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みぞおちが痛いときの原因と胃がんリスク|胃カメラで確認

胃カメラ

みぞおちが痛い——胃がんの可能性と検査のタイミングを専門医が解説

この記事のポイント
  • みぞおちの痛みは胃がんだけでなく、胃潰瘍・逆流性食道炎・機能性ディスペプシア・膵炎・胆石など多くの疾患で起こりうる
  • 初期の胃がんには特有の症状がほとんどなく、みぞおちの違和感や食欲低下が唯一のサインになることがある
  • ピロリ菌の持続感染は胃がん最大のリスク因子であり、除菌治療でリスクを低減できる
  • 胃カメラ検査で粘膜を直接観察し、組織採取による確定診断やピロリ菌検査まで一度に行える
  • 50代以降で胃がんリスクは顕著に上昇するため、40歳を過ぎたら年に一度の胃カメラ検査が推奨される

みぞおちに鈍い痛みや重苦しさを感じたとき、「もしかして胃がん?」と不安になる方は少なくありません。みぞおちの痛みは胃がんだけでなく、胃潰瘍や機能性ディスペプシア(FD)、逆流性食道炎、膵炎、胆石など多くの疾患で起こり得る症状です。だからこそ、症状の特徴を正しく理解し、適切なタイミングで検査を受けることが大切です。

この記事では、消化器内視鏡専門医の立場から「みぞおちの痛み」の原因を整理し、胃がんとの関係、見逃さないためのポイント、そして胃カメラ検査の流れまでを詳しく解説します。

【動画】胃カメラ検査で見つかった複数の病変

当院の診察風景をまとめたドキュメンタリー動画です。実際の胃カメラ検査の様子や、女性医師が患者様に検査結果をお伝えする場面をご覧いただけます。検査の雰囲気を事前に知りたい方はぜひご視聴ください。

みぞおちの痛みにはさまざまな原因がある

みぞおち(心窩部)は胃だけでなく、食道下部・十二指腸・膵臓・胆のうに関連する痛みが集まる場所です。痛みの性質や出るタイミングによって、背景にある疾患はかなり異なります。

痛みの特徴疑われる主な疾患
食後すぐに重苦しい・鈍い痛み胃炎、機能性ディスペプシア(FD)
空腹時・夜間にキリキリ痛む胃潰瘍、十二指腸潰瘍
横になると悪化する灼熱感逆流性食道炎(GERD)
食後に右上腹部へ広がる痛み胆石症、胆のう炎
背部に突き抜ける持続的な痛み膵炎
はっきりした痛みはないがずっと重い胃がん(初期〜進行期)

上の表はあくまで目安です。自覚症状だけで疾患を特定することは困難であり、正確な診断には胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)が欠かせません。

胃がんの初期症状はなぜ気づきにくいのか

胃がんは日本人にとって身近ながんの一つです。国立がん研究センターの統計によると、2021年に胃がんと診断された方は約112,881例にのぼり、2024年の死亡数は37,867人と報告されています。男性のがん死亡数では第3位、女性では第5位に位置しています[3]。

厄介なのは、初期の胃がんに特有の症状がほぼ存在しないという点です。食欲の低下やみぞおちのわずかな違和感が唯一の手がかりになることもありますが、「なんとなくだるい」「胃が重い」程度の感覚であるため、市販の胃薬で対処して見過ごされてしまうケースが少なくありません[5]。

進行してくると、みぞおちの持続的な痛み、黒色便(タール便)、急激な体重減少、嘔吐、貧血といった症状が現れます。しかしこの段階ではがんが胃壁の深くまで浸潤し、リンパ節や他の臓器への転移が始まっている可能性があります。早期に発見できれば5年相対生存率は90%を超えるとされており、症状が軽いうちに検査を受けることが何よりも重要です。

胃がんと「ただの胃の不調」を見分けるポイント

「みぞおちが痛い=胃がん」と直結するわけではありません。しかし、以下に当てはまる項目が多いほど、胃カメラ検査による精密な確認が望ましいと考えられます。

早めの検査が推奨されるサイン

  • みぞおちの痛みや不快感が2週間以上続いている
  • 市販の胃薬を服用しても改善しない
  • 食欲の低下や体重減少が見られる
  • 黒っぽい便(タール便)が出た
  • 貧血を健康診断で指摘された
  • ピロリ菌の感染歴がある、または検査を受けたことがない
  • ご家族に胃がんや胃潰瘍の方がいる
  • 50歳以上で胃カメラ検査を受けたことがない

