ピロリ菌と慢性胃炎の関係とは|金沢で受ける除菌治療と胃がん予防
ピロリ菌と慢性胃炎の関係|胃がんリスクと除菌治療を消化器専門医が解説
- ピロリ菌は慢性胃炎の主な原因であり、放置すると萎縮性胃炎から胃がんへと進行するリスクがあります
- 除菌治療により胃がん発生リスクを大きく低減できます
- 当院ではPCR検査を導入し、薬剤耐性も同時に判定することで除菌成功率を高めています
- 女性医師による丁寧な胃カメラ検査と、保険適用の除菌治療を提供しています
「健診でピロリ菌が陽性でした。胃がんになるんでしょうか」——金沢駅前院には、こうした問い合わせが週に何件も届きます。仕事の合間に検査結果を開いて、不安を抱えたままデスクに戻る方もいるかもしれません。
ピロリ菌に感染していても、適切な検査と除菌治療を受ければ慢性胃炎の進行を抑え、将来の胃がんリスクを大幅に下げられます。この記事では、ピロリ菌と慢性胃炎、そして胃がんとの関係について、消化器内視鏡専門医がエビデンスをもとに整理しました。
ピロリ菌とは?慢性胃炎との深い関係
ヘリコバクター・ピロリ菌(通称:ピロリ菌)は、胃の粘膜に生息する細菌です。1982年にオーストラリアで発見されて以来、慢性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの主要な原因であることが科学的に証明されてきました。
通常、胃の中は強い酸性環境のため細菌は生存できませんが、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という特殊な酵素を持っています。この酵素で尿素を分解し、アンモニアを作り出して胃酸を中和するため、胃の中でも生き続けられるのです。
ピロリ菌に感染する時期と経路
ピロリ菌の感染は主に幼少期(5歳頃まで)に起こります。衛生環境が整っていなかった時代に育った世代、特に65歳以上の方では感染率が高い一方、若い世代では大きく減っています。30歳代で約10%、10歳代では3〜5%程度です。
感染経路としては、以下のようなケースが考えられています:
- 井戸水など衛生状態のよくない水の摂取
- 家族間での経口感染(親から子への口移しなど)
- 不衛生な食べ物からの感染
現在は上下水道が整備され、若年層の感染率は大幅に減りました。ただし、ご家族にピロリ菌感染者がいる場合は、ご自身にも感染の可能性があるため、一度検査を受けておくと安心です。
ピロリ菌が慢性胃炎を引き起こすメカニズム
ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に慢性的な炎症が起こります。この状態が「ピロリ菌感染胃炎(慢性胃炎)」です。感染が長期間続くと、胃粘膜が徐々に薄くなり萎縮する「萎縮性胃炎」へと進行します。
萎縮性胃炎がさらに進行すると、胃の粘膜が腸の粘膜のように変化する「腸上皮化生」という状態になります。この段階になると、胃がん発生のリスクが大幅に高まることが国内外の研究で明らかになっています。
ピロリ菌が引き起こす病気 — 慢性胃炎から胃がんまで
ピロリ菌感染を放置すると、複数の消化器疾患を引き起こす可能性があります。ここでは主な病気について説明します。
慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)
ピロリ菌に感染した方のほぼ全員に、慢性的な胃粘膜の炎症が起こります。初期には自覚症状がないことも多く、健康診断や人間ドックで偶然発見されるケースが少なくありません。
胃もたれ、膨満感、みぞおち周辺の鈍い痛み、食欲不振、吐き気やげっぷなどが代表的な症状です。ただし、これらは慢性胃炎に特有のものではなく、他の胃腸疾患でも起こり得ます。症状がある場合は、ご自身で判断せず医療機関を受診してください。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
ピロリ菌感染により胃粘膜の防御機能が低下すると、胃酸の攻撃によって粘膜が深く損傷し、潰瘍が形成されます。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の患者さんの80〜90%がピロリ菌に感染していることが分かっています。
除菌治療に成功すれば、潰瘍の再発率を大幅に下げられます。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の副作用による潰瘍もありますが、ピロリ菌が原因の場合は除菌が最も効果的な治療法です。
萎縮性胃炎と胃がんリスクの関係
ピロリ菌による慢性的な炎症が長年続くと、胃粘膜が萎縮し薄くなっていきます。この萎縮性胃炎の状態が進行するほど、胃がんの発生リスクが高まることが多くの研究で証明されています。
