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ピロリ菌除菌にかかる費用と成功率|忙しい方向けガイド

胃カメラ

ピロリ菌の除菌費用と成功率|1週間で終わる治療の全体像

「ピロリ菌陽性って言われたけれど、除菌にどれくらい時間がかかるのか」——仕事の合間にお電話でそう尋ねてくる方が増えています。結論から言えば、除菌治療そのものは1日2回の服薬を7日間続けるだけです。この記事では、忙しい方が知っておきたい費用の内訳と保険適用の条件、副作用が出たときの対処、そして成功率のデータをコンパクトに整理しました。

【動画で解説】胃カメラで荒れた胃が見つかったケース

この記事のポイント

  • 除菌治療は7日間の服薬で完了し、通院は最小限で済みます
  • 保険適用の場合、薬代の自己負担は3割で約6,000〜8,000円です
  • 副作用は軟便・味覚変化が中心で、服薬終了後に治まるケースがほとんどです
  • P-CABを使った除菌では、二次除菌まで含めると大多数の方で成功が報告されています

除菌治療は1週間の服薬で完了する

治療に必要な通院回数の目安

除菌治療のスケジュールは、大きく分けて3ステップです。まず胃カメラ検査でピロリ菌感染を確認し(初回来院)、次に処方された薬を7日間自宅で服用します。そして服薬終了から一定期間後に判定検査を受けます(2回目の来院)。

薬の服用期間中に通院する必要はありません。朝食後と夕食後に決まった薬を飲むだけなので、出勤前と帰宅後のルーティンに組み込めます。金沢駅から徒歩5分の当院なら、通勤途中の受診も選択肢のひとつです。

胃カメラなしでも除菌は受けられる?

保険適用で除菌を受けるには、胃カメラ検査で慢性胃炎や潰瘍の診断がついていることが条件です(厚生労働省 保医発0221第31号)。ただし、6か月以内に別の医療機関で胃カメラを受けて胃炎を指摘されている方は、その結果を持参すればすぐに除菌を始められる場合があります。検査と除菌の詳しい流れは当院のピロリ菌外来ページをご確認ください。

保険適用と自費の費用を比較する

保険が使えるケース・使えないケース

保険適用の対象は、胃カメラで慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍の診断を受けてピロリ菌感染が確認された方です。この条件を満たせば二次除菌まで保険が効きます。

一方、「健診の血液検査でピロリ抗体が陽性だった」というだけでは、そのまま保険での除菌には進めません。先に胃カメラで胃の状態を確認するステップが必要です。

費用の目安を数字で把握する

費用感を事前に把握しておくと、スケジュールも立てやすくなります。

項目 保険適用(3割負担) 自費診療
胃カメラ検査(観察のみ) 約4,000〜5,000円 約12,000〜15,000円
胃カメラ+組織検査 約8,000〜12,000円 約20,000〜25,000円
一次除菌薬(7日分) 約6,000〜8,000円 約10,000〜15,000円
判定検査(尿素呼気試験など) 約2,000〜3,000円 約5,000〜6,000円
二次除菌薬(7日分) 約6,000〜8,000円 約10,000〜15,000円

※上記は目安であり、検査内容や使用薬剤によって異なります。ちなみに三次除菌以降は自費になりますが、当院では対応しています。

服薬中に起こりやすい副作用と対処法

頻度が高い副作用とは

除菌薬は胃酸分泌抑制薬(P-CAB)と抗菌薬2種類を7日間服用します。服用中に起こりやすい副作用は、軟便・下痢、味覚の変化、皮膚の発疹です。日本ヘリコバクター学会のガイドラインでも、下痢・軟便がもっとも多い副作用として記載されています。頻度は研究条件や薬剤の組み合わせで異なるため、一概に何%とは言い切れませんが、主な副作用は軽度で一過性のものがほとんどです。

軟便や味覚異常は服薬が終われば数日で戻ることがほとんどです。抗菌薬によって腸内の善玉菌も一時的に減るため、お腹が緩くなりやすいのはやむを得ない面があります。

副作用が出たときにすべきこと

軟便程度であれば自己判断で服薬を中断しないでください。中断すると除菌の成功率が下がり、薬剤耐性菌を生むリスクもあります。症状がつらい場合はまず処方元の医師に連絡し、整腸剤の追加などを相談してください。

