ブログ

SASは肥満だけじゃない|痩せ型で見逃される無呼吸の3つの原因

睡眠時無呼吸症候群

SASは肥満だけじゃない|痩せ型・標準体型で見逃される睡眠時無呼吸の原因と対策

この記事のポイント
  • 標準体型やBMI 25未満の方でもSASは発症する
  • 非肥満のSASには骨格・扁桃肥大・加齢の3つの原因がある
  • 「痩せているから大丈夫」という思い込みが診断の遅れにつながる
  • 仕事のパフォーマンス低下の原因が未診断のSASだったケースがある
  • 自宅で行える簡易検査から効率的に診断を進められる

「健康診断で肥満を指摘されたことはないのに、最近やたらと眠い」。金沢駅を利用されるビジネスパーソンの方から、こうしたお話を聞くことがあります。会議中に集中力が途切れる、午後になると頭がぼんやりする——原因は寝不足でも疲労でもなく、睡眠時無呼吸症候群(SAS)だったというケースは珍しくありません。この記事では、肥満以外でSASが発症する原因と、見逃されやすいパターンを整理します。

痩せ型のSASとは——「体型は関係ない」と言える理由

SASは睡眠中に気道が繰り返し塞がり、呼吸が止まる病気です。気道が塞がる原因として肥満(首やのどの脂肪沈着)が広く知られていますが、気道の狭さを決める要因は脂肪だけではありません。あごの骨格、扁桃腺の大きさ、のどの筋力など、体の構造そのものが関わっています。

実際の臨床では、BMIが25未満の標準体型や痩せ型の方がSASと診断されるケースが一定数あります。日本人の非肥満OSA患者を対象とした研究では、骨格構造の問題が主な原因であることが示されています(Sakakibara H, et al. Eur Respir J. 1999)。「体型が普通だから自分には関係ない」という思い込みが、診断の遅れにつながりやすいのが痩せ型SASの特徴です。

非肥満でSASが起こる3つの原因

原因1:あごの骨格が小さい(小顎症傾向)

あごが小さいと、口の中のスペースが狭くなり、舌が収まりきらなくなります。起きている間は筋肉が舌を前方に保持していますが、眠ると力が抜けて舌の付け根がのどの奥に沈み込みます(舌根沈下)。厳密には舌だけでなく軟口蓋や周囲の軟部組織も含めた総合的な狭窄ですが、舌根沈下は分かりやすいメカニズムの一つです。

日本人を含むアジア人は、欧米人に比べてあごが小さく後退している傾向があるとされています。日本人OSA患者103名を対象とした研究では、肥満よりも小顎が主要なリスク因子であったと報告されています(Endo S, et al. J Med Dent Sci. 2003)。横顔であごが引っ込んでいる、歯が重なって並んでいる、出っ歯傾向がある——こうした特徴に心当たりがあれば、骨格性のSASリスクがあると考えられます。

原因2:扁桃腺やアデノイドの肥大

口蓋扁桃(のどの左右にあるリンパ組織)やアデノイド(鼻の奥のリンパ組織)が大きいと、気道の断面積が物理的に狭くなります。小児に多い原因ですが、成人でも炎症後に肥大が残っているケースがあります。扁桃肥大は体型と無関係に生じるため、痩せ型でもSASの原因になり得ます。

原因3:加齢によるのどの筋力低下

40代以降、のどの筋肉(上気道拡張筋)の力は徐々に衰えます。もともと骨格的に気道が狭い方は、この筋力低下が加わることで、若い頃には問題なかった方でもいびきや無呼吸が出始めます。「最近急にいびきがひどくなった」という40〜50代の方は、加齢と骨格の複合要因の可能性があります。

見逃されやすいケース—仕事への影響から気づくパターン

「眠気」を別の原因だと思い込む

ビジネスパーソンの場合、日中の眠気を「残業続きで疲れがたまっている」「年齢のせいで体力が落ちた」と解釈しがちです。痩せ型であればなおさら「自分がSASのはずがない」と思い込み、受診に至らないケースが多くあります。

SASで睡眠の質が低下すると、会議中の集中力低下、判断ミスの増加、午後の作業効率の低下といった形で仕事に影響が出ます。ちなみに、CPAP治療を開始した方から「午後の会議でまったく眠くならなくなった」という声をいただくことは珍しくありません。

飲酒と仰向け寝が症状を悪化させる

仕事の付き合いでの飲酒は、のどの筋肉を緩めて舌根沈下を起こしやすくします。骨格的に気道が狭い方がお酒を飲んで仰向けで眠ると、いびきと無呼吸が顕著に悪化します。「飲んだ日だけいびきがうるさい」と言われる方は、普段から軽度の気道狭窄がある可能性があります。

閉経後の女性にも増える

女性ホルモンには気道を開く作用があるとされており、閉経を境にホルモンバランスや体脂肪分布が変化し、SASの発症リスクが上がることが報告されています。体型が変わっていなくても、50代以降にいびきが始まった場合はSASを疑う理由になります。

効率的に検査・治療を進める方法

まずは自宅での簡易検査から

SASの診断は、入院不要の簡易検査からスタートします。指先と鼻にセンサーを装着して、いつもどおり自宅で眠るだけです。翌日以降に機器を返却し、データ解析の結果を後日確認します。仕事を休む必要はありません。検査の具体的な手順は簡易検査の装着手順と数値の読み方で紹介しています。