世界保健機関(WHO)の専門機関である国際がん研究機関は、全世界の胃がんの約8割がピロリ菌感染に起因すると報告しています。また、最新の研究では、ピロリ菌感染者は非感染者と比べて胃がん発症リスクが約5〜10倍高いことが示されています。
除菌治療により胃がんリスクを大きく低減できるという事実は、早めに行動するうえで重要なポイントです。特に若いうちに除菌するほど、高い予防効果が期待できます。
その他のピロリ菌関連疾患
ピロリ菌が原因で発生する胃MALTリンパ腫は、除菌により改善することがあります。また、検査で異常が見つからないのに胃の不快症状が続く「機能性ディスペプシア」にも、ピロリ菌が関与している場合があります。
金沢で受けられるピロリ菌検査の種類と方法
ピロリ菌の検査方法には、大きく分けて「内視鏡を使う検査」と「内視鏡を使わない検査」の2種類があります。当院では、患者さんの状態に応じて最適な検査方法をご提案しています。
内視鏡を使う検査(胃カメラ)
迅速ウレアーゼ試験:胃カメラ検査時に採取した組織を用いて、ピロリ菌が持つウレアーゼという酵素の活性を調べます。結果が早く分かる利点があります。
組織鏡検法:採取した胃粘膜を顕微鏡で観察し、ピロリ菌の存在を直接確認する方法です。
培養法:採取した組織を培養してピロリ菌を増殖させ、感染の有無を確認します。
PCR検査(核酸増幅法):2022年11月から保険適用となった最新の検査法です。胃液を含む内視鏡廃液中のピロリ菌のDNA(遺伝情報)を高感度に検出します。当院ではこのPCR検査を実施しており、最大の特徴は、ピロリ菌の有無だけでなく、除菌治療に使用する抗生物質「クラリスロマイシン」への耐性の有無も同時に判定できることです。これにより、除菌治療前に薬剤耐性を把握し、患者さんに最適な除菌薬を選択できるため、除菌の成功率を高められます。検査精度も非常に高く、他の検査で陰性でも感染が疑われる場合に有用です。
内視鏡検査の大きなメリットは、ピロリ菌の感染診断だけでなく、胃粘膜の状態(萎縮の程度、炎症の広がり)を直接観察できること、そして胃がんなど他の病気の有無も同時に確認できることです。
内視鏡を使わない検査
尿素呼気試験:検査薬を服用し、一定時間後の呼気を調べる方法です。簡便で精度が高く、除菌判定にも使用されます。空腹時に実施する必要があり、胃酸分泌抑制薬(PPI)を服用中の方は2週間の休薬が必要です。
血清抗体測定:血液検査でピロリ菌に対する抗体を調べます。簡便ですが、除菌後も抗体が残るため除菌判定には不向きです。
便中抗原測定:便を採取してピロリ菌の抗原を検出します。
保険適用の条件
2013年2月より、内視鏡検査で慢性胃炎と診断された場合、ピロリ菌検査と除菌治療が保険適用となりました。これにより、多くの方が経済的負担を抑えて治療を受けられるようになっています。
当院では、最新の内視鏡システムを使用し、消化器内視鏡専門医による精密な検査を提供しています。鎮静剤を使用した胃カメラにも対応しており、検査への不安を軽減できるよう配慮しています。
除菌治療の流れと成功率
ピロリ菌の除菌治療は、薬を1週間服用するだけの治療法です。ここでは治療の具体的な流れと注意点をご説明します。
一次除菌治療
2種類の抗生物質と1種類の胃酸分泌抑制薬の合計3剤を、1日2回、7日間連続で服用します。近年では、従来のプロトンポンプ阻害薬(PPI)に代わり、より強力な酸分泌抑制作用を持つP-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)が使用されることが多くなり、除菌成功率は約90%まで向上しています。
必ず指示通り7日間飲み切ってください(自己判断での中止は耐性菌を生む原因になります)。二次除菌時は禁酒が必要です(一次除菌では特に制限なし)。副作用(下痢、軟便、味覚異常、発疹など)が出た場合は速やかにご相談ください。
除菌判定
除菌治療終了後、2か月程度経過してから除菌の成否を判定します。尿素呼気試験や便中抗原測定などで確認し、陰性であれば除菌成功です。
二次除菌治療
一次除菌が不成功の場合、抗生物質の1つを別の薬剤に変更して二次除菌を行います。一次除菌と二次除菌を合わせた累積除菌成功率は97〜98%と非常に高い成績が報告されています。二次除菌まで保険適用となっています。
三次除菌以降
二次除菌でも不成功の場合、自費診療にはなりますが、三次除菌を行うことも可能です。当院では、患者さんの状況に応じて最適な治療方針をご提案いたします。
除菌後も定期的な胃カメラ検査が必要な理由
ピロリ菌の除菌に成功すれば、胃がんリスクは大幅に減少しますが、ゼロにはなりません。これは非常に重要なポイントです。
除菌後も胃がんリスクが残る理由
除菌前の胃粘膜の萎縮が進行していた場合、除菌後も萎縮した粘膜が完全に正常な状態に戻るまでには10年以上かかるとされています。また除菌前に蓄積したDNAメチル化異常(DNAの一時的な傷)は除菌後も完全に消えることはなく、萎縮した粘膜から胃がんが発生する可能性は残り続けます。
