逆流性食道炎の原因と治し方|胃カメラでわかること
逆流性食道炎の原因と治し方|胃カメラで食道の状態をチェック
「食後に胸のあたりが焼けるように痛む」「酸っぱいものが喉までこみ上げてくる」——仕事中にこうした症状が気になりつつも、受診を先延ばしにしていませんか。逆流性食道炎は胃酸が食道に逆流して粘膜を傷つける疾患で、食生活の欧米化や高齢化を背景に患者数が増え続けています。放置すると炎症が慢性化し、バレット食道や食道腺がんのリスクが高まるとの報告もあります。当院は金沢駅から徒歩5分に位置する消化器内科・内視鏡クリニックです。この記事では、逆流性食道炎の原因・症状・治療法を、忙しい方が要点を押さえられるよう整理しました。
- 逆流性食道炎が起こる5つの原因と、それぞれの対処の考え方
- 胃カメラ検査で食道粘膜の炎症をどのように評価するか
- PPI・P-CABを中心とした薬物療法の進め方
- 食事・姿勢・睡眠の工夫で再発を防ぐポイント
- 慢性化した場合のバレット食道・食道がんリスクと定期検査の意義
動画で解説|胃カメラが映す逆流性食道炎のリアル
当院の女性内視鏡医が、胃カメラで実際に観察した逆流性食道炎の所見をもとに解説する動画です。食道粘膜の変色やびらんがどのように映るのか、映像を通じてイメージをつかめます。
胃カメラ検査にかかる時間と当日のスケジュール
検査前の準備——食事制限は前日の夕食から
当院では前日21時までに夕食を済ませていただくようお願いしています。当日の朝は絶食です。水やお茶などの透明な飲料は検査2時間前まで摂取できます。「朝ごはんを抜くだけ」と考えれば、出勤前の検査枠にも対応しやすい準備内容です。
検査自体は5〜10分で終了する
喉の麻酔を行ったあと、鎮静剤を使ってうとうとしている間に検査が進みます。食道・胃・十二指腸の粘膜を直接映し出して観察するため、逆流性食道炎のびらんや発赤の有無、食道裂孔ヘルニアの状態、さらに疑わしい部位があればその場で組織を採取し病理検査へ回せます。経鼻内視鏡を選べば嘔吐反射を抑えやすく、鎮静剤なしでも比較的楽に受けられます。女性医師による検査にも対応しています。
検査後の流れと仕事への影響
鎮静剤を使った場合、院内のリカバリールームで30分〜1時間ほど休んでから帰宅していただきます。鎮静剤の影響が残るため、検査当日から翌朝まで車・バイク・自転車の運転は控えてください。金沢駅から徒歩5分の立地ですので、電車やバスでの来院が便利です。午前中に検査を済ませれば、午後から出社する方も少なくありません。
鎮静剤を使った検査の実際と食道の評価法
ロサンゼルス分類で炎症の重さを客観的にグレード分けする
胃カメラで食道粘膜を観察したあと、びらんの広がりを「改訂ロサンゼルス分類」で評価します。Grade N(正常)からGrade D(最重度)まで段階があり、治療方針を決めるうえで欠かせない指標です。Lyon consensus 2.0でもこの分類が標準として採用されています。
症状が強くてもびらんが確認できない「非びらん性胃食道逆流症(NERD)」というタイプもあります。逆に、自覚症状がほとんどないのに内視鏡でびらんが見つかるケースも珍しくありません。症状の有無だけでは炎症の程度を正確に判断できないため、胃カメラで粘膜を直接確認する意義は大きいといえます。
バレット食道の早期発見にもつながる
逆流が長期間くり返されると、食道の扁平上皮が胃に近い円柱上皮に置き換わる「バレット食道」へ進行する可能性があります。バレット食道は食道腺がんのリスク因子です。当院ではオリンパス社の内視鏡システム「EVIS X1」を導入しており、NBI(狭帯域光観察)や拡大観察機能を用いて微小な粘膜変化まで捉えられます。
逆流が起こる5つの原因とそれぞれの対処
食道裂孔ヘルニアと食道裂孔の弛緩
胸部と腹部を隔てる横隔膜には食道が通る「食道裂孔」があります。加齢や肥満でこの裂孔がゆるむと、胃の上部が胸腔側にせり出す食道裂孔ヘルニアが生じやすくなり、逆流のリスクが高まります。食道裂孔ヘルニアがあっても症状が出ない方もおり、程度には個人差があります。
下部食道括約筋(LES)の圧低下
食道と胃の接合部にある下部食道括約筋(LES)は、普段はきつく閉じて胃の内容物が食道へ上がるのを防いでいます。加齢による筋力低下、脂肪分の多い食事、カフェイン、アルコール、喫煙などはLES圧を下げる因子です。一過性LES弛緩(TLESR)と呼ばれる食事と無関係に起こる短時間の弛緩が、逆流の主要なきっかけになることもLyon consensus 2.0で指摘されています。
腹圧の上昇
肥満、妊娠、猫背や前かがみの姿勢、ベルトやガードルによる腹部の締め付けは、いずれも腹圧を高める要因です。とくに内臓脂肪型の肥満は胃を持続的に圧迫するため、減量だけで症状が大幅に改善するケースも報告されています。デスクワークで長時間前かがみになる方は、定期的に立ち上がって姿勢を正すことを意識してみてください。
蠕動運動の低下
食道の蠕動運動には、逆流した胃酸を速やかに胃へ押し戻す「クリアランス機能」があります。加齢や糖尿病などで蠕動運動が低下すると、逆流した酸が食道に長くとどまり、炎症の重症化を招きます。蠕動運動の低下そのものが逆流の直接原因にはなりませんが、症状の遷延に深く関わります。
内服薬の副作用
心疾患に使われるカルシウム拮抗薬や硝酸薬、喘息治療に用いるテオフィリン、一部の抗コリン薬などには、LES圧を低下させる作用があります。薬を飲み始めてから胸焼けや呑酸が出てきた場合は、副作用の可能性を考える必要があります。自己判断で中止せず、お薬手帳を持参のうえ主治医にご相談ください。処方内容の調整や逆流を抑える薬の追加で対処できるケースが多いです。
PPI・P-CABを軸にした薬物療法と再発予防
治療薬の種類と使い分け
逆流性食道炎の治療は、胃酸分泌を抑える薬が中心です。下の表に主な薬剤を整理しました。
| 薬剤分類 | 代表的な薬剤 | 作用と特徴 |
