本来の目的を達成するために不可欠なのです。

検査3日前から始める食事制限のポイント

大腸カメラ検査の3日前からは、腸内に残りやすい食品を避け、消化の良い食事を心がける必要があります。なぜなら、食物繊維は消化されずに腸内に残り、内視鏡の視野を妨げる原因となるからです。

避けるべき食品

  • 食物繊維が多い食品:野菜(特に根菜類)、きのこ類、海藻、豆類、玄米
  • 種子を含む食品:トマト、キウイ、イチゴ、ゴマなど
  • 脂肪分の多い食品:揚げ物、脂身の多い肉、乳製品
  • 消化に時間がかかる食品:こんにゃく、たけのこ、ごぼう

おすすめの食事メニュー

消化の良い食事として、以下のようなメニューがおすすめです。

  • 主食:白米、おかゆ、うどん、食パン(全粒粉以外)
  • たんぱく質:鶏むね肉、白身魚、豆腐、卵
  • 調理法:煮る、蒸す、茹でるなど油を控えた調理

なお、便秘傾向の方は、さらに早い段階(検査5日前頃)から食事内容に配慮することで、より確実な前処置効果が期待できます。

検査前日の過ごし方と下剤の服用方法

検査前日は、大腸内視鏡検査の成功を左右する重要な日です。この日の過ごし方次第で、当日の検査がスムーズに進むかどうかが決まります。

前日の食事について

朝食と昼食は消化の良いものを通常量摂取できますが、夕食は午後8時までに済ませることが重要です。夕食後は、水やお茶などの透明な飲み物のみ摂取可能です。また、アルコールは腸管の動きを乱し、脱水を促進するため、前日から控える必要があります。

下剤の服用タイミング

就寝前(午後9時頃)に、処方された下剤を服用します。一般的には以下のいずれかが処方されます。

  • センノシド(プルゼニド):2錠を多めの水で服用
  • ピコスルファートナトリウム(ラキソベロン):1本を水に混ぜて服用

これらの刺激性下剤により、翌朝までに腸内の便塊を排出し、当日の腸管洗浄剤の効果を高めます。ただし、人によっては腹痛を感じることがあるため、初めて服用する方は不安を感じるかもしれませんが、これは薬が効いている証拠です。

検査当日の腸管洗浄剤(モビプレップ)の飲み方

検査当日の朝は、腸管洗浄剤を服用して腸内を完全にきれいにします。当院では主にモビプレップを使用していますが、患者様の状態に応じて最適な洗浄剤を選択します。

モビプレップの服用方法

モビプレップは、より効果的な「2杯1杯法」での服用を推奨しています。つまり、モビプレップ2杯(約400ml)を飲んだ後、水またはお茶1杯(約200ml)を飲むという方法です。

時間の目安 服用内容 ポイント
開始~1時間 モビプレップ1L + 水500ml 最初はゆっくり、1杯10~15分かけて
1~2時間 モビプレップ0.5~1L + 水250~500ml 便の状態を確認しながら調整

さらに、服用中は軽く歩いたり、お腹をマッサージしたりすることで、腸の動きを促進できます。通常、服用開始から1~2時間で排便が始まり、便が透明になるまで約4時間程度かかります。

その他の腸管洗浄剤の選択肢

モビプレップ以外にも、患者様の状態や希望に応じて以下の洗浄剤を用意しています。

  • ニフレック:塩味で比較的飲みやすく、腎機能低下の方にも使用可能
  • サルプレップ:ペットボトル入りで準備が簡単、レモン風味

事前準備で起こりうるトラブルと対処法

大腸カメラの前処置では、いくつかのトラブルが起こる可能性があります。しかし、適切に対処すれば問題なく検査を受けられます。

腸管洗浄剤を飲んでも便が透明にならない場合

3時間経過しても便に色が残っている場合は、追加の洗浄剤服用が必要になることがあります。このような場合は、自己判断せず必ずクリニックに連絡してください。特に便秘傾向の方は、前日の下剤を数日前から服用するなど、個別の対応が必要な場合があります。

吐き気や腹痛が強い場合

腸管洗浄剤の服用中に吐き気を感じた場合は、一時的に服用を中断し、深呼吸をして落ち着いてから再開します。また、冷やした洗浄剤の方が飲みやすいという方も多いため、前日から冷蔵庫で冷やしておくことをおすすめします。一方で、強い腹痛や嘔吐が続く場合は、腸閉塞などの可能性もあるため、すぐに医療機関に連絡が必要です。

脱水症状への対策

下剤と腸管洗浄剤により大量の水分が失われるため、脱水に注意が必要です。そのため、洗浄剤以外にも水を積極的に摂取することが大切です。特に高齢の方や暑い時期は、より注意深い水分補給が必要となります。

よくある質問

大腸カメラの事前準備について、患者様から実際によくいただく質問にお答えします。

Q1. 糖尿病の薬は検査当日も飲んでいいですか?

