機能性ディスペプシアの症状チェックと治療の進め方
機能性ディスペプシア(FD)の症状セルフチェック|診断・治療と仕事の両立
- 胃もたれ・早期満腹感・みぞおちの痛みが続くときのセルフチェック項目
- FDの診断に必要な検査と、受診から結果説明までの流れ
- アコチアミド・PPI・六君子湯など、症状タイプ別の薬物治療
- 通院スケジュールと仕事を両立させるコツ
昼食のあと、いつも胃が重い。出張先で取引先との会食があっても、食事を楽しめない。「忙しいからそのうち治るだろう」と放置していたら、半年以上同じ状態が続いている――。仕事のスケジュールを優先して後回しにしがちですが、胃カメラで異常がないのに症状が続くなら「機能性ディスペプシア(FD)」かもしれません。この記事では、FDのセルフチェックから診断の流れ、薬物治療の選択肢、そして通院と仕事を両立するためのポイントまで整理しています。
こんな症状が続いていませんか? ― FDセルフチェック
以下の項目に心当たりがあり、しかも6か月以上前から症状が始まっている場合は、FDの可能性を考えてもよいかもしれません。
| チェック項目 | 該当する症状の例 |
|---|---|
| 食後に胃が重い・もたれる | ランチ後にデスクワークが手につかないほど胃が張る |
| 少量で満腹になる | 以前は食べきれた定食が半分で苦しい |
| みぞおちが痛む | 空腹時や夜間にキリキリした痛みが出る |
| みぞおちに灼熱感がある | 焼けるような不快感がある(胸やけとは異なる位置) |
上の項目に1つ以上当てはまり、症状が直近3か月ほど続いているなら、まずは消化器内科で検査を受けることをお勧めします。セルフチェックだけでは他の病気を見分けられないため、自己判断で放置しないでください。
FDの診断はどう進むのか ― 受診から結果説明まで
問診で症状パターンを整理する
受診すると、まず医師が症状の種類・頻度・きっかけを丁寧に確認します。「食後に悪化するのか、空腹時に悪化するのか」「いつ頃から始まったのか」といった情報は、FDの2つのタイプ(食後愁訴症候群・心窩部痛症候群)の分類と治療薬の選択に直結します。受診前に、症状メモを簡単にまとめておくと問診がスムーズです。
胃カメラで「異常なし」を確認する意味
FDの診断で胃カメラが担う役割は「除外」です。胃潰瘍やがんといった器質的な病気がないと確認できて初めて、FDの治療に集中できます。当院では鎮静剤を使った苦痛の少ない胃カメラを実施しており、検査中はウトウトとした半覚醒の状態で進むため苦痛をほとんど感じません。検査と同時にピロリ菌の有無も確認し、所見は当日中にお伝えします(組織を採取した場合の病理結果は1〜2週間後です)。
ちなみに、みぞおちの痛みの原因となる病気全般については、みぞおちの痛みの原因となる病気と即日検査の記事で詳しく紹介しています。FD以外の鑑別疾患を確認したい方はそちらもご参照ください。
血液検査・腹部超音波で他の原因を除外する
膵臓や胆のうの病気が隠れている場合もあるため、必要に応じて血液検査と腹部超音波検査も行います。当院は院内にCT設備も備えており、追加検査が必要な場合もその場で対応できます。忙しいスケジュールの中でも効率的に診断を進められる体制です。
FDの薬物治療 ― 症状タイプで使い分ける
食後のもたれ感が強いタイプの治療
食後愁訴症候群(PDS)タイプでは、胃の排出能を改善するアコチアミド(アコファイド)が中心になります。アコチアミドはFDに対して国内で保険適応を取得している薬であり、食後のもたれ感や早期満腹感の軽減が報告されています。効果が不十分な場合、漢方薬の六君子湯を併用する選択肢もあります。六君子湯はグレリンとの関連が基礎研究で報告されており、食欲の回復や胃排出能の改善への寄与が示唆されています。
みぞおちの痛み・灼熱感が強いタイプの治療
心窩部痛症候群(EPS)タイプには、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬など酸分泌抑制薬が第一選択です。胃酸を抑えることでみぞおちの痛みや灼熱感を和らげます。PDSとEPSの両方を併せもつ場合は、アコチアミドと酸分泌抑制薬を組み合わせるケースもあります。
