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花粉シーズンの腹痛・下痢は花粉症が原因?仕事を休まず調べる方法

内科

花粉シーズンに繰り返す腹痛・下痢——仕事に支障が出る前に知りたい原因と検査の受け方

この記事でわかること

花粉症の時期に起こる腹痛・下痢の代表的な原因(PFAS・花粉関連IBS・薬の副作用)を整理し、どのような検査で原因を絞り込めるのかを解説します。「忙しくて検査に行けない」という方に向け、金沢駅前院での受診しやすい体制についてもご紹介します。

動画:金沢内視鏡医 医療密着ドキュメンタリー「下痢・腹痛を放置しないで」

花粉症で「お腹の調子が悪くなる」は気のせいではない

毎年春になると、くしゃみや鼻水だけでなく「お腹がゴロゴロする」「下痢が増えた」と感じる方が受診されます。実はこれは珍しいことではありません。花粉症と消化器症状のつながりは近年の研究で徐々に裏付けが進んでおり、花粉がきっかけで腸に不調が出る経路はひとつではないことがわかっています。

とくにデスクワーク中心で外出や通勤の合間に花粉を大量に吸い込むビジネスパーソンの方は、「午前中の会議前にお腹が痛くなる」「出張中に下痢が止まらない」といった悩みを抱えやすい傾向があります。この記事では、仕事への影響を最小限にしながら原因を調べ、対処していくための情報をまとめました。

花粉シーズンの腹痛・下痢——3つの代表的パターン

パターン1:花粉食物アレルギー症候群(PFAS)

花粉症の方が特定の果物や野菜を食べたとき、口の中のかゆみやイガイガに続いて腹痛・下痢・吐き気が起こることがあります。これは花粉食物アレルギー症候群(Pollen-Food Allergy Syndrome:PFAS)と呼ばれる病態です。花粉に含まれるアレルゲンと果物・野菜のたんぱく質が構造上よく似ているため、免疫が「花粉が入ってきた」と誤認して反応を起こします。

シラカバ花粉のアレルゲンであるBet v 1に感作されている方はPFASのリスクが高いことが報告されています。東京都の出生コホート研究(Huang ら 2022)では、5歳時点でBet v 1に感作された小児が13歳時にPFASを発症する調整オッズ比(aOR)は10.6(95%CI:2.64–42.5)でした。また、スギ花粉のアレルゲンCry j 1への感作でもaOR 2.74(95%CI:1.53–4.91)と有意なリスク上昇が認められています。

口腔症状だけでなく、腹痛や下痢などの消化管症状を伴うケースもあることが報告されています(Fukutomi 2024)。リンゴ、モモ、サクランボ、キウイ、トマトなどが原因食品として知られていますが、原因を特定せずに「なんとなくお腹が弱いだけ」と放置している方は少なくありません。

なお、シラカバ花粉の飛散が少ない地域でも花粉症患者の16.8%にOAS(口腔アレルギー症候群)が認められたという調査結果があります(Osawa ら, Allergol Int, 2020; 69(1):117–123)。石川県はシラカバ花粉の飛散量が本州の中では限定的な地域ですが、スギ・ヒノキの花粉症がある方にもPFASが起こりうるため注意が必要です。

パターン2:花粉シーズンに悪化する過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群(IBS)は、潰瘍やがんなどの器質的な異常がないにもかかわらず、腹痛・下痢・便秘・膨満感が繰り返される病態です。ストレスや自律神経の乱れが引き金になることがよく知られていますが、「花粉の季節だけお腹の症状がひどくなる」という訴えも臨床の現場ではしばしば聞かれます。

この点について、2025年に発表されたイタリアの研究(Rossi ら, Front Allergy, 2025)では、花粉に感作された下痢型IBS(IBS-D)患者において、花粉飛散期に消化管症状スコア(GSRS)が有意に悪化した(T0→T1で平均3.4ポイント上昇、p<0.01)ことが報告されています。一方、ダニに感作された患者や非感作群ではそうした季節変動は認められませんでした。吸入した花粉が消化管に到達し、腸管の肥満細胞を活性化させる経路が一因と考えられています。

もともとお腹が弱い自覚がある方で、毎年2〜5月ごろに症状が悪化するパターンを繰り返しているなら、花粉症との関連を一度消化器内科で相談してみる価値があります。IBSの診断にはRome IV基準(半年以上前からの症状で、直近3か月間に週1日以上の腹痛があり、排便に関する3項目のうち2つ以上を満たす)が用いられます。ただし、似た症状を起こす潰瘍性大腸炎やクローン病などの器質的疾患を除外するために、大腸カメラ検査が重要です。

