低FODMAP食で過敏性腸症候群の腹痛・下痢を改善|金沢の消化器内科
低FODMAP食事療法で過敏性腸症候群の症状を和らげる|金沢駅前の消化器内科が解説
お腹の張りや腹痛、下痢と便秘の繰り返し。何を食べても調子が崩れるような気がして、食事の時間そのものが不安になっていないでしょうか。検査では異常が見つからず、どう対処すればいいのか分からないまま過ごしている方も少なくありません。そうしたお悩みを抱える方にぜひ知っていただきたいのが、低FODMAP食事療法です。
低FODMAP食は、過敏性腸症候群の症状を和らげるために開発された科学的根拠のある食事法で、世界各国の研究で効果が確かめられています。この記事では、FODMAPとは何か、どのように実践すればよいか、そして金沢で専門的なサポートを受ける方法について、消化器内科医の視点から分かりやすくお伝えします。
- 低FODMAP食は過敏性腸症候群の症状改善に科学的な裏付けがあり、およそ半数から7割以上の方で効果が認められています
- 特定の糖質を一時的に控え、自分に合わない食品を見つけ出すことが目的であり、長期間の厳格な制限は推奨されません
- 当院では女性医師による内視鏡検査と、管理栄養士による食事指導で総合的にサポートいたします
FODMAPとは? お腹の不調との関係
FODMAP(フォドマップ)は、小腸で吸収されにくく、大腸に届いたあと腸内細菌によって急速に発酵される糖質の総称です。具体的には、以下の5つの成分の頭文字をつなげた用語です。
- Fermentable(発酵性の)
- Oligosaccharides(オリゴ糖)── 玉ねぎ、にんにく、小麦などに含まれるフルクタンやガラクトオリゴ糖
- Disaccharides(二糖類)── 牛乳、ヨーグルトなどに含まれる乳糖(ラクトース)
- Monosaccharides(単糖類)── りんご、梨などに含まれる果糖(フルクトース)
- And
- Polyols(ポリオール)── きのこ類やキシリトールなどの糖アルコール
これらの糖質は小腸で十分に吸収されないまま大腸に到達し、腸内細菌の働きで一気に発酵されます。その結果、大量のガスが生じたり、浸透圧の影響で腸内の水分量が増えたりして、お腹の張り、腹痛、下痢といった症状につながることがあります。
過敏性腸症候群とFODMAPの関係
過敏性腸症候群の方は、腸の知覚が過敏な状態にあり、わずかなガスや水分の変化でも強い不快感を覚えやすい傾向があります。日本消化器病学会の診療ガイドラインによれば、過敏性腸症候群は現在の診断基準(Rome IV)で日本人のおよそ2~3パーセントが該当する疾患であり、腹痛や便通異常が慢性的に続くにもかかわらず、検査で器質的な異常が見つからないのが特徴です。
FODMAPを多く含む食品を摂ると、こうした症状が悪化しやすいことが分かっています。反対に、低FODMAP食を取り入れることで症状が軽くなる可能性があります。ここで押さえておきたいのは、FODMAPが誰にとっても体に悪い成分というわけではなく、腸が敏感な方にとって症状の引き金になりやすいという点です。
低FODMAP食事療法の科学的根拠
低FODMAP食は、オーストラリアのモナシュ大学で2005年に開発され、その後世界各地で臨床研究が積み重ねられてきました。
最新の研究結果
2025年に医学雑誌 Lancet Gastroenterology & Hepatology で発表されたシステマティックレビューでは、低FODMAP食が過敏性腸症候群の全般的な症状、腹痛、お腹の張りに対して最も効果的な食事療法であることが示されました。複数の無作為化比較試験を統合したメタアナリシスでは、低FODMAP食を実践した患者さんのおよそ50パーセントから75パーセントで症状の改善が確認されています。個人差はありますが、多くの方に効果が期待できる治療法といえます。
2021年に発表された別の研究では、低FODMAP食によって腸内のガス産生が減り、炎症マーカーであるヒスタミンがおよそ8分の1に低下したことが報告されています。この結果は、低FODMAP食が単に症状を抑えるだけではなく、腸内環境そのものに好影響をもたらす可能性を示しています。
日本における評価
日本消化器病学会が発行する「機能性消化管疾患診療ガイドライン2020――過敏性腸症候群(IBS)」でも、食事療法の大切さが強調されており、特定の食品が症状を悪化させる場合にはそれらを控えることが推奨されています。低FODMAP食は世界的にエビデンスの蓄積が進んでいる食事療法であり、今後さらに注目が高まると考えられます。