機能性ディスペプシア(FD)は、胃カメラ検査やCTなどで器質的な異常が見つからないにもかかわらず、みぞおちの痛みや膨満感が慢性的に続く疾患です[2]。FDと診断するには「器質的疾患がないことの確認」が前提となるため、まずは胃カメラ検査で胃がんなど重大な病気を除外する必要があります。

ピロリ菌感染と胃がんリスク

胃がんの最大のリスク因子はヘリコバクター・ピロリ菌の持続感染です。ピロリ菌は胃粘膜に棲みつくらせん状の細菌で、慢性的な炎症を引き起こし、萎縮性胃炎から腸上皮化生へと粘膜を変化させます。この粘膜変化が長期間続くことで、胃がんの発症リスクが高まります[4]。

ピロリ菌の除菌治療は、胃がんリスクの低減に加え、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発率を大幅に下げることが確認されています。胃カメラ検査で感染が判明し、慢性胃炎や潰瘍の診断がつけば、2回目の除菌治療まで保険適用で受けられます。

ただし、除菌に成功した後も胃がんのリスクがゼロになるわけではありません。除菌後も年に一度の胃カメラ検査で経過を観察することが日本胃癌学会のガイドラインでも推奨されています[1]。

生活習慣とそのほかのリスク因子

ピロリ菌のほかに、塩分の過剰摂取、喫煙、過度な飲酒、野菜や果物の摂取不足、慢性的なストレスが胃がんリスクを高めるとされています[4]。胃がんの罹患率は50代以降で顕著に上昇するため、40歳を過ぎたら症状がなくても一度は胃カメラ検査を受けることが大切です。

胃カメラ検査で何がわかるのか

胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)は、口または鼻から細径のスコープを挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜をリアルタイムに観察する検査です。当院ではオリンパス社の最上位機種「EVIS X1」を導入し、NBI(狭帯域光観察)や170度ワイドアングルスコープを駆使して微小な病変の検出に努めています。

胃がんは消化管の内側に発生するため、体の外側から照射するCT検査では早期の病変を捉えきれない場合があります。胃カメラ検査であれば粘膜の色調変化やわずかな凹凸を直接確認でき、疑わしい組織はその場で採取して病理検査に回せるため、確定診断に直結します。さらに、ピロリ菌感染の確認、潰瘍からの出血に対する止血処置、胃アニサキスの摘出にも検査中に対応できます。

胃カメラ検査で見つかる主な疾患

疾患胃カメラでわかること
胃がん粘膜の変色・隆起・陥凹を確認し、組織を採取して確定診断
胃潰瘍・十二指腸潰瘍潰瘍の深さ・活動性を評価し、出血があればその場で止血
逆流性食道炎食道粘膜のびらんや発赤を観察し、重症度を分類
慢性胃炎・萎縮性胃炎粘膜の萎縮度やピロリ菌感染の兆候を評価
食道がんNBI観察により、食道粘膜の微細な血管パターンの変化を検出
機能性ディスペプシア(FD)器質的異常がないことを確認して除外診断に利用

当院の胃カメラ検査の特徴

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院は、金沢駅から徒歩5分のアクセスしやすい立地にあり、土曜日の検査にも対応しています。2院合計(金沢駅前院・野々市中央院)で年間6,902件の内視鏡検査実績(令和7年)を持ち、消化器内視鏡専門医が全例を担当します。

経鼻内視鏡と鎮静剤による苦痛軽減

当院では経鼻検査と経口検査の両方に対応しています。経鼻内視鏡は舌根部を通過しないため嘔吐反射が起きにくく、少量の局所麻酔だけで実施できます。経口検査の場合は鎮静剤を静脈投与し、ウトウトした状態で検査を進めるため苦痛をほとんど感じません。「オエッとなるのが怖い」という方にも安心して受けていただける体制を整えています。

女性医師による検査にも対応

当院には女性の消化器内視鏡専門医が在籍しており、ご希望に応じて女性医師が検査を担当いたします。

当日検査・同日胃と大腸のダブル検査

急な症状でお困りの場合は、予約がなくても当日中に胃カメラ検査をご案内しています。また、胃カメラと大腸カメラを同日に受けることも可能です。来院回数を減らせるため、お忙しい方にもご好評いただいています。

胃カメラ検査の流れ

初めて胃カメラ検査を受ける方は不安を感じやすいものです。ここでは検査の大まかな流れをご紹介します。

STEP 1|検査前日

夕食は検査前日の夜8時までに済ませてください。消化のよいメニューを選び、脂っこいものや繊維質の多い食材は控えましょう。夕食後は無糖で透明な水や薄いお茶で水分を補給してください。