パターン3:花粉症治療薬の副作用による消化器症状

花粉症で処方される抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬には、添付文書上の副作用として腹痛・下痢・便秘・吐き気などの消化器症状が記載されている薬剤があります。「花粉症の薬を飲み始めてからお腹の調子が悪い」という場合は、薬の副作用の可能性も考えられます。自己判断で服薬を中止せず、処方医または消化器内科にご相談ください。症状に合わせて薬剤の変更や用量の調整が可能です。

3つのパターンの特徴を比較する

  PFAS
(花粉食物アレルギー)
花粉関連
IBS悪化
治療薬の
副作用
発症
タイミング
特定の果物・野菜を
食べた直後〜数時間
花粉飛散期に
持続的に悪化
服薬開始後に
出現
主な症状 口のかゆみ+
腹痛・下痢・吐き気
腹痛・下痢・便秘
膨満感の波
軟便・腹部不快感
便秘など
花粉との
関連
花粉アレルゲンと
食物たんぱく質の
交差反応
花粉吸入→
腸管肥満細胞の
活性化の可能性
花粉症治療薬
そのものが原因
確認すべき
検査
血液検査(特異的IgE)
食物除去負荷試験
大腸カメラ
(器質的疾患の除外)
+ Rome IV基準
服薬歴の確認
薬剤変更による
改善の有無
対処の
方向性
原因食品の回避
加熱調理
生活習慣改善+
薬物療法
処方医に相談のうえ
薬剤変更・用量調整

上の3つのパターンは併存することもあります。たとえばPFASとIBSの両方に該当する方は珍しくなく、「何が原因でお腹が悪いのか自分ではわからない」という状態に陥りやすくなります。だからこそ、消化器内科で体系的に評価することが大切です。

仕事を大きく休まず検査を受けるには

駅近・土曜検査という選択肢

金沢駅前院は金沢駅から徒歩5分の立地にあり、土曜日の内視鏡検査にも対応しています。「仕事があるから平日の昼間は難しい」という方でも、休日を利用して検査を受けることが可能です。検査時間は内容により異なりますので、詳しくはWEB予約またはお電話でご相談ください。

胃カメラと大腸カメラの同日実施

当院では胃カメラ検査と大腸カメラ検査を同日に受けることもできます。何度も来院する時間が取れない方には、1回の受診で上部・下部消化管をまとめて調べられる点が大きなメリットです。花粉シーズンの腹痛に対して、胃の粘膜にアレルギー性の変化がないかを胃カメラで確認し、大腸カメラでIBSと器質的疾患を鑑別する——という組み合わせは、効率的なアプローチのひとつです。

鎮静剤を使った苦痛の少ない検査

「内視鏡検査がつらそう」という不安から受診を先延ばしにしている方は多いものです。当院では鎮静剤を使い、ウトウトと眠ったような状態で検査を受けていただけます。検査後はリカバリールームで休憩し、担当医が画像を見せながら結果を説明します。なお、鎮静剤を使用した場合は当日の車・バイク・自転車の運転ができませんので、公共交通機関またはご家族の送迎でご来院ください。金沢駅から徒歩圏内の立地は、この点でも利便性が高いといえます。

最新の内視鏡システムで小さな病変も見逃さない

当院ではオリンパス社の最先端内視鏡システム「EVIS X1」を採用しています。NBI(狭帯域光観察)や170度のワイドアングル機能により、微細な粘膜変化まで高精細に観察できます。花粉シーズンの消化器症状の背景に万が一ほかの病変が隠れていた場合にも、早期発見につなげることが可能です。

原因がわかったあとの治療と管理

PFASへの対処

PFASは原因となる食品を特定し、回避することが基本です。交差反応を起こす果物・野菜は花粉の種類ごとにおおよそ決まっています。スギ・ヒノキ花粉ではトマト、ハンノキ・シラカバ花粉ではリンゴ・モモ・サクランボ・大豆などが代表的です。加熱するとアレルゲンの立体構造が壊れて症状が出にくくなるケースも多いため、「生では症状が出るが、加熱すれば食べられる」という方は調理法の工夫で対応できます。

ただし、症状が口腔内にとどまらず全身に及ぶ可能性がある場合は、アレルギー専門医と連携しながら対応します。

IBSの生活習慣改善と薬物療法

IBSの治療は、食生活の見直し(暴飲暴食を控え、1日3食を規則的に摂る・カフェインやアルコール・香辛料を控える・食物繊維をバランスよく取り入れるなど)、適度な運動の習慣化、十分な睡眠と休息、ストレス管理が土台になります。そのうえで、症状のタイプ(下痢型・便秘型・交代型)に合わせた薬物療法を組み合わせます。