低FODMAP食の実践方法──3つのステップ
低FODMAP食は、ただ特定の食品を避け続ける食事法ではありません。自分に合わない食品を見つけ出すための、計画的なアプローチです。
ステップ1:除去期(2~4週間、最大6週間)
まず、高FODMAP食品をすべて控える期間を設けます。この間に症状がどう変化するかを確認するのが目的です。除去期は通常2週間から4週間程度が推奨されており、長くても6週間を超えないようにしてください。症状の変化を日々記録しておくと、あとのステップで役立ちます。
控える食品(高FODMAP食品)の代表例
- 穀物:小麦製品(パン、パスタ、うどん)、大麦、ライ麦
- 野菜:玉ねぎ、にんにく、アスパラガス、キャベツ、カリフラワー
- 果物:りんご、梨、マンゴー、すいか、さくらんぼ
- 乳製品:牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム(乳糖を含むもの)
- 豆類:大豆、レンズ豆、ひよこ豆
- 甘味料:ハチミツ、高果糖コーンシロップ、キシリトール
食べられる食品(低FODMAP食品)の代表例
- 穀物:白米、玄米、そば(10割)、グルテンフリーパスタ、オートミール
- 野菜:にんじん、きゅうり、トマト、ナス、ピーマン、レタス、ほうれん草
- 果物:バナナ、みかん、キウイ、いちご、ブルーベリー(いずれも適量)
- 乳製品:ラクトースフリーミルク、ハードチーズ(チェダー、パルメザン)
- たんぱく質:鶏肉、牛肉、豚肉、魚、卵、豆腐(木綿が推奨。絹ごしは少量にとどめる)
- 調味料:オリーブオイル、醤油(大さじ2杯程度まで)、味噌(小さじ2杯程度まで)、塩、こしょう
注意していただきたい点:FODMAPの含有量は食品の種類だけでなく、食べる量によっても変わります。低FODMAP食品であっても、大量に摂れば症状が出ることがあるため、適切な分量を守ることが大切です。モナシュ大学が提供するFODMAPアプリなどで具体的な許容量を確かめておくと安心です。
ステップ2:再導入期(6~8週間)
症状が落ち着いたら、高FODMAP食品を一種類ずつ、段階的に食事に戻していきます。たとえば最初の週に乳糖を含む食品を少量試し、翌週にフルクタンを含む食品を試す、というように慎重に進めます。この期間は6~8週間ほどを目安としてください。
再導入期は、自分の体と丁寧に向き合う時間です。食事日記をつけて「何を食べたら、どんな症状が出たか」を記録することで、ご自身の引き金となる食品が明確になります。
ステップ3:維持期(長期)
再導入期で問題がなかった食品はそのまま日常の食事に戻し、症状を起こす食品だけを適度に控える。こうして個別化された食事スタイルを確立するのが最終的な目標です。完全に制限するのではなく、症状が出ない範囲で食事を楽しむことを大切にしてください。
実践にあたっての注意点
低FODMAP食は栄養バランスが偏るおそれがあるため、自己判断で始めるのではなく、医師や管理栄養士の指導のもとで取り組むことが推奨されています。当院では消化器内科医と管理栄養士が連携し、お一人おひとりに合わせた食事指導を行っています。
金沢で低FODMAP食を始める前に必要な検査
低FODMAP食を始める前に、過敏性腸症候群以外の病気が隠れていないかを確かめておくことが欠かせません。
大腸内視鏡検査が必要なケース
腹痛や便通の乱れは、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)、大腸ポリープ、大腸がんなどでも起こり得ます。過敏性腸症候群は、こうした器質的な病気を除外したうえで診断される機能性疾患です。
以下のような「警戒すべきサイン」がある場合や、年齢に応じた大腸がんスクリーニングの時期にある場合は、大腸内視鏡検査を受けることが推奨されます。
- 血便がみられる
- 原因不明の体重減少がある
- 発熱を伴っている
- 貧血がある
- 50歳以上で新たに症状が出てきた
- ご家族に大腸がんや炎症性腸疾患の方がいる
若い方で上記の警戒サインがない場合、最初から内視鏡検査が必須とは限りません。ただし、症状が長引いている方や不安の強い方は、安心のために検査を受けておくのも一つの選択肢です。医師と相談しながら、適切なタイミングで検査を受けましょう。
当院の検査体制