骨格が原因の場合の治療選択肢

SASの重症度と原因に応じて、CPAP療法(鼻マスクで気道を開く)、マウスピース(下あごを前方に固定して気道を広げる)、生活習慣の改善を組み合わせます。骨格が主因の場合は、あごの位置を調整するマウスピースが特に有効な場合があります。治療法の詳細は睡眠時無呼吸症候群の治療法|CPAP・マウスピースをご確認ください。

減量は肥満合併がある方には有効ですが、骨格が原因の痩せ型の方が体重を落としても、解剖学的な気道の狭さは変わりません。原因に合った治療を選ぶことが、効率的な改善への近道です。

通院のしやすさも治療継続の鍵

CPAP療法は原則として月1回の通院が必要です(やむを得ない場合の例外運用もあります)。当院は金沢駅から徒歩圏内にあり、お仕事帰りや通勤途中にも立ち寄りやすい立地です。「夕方の診察に予約を入れて、帰りに機器の確認をする」といった形で、仕事のスケジュールに組み込んでいただいている方もいらっしゃいます。

次に読むおすすめ記事

よくあるご質問

標準体型でもSASの検査を受ける意味はありますか?
あります。SASの原因は肥満だけではなく、あごの骨格や扁桃腺の大きさなど体の構造に起因するケースがあります。日中の眠気やいびきの指摘がある方は、体型にかかわらず検査をお勧めします。
骨格が原因かどうかはどうやって分かりますか?
まず簡易検査でSASの有無と重症度を確認し、体型や骨格の特徴を問診・視診で評価します。あごが小さい、扁桃腺が大きいなどの所見があれば、骨格性の要因が考えられます。必要に応じて歯科や耳鼻咽喉科と連携して詳しく評価します。
痩せ型のSASにCPAPは効きますか?
効果があります。CPAPは気道に空気を送り込んで物理的に開く治療のため、肥満かどうかに関係なく気道の閉塞を防ぎます。骨格が原因の方にも広く使われています。
マウスピースとCPAPはどちらが向いていますか?
重症度と原因によって異なります。一般的に、軽症〜中等症で骨格(あごの小ささ)が主因の方にはマウスピースが合うことがあります。中等症〜重症の方はCPAPが標準的な選択です。検査結果をもとに、医師と相談して決めます。
簡易検査のために仕事を休む必要はありますか?
ありません。検査機器を受け取ったら、自宅でいつもどおり眠るだけです。入院は不要で、痛みもありません。翌日以降に機器を返却し、後日結果を聞く流れです。
SASの治療費は保険適用ですか?
はい。簡易検査、精密検査(PSG)、CPAP療法のいずれも健康保険が適用されます。3割負担の方の場合、簡易検査は約2,700〜3,000円、CPAP療法は月額約4,500〜5,000円が目安です。ただし初再診料や検査内容、加算項目により変動しますので、正確な金額は受診時にご確認ください。

まとめ

SASは肥満の方だけの病気ではありません。あごの骨格が小さい、扁桃腺が大きい、加齢でのどの筋力が落ちた——こうした要因が重なると、標準体型や痩せ型の方でも睡眠中に気道が塞がります。「太っていないから大丈夫」という先入観が診断を遅らせ、結果として仕事のパフォーマンスや健康に影響を及ぼすケースがあります。

まずは自宅でできる簡易検査でSASの有無を確認し、原因に合った治療を選ぶことが効率的です。日中の眠気やいびきの指摘が気になる方は、金沢駅前の当院へお気軽にご相談ください。

当院で相談する目安

日中の眠気が仕事に支障を来している方、同僚やご家族から「いびきがうるさい」「息が止まっている」と言われたことがある方は、一度簡易検査をご検討ください。痩せ型・標準体型であっても、骨格的な原因でSASを発症している場合があります。当院(金沢消化器内科・内視鏡クリニック 金沢駅前院)は金沢駅から徒歩圏内にあり、お仕事帰りや通勤途中にも通いやすい立地です。当日検査にも可能な限り対応していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

金沢消化器内科・内視鏡クリニック 金沢駅前院
金沢駅より徒歩圏内・お仕事帰りにも通いやすい立地
24時間WEB予約はこちら

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状や検査の要否については、医師にご相談ください。

参考文献
  1. 日本呼吸器学会(監修).睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020.南江堂;2020(ISBN 978-4-524-24533-8). https://www.jrs.or.jp/publication/jrs_guidelines/20200730145402.html
  2. Endo S, Mataki S, Kurosaki N. Cephalometric evaluation of craniofacial and upper airway structures in Japanese patients with obstructive sleep apnea. J Med Dent Sci. 2003;50(1):109-120.
  3. Craciun M-L, et al. Association Between Obstructive Sleep Apnea and Cardiovascular Risk: A Systematic Review and Meta-Analysis of Prospective Cohort Studies. Medicina (Kaunas). 2025;61(11):1988. doi:10.3390/medicina61111988
  4. Yasuda M, et al. The prevalence of obstructive sleep apnea in Japanese asthma patients. Allergy Asthma Clin Immunol. 2024;20:10. doi:10.1186/s13223-024-00875-x
文責
中村 文保
金沢消化器内科・内視鏡クリニック 野々市中央院/金沢駅前院(医療法人社団心匡会 理事長)
日本内科学会 総合内科専門医/日本消化器内視鏡学会 消化器内視鏡専門医/日本消化器病学会 消化器病専門医/日本肝臓学会 肝臓専門医