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大腸憩室炎でCTが必要な理由|忙しい方向け症状・治療ガイド

CT  / 内科

大腸憩室炎のCT検査と治療の流れ|症状から職場復帰までの目安

「仕事中に急にお腹が痛くなって、熱も出てきた」「出張先で左下腹部がズキズキする」――当院には、こうした症状で急遽受診されるビジネスパーソンの方が少なくありません。大腸憩室炎は、働き盛りの年代にも起こりうる急性の腹部疾患です。

この記事では、大腸憩室炎と診断されたとき何が行われるのか、CT検査の役割、治療にかかる時間、仕事にどれくらい影響するのかを要点を絞って解説します。

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この記事のポイント

  • 大腸憩室炎の診断ではCT検査が第一選択とされ、重症度の評価と治療方針の決定に直結します
  • 憩室症(無症状の慢性状態)と憩室炎(急性の炎症)は治療の緊急度が根本的に異なります
  • 軽症であれば抗菌薬の内服で数日〜1週間で改善し、外来通院で治療が完結するケースが多いです
  • 金沢駅前院はCT検査に対応しており、仕事帰りや出張の合間にも受診いただけます

腹痛で受診したとき、なぜ最初にCTを撮るのか

CT検査が大腸憩室炎の診断に適している理由

急な腹痛で消化器内科を受診した場合、診察と採血に加えて腹部CT検査を行うのが標準的な流れです。大腸憩室炎に対してCT検査が重視される理由は3つあります。

まず、憩室炎は腸壁の外側にまで炎症が広がるため、消化管の内側しか見られない大腸カメラでは評価が不十分です。次に、CT画像では炎症の範囲、膿瘍(膿のたまり)の有無、穿孔(腸壁に穴が開く合併症)の有無を一度に確認できます。そして、これらの所見によって治療方針――外来治療か入院か緊急手術か――がその場で決まります。

ACR(米国放射線学会)の診療指針でも、左下腹部痛の評価にCTは「通常適切(Usually Appropriate)」と評価されています(Weinstein S, et al. J Am Coll Radiol 2023)。

検査にかかる時間と費用の目安

CT撮影自体は数分で完了します。受付から結果説明まで含めて1〜2時間程度が目安ですが、混雑状況や追加検査の有無で前後します。健康保険が適用される場合、3割負担でCT検査(造影なし)は4,000〜5,000円前後が目安です(検査項目や診療内容によって変動します)。造影剤を使用する場合はこれに加算がありますが、必要性は医師が判断します。

急性期に大腸カメラを行わない理由

「大腸カメラのほうが詳しくわかるのでは?」と思う方もいるかもしれません。炎症が起きている最中に内視鏡を挿入すると、腸壁を傷つけて穿孔のリスクが高まります。まずCTで全体像を把握し、炎症が十分におさまった後に大腸カメラを行うのが安全な手順です。

憩室症と憩室炎――名前は似ているが緊急度が違う

憩室症は「見つかっただけ」の状態

大腸憩室症は、大腸の壁が外側に袋状にふくらんだ状態を指します。加齢や食物繊維不足による腸内圧の上昇が主な原因で、40歳以降に増加します。年齢とともに保有率は上がり、60歳以上では数割に達するとの報告がありますが、検査方法や対象集団によって数値には幅があります。憩室があるだけでは治療は不要で、定期的な大腸カメラでの経過観察と食生活の工夫が基本です。

憩室炎は「今すぐ対処が必要な急性疾患」

憩室の袋に便が詰まり細菌が増殖すると、急性の炎症が起こります。これが大腸憩室炎です。局所の腹痛(日本やアジアでは右下腹部のこともある)、37〜38℃台の発熱、食欲低下が典型的で、血液検査では白血球やCRPの上昇を認めます。

放置すると膿瘍形成や穿孔に進展する可能性があるため、早めの診断と治療開始が大切です。右下腹部の痛みの場合は虫垂炎と似た症状になりますが、CT検査で鑑別が可能です。

治療のタイムライン ―受診から職場復帰まで

軽症の場合(外来治療)

CT検査で膿瘍や穿孔がなく、炎症が憩室周囲にとどまっている軽症例では、抗菌薬の内服と消化のよい食事による外来治療が選択されます。発熱や腹痛は2〜3日目から軽くなり、1週間程度で通常の食事に戻れるケースが多いです。デスクワーク中心の仕事であれば、症状が落ち着いた3〜5日目に復帰できる方もいます。

ちなみに、AGAの2021年Clinical Practice Updateでは、合併症のない軽症憩室炎に対して抗菌薬を「選択的に」使用する方針が示されています(Peery AF, et al. Gastroenterology 2021)。国内では抗菌薬を使用するのが一般的ですが、今後は患者さんの状態に応じた判断が広がる可能性があります。

中等症〜重症の場合(入院治療)

CTで膿瘍が確認された場合や、全身状態が悪い場合は入院が必要です。絶食と点滴による抗菌薬投与が基本で、膿瘍が大きい場合(おおむね4〜5cmが分岐点)にはCTガイド下ドレナージ(膿を針で排出する処置)を行います(WSES 2020)。入院期間は通常5〜10日程度で、穿孔に伴う腹膜炎で緊急手術が必要になった場合はさらに長くなります。