金沢消化器内科・内視鏡クリニック 金沢駅前院では、女性医師による大腸内視鏡検査を行っています。デリケートな検査だからこそ同性の医師に診てもらいたい、というお声を多くいただいており、リラックスして検査に臨んでいただけるよう環境を整えています。
鎮静剤を使用することで、検査中の苦痛を最小限に抑えた状態で受けていただけます。検査中は医師や看護師が声をかけながら進めますので、気になる点があれば遠慮なくお伝えください。
血液検査・腹部エコー検査
大腸カメラに加えて、血液検査で炎症マーカーや貧血の有無を確認したり、腹部エコー検査で肝臓、胆のう、膵臓などの状態を調べたりする場合もあります。複数の検査を組み合わせた総合的な評価が、より正確な診断につながります。
次に読むおすすめ記事
ストレスや緊張で下痢が起こりやすい方へ。内視鏡検査がなぜ大切なのか、脳腸相関のメカニズムや他の疾患との見分け方も含めて解説しています。
お腹の張りやガスの悩みは低FODMAP食と深い関わりがあります。ガスが発生する仕組みや過敏性腸症候群との関係を詳しく解説しており、食事療法を始める前の予備知識として役立ちます。
よくあるご質問
まとめ
お腹の不調は日常生活の質を大きく左右します。何を食べても調子が悪くなるのではないか——そんな不安を抱えて過ごすのは、心身ともに大きな負担です。しかし、低FODMAP食事療法は科学的根拠に裏づけられた有効なアプローチであり、実際に多くの方が症状の改善を実感しています。
自己判断で始めるのではなく、まず適切な診察を受けて正確な診断を得ること。必要に応じて検査を受けること。そして医師や管理栄養士のサポートを受けながら計画的に進めること。この3つが、食事療法を成功させるための基本です。当院では消化器内科専門医と管理栄養士が連携して、お一人おひとりに寄り添った診療を行っています。お腹の不調でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
- 日本消化器病学会 編.「機能性消化管疾患診療ガイドライン2020――過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版)」南江堂, 2020.
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/IBSGL2020_.pdf - Cuffe MS, Staudacher HM, Aziz I, et al. Efficacy of dietary interventions in irritable bowel syndrome: a systematic review and network meta-analysis. Lancet Gastroenterol Hepatol. 2025;10(6):520-536.
PubMed - van Lanen AS, de Bree A, Greyling A. Efficacy of a low-FODMAP diet in adult irritable bowel syndrome: a systematic review and meta-analysis. Eur J Nutr. 2021;60(6):3505-3522.
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PubMed - Black CJ, Staudacher HM, Ford AC. Efficacy of a low FODMAP diet in irritable bowel syndrome: systematic review and network meta-analysis. Gut. 2022;71(6):1117-1126.
PubMed
当院で相談する目安
お腹の張りや腹痛、下痢・便秘の繰り返しが2週間以上続いている方、血便や原因不明の体重減少がある方は、早めに消化器内科を受診してください。当院(金沢駅前院)は金沢駅から徒歩5分の立地で、お仕事帰りや通勤途中にも通いやすい環境です。女性医師による内視鏡検査にも対応しておりますので、検査に対する不安がある方もお気軽にご相談ください。
野々市中央院でも受診いただけます
野々市中央院でも同等の検査・診療をお受けいただけます。野々市市・白山市方面からのアクセスに便利です。
▶ 野々市中央院 公式サイト | ▶ 野々市中央院 Web予約
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