ピロリ菌が陽性なら除菌を優先する
胃カメラ検査でピロリ菌が見つかった場合は、除菌治療を先に行います。除菌だけでFDの症状が改善する方もおり、ガイドラインでも推奨されています。除菌後も症状が残る場合は、症状タイプに合わせた薬物療法へ移行します。ピロリ菌と慢性胃炎の関係については、ピロリ菌と慢性胃炎の関係とはの記事もあわせてお読みください。
通院と仕事を両立するための実践ガイド
初回の検査日をどう確保するか
胃カメラ検査は鎮静剤を使う場合でも、検査自体は5〜10分程度で終わります(鎮静後の休憩15〜30分を含め、所要時間は検査内容や混雑状況により前後します)。当院は金沢駅東口から徒歩約5分に位置しており、お仕事帰りや通勤途中にも通いやすい立地です。当日検査にも可能な限り対応していますので、まずはお電話またはWEB予約でご相談ください。
治療中の通院ペースの目安
薬を開始したら、2〜4週間後に一度受診して効果を確認するのが一般的です。症状が安定すれば通院間隔は徐々に延ばせます。処方された薬の飲み方や副作用について気になることがあれば、次回受診を待たずに電話で問い合わせていただいて構いません。
日々の食事とストレス管理で底上げする
薬の効果を底上げするには、生活面の工夫も欠かせません。1回の食事量を控えめにして回数を分ける「分食」を試してみてください。脂肪の多い食事は胃の排出を遅らせるため、出張時のメニュー選びでは揚げ物を避けるだけでも違いが出ます。睡眠リズムを整え、短い散歩やストレッチを日課に取り入れると、自律神経のバランスが整いやすくなります。
よくあるご質問
まとめ
機能性ディスペプシアは「胃カメラで異常なし」でも胃の不調が続く病気であり、症状タイプに合わせた薬物治療と生活改善を組み合わせることで、多くの方が症状のコントロールを実現しています。セルフチェックで心当たりがある項目があれば、まずは消化器内科で胃カメラ検査を受け、FDかどうかをはっきりさせるのが最短ルートです。
金沢駅前院は駅から徒歩圏内にあり、お仕事帰りの受診や当日検査にも対応しています。胃の不調を抱えたまま忙しい毎日を過ごしている方は、早めに消化器内科へご相談ください。
当院で相談する目安
胃もたれや早期満腹感が2週間以上続いている方、みぞおちの痛みを繰り返す方、市販薬で改善がみられない方は、一度胃カメラ検査を受けておくと安心です。当院は金沢駅東口から徒歩約5分の立地で、鎮静剤を使った苦痛の少ない胃カメラを実施しています。院内にCTや超音波検査の設備を備えており、当日検査にも可能な限り対応しています。女性医師による検査も承っていますので、まずはお電話またはWEB予約でご相談ください。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。
- 日本消化器病学会(編). 機能性消化管疾患診療ガイドライン2021―機能性ディスペプシア(FD)(改訂第2版). 南江堂; 2021(改訂第2版発行:2021年4月30日). ISBN: 978-4-524-22743-3 https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/fd2021r_.pdf
- Harer KN, Hasler WL. Functional Dyspepsia: A Review of the Symptoms, Evaluation, and Treatment Options. Gastroenterol Hepatol (N Y). 2020 Feb;16(2):66-74. PMID: 34035704. PMCID: PMC8132673. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8132673/
- 一般財団法人 日本消化器病学会(編). 患者さんとご家族のための機能性ディスペプシアガイド2023(2023年10月20日発行). https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/fd_2023.pdf