糖尿病の内服薬やインスリンは、検査当日の朝は原則として中止していただきます。なぜなら、絶食状態で血糖降下薬を使用すると、低血糖を起こす危険性があるからです。ただし、血圧や心臓の薬は通常通り服用していただいて構いません。具体的な休薬については、事前診療時に医師から詳しく説明させていただきます。

Q2. 前日の下剤で効果がなかった場合はどうすればいいですか?

前日の下剤で排便がない場合でも、当日の腸管洗浄剤で十分な効果が得られることがほとんどです。ただし、3日以上排便がない重度の便秘の方は、検査数日前から下剤の服用を開始する場合があります。当院では患者様の便通状況を詳しくお聞きし、最適な前処置方法を提案しています。

Q3. 生理中でも検査は受けられますか?

生理中でも大腸カメラ検査は問題なく受けていただけます。検査時は専用の検査着に着替えていただき、生理用品も使用可能です。金沢駅前院では女性医師・女性スタッフが対応いたしますので、デリケートなお悩みも遠慮なくご相談ください。

金沢駅前院での検査を検討中の方へ

大腸カメラ検査の成功は、適切な事前準備から始まります。したがって、検査3日前からの食事制限、前日の下剤服用、当日の腸管洗浄剤の服用という段階的な準備により、腸内を確実にきれいにすることが重要です。

金沢駅前院では、女性院長が、最新の内視鏡システムを用いて検査を行います。鎮静剤の使用により苦痛を最小限に抑え、検査中に発見したポリープはその場で切除も可能です。また、前処置に不安がある方には院内での下剤服用も対応しており、看護師のサポートのもと安心して準備を進めていただけます。大腸がんは早期発見により完治可能な病気です。40歳を過ぎたら、症状がなくても定期的な検査をおすすめします。

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著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢市を中心に地域医療に注力。

公開日:2025-09-29 / 最終更新日:2025-09-29

健診で便潜血陽性と言われた方へ|金沢市の専門医が教える次の一歩

健康診断で「便潜血陽性」という結果を受け取り、不安を感じていませんか?大腸がんの可能性を心配される気持ちはよく分かります。しかし、便潜血陽性は必ずしも大腸がんを意味するわけではありません。この記事では、便潜血検査の意味から、陽性となった場合の対処法まで、専門医が詳しく解説します。

この記事のポイント

  • ・便潜血陽性でも大腸がんの確率は約3%前後。過度な心配は不要ですが、精密検査は必須です
  • ・2024年版ガイドラインで便潜血検査免疫法は推奨グレードA。死亡率減少効果が証明されています
  • ・金沢駅前院では女性医師による検査も可能。鎮静剤使用で苦痛を抑えた検査を実施

 

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目次

 

便潜血検査とは?陽性の意味を正しく理解する

便潜血検査は、便の中に含まれる微量な血液を検出する検査です。現在、日本で一般的に行われている「免疫法」は、ヒトヘモグロビンのみに反応するため、食事の影響を受けません。また、胃や十二指腸からの出血は検出されず、主に大腸からの出血を調べることができます。

2024年11月に発表された最新の「大腸がん検診ガイドライン2024年度版」によると、便潜血検査免疫法は推奨グレードAとされ、大腸がんによる死亡率減少効果が科学的に証明されています。さらに、毎年検査を受けることで、大腸がんによる死亡率を40%減少させるという研究結果もあります。

通常、2日法で検査を行い、2回中1回でも陽性となった場合は「便潜血陽性」と判定されます。なお、1回だけの陽性でも精密検査が必要です。「もう一度便潜血検査を受け直したい」と希望される方もいますが、一度でも陽性が出た事実は変わらないため、必ず精密検査を受けることが重要です。

便潜血陽性時の大腸がんの確率と他の原因

便潜血検査で陽性となった方のうち、実際に大腸がんが見つかる確率は約3%です。つまり、100人の陽性者のうち97人は大腸がんではないということになります。一方で、大腸ポリープは約30~40%の方から見つかります。

大腸ポリープの多くは腺腫と呼ばれる良性のものですが、時間をかけて成長すると大腸がんに進行する可能性があります。そのため、ポリープの段階で発見し、切除することが将来の大腸がん予防につながります。

便潜血陽性の原因として最も多いのは、以下のような疾患です。

  • 大腸ポリープ(約30~40%)
  • 痔核・裂肛などの肛門疾患(約20~30%)
  • 大腸がん(約3%)
  • 潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患
  • 虚血性大腸炎

なお、「痔があるから陽性になった」と自己判断することは危険です。痔と大腸がんが同時に存在することもあるため、便潜血陽性の原因を正確に把握するには、大腸内視鏡検査による精密検査が不可欠です。

なぜ精密検査が必要なのか|早期発見の重要性

便潜血陽性で見つかる大腸がんのうち、約65%は早期がんです。早期がんであれば、内視鏡による切除で完治が可能な場合が多く、開腹手術を避けることができます。しかし、精密検査を先延ばしにすると、早期がんが進行がんへと発展してしまいます。