|---|---|---|
| PPI(プロトンポンプ阻害薬) | エソメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールなど | 胃酸分泌の最終段階を阻害し、強力に酸を抑制する。GERDガイドラインで第一選択薬に位置づけられている |
| P-CAB(カリウムイオン競合型アシッドブロッカー) | ボノプラザン(タケキャブ) | PPIより速やかに効果が現れ、初回投与から強い酸分泌抑制が得られる。PPI抵抗性の症例にも有効との報告がある |
| H2ブロッカー | ファモチジンなど | ヒスタミンH2受容体を遮断して胃酸分泌を抑える。市販薬にも同成分の製品がある |
| 消化管運動機能改善薬 | モサプリドなど | 蠕動運動を促進し、胃内容物の停滞を防ぐ。逆流リスクを下げる補助薬 |
| 粘膜保護薬 | アルギン酸ナトリウムなど | 食道粘膜を物理的にコーティングし、胃酸による刺激を和らげる |
薬は食前・食後・食間など、処方ごとに最適なタイミングが設定されています。指示どおりに内服することで十分な効果が発揮され、副作用のリスクも抑えられます。症状が落ち着いても食道の炎症が完全に治っていないケースは少なくないため、医師が指示した期間は服薬を続けてください。
再発を防ぐ生活習慣の3つの柱
食事の見直し
脂っこいもの、甘いもの、香辛料、炭酸飲料、カフェインはいずれも胃酸の分泌を増やしたりLES圧を下げたりする食品です。頻度を減らし、腹八分目を心がけてゆっくり噛んで食べるだけでも胃への負担は軽くなります。アルコールは括約筋を弛緩させるため、量と頻度を控えるのが無難です。喫煙もGERD診療ガイドライン2021でリスク因子として明記されています。
姿勢と腹圧への配慮
猫背や前かがみの姿勢は腹圧を上げます。日頃から背筋を伸ばすことを意識し、長時間のデスクワークでは1時間に1回は立ち上がって姿勢をリセットしてみてください。ベルトやガードルで腹部を強く締め付けないことも大切です。便秘が続くと腹圧が慢性的に高まるため、食物繊維と水分を十分にとり、必要であれば便秘の治療も検討しましょう。
就寝前の工夫
就寝の2〜3時間前までに食事を済ませると、横になったときの逆流が起こりにくくなります(ACGガイドライン、GERD診療ガイドライン2021)。夜間に呑酸や咳が出る方は、上半身を15〜20cm程度高くして眠ると症状が和らぎます。枕だけ高くすると首に負担がかかるため、クッションやベッドウェッジで背中からゆるやかな傾斜をつけるのがコツです。ちなみに、就寝前の飲酒はLESを弛緩させるため控えてください。
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野々市中央院でも同等の胃カメラ検査・逆流性食道炎の治療が受けられます。土曜日の検査にも対応しており、お車でのアクセスが便利です。
▶ 野々市中央院 公式サイト | ▶ 野々市中央院 Web予約
よくある質問
まとめ
逆流性食道炎は、下部食道括約筋の弛緩や腹圧上昇など複数の原因が重なって発症します。胃カメラ検査で食道粘膜の炎症をロサンゼルス分類で客観的に評価し、その結果をもとにPPI・P-CABを軸とした薬物療法を組み立てることが治療の基本です。あわせて食事のタイミングや姿勢、就寝前の過ごし方を見直すと、再発のリスクを下げられます。
症状が治まっても自己判断で薬をやめず、医師の指示に従って治療を続けることが大切です。胸焼けや呑酸が気になる方は、早めに消化器内科へご相談ください。
- 日本消化器病学会 編.『胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2021(改訂第3版)』南江堂, 2021.
https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/gerd.html - Kinoshita Y, et al. Systematic review of the epidemiology of gastroesophageal reflux disease in Japan. J Gastroenterol. 2011;46(9):1092-1103. DOI:10.1007/s00535-011-0429-3
- Zhou X, et al. Efficacy and safety of potassium-competitive acid inhibitors in the treatment of gastroesophageal reflux. Scand J Gastroenterol. 2024;59(7):788-797. DOI:10.1080/00365521.2024.2349638
- Gyawali CP, et al. Updates to the modern diagnosis of GERD: Lyon consensus 2.0. Gut. 2024;73(2):361-371. DOI:10.1136/gutjnl-2023-330616
- 金沢消化器内科・内視鏡クリニック 金沢駅前院「逆流性食道炎」https://naishikyo.or.jp/kanazawaekimae-naisikyou/reflux-esophagitis/
当院で相談する目安
胸焼けや呑酸が2週間以上続いている方、市販薬で症状が治まらない方、健診で「逆流性食道炎の疑い」を指摘された方は、早めの受診をおすすめします。当院(金沢駅前院)は金沢駅から徒歩5分に位置し、消化器内視鏡専門医が問診から胃カメラ検査・治療・生活指導までを一貫して担当します。女性医師による検査にも対応しており、土曜日の検査も可能です。お仕事帰りや出張の合間にもご利用いただけます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