高熱をともなう皮膚の発赤や、血便が出た場合は重い副作用の可能性があります。すぐに服薬を中止して医療機関を受診してください。

一次除菌・二次除菌の成功率データ

P-CABが主流になった背景

従来のPPI(プロトンポンプ阻害薬)ベースの除菌では、クラリスロマイシン耐性菌の増加により成功率が70%台に低下していた時期がありました。P-CAB(ボノプラザン)は胃酸抑制力がPPIより強く、抗菌薬が胃の中で効きやすい環境をつくります。Murakamiらの第III相臨床試験(Gut 2016)では、P-CABを用いた一次除菌の成功率は92.6%と報告されました。

ただし、実臨床では薬剤耐性の状況や患者背景によって成功率に幅があり、80〜90%台とされています。Sueらの多施設コホート研究(Intern Med 2017)ではITT解析で84.9%と、やや低めの数値も報告されています。

二次除菌まで含めた見通し

一次除菌が不成功だった場合、抗菌薬をクラリスロマイシンからメトロニダゾールに切り替えて二次除菌を行います。Murakamiらの試験では二次除菌の成功率は98.0%(n=50)と高率でしたが、試験の対象数が限られている点には留意が必要です。全体として、二次除菌まで含めると大多数の方で除菌が成功しています。

服薬の飲み忘れや途中中断は成功率を大きく下げます。7日間をきちんと飲みきることが何より重要です。喫煙も除菌率を下げるとの報告があるため(日本ヘリコバクター学会ガイドライン)、服薬期間中だけでも禁煙を意識してください。

除菌成功後も検査は続ける

除菌に成功しても、ピロリ菌に感染していた期間に胃粘膜へ蓄積したダメージ(萎縮性胃炎や腸上皮化生)は残ります。日本消化器内視鏡学会は、除菌後に萎縮性胃炎がある方に対して2〜3年間隔での内視鏡検査を目安としています。萎縮の程度が強い方や胃がんの家族歴がある方は、主治医と相談のうえ、より短い間隔(年1回など)での検査をお勧めする場合もあります。

参考文献

※本記事テーマに関連する主な参考資料

  • 日本ヘリコバクター学会ガイドライン作成委員会 編『H. pylori感染の診断と治療のガイドライン 2024改訂版』先端医学社, 2024年
  • 厚生労働省「ヘリコバクター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」保医発0221第31号(2013年2月)
  • Sue S, et al. "The Superiority of Vonoprazan-based First-line Triple Therapy with Clarithromycin: A Prospective Multi-center Cohort Study on Helicobacter pylori Eradication." Intern Med. 2017;56(11):1277-1285. doi:10.2169/internalmedicine.56.7833.
  • Murakami K, et al. "Vonoprazan, a novel potassium-competitive acid blocker, as a component of first-line and second-line triple therapy for Helicobacter pylori eradication: a phase III, randomised, double-blind study." Gut. 2016;65(9):1439-1446. PMID: 26935876.
  • 日本消化器内視鏡学会 市民向けFAQ「胃内視鏡検査は何年に1回受ければいいですか?」(https://www.jges.net/citizen/faq/esophagus-stomach_08

よくある質問

Q. 除菌治療中、仕事を休む必要はありますか?
A. 休む必要はありません。自宅で朝と夕に薬を飲むだけですので、通常どおり出勤していただけます。副作用の軟便が気になる方は、整腸剤の併用を医師に相談してください。
Q. 金沢駅前院では予約当日に胃カメラとピロリ菌検査を両方受けられますか?
A. 食事制限などの条件が整っていれば、同日に胃カメラ検査と感染確認を行うことが可能です。WEB予約時に「ピロリ菌検査希望」とお伝えいただくとスムーズです。
Q. 二次除菌でも失敗した場合はどうなりますか?
A. 三次除菌以降は自費診療ですが、薬の組み合わせを変えて治療を継続できます。当院でも対応しておりますので、まずはご相談ください。
Q. 除菌後の判定検査はいつ受ければよいですか?
A. 薬の服用終了から一定期間空ける必要があります。早すぎると正確な判定ができないため、医師の指定する時期に再来院してください。
Q. 除菌薬を飲んでいる1週間にお酒は飲めますか?
A. 飲酒は薬の効果を弱める恐れがあるため、7日間は控えてください。特に二次除菌で使うメトロニダゾールとアルコールの組み合わせは、ジスルフィラム様反応と呼ばれる吐き気や腹痛を起こす場合があります(MSDマニュアル等でも注意喚起されています)。
Q. 除菌後の胃カメラはどのくらいの頻度で受ければよいですか?
A. 日本消化器内視鏡学会は2〜3年間隔を目安として示しています。ただし、萎縮性胃炎が強い方や胃がんの家族歴がある方は、主治医と相談のうえ年1回の検査をお勧めする場合があります。
 

この記事の監修医

中村文保

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会理事長)

日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医

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