実際に、便潜血陽性を数年間放置した結果、本来なら内視鏡で切除できたはずの病変が、手術や抗がん剤治療が必要な状態まで進行してしまったケースは少なくありません。また、大腸がんは初期段階では自覚症状がほとんどないため、便潜血検査で陽性となったことは、早期発見のチャンスと捉えるべきです。

さらに、便潜血検査には限界があることも知っておく必要があります。大腸がんがあっても約20%は便潜血陰性となることがあります。そのため、便潜血陽性は大腸内視鏡検査を受ける重要なきっかけと考え、速やかに精密検査を受けることをお勧めします。

大腸内視鏡検査の流れと準備

大腸内視鏡検査は、肛門から細い内視鏡を挿入し、大腸全体を直接観察する検査です。検査時間は通常10~15分程度で、ポリープ切除を行う場合でも30分程度で終了します。

検査を受けるためには、腸内をきれいにする前処置が必要です。検査前日は消化の良い食事を心がけ、夜に下剤を服用します。検査当日は、約2リットルの腸管洗浄剤(モビプレップなど)を2時間かけて飲み、腸内を空にします。なお、当院では液体の下剤が苦手な方のために、錠剤タイプの前処置薬も選択可能です。

前処置薬の服用場所は、ご自宅でも院内でも選択できます。自宅で服用される場合は、リラックスした環境で準備ができます。一方、院内での服用を希望される方には、プライバシーに配慮した個室をご用意しています。

検査時には鎮静剤を使用することで、ウトウトと眠った状態で検査を受けることができます。これにより、検査への不安や苦痛を大幅に軽減できます。

ポリープの日帰り切除

大腸内視鏡検査中にポリープが発見された場合、その場で切除することが可能です。これにより、検査と治療を同日に完了でき、再度来院する必要がありません。

最近では、コールドポリペクトミーという高周波電流を使わない切除方法が主流となっています。この方法は、従来の方法と比べて切除後の出血や穿孔(腸に穴が開く)のリスクが低く、より安全に治療を行うことができます。

ポリープ切除後は、以下の点に注意が必要です:

  • ・切除当日は安静にし、入浴はシャワーのみ
  • ・3日間程度は消化の良い食事を心がける
  • ・1週間はアルコール摂取や激しい運動を控える
  • ・抗凝固薬を服用中の方は、事前に休薬が必要な場合がある

なお、ポリープ切除は保険診療の対象となり、多くの医療保険でも給付金の対象となっています。詳細は加入されている保険会社にご確認ください。

よくある質問

便潜血陽性と診断された方から、よくいただく質問にお答えします。

Q1. 便潜血が1回だけ陽性でした。もう一度検査を受け直してもいいですか?

1回でも陽性が出た場合は、大腸がんやポリープが存在する可能性があります。再検査で陰性になったとしても、最初の陽性結果が消えるわけではありません。必ず大腸内視鏡検査による精密検査を受けてください。早期発見のチャンスを逃さないことが重要です。

Q2. 痔があるので、それが原因だと思います。検査は不要では?

痔があっても大腸がんやポリープが同時に存在することは珍しくありません。実際に、痔のせいだと思って精密検査を受けなかった結果、進行がんが見つかったケースもあります。原因を正確に特定するためにも、必ず精密検査を受けることをお勧めします。

Q3. 女性なので男性医師の検査に抵抗があります。女性医師はいますか?

金沢駅前院では、女性医師による内視鏡検査も実施しています。女性の患者様が安心して検査を受けられるよう、プライバシーに配慮した環境を整えています。ご希望の方は予約時にお申し出ください。

金沢駅前院での検査を検討中の方へ

便潜血陽性という結果は、決して「大腸がんの宣告」ではありません。むしろ、早期発見・早期治療のチャンスと考えることが大切です。したがって、過度に心配する必要はありませんが、精密検査を受けることは必須です。

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院では、最新の内視鏡システムを導入し、消化器内視鏡専門医による精度の高い検査を提供しています。鎮静剤を使用した苦痛の少ない検査、女性医師による検査対応、土曜日の検査実施など、患者様のニーズに合わせた診療体制を整えています。便潜血陽性でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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著者・監修者情報

中村 文保|医療法人社団心匡会 理事長
総合内科専門医/消化器内視鏡専門医/消化器病専門医/肝臓専門医。内視鏡を核に苦痛の少ない検査と分かりやすい診療を実践、金沢市を中心に地域医療に注力。

公開日:2025-09-28 / 最終更新日:2025-09-28

令和6年8月、9月、10月の内視鏡検査件数

令和6年8月
内視鏡検査総数  42件
上部消化管内視鏡検査 24件
下部消化管内視鏡検査 18件(うちポリープ切除術 9件)

令和6年9月
内視鏡検査総数  111件
上部消化管内視鏡検査 62件
下部消化管内視鏡検査 49件(うちポリープ切除術 23件)

令和6年10月
内視鏡検査総数  171件
上部消化管内視鏡検査 97件
下部消化管内視鏡検査 74件(うちポリープ切除術 42件)

今後も質の高い医療を提供できるよう努めてまいります。よろしくお願いいたします。

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