炎症がおさまったあとの大腸カメラ

急性期の治療が終わったあと、AGAは6〜8週間後に大腸カメラを受けることを推奨しています。目的は、憩室の分布や大きさの確認と、大腸がんなどほかの病変が隠れていないかのチェックです。大腸がんが憩室炎に似た症状を起こす場合があるため、「治ったから終わり」ではなく、後日の内視鏡検査まで完了させることが大切です。

重症度別の治療と回復の目安

重症度 CT所見 治療内容 回復・復帰の目安
軽症 憩室周囲の脂肪織混濁のみ 抗菌薬内服+低残渣食 3〜7日で症状改善、デスクワークは3〜5日で復帰可の場合あり
中等症 小さな膿瘍あり(4cm未満) 入院・点滴抗菌薬 5〜10日の入院、退院後1〜2週で復帰
重症 大きな膿瘍(4cm以上)・穿孔 CTガイド下ドレナージまたは手術 2〜4週以上の入院、復帰まで数週間〜

※回復・復帰の目安は一般的な傾向です。個人の体力や仕事の内容によって異なりますので、担当医とご相談ください。

再発を防ぐ日常の工夫

食事と水分の見直し

大腸憩室炎の再発予防には、食物繊維の摂取が柱になります。野菜、きのこ、海藻類を毎日の食事に取り入れ、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では成人男性で21〜22g以上が目標とされています。水分補給も欠かせません。食物繊維は水分を吸って便をやわらかくするため、水分が不足すると逆効果になることもあります。

以前は「ナッツや種子類は憩室に詰まるので避けるべき」といわれていましたが、AGAやNICE(英国国立医療技術評価機構)のガイダンスでは、この制限は不要とされています。

運動・禁煙・痛み止めの見直し

定期的な運動は腸の動きを整え、憩室炎の発症リスクを下げるとされています。通勤で一駅分歩く、昼休みに10分散歩するなど、日常に取り込みやすい方法で構いません。喫煙やNSAIDs(ロキソニンなど)の常用もリスク要因です。痛み止めを日常的に使っている方は、主治医に相談してみてください。

参考文献

※本記事テーマに関連する主な参考資料

  • Sartelli M, et al. 2020 update of the WSES guidelines for the management of acute colonic diverticulitis in the emergency setting. World J Emerg Surg. 2020;15(1):32. doi:10.1186/s13017-020-00313-4
  • Peery AF, Shaukat A, Strate LL. AGA Clinical Practice Update on Medical Management of Colonic Diverticulitis: Expert Review. Gastroenterology. 2021;160(3):906-911.e1. doi:10.1053/j.gastro.2020.09.059
  • Weinstein S, et al. ACR Appropriateness Criteria® Left Lower Quadrant Pain: 2023 Update. J Am Coll Radiol. 2023;20(11S):S471-S480. doi:10.1016/j.jacr.2023.08.013
  • 急性腹症診療ガイドライン2025 改訂出版委員会(編). 急性腹症診療ガイドライン2025 第2版. 医学書院, 2025.

よくある質問

Q. 仕事中にお腹が急に痛くなりました。憩室炎かどうかはすぐにわかりますか?
A. 診察、採血、CT検査を組み合わせることで、多くの場合は当日中に診断がつきます。当院(金沢駅前院)ではCT検査に対応しており、結果は当日ご説明します。
Q. 憩室炎と診断された場合、入院しなければなりませんか?
A. CT検査で膿瘍や穿孔がない軽症の場合は、抗菌薬の内服で外来治療が可能です。ただし高熱が続く、食事がとれないなどの場合は入院をお勧めすることがあります。
Q. 軽症の憩室炎の場合、仕事を何日休む必要がありますか?
A. 個人差がありますが、デスクワーク中心の方であれば3〜5日で復帰できるケースが多いです。身体を使う仕事の場合は1週間程度の安静が望ましい場合があります。医師と相談のうえ判断してください。
Q. 健診で「憩室がある」と言われただけですが、CT検査を受けるべきですか?
A. 症状がなければ、CTを急いで受ける必要はありません。憩室症は多くの方に見られる状態で、無症状のまま経過する場合がほとんどです。腹痛や発熱が出たときに速やかに受診し、必要に応じてCT検査を行います。
Q. 大腸憩室炎は繰り返しやすいと聞きました。どう予防すればよいですか?
A. 食物繊維をしっかり摂る、水分を十分にとる、定期的に運動する、禁煙する、NSAIDs(痛み止め)を漫然と使わないことが再発予防の柱です。以前は避けるべきとされていたナッツ類も、現在のガイダンスでは制限不要とされています。
Q. 金沢駅前院ではCT検査は予約なしで受けられますか?
A. 急な腹痛など症状がある場合は、予約なしでも診察・CT検査に対応できる場合があります。まずはお電話でご相談ください。事前にWEB予約をいただくと待ち時間を短縮できます。
Q. 出張で金沢に来ているのですが、保険証がなくても受診できますか?
A. 保険証やマイナンバーカードをお持ちでない場合でも、一旦全額自費でお支払いいただき、後日保険者に申請して還付を受ける方法があります。急な腹痛は我慢せず受診を優先してください。
 

この記事の監修

中村文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

最終更新日:[2026年2月21日]

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