薬を飲み始めてからも症状は変化しますので、当院では再診時に現状を丁寧に確認し、処方内容を適宜見直しています。「まだ良くならない」と感じたら遠慮なくおっしゃってください。

花粉シーズンに意識したいセルフケア

花粉の時期に消化器症状が出やすい方に向けて、日常で取り入れやすい工夫をいくつかご紹介します。帰宅後の手洗い・うがい・着替えで花粉の体内への持ち込みを減らすこと、腸内環境を整えるために発酵食品(ヨーグルト・味噌・納豆など)を意識して摂ること、水分を十分に取ること、そして花粉飛散情報をチェックして飛散量が多い日は不要な外出を減らすことなどが挙げられます。これらは花粉症そのものの症状軽減にも寄与するとされています。

関連リンク

参考文献

1. Rossi CM, Lenti MV, Merli S, et al. Effect of seasonal exposure in aeroallergen-sensitised patients with irritable bowel syndrome-diarrhoea. Front Allergy. 2025;6:1569781. PMC 12095291

2. Fukutomi Y, Nakamura H, Kobayashi F, et al. Comprehensive review of pollen-food allergy syndrome. Allergol Int. 2024;S1323-8930(24)00089-3. PubMed 39278756

3. Huang Y, Okubo Y, Tanaka K, et al. Pollen Food Allergy Syndrome in Allergic March. Nutrients. 2022;14(13):2658. PMC 9268136

4. Osawa Y, Ito Y, Takahashi N, et al. Epidemiological study of oral allergy syndrome in birch pollen dispersal-free regions. Allergol Int. 2020;69(1):117–123. PubMed 31708436

5. 松原篤ほか. 鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年, 2008年との比較): 速報. 日本耳鼻咽喉科学会会報. 2020;123(6):485–490. NDL書誌

6. 食物アレルギー診療の手引き2023. 日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会.

よくある質問

Q. 花粉症で本当に腹痛や下痢が起こるのですか?

A. はい。花粉食物アレルギー症候群(PFAS)による交差反応や、花粉吸入に伴う腸管の免疫反応によって腹痛・下痢が生じることが報告されています。花粉に感作されたIBS-D患者で花粉飛散期に消化管症状が有意に悪化したという研究(Rossi ら 2025)もあります。

Q. 花粉症の薬を飲んでいますが、お腹の不調は薬のせいでしょうか?

A. 抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬の中には、添付文書に腹痛・下痢・便秘などの副作用が記載されている薬剤があります。服薬を始めてから症状が出ている場合は、自己判断で中止せず処方医にご相談ください。薬剤の変更や用量調整で改善できる場合があります。

Q. 花粉症による消化器症状か、別の病気か、どうやって区別しますか?

A. 症状の経過や食事・服薬歴を丁寧に問診したうえで、血液検査や大腸カメラ検査で器質的な疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病・大腸がんなど)を除外します。器質的疾患がなければ、Rome IV基準に基づいてIBSの診断を行います。必要に応じて特異的IgE検査でPFASの関与も評価します。

Q. 忙しい平日でも検査は受けられますか?

A. 金沢駅前院では土曜日の検査枠もご用意しています。平日は仕事で時間が取れないという方も、週末を活用して受診いただけます。詳しくはWEB予約またはお電話でお気軽にお問い合わせください。

Q. 出張が多く、まとまった時間が取れません

A. 金沢駅前院は金沢駅から徒歩5分で、土曜日の検査にも対応しているため、出張の合間や週末を利用して検査を受けやすい環境です。胃カメラと大腸カメラの同日実施にも対応していますので、まずはWEB予約またはお電話でご都合の良い日程をご相談ください。

Q. 花粉シーズンが終われば症状は治まりますか?

A. 花粉飛散期に連動して悪化するタイプ(花粉関連IBS悪化やPFAS)であれば、シーズン終了後に症状が落ち着くことは十分ありえます。ただし、IBSの体質そのものが消えるわけではなく、ストレスや食生活の変化で再発することもあります。症状がある間に一度きちんと検査を受けておくことで、今後の対処が明確になります。


中村 文保(なかむら ふみやす)

金沢消化器内科・内視鏡クリニック金沢駅前院 理事長

日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医 / 日本消化器病学会 消化器病専門医 / 日本内科学会 総合内科専門医

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