また、除菌時点で検査では発見できない極めて小さながんが既に発生していた可能性もあります。そのため、除菌成功後も継続的な経過観察が必要なのです。
推奨される検査頻度
日本消化器内視鏡学会や日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、ピロリ菌除菌後も定期的な胃カメラ検査を推奨しています。
特に以下に該当する方は、より慎重な経過観察が必要です:
- 除菌前に萎縮性胃炎が進行していた方
- 腸上皮化生が確認されている方
- 胃がんの家族歴がある方
- 除菌時の年齢が50歳以上の方
当院では、除菌成功後の定期検査についても、患者さん一人ひとりのリスクに応じた最適な検査計画をご提案しています。
ピロリ菌・胃がんに関する参考ページ
ピロリ菌検査・除菌治療(金沢駅前院)
ピロリ菌検査の具体的な方法や、当院での除菌治療の流れについてまとめた公式ページです。内視鏡検査による診断から除菌成功判定まで、保険適用での治療の全体像が分かります。
▶ ピロリ菌検査・除菌治療|金沢消化器内科・内視鏡クリニック 金沢駅前院
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の原因・検査と治療法
胃潰瘍や十二指腸潰瘍でお悩みの方、またはこれらの病気の既往歴がある方に向けた解説ページです。ピロリ菌と潰瘍の関係や、再発予防のための除菌治療の重要性について理解を深められます。
胃がん原因とは——ピロリ菌、生活習慣、検査法を解説
胃がんのリスク要因やピロリ菌との関係について、より広い視点で解説したページです。早期発見のための検査方法や、生活習慣での予防策についても取り上げています。
金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院でも受診いただけます
野々市中央院は駐車場120台を完備し、土曜の内視鏡検査にも対応しています。ご家族での受診や、お車での来院を希望される方にも便利です。
▶ 野々市中央院 公式サイト | ▶ 野々市中央院 Web予約
- ピロリ菌感染は内視鏡検査でわかりますか?(核酸増幅法を含む) — 日本消化器内視鏡学会
- ピロリ菌を除菌しましたが、その後胃カメラ検査を受ける必要がありますか? — 日本消化器内視鏡学会
- H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2024改訂版 — 日本ヘリコバクター学会
- ヘリコバクター・ピロリ除菌の保険適用による胃がん減少効果の検証について — 厚生労働省
- Duan Y, Xu Y, Dou Y, Xu D. "Helicobacter pylori and gastric cancer: mechanisms and new perspectives." J Hematol Oncol. 2025;18(1):10. PubMed
- Lee YC, et al. "Association Between Helicobacter pylori Eradication and Gastric Cancer Incidence: A Systematic Review and Meta-analysis." Gastroenterology. 2016;150(5):1113-1124. ScienceDirect
よくあるご質問
まとめ
ピロリ菌は慢性胃炎の主たる原因であり、長期間の感染は萎縮性胃炎を経て胃がん発生リスクを高めます。一方で、適切な除菌治療を受ければそのリスクを大きく低減でき、若いうちに除菌するほど予防効果は高くなります。内視鏡検査で慢性胃炎と診断されれば検査・除菌ともに保険適用となるため、経済的な負担も抑えられます。
除菌に成功したあとも、除菌前に蓄積した粘膜変化は残るため定期的な胃カメラ検査が欠かせません。健診でピロリ菌陽性を指摘された方、ご家族に感染者がいる方、胃の不調が続いている方は、早めに消化器内科へご相談ください。
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当院で相談する目安
健診や人間ドックでピロリ菌陽性を指摘された方、ご家族にピロリ菌感染者や胃がんの既往がある方、胃もたれ・みぞおちの痛み・食欲低下などの症状が2週間以上続いている方は、一度消化器内科で胃カメラ検査を受けることをおすすめします。当院は金沢駅から徒歩5分の立地で、お仕事帰りにも受診しやすい環境です。鎮静剤を使った苦痛に配慮した検査や女性医師による検査にも対応していますので、検査に不安のある方もお気軽にお問い合わせください。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