STEP 2|検査当日

当日は絶食でご来院ください。水分補給は水のみとし、量や可否は施設の指示に従ってください。常用薬がある方は事前の診察でお薬手帳をご持参のうえご相談ください。

STEP 3|来院・検査方法の選択

経鼻検査か経口検査をお選びいただきます。鎮静剤を使用する場合、検査後少なくとも24時間は車・バイク・自転車の運転ができません。ご家族の送迎または公共交通機関でのご来院をお願いしています。当院は金沢駅から徒歩5分ですので、電車やバスでのアクセスが便利です。

STEP 4|検査(5〜10分)

検査室で胃の中の泡を消すお薬を服用後、スコープを挿入して食道・胃・十二指腸を丁寧に観察します。組織採取を行う場合は数分ほど追加でお時間をいただきます。

STEP 5|検査終了・結果説明

鎮静剤を使用した場合はリカバリールームで15〜30分ほどお休みいただきます。その後、担当医が検査画像をお見せしながら結果を分かりやすくご説明します。組織を採取した場合は、病理検査の結果が出るまでに約1〜2週間かかるため後日ご来院をお願いしています。

胃カメラ検査の費用目安

検査内容1割負担3割負担
胃カメラ検査約2,000円約6,000円
胃カメラ+病理組織検査約3,000円約9,000円
胃アニサキス除去(内視鏡的異物除去術)約5,000円約15,000円

※初診料・採血費用は別途必要です。保険適用の場合の目安であり、検査内容によって変動します。

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 金沢駅前院
〒920-0853 石川県金沢市本町1丁目6‑1 1F|金沢駅から徒歩5分
24時間WEB予約はこちら

よくあるご質問

みぞおちが痛いだけで胃カメラ検査を受けてもいいですか?
はい、受けていただけます。みぞおちの痛みは胃がんをはじめ、胃潰瘍や逆流性食道炎など多くの消化器疾患で現れる症状です。痛みの原因を明確にするためにも、お気軽にご相談ください。当院では予約なしの当日検査にも対応しています。
鎮静剤を使った場合、検査後に車の運転はできますか?
鎮静剤の影響が残るため、検査後少なくとも24時間は車・バイク・自転車の運転はお控えください。当院は金沢駅から徒歩5分の立地ですので、電車やバスでのご来院が便利です。ご家族の送迎もご検討ください。
胃がんの検査はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
胃がんの発症リスクは50代以降で顕著に上昇します。40歳を過ぎたら症状がなくても年に一度の胃カメラ検査を受けることが推奨されています。ピロリ菌の感染歴やご家族に胃がんの方がいる場合は、より早い段階からの定期検査をおすすめします。
検査前日や当日の食事はどうすればいいですか?
前日の夕食は夜8時までに消化のよいものを済ませてください。検査当日は絶食です。水分補給は水のみとし、量や可否については施設の指示に従ってください。お薬手帳をお持ちの方は当日ご持参ください。
胃カメラ検査はどのくらい時間がかかりますか?
検査自体はおよそ5〜10分です。鎮静剤を使用した場合はリカバリーの時間として15〜30分ほど追加でお休みいただきます。ご来院から会計までの所要時間は全体で1〜2時間が目安です。
ピロリ菌の除菌治療は保険が使えますか?
胃カメラ検査で慢性胃炎や胃潰瘍が確認され、ピロリ菌感染が陽性と判定された場合、2回目の除菌治療まで保険適用で受けられます。詳しくはピロリ菌外来ページをご覧ください。
金沢消化器内科・内視鏡クリニック 金沢駅前院
〒920-0853 石川県金沢市本町1丁目6‑1 1F|金沢駅から徒歩5分
24時間WEB予約はこちら
参考文献
  1. [1] 日本胃癌学会『胃癌治療ガイドライン 医師用 2021年7月改訂 第6版』金原出版, 2021. ISBN 978-4-307-20428-6.
  2. [2] 日本消化器病学会『機能性消化管疾患診療ガイドライン2021 — 機能性ディスペプシア(FD)改訂第2版』南江堂, 2021.
  3. [3] 国立がん研究センター がん情報サービス「がん種別統計情報 — 胃」. https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/5_stomach.html(2026年1月7日更新).
  4. [4] Ilic M, Ilic I. Epidemiology of stomach cancer. World J Gastroenterol. 2022;28(12):1187-1203. DOI:10.3748/wjg.v28.i12.1187.
  5. [5] Maconi G, Manes G, Porro GB. Role of symptoms in diagnosis and outcome of gastric cancer. World J Gastroenterol. 2008;14(8):1149-1155. DOI:10.3748/wjg.14.1149.
文責
中村 文保
金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会 理事長)
日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医